防災意識とは?社員の防災意識を向上させるための方法や企画を紹介
いつ来るとも分からない災害に対しては、日頃からの備えが重要です。特に近年、災害時における企業の役割は注目されています。
本記事では、企業における防災の考え方について解説したうえで、社員の防災意識を向上させることの重要性についてみていきます。また、社員の防災意識を向上させる方法や、具体的なについても紹介します。
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企業における防災も「自助」「共助」「公助」が重要
防災においては、「自助」「共助」「公助」の考えが重要 だとされます。「自助」とは、災害が発生した際に自分自身や家族などの命や安全を守ることです。そして「共助」とは、地域やコミュニティの一員として、その地域・コミュニティのなかで力を尽くすことや協力しあうことです。そして、自治体や消防・警察・自衛隊といった公的機関による救助・援助が「公助」です。
企業における防災とは
企業の防災においてもこの「自助」「共助」「公助」の考えは重要だといえます。特に、企業は社会的に「共助」の役割を果たす と認識されてきました。共助の例としては、物資の放出や自社ビルを活用した帰宅困難者の受け入れなどが該当します。また、自社の帰宅困難者のうち、帰宅の必要性が低い従業員は敢えて自社で待機することで、交通機関の混乱回避に貢献するといった対応も可能です。
特に近年、教育支援、環境保護活動、地域コミュニティの支援など、「企業の社会的責任」に関する取り組みが求められてきていることもあり、企業の役割(共助)としての災害復興支援は、今後ますます重要になると考えられます。
参考:提言「首都直下地震にいかに備えるか」|(社)日本経済団体連合会(PDF)
また、近年は「共助」だけでなく、企業自身の被災 にもスポットがあてられるようになりました。企業自身の被災には社員の安全を守るという側面と、企業運営を守っていくという側面があります。社員の安全を守ることは企業責任として当然必要ですが、それに加えて、被災時にいち早く企業運営を復旧できるように備えておくことで、被災時でも一般の消費者向けに商品やサービスを提供できるため、社会全体の復興速度を上げることができます。
社員の防災意識を向上させる重要性は
すでに防災体制の構築や施策を準備しているという企業もあることでしょう。しかし、社員の防災意識を高めることで、次のように体制や施策の効果を底上げできます。
1.より多くの「自助」「共助」につながる
社員の防災意識を高めることによって、災害時は自身の命を守る、安全を確保する、といった行動を主体的、かつ適切にとれるようになります。また社員が家族とも高い防災意識を共有することで、社員の家族も同じように自助を適切に行いやすくなります。
社員や社員の家族も含む「自助」がしっかりと行えれば、その分「共助」に意識を向けることができます。自分の安全が保たれていなかったり、家族の安否確認ができなかったりする状況では、共助にまで目を向けることはできないからです。防災意識を高めて日頃から災害に備えることで、最終的に地域の被害を抑えることができるでしょう。
2.効果的な災害対策が実施できる
例えば備蓄が準備してあったとしても、どんなものがどの程度あるか把握していなければ配分に偏りがでてしまいます。また仮に、安否確認のマニュアルを用意してあったとしても、担当者が他の対応に追われていては活用に至りません。普段から社員の防災意識が高ければ、いざというときのために準備していた備蓄や対策を生かせるでしょう。
また、災害意識を持っておくことでBCP (※)対策もより実践的で効果の高いものを立案できると考えられます。BCP対策が生きてくれは、業務への打撃も最小限に抑えられます。
このように社員の防災意識が高ければ、社員・事業ともに被害を抑え、早急に復興へと向かうことができます。被害を抑え、速やかな復興を実現するためには最低限の事業基盤が確保されていることと、マンパワーが不可欠です。事業基盤とマンパワーの両輪がそろっていれば、復興までの短くはない道のりを相乗効果で乗り切っていけるでしょう。
3.地域に貢献しやすくなる
防災では「自助」「共助」「公助」の考えが重要ですので、防災意識が高ければ「共助(地域貢献)」への視点も持ち合わせていると考えられます。共助には自治体・地域産業と連携しての物資調達や情報収集、施設の開放などが多様な試みが挙げられます。そのため、被災時にいきなりこれらの役割を果たそうとしてもうまくいきません。やはり、日頃から地域の特性を理解する、連携を意識していくなど社員の防災意識を高めておくことが重要といえます。
社員の防災意識を向上させる方法は?
社員の防災意識を向上させるためには、社内で、防災に関する取り組みを積極的に行っていくことが重要です。具体的には、次のような施策があります。
研修の充実
全社員向けの研修制度を構築します。ポイントは、社員の役割に応じた研修を行うことです。災害時に身を守る方法のように、災害に関する基本知識は全社員共通で問題ありません。しかし、災害時に全社員がそれぞれ的確に責任を果たすには、階級や部署ごとの対応が必要です。経営層から主導して行うことで、実践的な研修を準備しましょう。
人材の育成
防災対策を立案できる人材や、災害時の復興を指揮できる人材の育成が望まれます。防災対策を立案し、社内に浸透できれば社内全体の防災意識向上に寄与しますし、災害時に復興の見通しを示せる人材がいれば、多くの人に希望を与えることができると考えられます。これらの人材は専門人材となりますので、中長期的な視野で育成していきましょう。
社内の防災体制を構築と周知
災害時は迅速に災害対策本部の立ち上げ、指揮命令系統を確立したうえで迅速な対応が求められます。事前に防災体制を構築しておくこととともに、体制内容を周知しておきます。なお、災害時の社員の「帰宅制限(自社での待機)」や「出社要請」については居住地の被災状況や家族構成など、個別の事情に配慮することが求められます。個別の事情に配慮することで、個々の社員が置かれた状況に応じて防災対応することが期待できます。
自治体・地域との防災協定の締結
救助救急、避難収容、物資調達供給などが考えられます。自治体や市域と連携することで、自社の業種・強みに応じた対応ができるでしょう。また、連携を進めることで、いざというときに自社の孤立を防止できます。何をどう地域に貢献すべきか迷う場合は、地域の防災訓練に参加する方法があります。実際に地域と触れ合うことで参加社員の意識変容と 連携強化が期待できます。
社内・取引先等との防災訓練の実施
社内防災訓練を行うことで、被災時の心構えができ、迅速な対応につながります。また自社だけでなく、取引先も含めた防災訓練はサプライチェーン全体で防災意識が上がるでしょう。取引先以外でも、地域の重要拠点(空港当局やホテル等)との連携強化も行えば、対策の幅が広がります。
参考:事業継続 啓発・訓練する|防災情報のページ – 内閣府
防災意識の向上におすすめの企画3選
、社員が自身・自社・地域社会の災害のリスクとその影響について深く理解し、それに対処するための行動を自発的に起こすことだと考えられます。そのための方法として、前章で社内研修や防災訓練の実施を挙げました。
本来、社内研修や防災訓練は、災害発生時に社員が社内・社外において適切に行動するための基本知識を身につけることができる重要な活動です。しかし、参加すること自体が目的になってしまうと、参加したことに満足してしまい、自発的な行動を促すまでには至らないかもしれません。自発的な行動をとれるように防災意識を高めるためには、より自発的に参加したくなるような企画を取り入れていくことが重要ではないでしょうか。
ここでは、防災を楽しく学べる企画を紹介します。
1. 防災運動会
防災知識を取り入れた新しい防災運動会です。「防災借り物競走」「防災障害物リレー」などの種目があるほか、昼食に「非常食体験会」を盛り込むことも可能です。社内のイベントとして活用でき、次のような企業におすすめです。
- 座学ではなく、身体を使う防災イベントを開催したい
- 社員に楽しんでもらいながら防災意識を高めたい
- 地域特性も含めたり家族での被災を想定したりと、カスタマイズできる防災イベントを開催したい
2. 防災謎解き
謎解きを通して防災を学べる、新しい防災アクティビティです。防災に関連した「謎解き」ストーリーとすることで、防災に興味を持つきっかけにもつながります。実施時間の延長、もしくは短縮が柔軟に対応できるので、研修内容に合わせた開催が可能です。
次のような企業におすすめです。
- 役割分担や協力が促されるような防災アクティビティを探している
- 幅広い年代が楽しめるイベントを開催したい
- オンライン・オフラインどちらでも対応できるイベントがいい
3. 防災コンセンサスゲーム
コンセンサスゲームとは「合意形成研修」とも呼ばれ、与えられたストーリーとお題に沿って話し合いをしながらメンバーとの意見一致(合意形成)を目指すものです。ここで紹介するのは災害時の対応をテーマとしたストーリーのコンセンサスゲームで、物語を通じ帰宅困難時の考え方や災害発災時の対応を学びます 。1チームのメンバーは数人ですが、チーム数を増やすことで多くの社員が参加可能です。
- 社員が防災に触れる、学べる研修を探している
- 防災時の対応を自律的に考え、かつチームの協力体制を強化できる訓練がしたい
- 多くの社員が参加できる研修を探している
まとめ
災害発生時に被害を抑え、最短時間で復興を目指すためには、平素から高い災害意識を持つことが必要です。企業として施策を行った場合、効果が望める一方で、形式的な施策となってしまう懸念もあります。そこで、通常施策をしっかりと準備することと併用して、自発的な行動につながりやすい、より興味を引ける施策を取り入れていくことをおすすめします。
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この記事を書いた人
SDGsコンパス編集部
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