社会

防災訓練とは?必要な理由や訓練内容を紹介

自然災害が多く発生する日本において、防災訓練は不可欠な活動です。特に、さまざまな人々が暮らしている地域自治体や、多くの人が活動をしている学校や企業では、防災訓練への取り組みの有無が災害時の被害軽減に大きく役立ちます。

大規模な災害発生後は、さまざまなメディアが毎日のように災害状況を報道することもあり、人々の防災意識は高まるでしょう。しかし、時間の経過とともに、災害の被害状況を目にする機会が減ることで、防災への意識は薄れてしまいがちです。一人ひとりの防災意識の向上を図るには、定期的に防災を意識できるような防災訓練を行っていく必要があるでしょう。

本記事では、防災訓練が必要とされている理由や具体的な防災訓練の内容について紹介します

 

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なぜ防災訓練が必要なのか

日本では、地理や地形・気象的に「地震」「津波」「台風」などの自然災害が多く発生するため、被害を減らすための取り組みを行っていく必要があります。行政では、防災に向けたさまざまな取り組み(公助)を行っていますが、国による対策だけでは被害を減らすことは困難です。国民一人ひとりが、防災への取り組みに興味を持ち、学んでいくことが非常に大切といえるでしょう

災害による被害を軽減するためには、自身が災害から逃れるための知識(自助)と、他人を助けるための知識やスキル(共助)の2つが不可欠です。自身と周りの人々を守る知識やスキルを獲得するためには、事前の備えである防災訓練などに参加する必要があります。日本では今後も多くの自然災害が発生すると考えられているため、誰もが被災者になる可能性があることを忘れずに、防災への行動を起こすことが大切です。

日本における防災意識の現状

近年では、東日本大震災などの大規模な自然災害によって、大きな被害が発生しており、人々の防災意識は高まりつつあります。しかし、まだまだ防災への対策は十分に広がっておらず、災害を自分ごととして捉えられていないなどの課題を抱えていることも事実です。2022年にセコム株式会社が、全国の20歳以上の男女500人を対象に実施した「防災に関する意識調査」では、約9割が「今後、災害の増加や被害が拡大する可能性がある」と回答しているにも関わらず、実際に対策を行っている人は47%にとどまっており、防災意識の低さが見て取れます。

引用:報道資料 2022年度版 – 8月24日 – セキュリティ(防犯・警備)のセコム (secom.co.jp)

個人の防災意識が低い状態では、自治体や企業、学校などの組織が防災への対策マニュアルを作成していたとしても、個々が十分な対策をとるとは限りません。より多くの人々が防災への取り組みを理解してもらうためには、防災訓練への参加を進めていく必要があるでしょう。

参考:6 課題及び今後への期待 : 防災情報のページ – 内閣府 (bousai.go.jp)

防災訓練の種類と内容

防災訓練とは、災害時に適切な行動を取るための事前準備活動です。地震や台風、津波など自然災害にはさまざまな種類があり、災害ごとに適切な行動を取らなければなりません。そのため、防災訓練には、あらゆるケースを想定した訓練内容が用意されています。多くの方が学校などで経験したことのある避難訓練も、防災訓練のひとつです。災害による被害を軽減するためには、より多くの防災訓練に参加し、知識やスキルを身に付ける必要があります。ここでは、防災訓練の種類や内容について見ていきましょう。

参考:名古屋市|自主防災訓練メニュー(PDF)

安否確認訓練

助けを必要としている人を把握し、速やかに救出を行うための訓練です。災害時には、周辺の人々の安否確認をいち早く行うことが、被害軽減に大きく関わります。訓練では「自身の安全確保」を行った後、「周囲の人々や建物の状況確認」、「責任者への報告」を行います。

自治体などで行う場合は、事前に住民に告知しておく必要がありますが、企業などでは抜き打ちでの実施も有効です。訓練後は、参加者が事前に決められているプラン通りに行動できたかなどをしっかりと確認し、プラン内容に問題があれば修正を行いましょう。

現地本部運営訓練

災害時には、「情報の集約」や「活動の優先度」を判断する災害本部を設置しなければなりません。現地本部運営訓練とは、「災害本部」を設置するまでの手順確認や本部活動の実践を行う訓練です。現地本部運営訓練を行うためには、事前に「運営場所の決定」「責任者の選出」「機材の準備」を行っておく必要があります。

災害時は、状況が常に変化するため、全体への指示を行う「災害本部」の役割は非常に重要です。事前にさまざまなシーンを想定した本部訓練を行っておきましょう。

初期消火訓練

初期消火訓練とは、消防隊が到着するまでの間に、消火器やバケツリレーなどによって、火災の拡大を抑えるための訓練です。消防署の持つタンク車は有限であり、多くの場所で火災が発生した場合は、対応しきれない可能性があります。そのため、火が広がっていない初期段階で消火できれば、被害が大きく軽減されるでしょう。

いざという時に慌てないためにも、訓練で消火器の使い方などをしっかりと理解しておくことが大切です。

救出救助訓練

阪神淡路大震災の際には、消防隊などによる救出ではなく、自力(自助)や周囲の人々の力(共助)によって、多くの方が助かりました。災害による被害を軽減するためには、一人ひとりが救出救助に関する知識や技術を学んでいることが大切です。

救出訓練では、さまざまな資器材を活用した「負傷者の救出方法」や「搬送方法」などを学ぶことができます。事前に救出救助についてしっかりと学び、自身と周囲の人々を助けるための力を身に付けましょう。

応急救命訓練

応急救命訓練とは、心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)の使い方、怪我人の搬送方法などを学ぶための訓練です。心肺蘇生法やAEDなどは、知識がなければ使うことができません。多くの命を助けるためには、一人ひとりが対応方法を理解しておくことが不可欠です。

救命講習は、周辺の消防署だけでなく、インターネットで受講することもできます。応急救命訓練などに参加された経験がない方や、より詳しい知識を身に付けたい方は、ぜひ消防本部や周辺の消防署にお問い合わせください。

避難誘導訓練

大規模な災害時は、避難経路や避難場所の一部が使えなくなる可能性があるため、災害に備えて多くの選択肢を考えておく必要があります。避難誘導訓練では、複数の避難経路や避難場所を事前に設定して実際に移動するため、災害時のリスクを大幅に軽減できます。訓練時には、避難経路の危険個所などの確認を直接行い、情報を共有しておきましょう。また、車いすでの避難体験などを行うことで、災害時要配慮者を考慮した避難経路の確認が行えます。

防災図上訓練

「避難時の危険箇所」や「災害時に役立つ施設」「避難経路」などを、図上で確認するための訓練が「防災図上訓練」です。通常の図上訓練の他にも、実際に起こり得る可能性が高い災害などを想定し、災害発生時の対応などを図上でシミュレーションする、応用タイプの図上訓練もあるため、より高度な防災訓練を体験することもできます。

また、図上訓練は、実際の移動や器材使用を行わないため手軽に参加できます。防災訓練に興味を持たれた方は、まず図上訓練へ参加してみると良いでしょう。

防災訓練のポイント

形式的な防災訓練の内容やシナリオでは、訓練参加者の防災意識を高めることが難しい場合があります。参加する側が「当事者意識」を持って取り組めるような訓練にするためには、いくつかのポイントを理解しておく必要があるでしょう。

ここでは、より効率的な防災訓練を行うために抑えておくべきポイントを紹介します。主催者側の方は、訓練にこれらのポイントを取り入れ、より意味のある防災訓練を実施しましょう。また、参加者側の方は、訓練への参加前に、ポイントを押さえた防災訓練であるかを確認しておきましょう。

明確な目的を定める

参加者が、ただ決められたプラン通りに動くだけでなく、「当事者意識」を持ち、積極的に訓練に取り組むためには、訓練自体にはっきりとした目標を定めておく必要があります。訓練前に「プラン通りで対処できるかの確認」「よりよい防災対策の発見」などの訓練の目的を設定し、参加者に伝えておくことで、より効果の高い防災訓練になるでしょう。

具体的な災害状況の設定

防災訓練の質を上げるためには、具体的な災害状況の設定が不可欠です。曖昧な内容では、参加者も当事者意識を持って、訓練に取り組むことができません。特に、建物やライフライン・交通機関などの被害状況は、より具体的に設定しておきましょう。過去に災害を体験した方がいれば、当時の具体的な状況を確認し、訓練に取り入れることで、より具体性のある防災訓練が実現できます。また、実際の音声アナウンスやアクシデントの追加など、リアリティを高めるための手段を取り入れることも非常に有効です。

シナリオを変える

毎回同じシナリオで防災訓練を行えば、参加者は積極的に訓練に取り組みづらくなります。訓練ごとに、被害レベルや被災場所を変更することで、より効果のある防災訓練が実現します。また、自治体単体や企業単体で訓練を行うだけでなく、合同防災訓練の実施なども非常に効果的でしょう。地域と企業の繋がりができることで、助け合い(共助)が行いやすい環境づくりに繋がります。

防災訓練への参加者を増やすアイデア

企業や自治体、学校などで防災訓練を行う際には、参加者に当事者意識を持ってもらいづらいという課題が存在します。このような課題が発生する原因は、防災訓練自体の内容が堅いものであり、参加者がとっつきにくいといった点にあります。

この問題を解決するためには、人々の防災訓練へのイメージを変えていく必要があるでしょう。また、人々の防災意識を向上させるためには、防災に興味がある人のみが防災訓練に参加するのではなく、すべての人が積極的に参加できる訓練にしていくことが重要です。

そこで、より多くの人に防災への関心を持ってもらうための取り組みが、遊びの中で防災知識を学べるイベント形式訓練の実施です。ここでは「遊び」の要素を取り入れた防災イベントの内容や実施事例を紹介します。

株式会社IKUSA「あそび防災プロジェクト」

「遊び=体験×楽しさ」をテーマに、さまざまなイベントを実施している株式会社IKUSAでは、「防災を知らない人に届く『楽しい』防災」をコンセプトとした防災訓練「あそび防災プロジェクト」を提供しています。

一般的に防災には、「事前準備」「災害発生」「発災直後」「避難生活」「生活再建」という5つのフェーズが存在すると言われています。しかし、従来の防災訓練では、これらのフェーズ内のひとつを体験または学習するため、多くの知識を得ることができません。そこで、「あそび防災プロジェクト」では、5つのフェーズすべてを体験できるプログラムを作成し、より防災への理解を深める防災訓練を実現しました。また、さまざまなイベントを手掛けた経験を基に、地域やターゲットに合わせた「地産地防」のイベントを実施できる点も、「あそび防災プロジェクト」の大きな特徴です。自治体や企業、ファミリー向けなど、あらゆるユーザー層に合わせたイベント設計が可能なため、さまざまなシーンで、楽しみながら防災訓練が行えます。実際に「あそび防災プロジェクト」の事例をいくつか紹介しますので、ぜひ今後の防災訓練の参考にしてみてください。

参考:あそび防災プロジェクト|あそびの力で、防災を変える (asobi-bosai.com)

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石川シングルマザーの会「防災ヒーロー入団試験」

石川県を拠点に活動している、ひとり親家庭を支援する団体「石川シングルマザーの会」では、親子で楽しめる防災訓練を目的に、地域の防災施設を活用した「防災ヒーロー入団試験」を実施しました。「防災ヒーロー入団試験」は、クイズラリーや消火器体験、新聞紙スリッパの作成など複数のワークショップが体験できるイベント形式の防災訓練です。当日は、「防災クイズラリー」や「防災リュック間違い探し」、「スモーキー迷路」などの体験型防災訓練を行い、たくさんの親子が防災について楽しく学びました。

参考:石川シングルマザーの会様の防災イベントで防災ヒーロー入団試験をご利用いただきました! | あそび防災プロジェクト (asobi-bosai.com)

日清オイリオ水島工場「おうち防災運動会」

日清オイリオ水島工場では、「家族で参加でき、学びがあるオンラインイベント」を目的に「おうち防災運動会」を実施しました。運動会の競技に見立て、5つの防災フェーズがオフラインで学べる「おうち防災運動会」は、参加者同士で積極的にコミュニケーションが図れるため、防災について学ぶだけでなく、交流の場としても活用可能です。イベント当日は、5つのフェーズに合わせた、下記のプログラムが行われました。

  • 家にある非常食を見つけ出し、その消費期限の長さを競う「おうち探検!非常食捜索トライアル」
  • 防災の観点で間違いを指摘する「防災間違い探しオンライン」
  • 災害時におけるそのアイテムの活用方法を考える「防災借り物競争」

参加者からは「子供と参加できてよかった!」「奥が深くて難しかった……」「非常食買いました!」などの声があり、楽しく防災を学びながら、家族間のコミュニケーションもとれる、有意義なイベントとなりました。

参考:防災をおうちで学べる運動会!?日清オイリオ水島工場様「おうち防災運動会」開催レポート | あそび防災プロジェクト (asobi-bosai.com)

 

SDGs研修・体験型SDGsイベント

SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)

 

概要

  • SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
  • 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
  • オプションとして「SDGsマッピング」を行うことで学びの定着・自分ごと化

特徴

  • 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
  • チームで戦略を練り様々な可能性を話し合う必要があるため、深いチームビルディングに繋がる
  • 様々な選択肢の中から取捨選択して最適解を導く考え方を身につけることができる

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【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)

概要

  • 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
  • 子どもが楽しみながらも本気で学べる、複数の職業体験を実施
  • 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能

特徴

  • あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
  • 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

【親子・子ども向け地域イベント】SDGsアドベンチャー(商業施設・自治体向け)

概要

  • 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
  • 子どもが本気で楽しめる複数の体験型アクティビティを実施
  • すべてクリアした方にSDGs缶バッチをプレゼント

特徴

  • ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
  • 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

まとめ

防災訓練には、さまざまな種類があるため、シチュエーションに合った訓練を行う必要があります。まずは、周辺で起きやすい災害の確認や防災状況を知ることで、行うべき防災訓練の種類が見えてくるでしょう。また、防災訓練自体を行うことが目的となってしまい、訓練が形骸化しているケースがあります。そのような訓練では参加者の防災意識を向上させることができません。防災訓練は、参加者が「当事者意識」を持てる内容であるかどうかが非常に重要です。

多くの人々が防災意識を持つためには、防災に興味がない人でも気軽に参加できるようなイベント形式の防災訓練を開催するといった対応が必要です。より多くの人に参加してもらえる環境づくりが、日本全体の防災へと繋がるでしょう。

 

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