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SDGs目標14の概要と日本・世界の取り組み事例をわかりやすく解説

 

SDGsについて興味があるけど具体的に何をすればいいの?」といった疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。SDGsには17の目標があり、まずはそれぞれの目標について理解を深め、「自分にできることは何か?」「自社の事業と関連が深そうな目標は何か?」を見定めることが大切です。

全部で17あるSDGsの目標のうち14・海の豊かさを守ろう」は、主に「海や海洋資源」へ目を向けた目標です。

今回はSDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」についてわかりやすく解説するとともに、日本や世界における取り組み事例を紹介します。

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SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」とは

SDGsの目標14である「海の豊かさを守ろう」とは、海や海洋資源を守るための目標です。
海は、あらゆるものとのつながりがあり、「雨水」「天気・気候」「飲料水」「食料」なども海によって提供されているといえます。

そして、海があることで各国の貿易もスムーズに行えます。私たちは、海のおかげで生きることができ、現在の暮らしを実現できているといえるのです。

しかし、そんな海は、世界の開発が進むにつれ汚染が進んでいる状況です。多くのゴミや汚染された水などが海へと流れだし、海や海洋資源が汚染されている事態となっています。

海と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

生物と密接な関わりのある海の豊かさを守ることは、持続可能な開発には不可欠です。海の豊かさを守るための行動・取り組みは、結果的に国内外の経済にも良い影響を与えます。たとえば、海が豊かであれば、漁業分野の産業の利益となる魚や貝などを確保できるでしょう。

しかし、海の汚染が進む今、あらゆる生態系に悪影響を及ぼしている状況です。大量のゴミで海が汚染されることで魚などの資源の減少や、「獲りすぎ」によって貴重な資源が失われる危機にあります。

私たちが実施しなければならないのは、海の豊かさを守るための資金を確保し、海・海洋資源の適切な管理や、海の汚染などを深刻化させないように規制を導入することです。

数字で見る「海の豊かさ」の現状

海は、地球の表面積のうち4分の3を占める大きなものです。そして、地球上に存在する水のうちの97%が海であり、多くの生物が生息する場所でもあります。漁業など、海と沿岸部の多様な生物に依存して暮らしている人々の数は30億人にもおよびます。

しかし、海に関する問題は深刻で、汚染のほかにも「海面上昇」や、「酸性化」、「魚などの水産資源の急速な渇望」などが挙げられ、いずれも深刻な事態です。

仮に、何の対策も講じないまま今の状態が継続した場合、富栄養化(本来よりも水中の栄養分が増えすぎること)が進み植物性プランクトンなどが異常発生するリスクがあります。結果的に水中の酸素量が減少し、あらゆる生態系に影響を与える恐れがあるのです。

SDGs目標147つの達成目標

海や海洋資源を守るために設定されたSDGs目標14。生態系を守ることや、私たちの暮らしを維持するために必要な7つの達成目標について詳しく触れていきます。

1.海の汚染の防止と軽減

  • 2025年までに海洋ゴミや富栄養化など、あらゆる海の汚染を防ぎ、大きく減らす。”

海の汚染は深刻であり、速いスピードで進んでいます。すでに影響を受けている生態系もあるほどで、このままでは2050年までに、大型の海洋生態系の20%が深刻な事態に陥ってしまうと考えられています。

達成目標の1つ目にある通り、まずは「海の汚染の防止と軽減」に努める必要があります。海洋ゴミを減らしたり、富栄養化を防いだりすることは海を守ることにつながります。

2.持続的な海の管理と保護を行う

  • “海と沿岸の生態系に影響が生じないよう、回復力を高め、持続的な管理・保護を行う。”

海は汚染を防止するだけではなく、適切に管理をしたり、必要に応じて保護したりする必要があります。海と沿岸の生態系への悪影響を防止し、すでに影響がある生態系においては、回復力を高めるなど、人間の手で管理していく必要があります。

また、健全で生産的な海へと導くために、海および沿岸の生態系を回復させる取り組みも積極的に実施することが重要です。

3.海洋酸性化の影響を最小限にするための対策をとる

  • “あらゆるレベルでの科学的な協力をすすめるなど、海洋酸性化が進行しないように対策する。”

海洋酸性化が進むと、海中で繁殖するプランクトンが減少してしまう傾向にあります。プランクトンが減少すると、食物連鎖の上位に位置する生態系にも影響がおよび、結果的には海洋資源の減少を招いてしまうのです。

海洋酸性化を食い止めるためには、この現象の大きな原因となる「二酸化炭素」の排出量を削減する必要があります。なぜなら、海洋酸性化は空気中の二酸化炭素を海が吸収することで進行するからです。

4.科学的な海の管理計画を実施する

  • “魚介類などの水産資源を、全体の数を減らすことなく漁ができるレベルに速やかに回復する。”

海洋汚染や乱獲などにより生態系に悪影響を及ぼしています。この状況を改善するためにも、魚などそれぞれの種の特徴を考慮し、各種類の数を減らすことなく漁ができるレベルにまで、速やかに回復できるようにする必要があります。

具体的な対策としては、魚を獲る量を制限したり、破壊的な漁業をなくしたりすることが挙げられます。そして、科学的な管理計画を実施し、効果的な対策を講じていくことが重要です。

5.世界中の沿岸域や海域の10%以上を保全する

  • “国内法や国際法を守りつつ、科学的な情報に基づいて世界中の沿岸域や海域を保全する。”

海を守るためには、国内法や国際法に基づいた保全が重要です。そのためには、根拠のある科学的な情報を入手し、信頼できる方法を実現する必要があるでしょう。

保全する割合は、世界中の沿岸域や海域の10%以上が目標です。

6.必要以上に魚をとらないようルールを設ける

  • “魚を過剰にとることを禁止し、悪質な漁業に対する補助金を出さないようにする。”

海洋資源の減少原因の1つに乱獲が考えられます。これを防ぐためには、必要以上に魚をとる行為および、悪質な漁業などに対する補助金をなくすことが重要です。そして一時的になくすのではなく、以降も同様の補助金はつくらないようにすることも必要です。

ただし、開発途上国や開発がもっとも遅れている国については、先進国とは異なる扱いとなることを視野に入れなければなりません。WTO(世界貿易機関)の漁業補助金の交渉では、開発途上国や開発が遅れている国への適切な配慮が望ましいといえます。

7.開発の遅れている国に配慮した管理、システム構築を目指す

  • 2030年までに開発途上の小さな島国、開発が遅れている国々が、海洋資源を持続的に利用し、大きな経済的利益を得られるようにする。”

この達成目標が目指すのは、漁業や水産物の養殖および観光を持続的に管理できるようにすることです。これらの管理が徹底されれば、海洋資源で利益を得られるようになり、人々の暮らしの豊かさにもつながります。

達成するための具体的な方法3

SDGsの目標14を達成するためには、以下の3つの方法が望ましいとされています。

1.海における科学的知識や研究能力を向上する

健全な海をつくり、開発途上国などが海洋資源の恩恵を受けられるようにする必要があります。そのためにも、ユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを参考にしながら、科学的知識の向上や研究能力の向上を目指す必要があります。

そして、海洋技術が開発途上国でも使用できるようにすることが求められます。

2.小規模で運営する漁師が海洋資源や市場を利用できるようにする

小規模漁業者が、海洋資源や市場を利用できるようにして、海の豊かさを守りつつ、漁師の暮らしも守れるようにします。

国内外を問わず、現在小規模で漁業を営む人々は多くいます。しかし、なかには市場の利用ができないケースもあり、健全に海洋資源が活用できているとは言い切れません。

漁業業者の規模を問わず、すべての漁師が海洋資源と市場を利用できるようにすることが、目標達成のためにも重要です。

3.海洋資源の保護や持続可能な利用の強化

海と海洋資源の保全や、持続可能な利用のための明確なルール作りの実施が急務となります。

法的な枠組みを定めた国際法(国連海洋条約)にて、海・海洋資源の保護と、持続可能な利用の形を実現し、強化していかなければなりません。

日本における取り組み事例

海洋汚染や、海洋資源の減少は決して他人事ではなく、企業が積極的にSDGs目標14に取り組む必要があります。ここでは、日本企業の取り組み事例を紹介します。

1.【企業】イトーキ

イトーキでは、環境に配慮した製品づくりを通じて、目標14に取り組んでいます。たとえば、同社の製品であるnonaチェア」は、製品の製造から納品までに伴う二酸化炭素の排出量が抑えられています。また、現在の量の調達から、廃棄およびリサイクルまでに排出される二酸化炭素を削減しています。

海洋汚染の原因となる二酸化炭素の削減は、海や海の資源を守る重要な取り組みといえるでしょう。

出典:nona(ノナチェア)のカーボン・オフセット・プロジェクト | トピックス | ITOKI

2. 【企業】協和コンサルタント

協和コンサルタントが実施しているSDGs目標14の取り組みは、陸上における不法投棄や汚染の抑止活動です。海をゴミで汚すことのないよう、積極的に活動し、海への海洋汚染や生態系への悪影響を削減するために取り組んでいます。

不法投棄などによるゴミは、海洋汚染の大きな原因の1つです。海洋汚染がさらに進めば、生態系に悪影響を及ぼし、数が減少する生物も出てくる可能性があります。同社では、そうした現状をふまえ、不法投棄・汚染の抑止活動やSDGsの啓発活動、普及などに取り組んでいます。

出典:開発目標|株式会社 協和コンサルタント

3. 【企業】しのぶや

しのぶやでは、環境に配慮し自動車の塗装に水性塗料を使用しています。水性塗料を使用することで一般的に使用されている溶剤系塗料と比べると、二酸化炭素やVOCを大幅に削減できると期待されています。

VOC(揮発しやすい化学物質)を低減し、二酸化炭素の削減が実現することで、海洋汚染の原因を根本から無くすための対策をしています。

出典:「しのぶや」SDGsへの取組│有限会社しのぶや

4. 【企業】リビエラグループ

リビエラが実施しているSDGs目標14の取り組みは、多岐に渡ります。たとえば、ビーチクリーン活動として、公益財団法人かながわ海岸美化財団と協働してビーチのゴミを毎月収集したり、「よこすか海の市民会議」への支援を通してアマモの育成支援を実施したりしています。

また、プラスチックストローの廃止や、鯛の稚魚育成・放流の支援など、さまざまな組織・団体と協力しながら、海・海洋資源の保護に努めているのです。

ほかにも、電池推進船の実用化に向けて試験を行ったり、海洋普及活動を実施したりするなど、「海も、森も、大気も、クリーンな地球を目指して」をモットーに、幅広く活動しています。

出典:サステナビリティへの取り組み | リビエラグループ

世界における取り組み事例

ここからは、世界における具体的な取り組み事例を紹介します。

出典:SDG INDUSTRY MATRIX—産業別SDG手引き—製造業|UNGC

出典:SDG INDUSTRY MATRIX—産業別SDG手引き—食品・飲料・消費財産業|UNGC

出典:SDG INDUSTRY MATRIX—産業別SDG手引き—エネルギー・天然資源・化学産業|UNGC

1.キューリグ・グリーン・マウンテン

コーヒー関連事業を展開している企業として知られる「キューリグ・グリーン・マウンテン」。同社が取り組むSDGs目標14は、コーヒーの生豆の輸送に使用する黄麻袋の有効な使用方法を確立したことです。

これまではコーヒー豆の輸出時にのみ使用されていましたが、現在は沿岸の入り江への流出水を削減するための土壌の覆いとして使用しています。ゴミを減らし、二酸化炭素の削減に貢献しています。 

2.インターフェイス

カーペットタイルメーカーとして事業展開しているインターフェイスでは、SDGsの目標14の取り組みとして、Net Effect」というカーペットタイルコレクションを展開しています。

このコレクションのプロジェクトでは、廃棄された漁網を回収し、糸のサプライヤーに売却しています。もともと、2011年以降には、廃棄された漁網に由来する廃棄ナイロンを再生し、インターフェイスのカーペットの原材料として使用していました。  

3.ヘラ

イタリアを中心に事業展開しているヘラ。水やエネルギー、ガスなどを提供する企業であり、イタリアのインフラを担っています。

同社が実施するSDGs目標14は、2020年までに海の汚染による影響を90%削減する計画をスタート。11件の対策を導入し、15,400万ユーロを超える投資も行いました。

実際に、下水道システムを改修したり、排水の問題を解決したりするなどして、上記の目標が達成されています。 

4.エニ

イタリアに本拠地を置く多国籍企業であるエニ。石油やガスを販売する企業として活動をしています。70か国に製品を展開している同社が取り組んでいるのは、SDGs目標14における「不測の原油流出対策」です。

輸出時などに何らかのトラブルにより原油が海へと流出してしまうリスクがあることをふまえ、緊急事態対応システムが制御不能となった場合に備えた「CUBEシステム」を開発しており、今後の本格的な活用が期待されています。 

まとめ

食料、貿易ルート、気象、飲料水など、あらゆる部分とつながっている海は、地球上の生物にとって重要ですが、世界では年間で800万トンものプラスチックゴミが海に流出しています。非常に速いスピードで汚染が進むなか、国を越えて世界で協力し合い、積極的に行動を起こしていかなければなりません。

企業の取り組みを検討している方は、まずは、使い捨てプラスチック製品の使用を減らすことや、海岸のゴミ拾いなど、行いやすいことから始めてみるのはいかがでしょうか。

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