社会

ダイバーシティとは?意味や必要性、企業の取り組み事例を紹介

「ダイバーシティ」という言葉を聞いたことはありますか? 「多様性」を表す言葉で、ビジネスシーンや中学生・高校生の教育の現場など、あらゆる場面で重要なキーワードとして注目されています。また、政府も企業に対してダイバーシティの推進に取り組んでいます。

ダイバーシティとは何か、なぜ今求められているのかを、わかりやすく解説します。また、経済産業省や厚生労働省の取り組みと、企業の事例も、あわせて紹介します。

 

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「ダイバーシティ」の意味

ダイバーシティ(diversity)は、「多様性」の意味を持つ英単語です。この言葉は、主に2つの分野において、重要なキーワードとしてよく用いられています。

まずひとつは、「自然環境」の分野です。20世紀後半、地球環境に対する危機感から、「生物的な(biological)」と「多様性(diversity)」を組み合わせた、「生物多様性=Biodiversity」という言葉が生まれました。人間を含む地球上のすべての生命はつながっており、多様な生態系のバランスが保たれているからこそ、地球からの恩恵を受けることができるということを示しています。

そしてもうひとつは、「ビジネス」の分野です。1965年、米国雇用機会均等委員会(EEOC)が設置され、「ダイバーシティとは、ジェンダー、人種・民族、年齢における違いのことを指す」と明文化されました。1980年代に入ると、企業の競争力を高めるために、多様な人材を活用しようという「ダイバーシティ・マネジメント」の動きが、アメリカの大手企業を中心に見られるようになっていきます。

現在、日本において特に注目を集めているのは、ビジネス分野におけるダイバーシティです。

参照:「ダイバーシティ」は、なぜSDGs実現のキーワードになるのか | Oriijin(オリイジン) | ダイヤモンド・オンライン

参照:いま、企業に必要なこと ジェンダー・ダイバーシティ・マネジメント|Web限定コラム男女共同参画ゼミ|フレンテみえ|三重県総合文化センター

参照:生物多様性とは?その重要性と保全について |WWFジャパン

 

「ダイバーシティ&インクルージョン」とは

ダイバーシティという言葉とセットで用いられることが多いのが、「包含、包括」などの意味をもつ「インクルージョン(inclusion)」です。まとめて「ダイバーシティ&インクルージョン」とも言われています。

多様な人材をただ集めるだけでなく、それぞれが互いを認め、受け入れることが大切であるという考え方です。

上の図は、「exclusion=排他」、「segregation=分化」、「integration=同化」、「inclusion =包含、包括 」「unification=統一」のそれぞれの状態を表したものです。

輪の中が「統一」され、多様性を求められていない状態が「排他」、多様性は求めているものの、輪の中には受け入れていない状態が「分化」です。

輪の中に多様性があるものの、その個性や独自の能力が発揮できない、または求められていない状態が「同化」。まさしく多様な人材を集めただけの、単なる「ダイバーシティ」の状態です。

「インクルージョン」とは、多様性をそれぞれが受け入れ、自分の居場所を実感できる状態のことを言います。

 

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ダイバーシティの種類

ダイバーシティは、大きく2種類、「デモグラフィー型」と「タスク型」があります。

「デモグラフィー型」は、目に見えやすい部分の多様性のことです。例えば、性別、年齢、国や人種、障害の有無などが挙げられます。

逆に、目に見えない部分の多様性が、「タスク型」です。例えば、能力、知識、キャリア、価値観などです。

さらに、ダイバーシティとは多様なものの見方、“異見”を活用することであるという考え方を、「オピニオン・ダイバーシティ」と言います。

参照:政治経済:オピニオン:教育×WASEDA ONLINE

参照:中小企業のためのダイバーシティ推進ガイドブックー東京商工会議所(PDF)

ダイバーシティ経営とは?

「ダイバーシティ経営」とは、1980年代以降のアメリカで広がった「ダイバーシティ・マネジメント(多様な人材を活用すること)」を、経営戦略に取り入れることです。

また、経済産業省は、以下のように定義しています。

 “多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営”(多様な個を活かす経営へ‐経済産業省(PDF)より引用)

ダイバーシティ経営とSDGsの関係

ダイバーシティ経営が注目されている理由のひとつに、SDGsがあります。

SDGsSustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、20159月の国連サミットで、加盟国の全会一致で採択された国際目標です。貧困・飢餓やジェンダー格差、気候変動など、あらゆる課題に対する17の目標と169のターゲットが設定されています。2030年までの達成を目指し、世界中で取り組みが広がっています。

SDGsは、基本理念に「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを掲げています。しかし現状、日本においても、国や人種の違い、性別、障害があるなどの理由から、社会の隅に追いやられてしまっている人々が存在しています。多様な人材を受け入れ、それぞれの個性や能力を最大限に活用しようとするダイバーシティ経営は、職場において、まさしくSDGsの「誰一人取り残さない」という考え方を体現するものであると言えるでしょう。

また、目標別に見ると、目標5「ジェンダー平等を達成しよう」、目標8「働きがいも 経済成長も」、目標10「不平等をなくそう」に、直接貢献することにもつながると考えられます。

参照:SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

参照:「主流化に向かうSDGsビジネス」SDGsへの取り組み状況に関する実態調査報告書と主要メッセージ‐IGES(PDF)

ダイバーシティ経営がビジネスにもたらす効果

 

ビジネスシーンにおけるダイバーシティの必要性は、時代とともに増してきています。今後も企業が発展を続けていくために、ダイバーシティが不可欠と言われているのはなぜなのでしょうか。現在の日本が抱えている課題とともに、その理由を解説します。

人材獲得力の強化

2013年~2019年まで、労働人口(15歳以上の就業者数+完全失業者数)は増加を続けていました。しかし年齢別に見てみると、プラスの値となっているのは45歳以上で、若い世代、特に働き盛りの2544歳までは、毎年減少が続いている状況です。

このように、少子高齢化に伴い、人材の確保競争が厳しさを増しています。これまでの採用基準を改定したり、間口を広げたりすることで、人材獲得力の強化につながります。

18回世界CEO意識調査によると、ダイバーシティ経営を実施する企業の経営者のおよそ9割が、多様性の受容によって得られた恩恵として「人材の獲得」を挙げています。

参照:労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)平均結果の要約,概要,統計表等

生産性向上や職場環境の改善

ダイバーシティの「多様性」には、「働き方」も含まれます。多様な人材が能力を発揮できるように働き方を改革し、ライフ・ワーク・バランスを実現することは、生産性の向上、社員のモチベーションアップや、職場環境の改善につながることが期待されます。

逆に、多様な人材を採用しただけで、活躍に向けた取り組みを行っていない企業は、むしろ生産性が低くなってしまう可能性もあると言われています。

グローバル化への対応

多様な価値観、知識や経験を持ち寄ることで、これまでになかった発想から、新たなビジネスが生まれる可能性もあります。これを、「プロダクト・イノベーション」といいます。

日本はこれまで、細かく正確な技術や、生産効率の向上(プロセス・イノベーション)を強みとしてきました。しかし近年、欧米では、プロダクト・イノベーションを重視する傾向が見られます。東アジア諸国等の技術レベルも高くなり、グローバル市場が急速に拡大しているためです。

グローバル化に対応していくためには、既存ビジネスの生産性向上だけでなく、新たなイノベーションを生み出す多様な力が求められるのです。

参照:第3章 我が国の現状と課題:文部科学省

働き手のニーズへの対応

経済産業省の資料によると、ミレニアル世代は、企業の「多様性や受容性の方針」を、就職先を選ぶ際の判断材料としているようです。特に女性は、この部分をより重視する傾向にあります。

報酬、キャリアアップ、ワーク・ライフ・バランス、やりがいなど、働く人が企業に求めるものはさまざまです。多様な人材がいきいきと働ける職場環境づくりは、優秀な人材の確保、および定着率の向上につながります。

ダイバーシティ経営推進のための政府の取り組み

「ダイバーシティの必要性は分かったけれど、なにから手をつけてよいのかわからない」。そう感じている人も、多いのではないでしょうか。経済産業省と厚生労働省は、そんな企業の手助けとなるような、さまざまな推進事業に取り組んでいます。

【経済産業省】ダイバーシティ経営を支援するツールの提供

経済産業省による、ダイバーシティ経営実践のための支援ツールを紹介します。

リーフレット(~3拍子で取り組む~多様な人材の活躍を実現するために)

中堅・中小企業を主な対象としたリーフレットで、ダイバーシティ経営とは何か、取り組むことのメリット、ダイバーシティ経営のポイントとなる3拍子(経営者の取組・人事管理制度の整備・現場管理職の取組)などが、簡潔にまとめられています。

ダイバーシティー経営診断ツール

上記リーフレットで紹介されているダイバーシティ経営の3拍子が、現在どのくらい整備されているのか、今後は何に取り組んでいくべきなのかを、見える化することができる診断ツールです。

参照:リーフレット(~3拍子で取り組む~多様な人材の活躍を実現するために)-経済産業省(PDF)

参照:ダイバーシティ経営診断の手引き‐経済産業省(PDF)

参照:ダイバーシティ経営診断シート‐経済産業省(PDF)

【経済産業省】ダイバーシティ2.0行動ガイドライン

ダイバーシティ経営は、人材確保の面でも重要性を増してきており、加えて国内外の投資家からも注目されるようになってきました。形式的・表面的なダイバーシティではなく、持続的に成果を生み出せるダイバーシティへとステージアップをするために作成されたものが、「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」です。

このガイドラインでは、ダイバーシティ経営を実践するための7つのアクションが示されています。

  • 経営戦略へ組み込み
  • 推進体制の構築
  • ガバナンスの改革
  • 全社的な環境・ルールの整備
  • 管理職の行動・意識改革
  • 従業員の行動・意識改革
  • 労働市場・資本市場への情報開示と対話

①~③が経営陣の取り組み、④~⑥現場の取り組み、⑦は外部コミュニケーションです。アクションごとに、具体的な取り組み事例も紹介されています。

参照:ダイバーシティ2.0行動ガイドライン改訂版-経済産業省(PDF)

参照:ダイバーシティ2.0の更なる深化に向けてー経済産業省(PDF)

【経済産業省】新・ダイバーシティ経営企業100選/100選プライム

経済産業省は、ダイバーシティ経営に取り組み、価値創造につなげている企業を、「新・ダイバーシティ経営企業100選」・「100選プライム」として表彰する事業を実施してきました。

平成24年から始まった「新・ダイバーシティ経営企業100選」には、令和2年度までの9年間で、282社が選定されました。さらに平成29年、「ダイバーシティ2.0」(※中長期的に企業価値を生み出し続ける経営上の取り組み)を実施する企業を「100選プライム」として表彰する取り組みをスタート。令和2年度までの各年において、2社ずつ選定されてきました。

この事業は令和2年度で終了となりましたが、これまでに表彰された企業の事例は、ホームページから見ることができます。

参照:新・ダイバーシティ経営企業100選|経済産業省

【厚生労働省】性的マイノリティに関する取り組みの推進

厚生労働省が実施するダイバーシティ推進事業は、主に性的マイノリティに関するものです。

性的マイノリティの当事者たちは、さまざまな場面で生きづらさを感じています。しかし、自身の性的指向や性自認を明かしていないことも多く、周囲が困りごとに気づきにくいために、取り組みがなかなか進まないというのが現状です。

そこで厚生労働省は、性的マイノリティに関する現状や企業の取り組みを調査し、「多様な人材が活躍できる職場環境に関する企業の事例集~性的マイノリティに関する取組事例~」を作成しました。性的マイノリティに関する基本的な用語の解説から、当事者たちがどのようなことに困っているのか、自治体や企業の取り組み事例などが紹介されています。厚生労働省のホームページには、この事例集とあわせて、より詳細な報告書も掲載されています。

参照:職場におけるダイバーシティ推進事業について|厚生労働省

ダイバーシティ経営に向けて整備したい制度

ダイバーシティ経営に取り組むにあたって、重要なポイントのひとつが、「働き方改革」です。従業員一人ひとりのライフ・ワーク・バランスの実現を手助けするために、社内の制度や規約を整備する必要があります。公的な制度や法律は頻繁に改正されますので、経営層や人事・労務の担当者は、しっかりと最新の内容を把握し、従業員をサポートしなければなりません。

ダイバーシティ経営に向けて整備したい制度を、いくつか紹介します。

産休・育休制度

「産休(産前休業・産後休業)」とは、出産予定日の6週間前(双子以上なら14週間前)から出産日の翌日から8週間取得できるものです。また、「育休(育児休業)」とは、子どもが1歳を迎えるまでの間に取得できるものです。「産休」は、パートや派遣、契約社員など、だれでも取得することができますが、「産休」は、条件を満たす労働者(男女)が対象となります。

令和44月からは、法改正により、育児休業を取得しやすい環境を整備することや、妊娠・出産の申出をした労働者に対して制度等を周知し、意向を確認することが義務となります。安心して育休を取得してもらうためには、男性でも「育休を取得したい」と言い出しやすい雰囲気づくりはもちろんですが、復帰後の支援が欠かせないポイントとなります。

そのために活用をおすすめしたいのが、厚生労働省が作成した『「育休復帰支援プラン」策定マニュアル』です。制度の導入からプラン策定までを3つのステップに分け、支援するポイントがわかりやすく解説されています。自社のみでプランを策定することが難しい場合は、「仕事と家庭の両立支援プランナー」から、無料でアドバイスを受けることも可能です。育児・介護支援プラン導入支援事業のホームページには、プランナーの支援事例も多数掲載されています。

参照:妊娠から産休、育休、復職後の流れー厚生労働省(PDF)

参照:令和3年改正法の概要‐厚生労働省(PDF)

参照:育休復帰支援プラン策定のご案内 -厚生労働省

参照:育児支援プラン導入支援 | 株式会社パソナ

フレックスタイム制

「フレックスタイム制」とは、日々の始業・終業時刻や労働時間を、労働者が自ら決めて働くことができる制度です。

定時に縛られないことで、限られた時間を日々の都合に合わせて自由に配分することができるので、ライフ・ワーク・バランスがとりやすくなるというメリットがあります。具体的には、

  • 通勤ラッシュを避けることができる
  • 家事や子育ての分担がしやすくなる
  • 資格試験の勉強時間を確保しやすくなる
  • 主に平日しか開いていない役所や銀行、病院にも行きやすくなる

などの環境整備が可能になります。

フレックスタイム制は、24時間365日いつでも自由というわけではなく、フレキシブルタイム(出社・退社が可能な時間)や、コアタイム(必ず勤務しなければならない時間)などの、ある程度の縛りを設けることができます(必須ではありません)。また、導入の際には、就業規則等や労使協定の改定が必要になるほか、労働時間の扱いも通常とは異なりますので、どのように導入すれば企業にとってメリットとなるか、まずは経営層がしっかりと制度を理解し、考える必要があるでしょう。

定時に縛られない働き方として、フレックスタイム制のほかにも、3歳未満の子どもを持つ労働者をサポートする「短時間勤務制度」や、特殊で専門的な分野に限られますが「裁量労働制」などもあります。

参照:フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引きー厚生労働省(PDF)

参照:短時間勤務制度(所定労働時間の短縮等の措置)についてー厚生労働省(PDF)

参照:裁量労働制の概要 |厚生労働省

テレワーク(リモートワーク)制度

テレワーク(リモートワーク)とは、オフィスに出社せずに、ICTを活用して時間や場所を選ばず仕事をすることです。

テレワークも、先述したフレックスタイム制同様、ワーク・ライフ・バランスがとりやすいことが、メリットのひとつとして挙げられます。ほかにも、テレワークなら以下のようなことも可能となります。

  • 通勤が困難な障がい者、高齢者とも一緒に仕事をすることができる
  • 故郷や地方に移住しても、同じ企業で働き続けることができる

新型コロナウイルス感染症の影響で、テレワークの需要が以前よりも拡大し、この機会に地方に移住する人も増えています。テレワークは地方創生の効果も期待できるとして、移住する人を対象とした助成金制度を設けている自治体もあります。

デメリットとしては、「プライベートとの区別がつかない」「コミュニケーション不足が心配」「できる仕事に限界がある」などが挙げられていますが、コロナ終息後もリモートワークを継続したいという意見は多く、すでにオフィス面積を縮小させ、テレワークを「常態」とした企業や、原則テレワークとし、単身赴任を削減・解除するなどの動きも見られます。

参照:新型コロナウイルス感染拡大とテレワーク|厚生労働省(PDF)

参照:with/postコロナ時代の ダイバーシティ経営-経済産業省(PDF)

参照:日立市|ひたちテレワーク移住促進助成事業を紹介します。

定年の延長または廃止

高年齢者雇用安定法が改正され、令和341日から施行されています。働く意欲がある高齢者が、十分に活躍できる環境を整備することを目指した改正で、6570歳までの就業機会を確保するための「努力義務」が新設されました。これは「定年70歳」を義務付けるものではありませんが、定年の延長、または廃止する企業も出てくるでしょう。

現在、「定年後も働きたい」と希望する労働者に対し、多くの企業が「定年延長」ではなく「再雇用」という選択をしています。これは一体なぜなのでしょうか。

再雇用は、いったん「退職」をするので、企業は労働者に対して退職金を支払わなくてはなりません。しかし、その後は雇用形態が変わり、給与は退職前の68割程度となることが多く、全体で見たときに定年延長よりも人件費が抑えられるのです。

定年延長は、これまでの雇用形態を維持するために人件費はかかりますが、その分モチベーションや生産性の向上が期待できます。ダイバーシティ経営に取り組むにあたり、「定年」の検討は必要であると言えるでしょう。

参照:厚生労働省-高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~

参照:70歳定年も? 定年延長について知っておくべき10のこと (2ページ目):日経ビジネス電子版

ダイバーシティ経営 企業の事例

すでにダイバーシティ経営に取り組み、成果を上げている企業があります。その中から、「YKKグループ」、「ダイキン工業株式会社」の事例を紹介します。

YKKグループ

YKKグループは、ファスニング事業やAP事業を中心に、グローバルに事業を展開する企業です。創業者から受け継がれている「森林経営」の考え方に基づき、多様な人材が活躍できるダイバーシティ経営を実践しています。森林経営とは、「それぞれが得意とする能力を発揮し、一緒に前進する。全員が労働者であり、経営者でもある」という考え方です。

勤務制度の拡充

まだまだ男性の育休取得率が低い日本ですが、YKKグループでは、性別を問わず多くの社員が育休を取得しています。また、育休復帰後は、「時差勤務」、「短時間勤務」、「子育て看護休暇」などの制度が用意されています。社員一人ひとりが自律的に「ワーク」と「ライフ」をマネジメントできるよう、子育て支援のほかにも、テレワークやフレックスタイム勤務の推進など、勤務制度の拡充に取り組んでいます。

障がい者雇用

印刷事業を行う特例子会社のYKK六甲株式会社では、バリアフリー環境の整備、障がい者施設の取材訪問など、障がい者雇用や地域社会との交流に積極的に取り組んでいます。

大学と連携した人材育成

金沢大学と富山県立大学と連携して、次世代の女性技術者育成支援に取り組んでいます。

定年制の廃止

国内事業会社において、これまで65歳を上限としていた定年制を廃止し、従業員が6364歳の時点で、役割や仕事の内容、退職時期について話し合う新人事制度を、令和3年度より導入しました。

これらの取り組みが評価され、平成29年度に経済産業省の「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選定、平成30年には「プラチナくるみん(※)」の認定を取得しました。

※くるみんマーク・プラチナくるみんマーク とは

「子育てサポート企業」として厚生労働大臣から認定を受けた企業が、その証として認定マークを取得することができる制度です。「くるみんマーク」を取得するためには、次世代育成支援対策推進法に基づき一般事業主行動計画を策定し、その計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たさなければなりません。「プラチナくるみんマーク」は、「くるみんマーク」取得済みの企業に対し、より高い水準の取り組みを評価し、継続的な取り組みを推進するために、平成27年より新たに始まった認定制度です。

参照:労働慣行|ダイバーシティ:YKK株式会社

参照:事業紹介:YKK株式会社

参照:YKKグループ、21年度から定年制を廃止: 日本経済新聞

ダイキン工業株式会社

ダイキン工業は、家庭用エアコン「うるるとさらら」でも知られる空調総合メーカーです。創業以来「人を基軸におく経営」を理念とし、早くから多彩な人材を活かすための取り組みを実施してきました。

子育て支援

ダイキン工業株式会社では、育休からの早期復帰(生後6ヵ月未満)を図る社員を対象とした支援の強化に力を入れています。「短時間フレックス勤務」、「週4回までの在宅勤務」などの柔軟な勤務形態を用意しているほか、突発的なピンチにかかった費用を会社が補助する「育児支援カフェテリアプラン」の追加補助も設けられています。もちろん女性だけでなく、男性従業員に対しても、育休の取得・育児参画を促し、仕事と家庭の両立を支援しています。

女性活躍推進

上記のような子育て支援に加え、女性の活躍を推進するために、「女性管理職の育成の加速」、「男性管理職の意識改革」、「優秀な女性の積極採用」に取り組んでいます。かつては男性中心であった部門やプロジェクトへ積極的に女性を登用した結果、新規案件につながったケースもあり、確実に成果が現れてきています。

就業規則をLGBTに対応した内容へ改定

「法律婚」に加えて「事実婚(同性パートナーも含む)」も結婚として認めること、「戸籍上の性別」に加えて「性自認による性」も、その人の性別として認めることを、就業規則の付則に規定しました。ダイバーシティ経営先進企業経営者による講演会なども開催し、LGBT当事者を含むすべての人が活躍できるような全社的な環境づくりや、意識改革に取り組んでいます。

ほかにも、フレックスタイムや裁量労働、在宅勤務など、柔軟な勤務制度を導入し、ワーク・ライフ・バランスを重視した働き方を支援しています。このような取り組みが認められ、平成27年度の「新・ダイバーシティ経営企業100選」や、「なでしこ銘柄(※1)」にも選定されています。また、「えるぼし認定(※2)」も取得するなど、多方面から高い評価を得ています。

1 なでしこ銘柄 とは

経済産業省と東京証券取引所が共同で、女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として、それに準ずる企業を「準なでしこ」として選定しています。投資家の企業への投資を促進し、各社の取り組みを加速化していくことを目的に、平成24年度から実施されているものです。

2 えるぼし認定 とは

「女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良である」として、厚生労働大臣から認定を受けた企業が、その証として認定マークを取得することができる制度です。認定を受けるためには、女性活躍推進法に基づき、一般事業主行動計画の策定・届出を行う必要があり、目標の達成状況や満たしている基準の数により、4段階で評価されます。その最高位となるのが、「プラチナえるぼし」です。

参照:ダイキンのダイバーシティ|ダイキンについて|ダイキン工業株式会社

参照:平成27年度ダイバーシティ経営企業100選企業-経済産業省(PDF)

参照:女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」 (METI/経済産業省)

参照:えるぼし認定、プラチナえるぼし認定-厚生労働省(PDF)

 

SDGs研修・体験型SDGsイベント

SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)

 

概要

  • SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
  • 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
  • オプションとして「SDGsマッピング」を行うことで学びの定着・自分ごと化

特徴

  • 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
  • チームで戦略を練り様々な可能性を話し合う必要があるため、深いチームビルディングに繋がる
  • 様々な選択肢の中から取捨選択して最適解を導く考え方を身につけることができる

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)

概要

  • 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
  • 子どもが楽しみながらも本気で学べる、複数の職業体験を実施
  • 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能

特徴

  • あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
  • 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

【親子・子ども向け地域イベント】SDGsアドベンチャー(商業施設・自治体向け)

概要

  • 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
  • 子どもが本気で楽しめる複数の体験型アクティビティを実施
  • すべてクリアした方にSDGs缶バッチをプレゼント

特徴

  • ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
  • 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

まとめ

ダイバーシティを実践していくためには、組織全体の意識やこれまでの常識・制度を、大きく変えていかなければなりません。効果もすぐに目に見えて現れるわけではありませんので、根気強く取り組んでいくことが重要です。

今、大きな注目を集めている「ダイバーシティ」や「SDGs」というキーワードをとおして社会課題を考えることで、企業は社会に何を求められているのか、企業が今後発展していくためには何が必要なのかが、きっと見えてくるでしょう。

参照:ダイバーシティ経営診断の手引き‐経済産業省(PDF)

参照:ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へー経済産業省(PDF

 

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あらたこまち

この記事を書いた人

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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