エシカル消費へ向けてできること20選
「倫理的消費」とも呼ばれている「エシカル消費」は、人や社会・環境に配慮した消費行動のことを指します。日々の暮らしのなかで、私たちが取り組めるエシカル消費には、製品を購入する以外にも多くあります。
本記事では、日常生活で取り組めるエシカル消費20選を紹介します。少しずつでもエシカル消費を意識してみることで、よりよい未来につながるでしょう。
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エシカル消費とは?
「エシカル(ethical)」とは、直訳すると「倫理的な」という意味です。消費者庁では、エシカル消費を以下のように定めています。
消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと。
参考:エシカル消費とは|エシカル消費特設サイト[消費者庁] (caa.go.jp)
また、日本の一般社団法人エシカル協会では、以下のように定めています。
法的な縛りはないけれども、多くの人たちが正しいと思うことで、人間が本来持つ良心から発生した社会的な規範
参考:エシカルとは – 一般社団法人エシカル協会 (ethicaljapan.org)
私たちは日常生活において、多くの製品や食品・サービスを購入し、消費しています。それらを購入する際に、商品の価格のみを考慮するのではなく、商品が作られるまでの背景や、商品がもたらす社会的な影響について考えることが、エシカル消費につながります。消費者一人ひとりが意識を持って商品やサービスを選ぶことが求められています。
エシカル消費とSDGsの関係
エシカル消費は、2015年に国連で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)と深い関係性があります。SDGsとは、2030年までに持続可能な社会を達成するため掲げられた、国際目標です。SDGsへの関心が世界中で高まっているなか、エシカル消費にも注目が集まっています。
SDGsは17の目標と、その目標を達成するための169ターゲットで構成されており、エシカル消費は目標12「つくる責任 つかう責任」達成に大きく貢献することが期待されています。
目標12「つくる責任 つかう責任」とは
目標12では、消費の仕組み自体を変えることで、エコロジカル・フットプリント(※)の削減を目指しています。リサイクル・リユースなどによって、資源を無駄なく効率的に使用し、資源消費と廃棄物を減らすことで環境への負担を軽減し、持続可能な社会の実現へとつなげます。
出典参考:エコフットとは – EFI Japan
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なぜエシカル消費が必要なのか
現在、私たちの暮らしは「大量生産・大量消費・大量廃棄」の社会経済システムのうえに成り立っています。このシステムによって安い価格で商品・サービスを購入できている裏では、環境への負荷や、社会的立場の弱い人への搾取が行われているケースがあります。
持続可能な社会を実現するためには、これらの課題の解決に向けた消費行動へと転換する必要があります。価格のみでなく商品が作られた背景を考えることが大切です。消費者一人ひとりが問題意識を持ち、ものづくりの裏側を考えたうえでの消費行動が、社会的課題を解決し、持続な未来の実現へとつながります。
エシカル消費によって解決につながる社会的課題
世界には多くの社会的課題がありますが、エシカル消費を意識することで、以下のようなさまざまな社会的課題の解決に貢献できます。
人や社会についての課題
商品やサービスが作られ、消費者の手元に届くまでには、多くの人が関わっています。低価格で生産される商品やサービスの裏側では、途上国における「労働搾取」や「児童労働」、「障がい者への不当な低賃金労働」などの問題が起きている可能性があります。
環境についての課題
大量生産・大量消費・大量廃棄などの過剰な経済活動を行っている現代社会では、「天然資源の枯渇問題」や、「廃棄物による汚染」、温室効果ガス排出による「気候変動に伴う温暖化や異常気象の多発」など、自然環境に大きな負荷がかけられています。
生物多様性における課題
自然環境に負荷をかけていることと同様に、過剰な経済活動は、地球で暮らす生物にも大きな被害を与えています。「大規模な伐採による、森林資源の枯渇」や「海洋プラスチック問題における、海洋生物への悪影響」など、地球全体において生物多様性が失われつつあります。
日常生活で取り組めるエシカル消費20選
一見難しそうに思えるエシカル消費ですが、身近でできることも数多くあり、簡単に始められます。すべてをエシカル消費に切り替えることは大変ですが、まずはできる範囲で取り組みを始めてみることが大切です。ここでは、日常生活で取り組めるエシカル消費20選を紹介します。
人や社会に配慮した商品を購入する
商品やサービスのなかには、人や社会にとって優しいものが数多くあります。価格のみで商品を選ぶのではなく、その商品を購入することで、どのような効果を生み出すのかを意識することが大切です。
1. 地元商店街での買い物や、地域の特産品などを優先して購入する(地産地消)
大型チェーン店やネット通販で商品を購入するのではなく、地元のお店や商店街で、地域の特産品を購入することは、地域経済の活性化につながるエシカル消費のひとつです。また、地域の特産品を購入することで、移動や配送にかかるエネルギーを抑えることができ、環境の保護にもつながります。
2. 被災地で作られた商品の購入(被災地支援)
日本は、地震や台風などの自然災害が非常に多い国です。自然災害による被害にあった地域の商品や、被害により職を失った人の生活を保護するための商品などを優先的に購入することが、復興への支援につながります。
3. 福祉施設などで作られた商品の購入(障がい者の自立支援)
障がいのある方がつくった商品を買うことや、障がい者支援に力を入れている企業の製品を選ぶことも、エシカル消費のひとつです。障がい者の方は、不当な賃金で労働を強いられるケースなどもあるため、商品の背景を調べ、正当な価格で購入することが、自立支援への助けとなります。
4. フェアトレード商品の購入
フェアトレードとは、発展途上国で作られた農作物や製品などを適正な価格で継続的に購入することで、生産者の生活を支える仕組みのことです。フェアトレード商品を優先して購入することで、途上国における「労働搾取」や「児童労働」など社会的課題の解決へと繋がります。
5. 寄付付き商品の購入
寄付付き商品とは、売上の数%が環境保護や社会貢献活動などに充てられる商品です。寄付先などは商品やサービスによって異なるため、関心のある寄付先を選ぶことができます。
6. 伝統工芸品を購入する
日本の伝統工芸品は、後継者不足や需要の減少により失われつつあります。これらの商品を購入することは、日本の文化を守り、持続していくことにつながります。また、伝統工芸品の多くは、天然素材を用いて手作業で作られており、環境への負荷が少ないため、非常にサスティナブルな商品でもあるのです。
環境への負荷が少ない商品を購入する
7. 代替肉
代替肉とは、「大豆ミート」「ソイミート」「フェイクミート」「大豆肉」「疑似肉」などと呼ばれており、大豆などの植物性の原料から作られた食品です。近年、牛をはじめとした家畜の飼料に、土地や水、穀物が大量に必要で環境への負荷が大きいことが問題となっています。また、家畜の排せつ物による悪臭や水質汚染などについても問題視する声が多く上がっています。食事の一部を代替肉に切り替えることによって、環境負荷軽減に貢献できます。
参考:畜産環境問題とは:農林水産省 (maff.go.jp)
8. 持続可能な水産物
世界における水産資源の3分の1以上が、持続可能なレベルを超えて過剰に乱獲されています。また、養殖業においても、労働者の権利が守られていないケースや、適切な管理を行っておらず海洋資源に悪影響を及ぼしているケースが存在します。海洋資源の保護や労働者の権利を確保するためにも、認証ラベルである「MSC(海のエコラベル)」(※)や「ASCラベル」(※)が付いた水産物を積極的に購入することが大切です。
9. FSC認証紙を使用した紙製品
違法な伐採などによる森林破壊が、世界中で大きな社会問題となっています。野生生物の絶滅や、気候変動への影響など、森林破壊によって生み出される被害は非常に深刻な問題です。トイレットペーパーやコピー用紙などの木材を原料とする紙製品を購入する際は、FSC認証(※)紙を使用した商品を購入することで、森林の保護へとつながります。
参考:FSC認証について | Forest Stewardship Council
プラスチックの使用を減らす
プラスチックの海洋流出は、非常に深刻な国際的問題です。世界の海ではマイクロプラスチック(廃棄プラスチックが粉砕されることにより発生する、微細なプラスチックの欠片)が非常に多く浮遊しており、自然環境や海洋生物に悪影響を及ぼしています。プラスチックの使用自体を減らすことも、エシカル消費のひとつであり、消費者が意識すべき大切な取り組みです。
10. マイバックを持参する
日本国内で年間に流通するレジ袋の枚数は約400億枚と推定されており、1人当たり1日1枚のビニール袋を消費している計算に当たります。マイバックを持参することで、多くのプラスチックごみ削減につながります。
11. スプーンやストローなどの使い捨てプラスチックの使用を減らす
2022年4月から、スプーンやストローなどの使い捨てプラスチック製品12品目を対象とした「プラスチック資源循環法」により、小売店や宿泊施設・飲食店などに対し、削減に向けた取り組みが義務化されました。これら店舗・施設が提供してきた使い捨てプラスチック製品は、年間5トン以上にも上ります。プラスチックごみを削減するには、消費者の理解や協力が必要です。
参考:使い捨てプラ12品目で削減義務化 柄くりぬく軽量化 包装の薄型化も | NHK
12. 簡易包装の商品を選ぶ
日本は過剰包装の傾向が強く、食品では何重もの包装がされているケースも珍しくありません。日本で年間に排出されるプラスチックごみの68%を包装プラスチックが占めており、簡易包装された商品を優先して購入することが、過剰包装の文化を終わらせるきっかけになります。
13. マイボトルを使用し、ペットボトルの使用を控える
日本における年間のペットボトル生産量は、244億本にも上ります。そのうち9割が回収されていますが、ペットボトルの循環割合は1割程度に留まっているのが現状です。ペットボトルの生産には多くの石油が使用されているため、マイボトルを使用しペットボトルの購入を減らすことが天然資源の保護につながります。
出典参考:BRING BOTTLE
資源を無駄なく使う
資源は有限であり、このまま大量生産・大量消費が続けば、いずれ枯渇してしまう可能性があります。資源を無駄なく効率的に使うことが、持続可能な消費へとつながります。
14. リユース・リデュース・リサイクルの3Rを意識する
- リユース
一度使ったものをゴミとして廃棄せずに、再び利用することです。リユースの例としては、リサイクルショップや古着屋、フリマアプリの利用や、再使用可能なガラス瓶容器の商品を選ぶといった方法が挙げられます。不用品をすぐに廃棄せず、再利用する方法を考えることが大切です。 - リデュース
使う資源やごみの量を減らす行動がリデュースです。無駄なものを買わないようにすることや、ものを大切に長く使用することなどが、リデュースに当たります。 - リサイクル
リサイクルは、使い終わったものを資源として、新しい製品の生産に使用することです。リサイクルを行うためには、自治体のごみ分別ルールを守ってゴミを出す、使用しなくなった家電はメーカーやお店に引き取ってもらうなど、ルールに沿った廃棄が必要です。
参考:リサイクルとは?/小学生のための環境リサイクル学習ホームページ (cjc.or.jp)
15. 節電や節水、省エネを心がける
エネルギーも有限であり、効率的に無駄なく使用することが大切です。こまめに「電気を消す」「水道を止める」ことや、省エネ家電を利用した「エネルギー消費量を抑える」ことなどが、持続可能なエネルギーの使用に繋がります。
16. 再生可能エネルギーを利用する
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱などの常に自然界に存在するエネルギーです。再生可能エネルギーは、「二酸化炭素を排出しない」「枯渇することがない」といった特徴を持っており、低炭素で環境に負荷がかからない新たなエネルギーとして期待されています。一般家庭では、太陽光発電の導入などにより、再生可能エネルギーを使用できます。
食品ロスを減らす
2019年の日本における「食品ロス」の量は年間570万トンにも上り、本来食べられるはずの食品が大量に廃棄されています。食品ロスの内、46%は各家庭から発生する「家庭系食品ロス」であり、食品の廃棄を減らす意識が必要です。
出典参考:食品ロスとは:農林水産省 (maff.go.jp)
17. 食べきれる量を考え、食品を購入する
極力まとめ買いを避けて、食べ切れる分だけの食材を購入することが大切です。また、買い物の前に必要な食材をメモしておき、無駄なものは購入しないようにするなどといった工夫も、食品ロス削減につながります。
参考:家庭での食品ロスを減らそう|[消費者庁]めざせ!食品ロス・ゼロ (caa.go.jp)
18. 食品購入時は、手前に陳列されているものから取る
スーパーやコンビニの店頭では、賞味期限が近いものが手前に並んでいます。商品購入の際に棚の奥から取ってしまうと、手前にある商品の廃棄や返品処理につながり、食品ロスの原因となります。すぐに使う予定のある食品は、極力手前から取ることで、食品の廃棄を減らせます。
19. 野菜の茎や皮を捨てずに利用するなど、エコなレシピを参考にする
野菜の茎や皮も料理に使える大切な食材です。捨てる前に「本当に食べられないのか」「使える方法はないのか」などを考え意識することが、食品ロスの軽減に繋がります。
20. 規格外の野菜を積極的に購入する
形が悪く規格外であることを理由に、市場に出回らず廃棄されている野菜が数多くあります。自然のものである野菜は、全てが規格通りに栽培できるわけではないため、廃棄を減らすには、消費者が形を気にせず購入する意識を持つことが大切です。
参考:SDGsのために私たちにできること -エシカル消費とフードロス削減- | 【日本伝統野菜推進協会】伝統野菜を後世に残すためのPR活動 (tradveggie.or.jp)
SDGs研修・体験型SDGsイベント
【SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)
概要
- SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
- 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
- オプションとして「SDGsマッピング」を行うことで学びの定着・自分ごと化
特徴
- 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
- チームで戦略を練り様々な可能性を話し合う必要があるため、深いチームビルディングに繋がる
- 様々な選択肢の中から取捨選択して最適解を導く考え方を身につけることができる
【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)
概要
- 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
- 子どもが楽しみながらも本気で学べる、複数の職業体験を実施
- 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能
特徴
- あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
- 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
- ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進
【親子・子ども向け地域イベント】SDGsアドベンチャー(商業施設・自治体向け)
概要
- 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
- 子どもが本気で楽しめる複数の体験型アクティビティを実施
- すべてクリアした方にSDGs缶バッチをプレゼント
特徴
- ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
- 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
- ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進
まとめ
エシカル消費は、消費者一人ひとりが正しいと思う消費の形を意識して、取り組むことが大切です。近年、SDGsへの関心が高まることで、エシカル消費も注目を浴びており、国や企業なども多くの取り組みを実施しています。持続可能な消費のためにも、消費者がそれらの取り組みの意図を理解したうえで、積極的に日常生活に取り入れていく必要があります。
今回紹介した以外にも数多くのエシカル消費があり、まずは自身で考えできることから行動していくが、よりよい社会をつくるための第一歩となるでしょう。
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この記事を書いた人
SDGsコンパス編集部
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