社会

地域活性化につながる事業の例と、地域活性化で得られる効果を解説

「地域活性化」「地方創生」という言葉をテレビやニュースで目にすることが多くなっています。全国各地の自治体が地域活性化に向けた取り組みを行っているなか、「どのような事業が地域活性化に繋がるのか」「地域活性化に取り組むことで、どのような効果を得られるのか」と疑問に思う方は少なくないでしょう。

本記事では、地域活性化につながる事業の例と得られる効果、地域活性化事業を支援する国や自治体の取り組みについて解説します。

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地域活性化とは

地域活性化とは、地域における経済活動や文化活動を活発化させたり、地域住民の活動意欲を向上させたりすることで地域を発展させ、街づくりを進めていく取り組みのことです。

地域活性化という言葉に明確な定義はありません。昨今では、その地域の特性を活かしながら持続可能な地域社会を創り上げること、それに伴う人々の取り組みや活動などの総称として使われています。

地域活性化が注目されたきっかけ

第二次安倍内閣時の2014年に議決・執行された「まち・ひと・しごと創生法」によって、「地方創生」という言葉が広く認知されたことが、地域活性化に注目が集まった一つのきっかけです。

その後に「まち・ひと・しごと創生法」は廃止されましたが、政府が地方創生へ取り組むための「まち・ひと・しごと創生総合戦略」「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」がそれぞれ開始され、国も地方創生や地域活性化の積極的な促進に取り組んでいます。

最近では、「Society 5.0」と呼ばれる仮想空間と現実空間を高度に融合させた新しい社会の実現や、世界共通の目標である「SDGs」を活用した持続可能な街づくりの実現に向け、政府は地域活性化への積極的な支援を行っています。

出典:地方への多様な支援と「切れ目」のない施策の展開│地方創生推進事務局(PDF)

地域活性化につながる事業とは?4つの例と得られる効果

地域活性化につながる事業の例と得られる効果について解説します。

①  文化遺産の有効活用

文化遺産とは、人類が長い時間をかけて、世界各地で創り上げてきたものを指します。国連教育科学文化機関「ユネスコ」によって登録された世界遺産は「世界文化遺産」と呼ばれます。日本では、広島県の「原爆ドーム」や兵庫県の「姫路城」が文化遺産として有名です。

日本には他にも、全国各地に多様で豊かな文化遺産が点在していますが、それらはその地域における貴重な“地域資源”として有効に活用できます。

文化庁では文化遺産を地域活性化に役立てることを目的に、平成25年度より「文化遺産を活かした地域活性化事業」を実施し、事業を大きく下記の3つの方法に区分しています。

  • 普及啓発事業:文化遺産を広く普及させ、文化遺産を地域資源として活用する
  • 情報発信・人材育成事業:文化遺産の情報を国内外に発信していく人材を育成する
  • 継承事業:文化遺産を持続可能な地域資源として確保する

その地域や文化遺産に適した取り組みを実施することが、より効果的な地域活性化につながります。

得られる効果

文化遺産という、その地域限定の観光スポットへ観光客を呼び込むことで、文化遺産とその周りの地域における経済活動の活性化に期待ができます。その地域の限定品の販売やイベントの企画などを合わせて取り組むことで、さらなる経済活動の促進につながるでしょう。

また、観光客へ向けて文化遺産や歴史にまつわる情報発信を行うことで、その地域に対する理解を深めてもらうと同時に、口コミやSNSへの発信を通じてさらなる観光客の増加も見込めます。

出典:文化遺産を活かした地域活性化事業〜文化遺産を次世代へ継ぐ魅力ある地域へ〜│文化庁

②スポーツへの参加促進

老若男女問わずに楽しめるスポーツは、人々の心身の健康増進以外にも「自身が選手になる」「サポーターとして応援する」「イベント運営スタッフとしてサポートする」など、一人ひとりがいろいろな関わり方で楽しめる点が特徴的です。

栃木県宇都宮市では、「3×3(3人制のバスケットボール)」や「ロードレース」などの大規模なスポーツイベントを実施し、県内外を問わず多くの参加者を呼び込み地域活性化につなげています。

他にも、スポーツチームに所属するプロ選手が講師となってスポーツ教室を開催したり、ボランティアスタッフがイベント運営を支えたりと、地域活性化への活動を通じて参加者一人ひとりが活躍できるような取り組みを図っています。

岐阜県高山市では、地域の風景や特産品を楽しめるマラソン大会を企画し、地域の魅力を発信しながら観光客を呼び込むイベントを企画することで、地域活性化を図りました。

自然豊かな環境でマラソンを楽しみながら、地域の食材までも楽しめるこのイベントは、その地域の強みや特徴を最大限に活かした取り組みといえるでしょう。

得られる効果

地域の特性を活かしたスポーツイベントを開催することで、地域住民はもちろんのこと、他地域からの参加者へ向けても地域の良さをアピールすることにつながります。

地域住民はイベントに参加することで地域活性化が期待でき、地域の店舗は他地域からの参加者による購買促進につなげることができます。参加者はその地域に対する理解が深まり、受け入れ側の地域にとっては転入人口の増加なども期待できるといえるでしょう。

出典:スポーツによる地域活性化│宇都宮市

出典:SATOYAMA RUNとは?|SATOYAMA RUN in 飛騨高山

③商店街の活性化

様々なお店が並ぶ商店街は、戦後の復興期から高度成長期にかけて数を増やし、買い物からイベントの開催まで、地域住民の生活に欠かせない「街の顔」として存在してきました。

しかしその後は、大型百貨店の台頭や大規模小売店舗の郊外への出店が進み、商店街を中心とする中心市街地は空洞化を余儀なくされました。

さらに追い討ちをかけるように、近年ではインターネットの普及やIT技術の進歩により、リアル店舗ではなくネット販売が生活の一部となりつつあるなかで、商店街の業況は厳しくなっているといえます。

その一方で、商店街を地域活性化の一つの場として活用する動きも増えています。

高知県高知市の大橋通り商店街では、伝統の「よさこい」を活用したイベントを開催し、観光客の増加を図りました。

小学生を対象とした職業体験イベント「わくわくワークるんだ商店街」を企画し、子どもたちに働く喜びを知ってもらう活動を実施したところ、地域住民へ“商店街の価値”を再認識してもらうことにつながりました。

三重県津市の津市大門大通り商店街では、参加者が歩くことで貯まったポイントを商品と交換できる「健康づくりウォーキング」を実施。

ウォーキングコースに地域の観光名所を組み込んだり、ポイントと交換できる商品に商店街で使える商品券を用意したりすることで、住民の健康維持・増進に加えて、地域の魅力の再認識や交流のきっかけとなりました。

石川県金沢市にある横安江町商店街(金澤表参道)では、毎年4911月に開催している「よこっちょポッケまーと」のライブ配信を実施しました。

コロナ禍の影響で参加できない人も楽しめるように、ミュージシャンのライブや店舗・出店ブースのインタビューを配信。今後の新たな地域イベントの楽しみ方の一つとして、地域活性化につながりました。

得られる効果

商店街の各店舗や地域住民が一体となって協力してイベントを企画することで、商店街を一つのコミュニティの場として活用すると同時に、地域の良さの再認識や再発見につながります。

商店街での購買促進に加え、商店街と住民との相互理解が深まることで、新たな消費者ニーズの把握や商品開発につながり、経済活動の活性化を図れます。

出典:地域商店街活性化事業成果事例集 平成28年度版│全国商店街振興組合連合会(PDF)

出典:日常の取組みから地域の魅力を再発見「健康づくりウォーキング」で街を元気に│全国商店街支援センター

出典:現地開催とYouTube配信ハイブリッドで楽しさ追求│全国商店街支援センター

④ユニークなイベントの開催

文化遺産や商店街を活用したイベントの他に、“一風変わったユニークなイベント”を開催して地域活性化に取り組む事例があります。ユニークなイベントは地域住民にとっても高い話題性のあるものとなり、地域一帯を巻き込んだイベント実施が可能になります。

島根県出雲市にある平田本町商店街では、国民的ボードゲーム「人生ゲーム」を活用した地域活性化イベント「まちあそび人生ゲーム」を開催しました。

商店街の店舗を人生ゲームのマスに見立て、参加者はルーレットを回して出た目に従って店舗を回るという“リアル人生ゲーム”さながらなこのイベントは、2013年の第一回目から現在までに述べ2,000名以上が参加しました。

参加者の約8割は、小学生以下の子どもを連れた家族。イベント後のアンケート調査では「各店舗に気兼ねなく入店でき、よい出会いがあった」「お店の方とのコミュニケーションが取れてよかった」「初めて入ったお店も多く、また買い物したい」という回答が多く、商店街の認知拡大につながりました。

「まちあそび人生ゲーム」は、現在では山形県新庄市、福井県小浜市、千葉県船橋市と、全国に広がり始めており、ユニークな地域活性化のイベントとして活用されています。

岐阜県可児市では平成28年より、NPO法人ゼロワンと株式会社Tears Switch(現:株式会社IKUSA)と協働して、地域の活動人口や観光交流人口を増やすことを目指し「戦国城跡巡り事業可児市の乱」を実施しています。

可児市には戦国時代から残る「国史跡美濃金山城跡」を始め、市内10ヶ所に城跡が存在しています。城跡を地域資源の一つとして、地域住民・行政・NPO・企業が協働した地域活性化への取り組みを考案して誕生したのが、「戦国城跡巡り事業可児市の乱」です。

イベントでは「チャンバラ合戦IKUSA-(以下、チャンバラ合戦)」と呼ばれる、当たっても痛くないスポンジ製の刀を使って、相手の肩に付けた“命”と呼ばれるボールを落とすアクティビティを活用したことで、大人も子どもも安全に楽しめるイベントとなりました。

老若男女を問わすに誰でも楽しめるチャンバラ合戦と、歴史的価値のある城跡跡地の良さを最大限に活かした、可児市ならではのイベントとして地域活性化に貢献しています。

得られる効果

ユニークなコンテンツを活用したイベントは、地域住民からの注目を集めやすいという特徴があります。「ありきたりなイベントには興味ない」と感じている人にも興味を持ってもらいやすく、参加者の増加が期待できます。

イベントにはその地域の特性を組み込むことで、斬新なイベントを楽しみながらも、地域への理解を深められるような取り組みにつながります。その地域の良さを地域住民に再認識してもらうことで、経済活動の促進に効果が期待できるでしょう。

出典:リアル“人生ゲーム”で商店街を活性化|新・公民連携最前線|PPPまちづくり

出典:【地方創生】世界初、岐阜県可児市がチャンバラを使い、新しい地域活性化「戦国城跡巡り事業-可児市の乱-」を本格始動。|可児市のプレスリリース

地域活性化事業を支援する国や自治体の取り組み

地域活性化事業を支援する国や自治体における5つの取り組みを紹介します。

①地域雇用活性化推進事業│厚生労働省

厚生労働省では、雇用機会が不足している地域や過疎化が進んでいる地域の特性を生かした「魅力ある雇用」と「それを担う人材」の維持・確保を図るため、「地域雇用活性化推進事業」に取り組んでいます。

地域雇用活性化推進事業は、市町村や経済団体などから構成される協議会が提案した事業構想のなかから、「魅力ある雇用やそれを担う人材の維持・確保効果が高いと認められるもの」「地域の産業及び経済の活性化等が期待できるもの」をコンテスト方式で選抜し、その協議会に対して事業の委託をする取り組みです。

事業構想は大きく3つに区分され、企業向けとして「事業所の魅力向上、事業拡大の取組」、求職者向けとして「人材育成の取組」、企業と求職者とのマッチングとして「就職促進の取組」にそれぞれ取り組み、雇用創出を図ります。

出典:地域雇用活性化推進事業│厚生労働省

ICT地域活性化 支援施策│総務省

総務省では、地域経済や地域社会を活性化させるために必要な、各分野での「ICTInformation and Communication Technology:情報通信技術)」の利活用を促進するための施策を実施しています。

昨今では教育・仕事・医療・福祉・介護など、私たちの身の回りの生活のあらゆるところでICTの利活用が推進されています。例えば、学校教育ではパソコンやタブレットの導入により授業内容の均一化や業務効率化を図っています。

他にも、高齢者の見守りサービスとしてICTを活用することで、何かあった際にすぐに助けられるような仕組みが構築されつつあります。このように、生活のなかで徐々にICTの利活用が普及しており、今後もICTの需要は高まるといえるでしょう。

総務省のICT地域活性化支援施策では、生活の各分野でのICT利活用を促進するために様々な施策に取り組んでいます。

施策のうちの一つ「デジタル活用支援員推進事業」では、高齢者がICT利活用について学べる環境作りを促進する「デジタル活用支援員」の仕組みの構築を掲げています。専門知識を有した支援員がサポートをすることで、今後のICTの需要増加に伴って高齢者を取り残さない仕組みの構築を目指しています。

出典:ICT地域活性化 支援施策|ICT地域活性化ポータル|総務省

「まんが スポーツで地域活性化」事例集│スポーツ庁

スポーツ庁では「スポーツによる地域活性化」を支える人材が輩出されることを目的に、地域活性化の取り組み事例を全国から12事例選定し“まんが”で紹介する事例集を公式ホームページで公開しています。

漫画であればスラスラと読み進めることができ、文章だけでは地域活性化への取り組みの様子をイメージできないという人でも、イラストがあれば取り組みの様子をより詳細にイメージできるでしょう。

12作ある漫画の終わりには、その地域の概要や写真が載っているため、事例だけではなくその地域に対する理解や背景を深めることにもつながります。

出典:「まんが スポーツで地域活性化」事例集│スポーツ庁

地域活性化支援事業│全国各地の自治体

全国各地の自治体のなかには、地域活性化や街づくりに向けた住民の主体的な取り組みに対し、活動資金の支援を行っている地域が多くあります。

香川県さぬき市では、地域課題の解決に取り組むボランティア団体などを支援する「さぬき市地域活性化支援事業」を実施し、豊かな街づくりを目指しています。

千葉県千葉市中央区では「中央区地域活性化支援事業『みんなで創る中央区づくり』」に取り組み、地域生活における課題解決や街づくりに向けた区民の主体的な取り組みに対して活動資金の支援を行っています。

地域活性化支援事業の制度の有無や募集要項、支援する活動内容は各自治体によって異なるため、申請を検討する際には事前に公式ホームページの情報を確認しましょう。

出典:地域活性化支援事業│香川県さぬき市

出典:中央区地域活性化支援事業「みんなで創る中央区づくり」│千葉市

地域づくり団体活動支援事業助成金等│一般財団法人 地域活性化センター

一般財団法人地域活性化センターでは「スポーツ拠点づくり推進事業」「地方創生アドバイザー事業」など、地域活性化に向けた様々な支援を行っています。

  • スポーツ拠点づくり推進事業:市区町村および各スポーツ団体が共同でスポーツ大会開催計画を策定し、承認された場合には毎年度400万円以内を助成金が交付される。
  • 地方創生アドバイザー事業:市町村を対象に、各市町村が行う自主的・主体的な地域づくり事業に関してアドバイスをする専門家などの受け入れに要する経費として、1事業あたり総額で20万円を限度に助成する。

他にも、一般財団法人地域活性化センターではいくつかの支援事業を行っているため、申請を検討する際には公式ホームページを確認するのがおすすめです。

出典:助成金事業|地域活性化センター

まとめ

地域活性化は地方における人口減少や少子高齢化の対策として、様々な地域で求められています。地域活性化につながる事業には様々な種類や方法があり、その地域に存在する資源を有効活用することが、地域活性化を成功に導くための大切な要素です。

国や自治体が、地域活性化の取り組みに対して助成金などの支援を行っている場合もあります。地域活性化にはある程度の資金が必要なことも多いため、自分たちの活動や取り組みが支援対象に該当するかは事前に確認しておきましょう。

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りょう

この記事を書いた人

りょう

都内在住。美容系メディアのコンテンツ制作をきっかけにライター活動をスタート。現在までにSDGs、HR領域、SNSマーケティング、外遊び、オンラインイベントなどの幅広いジャンルを執筆。読者の皆さまに寄り添えるような、わかりやすい文章を心がけています。

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