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フェアトレードとは? 身近な商品や認証ラベルを紹介!

私たちが日常生活で使用している食品や衣料品には、途上国から輸入しているものが数多くあります。しかし、それらが非常に安価で販売されている背景には、途上国における「不当な賃金での労働搾取」「違法な児童労働」など、社会的立場の低い人々が不利益を被っている可能性があります。

このような途上国における社会的問題を解決するための仕組みが、平等な取引を行う「フェアトレード」です。

また、近年注目を浴びているSDGs(持続可能な開発目標)においても、途上国における労働搾取が解決すべき社会的課題として挙げられています。持続可能な社会の実現には、フェアトレードをより一層普及させていくことが必要なのです。

本記事では、フェアトレードのはじまりや、対象となる商品、認証基準を定めているラベルの種類、SDGsとの関連性について解説します。

 

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フェアトレードとは?

フェアトレード(Fair Trade)は、日本語で表すと「公正な取引」であり、先進国と途上国との間で行われる「公平で公正な貿易」を指す言葉です。途上国で生産された原料や製品を適切な価格で継続的に購入することで、社会の発展や自立を促し、途上国と先進国の間にある格差の是正へと繋げます。

フェアトレードが途上国にもたらすメリット

下記のようなメリットを途上国にもたらすことで、現地に暮らす人々の抱える社会的問題を解決し、持続可能な社会を実現する取り組みがフェアトレードです。

  • 途上国の生産者や労働者の収入を安定的に増やすことで、生活の水準を向上させる
  • 農薬の使用を減らした有機栽培を推進し、自然環境を保全する
  • 違法な児童労働をなくし、子どもたちが教育を受けられる機会を増やす
  • 品物の代金とは別に支払われる支援金を活用し、学校や病院などのインフラを整備する

出典: フェアトレードミニ講座|フェアトレードとは?|fairtrade japan|公式サイト (fairtrade-jp.org)

フェアトレードの始まり

1947年にアメリカの国際協力NGOが、プエルトリコの女性たちが作っていた手工芸品を仕入れ、販売したことがフェアトレードのはじまりとされています。当初は「フェアトレード」ではなく、「オルタナティブ・トレード」と呼ばれており、慈善活動の意味合いが強く、途上国への支援として行われていました。しかし、商品の品質が不安定であるなど、消費者側へのメリットが少なかったため、一部の倫理的消費者(※)のみに留まり、一般的な消費者までは普及しませんでした。

その後、現在の「フェアトレード」へと名称を変え、消費者側にもメリットのある商品にすることで、倫理的消費者だけでなく、一般消費者の市場をターゲットとした取り組みへと変化し、世界的に普及していきました。

※倫理的消費者……社会的課題の解決を考え、課題に取り組む事業者や製品を積極的に応援消費する消費者
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フェアトレード商品の一例

フェアトレード商品は、国際的な機関が認証をしているものから、企業が独自の基準を設けて販売しているものまで、数多く市場に流通しています。ここでは、国際フェアトレード認証(※)の対象となっている代表的なフェアトレード商品の現状や仕組みについて紹介します。

※国際フェアトレード認証……国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)の定めた国際フェアトレード基準に沿った商品であると証明する制度

コーヒー豆

市場に流通しているコーヒー豆の多くは、途上国で生産されています。しかし、コーヒー豆の販売価格を決めているのは、生産地域ではなく、ニューヨークやロンドンにある国際市場です。そのため、コーヒー豆が投機対象となり、大きな価格の変動が起こるなどの問題を抱えています。また、国際市場での情報や販売方法などのノウハウを持っていない現地の小規模な生産者は、中間業者に手数料を払わなければ販売が難しく、手元に僅かな利益しか残らないといったことも大きな問題です。これらの問題により、コーヒー豆の生産者は、安定した収入の確保が困難で、不安定な生活を強いられています。

そこで、国際フェアトレード基準では、途上国の生産者が抱える問題を解決し、持続可能な生活を支えるために、コーヒー豆の取引に対して「フェアトレード最低価格」を定めています。この決まりにより、コーヒー豆の国際的な市場価格が下落したとしても、輸入業者は定められた最低価格以上で仕入れなければなりません。また、フェアトレードの認証を受けた商品は、商品代金とは別に、奨励金が輸入業者から生産者組合に支払われており、生産技術の向上や、学校や病院の建設といった社会発展のために活用されています。

出典:なぜフェアトレード?|フェアトレードとは?|fairtrade japan|公式サイト (fairtrade-jp.org)

カカオ

チョコレート産業は、全世界で1,100億ドルの市場規模を誇る一大産業であり、途上国ではカカオの生産によって1400万人もの人が生計を立てています。しかし、世界的に大きな産業であるにも関わらず、途上国のカカオ農家の多くは貧困状態にあり、子どもも働かなければなりません。代表的なカカオ生産国のひとつであるコートジボワール共和国では、貧困を理由に約80万人の児童がカカオ農場で働いており、十分な教育を受けられない環境が社会問題となっています。

国際フェアトレード基準では、コーヒー豆と同じくカカオにも最低価格を定めており、子どもが働かなくても暮らしていける収入を保証しています。また、カカオ農場での児童労働自体を禁止しており、子どもが教育を受けられる環境作りに努めています。その他にも、森林破壊や危険な農薬を使った生産を禁止しており、フェアトレード認証を受けたカカオ製品は、人だけでなく環境にも優しい商品です。

出典:CNN.co.jp : チョコレート産業の裏側、なぜカカオ農家は豊かになれないのか – (1/4)

出典:なぜフェアトレード?|フェアトレードとは?|fairtrade japan|公式サイト (fairtrade-jp.org)

コットン

西アフリカやインド、パキスタンなどのアジア地域の途上国では、コットンの生産が国を支える重要な産業です。しかし、主要産業であるコットンの生産には多くの農薬が使われており、環境や人々への深刻な被害といった大きな社会的問題を抱えています。コットンの農耕面積は、世界の栽培農地面積の3%にも満たないほど小規模です。しかし、その小規模な面積のなかでは、世界中で使用されている殺虫剤の約16%、農薬では約10%が使用されています。また、途上国では、国際的に禁止されている危険な農薬が使用されているケースもあり、人体や自然環境へのより深刻な悪影響が懸念されています。

国際フェアトレード基準では、危険な農薬の使用禁止や、オーガニック栽培されたコットンの買い取り金額の上乗せなどが取り決められています。この取り決めによって、農薬を原因とした病気の減少や、オーガニックコットンによる収入の増加など、大きな結果が出ており、今後フェアトレードを中心としたコットン産業の更なる発展が見込まれるでしょう。

出典:なぜフェアトレード?|フェアトレードとは?|fairtrade japan|公式サイト (fairtrade-jp.org)

フェアトレードを示す認証ラベル

フェアトレード商品には、基準に沿って生産された製品であることを示す認証ラベルが存在します。フェアトレード商品を扱う企業は、自社の商品に認定ラベルを付けることで、厳しい基準に合格したフェアトレード商品であることを証明でき、付加価値のある商品として販売拡大へと繋げています

フェアトレード認証ラベルの代表的なものは「国際フェアトレード認証ラベル」「世界フェアトレード機関(WFTO)加盟団体ラベル」の2種類です。また、この2種類以外にも「エコサート」や「フェア・フォー・ライフ」、「レインフォレスト・アライアンス」、「グッド・インサイド」といった認定ラベルもあり、市場には多くのフェアトレード商品が流通しています。

ここでは、代表的な2つのラベルの認定基準について解説します。

国際フェアトレード認証ラベル

国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)によって定められた、国際フェアトレード基準を満たした製品に付けられる認証ラベルです。国際フェアトレード基準は、下記の3原則によって成り立っており、厳しい基準をクリアした製品のみがフェアトレード商品の認定を受けられます

  • 経済的基準

「フェアトレード最低価格の保証」「フェアトレード・プレミアム(※)の支払い」「長期的な取引の促進」「必要に応じた前払いの保証」など

※フェアトレード・プレミアム……地域の経済・社会・環境開発のために使用する、商品の代金とは別に支払われる資金
  • 社会的基準

「安全な労働環境」「民主的な運営」「差別の禁止」「児童労働・強制労働の禁止」など

  • 環境的基準

「農薬・薬品の使用削減と適正使用」「有機栽培の奨励」「土壌・水源・生物多様性の保全」「遺伝子組み換え品の禁止」など

出典:国際フェアトレード基準|フェアトレードとは?|fairtrade japan|公式サイト (fairtrade-jp.org)

世界フェアトレード機関(WFTO)加盟団体ラベル

世界フェアトレード機関(WFTO)が定めた10原則を守り、生産された商品に付けられる認証ラベルです。WFTOは、1989年に発足した団体や組織そのものが加盟するネットワーク機関で、世界70ヶ国370団体以上が加盟し、フェアトレードを推進しています。製品に対する認証ラベルである国際フェアトレード認証ラベルとは違い、WTOによる認証ラベルは、団体そのものの活動がフェアトレードの基準を満たしていることを条件とし、そこで生産された製品はすべてラベル付けが可能です。

世界フェアトレード機関(WFTO)「10の原則」

  1. 経済的弱者である生産者に機会を与える
  2. 透明性と説明責任
  3. フェアトレードの実行
  4. 公正価格
  5. こどもの労働、強制労働のない社会
  6. 差別のないこと、男女平等、女性の経済的・社会的地位の向上、そして結社の自由への誓約
  7. 適切な職場環境の確保
  8. キャパシティー・ビルディング(能力強化)の提供
  9. フェアトレードの推進
  10. 環境への配慮

出典:世界フェアトレード機構「フェアトレードにおける10原則」(PDF)

フェアトレードとSDGsの関連性

SDGsとは、2015年国連サミットで採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。持続可能な生産や途上国の発展などを目的としている「フェアトレード」の世界的な普及は、SDGsを達成するために必要不可欠です。SDGsは、持続可能な社会を実現するための「17の目標」から構成されており、フェアトレードはすべての目標と関わりがありますが、特に下に挙げた5つの目標と深く関係しています。

目標1.貧困をなくそう

世界には、貧しい暮らしを送っている人々が多くいます。「貧困をなくそう」は「あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる」ことを目的としており、貧しさで苦しむ人がいない社会の実現を目指しています。

フェアトレードは、途上国における生産者と労働者の正当な権利を保護し、持続可能な生産と生活水準の向上を目的としており、貧しさに苦しむ途上国の人々が豊かな生活を送れるようにするための仕組みです。フェアトレードが普及することで、世界の貧困を減らす大きなきっかけとなります。

目標4.質の高い教育をみんなに

さまざまな事情により、教育を受けることができない子どもたちが世界中には大勢います。この目標では、「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」ことを目的として、子どもが教育を受けられる社会の実現を目指しています。

フェアトレードにおいても、児童の強制労働を禁止するなどの基準を作り、教育機会の不平等を是正するための取り組みを行っています。

目標10.人や国の不平等をなくそう

世界中で貧富の差が拡大していることを受け、SDGsでは人や国の不平等をなくすために、「各国内及び各国間の不平等を是正する」ことを目標に掲げています。

フェアトレードは、先進国と途上国で行われている各国間の不平等な貿易制度を改革し、公平で公正な貿易が行われる社会の実現を目指す取り組みです。フェアトレードの普及が、国だけでなく人の不平等もなくすことに繋がります。

目標12.つくる責任つかう責任

この目標では、「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目的としており、生産側と消費者側それぞれに、持続可能な生産・消費活動に取り組むことを求めています。

フェアトレードは、消費者に持続可能な消費に繋がる商品の積極的な購入を促すことで、生産者に適正な価格代金が支払われ、持続可能な生産へと繋がる仕組みです。

目標15.陸の豊かさを守ろう

「陸の豊かさを守ろう」では、「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」といった自然環境の保全を目的としています。

フェアトレード商品は、環境保護の面でも厳しい基準を守っており、それらの購入や生産の拡大が陸の豊かさを守ることへと繋がります。

出典:持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組(PDF)

 

SDGs研修・体験型SDGsイベント

SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)

 

概要

  • SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
  • 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
  • オプションとして「SDGsマッピング」を行うことで学びの定着・自分ごと化

特徴

  • 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
  • チームで戦略を練り様々な可能性を話し合う必要があるため、深いチームビルディングに繋がる
  • 様々な選択肢の中から取捨選択して最適解を導く考え方を身につけることができる

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【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)

概要

  • 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
  • 子どもが楽しみながらも本気で学べる、複数の職業体験を実施
  • 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能

特徴

  • あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
  • 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

【親子・子ども向け地域イベント】SDGsアドベンチャー(商業施設・自治体向け)

概要

  • 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
  • 子どもが本気で楽しめる複数の体験型アクティビティを実施
  • すべてクリアした方にSDGs缶バッチをプレゼント

特徴

  • ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
  • 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

まとめ

持続可能な社会の実現が求められるなかで、途上国の生産者や労働者の生活を守る「フェアトレード」にも大きな注目が集まっています。フェアトレードは、さまざまな基準を設け不平等な貿易をなくすことで、生産者と消費者の双方が、「win-win」の関係を築ける、平等な社会を実現するために必要不可欠な取り組みです。

現在の市場には、まだまだ不平等な取引などによって生産された商品も多く存在しており、企業や消費者は価格のみを考慮するのでなく、その製品の作られた裏側をしっかりと考えることが大切です。一人ひとりが、フェアトレードを意識し、積極的に行動することが、格差社会をなくす第一歩となるでしょう。また、以下の記事も参考にぜひご覧ください。

 

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SDGsのはじめの一歩を実現する「SDGsの社内浸透方法」とは?

進めるための具体的なステップを紹介!

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SDGsコンパス編集部

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