環境

SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」の概要と取り組み事例をわかりやすく解説

SDGsについて興味があるけれど具体的に何をすればいいの?」といった疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。

SDGsには17の目標があり、まずはそれぞれの目標について理解を深め、「自分にできることは何か?」「自社の事業と関連が深そうな目標は何か?」を見定めることが大切です。

全部で17あるSDGsの目標のうち15・陸の豊かさも守ろう」は、主に「森林や淡水地域」へ目を向けた目標です。

 

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SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」とは

地球の表面積のおよそ3割を占める森林は、多くの生物に食料や、住処を提供しています。そして、空気を浄化する役割もあります。また、森林の存在は、生物の保護や先住民の居住場所の保護にもつながっています。

そんな多様な生き物・地球にとって重要な役割を担う森林ですが、現在は毎年1,300万ヘクタールの森林が失われているのが事実。また、世界では36億ヘクタールにも及ぶ面積が砂漠化しているのです。

森林を適切に管理し、砂漠化を防ぎ、多様な動物が生きられるようにする

森林の破壊が進んでいる今、あらゆる場所の砂漠化も進んでいます。乾燥地の劣化が続いていることが影響して、現在も進行している状況です。

保護対象となっている地域も存在しますが、まだまだ生物の多様性に関するリスクが高く、早急な解決を目指していかなければなりません。

森林の破壊や砂漠化を防ぐための対策としては、森林を保護して天然資源の管理を強化することが挙げられます。これにより、土地生産性の向上を目指すことにもつながるのです。

数字で見る「陸の豊かさ」の現状

全世界のおよそ16億人の人々が、森林の恩恵を受けて暮らしが成り立っている状況です。ほぼ森林に依存している形となり、なかには先住民も存在します。

もちろん、人間のほかにも動植物や昆虫などの80%の生物が生息していると考えられていて、あらゆる生物が森林に依存しています。

しかし、2010年から2015年にかけて世界では、330万ヘクタールの森林が破壊などによって消失してしまいました。農村部などの貧困層は森林の資源を活用して生計を立てている人が多く、こうした森林の減少は大きな影響となっています。

 

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SDGsの目標15における9つの達成目標

SDGsの目標15には、以下9つの達成目標が設定されています。

1.陸上・淡水地域の生態系などを守り、回復させる

  • “国際的な協定にしたがって、森林や湿地、淡水地域などの生態系や自然の恵みの保護・回復をする。”

SDGs目標15における達成目標のうち、一つ目は陸上や淡水地域の生態系を守ることです。国際的な協定に基づいて、森林や湿地、山地、乾燥地などの生態系を守ることが達成目標です。

また、自然の資源や恵みを守り続けることも重要です。回復へと導き、いずれは持続可能な形で利用できるようにします。

2.森林の減少を食い止める

  • “森林を持続可能な形で管理し、世界全体で植林を大きく増やす。”

今なお進行し続けている森林の減少を食い止めるためにも、まずはあらゆる種類の森林の管理を進めていく必要があります。森林の減少を早い段階で食い止めることで、森林を失うリスクを軽減する取り組みです。

また、すでにおとろえてしまった森林においては、管理や保護などの体制を整えて回復へとつなげ、世界全体で植林を増やしていきます。

3.現時点以上に土地をおとろえさせない

  • 2030年までに砂漠化、干ばつ、洪水などによっておとろえた土地を回復させ、これ以上進行しないようにする。”

現時点ですでに土地や土壌がおとろえてしまっている場所については、さらなる深刻化を防ぐことが重要です。現状よりもおとろえが進行しないように各国・地域が努力して、回復のための対策を施すなど、あらゆる取り組みを行う必要があります。

4.生物が生きられる山地の生態系を守る

  • 2030年までに持続可能な開発のために欠かせない山地の生態系を守る。”

山地の生態系の能力を高めることは、山地の劣化を防ぐことにつながります。山地で多様な生物が生きられるよう、生態系を徹底的に守ることが重要です。

5.絶滅が心配されている生物を保護する

  • “絶滅リスクの高い生物を保護し、絶滅を防ぐため緊急に対策を講じる。”

現在、絶滅が心配されている生物は非常に多いです。現在確認されている8,300の動物種のうち、22%が絶滅してしまうリスクがあり、生態系への影響が懸念されています。

まずは、自然の生息地がおとろえないように管理・保護を行い、生物の多様性を尊重することが重要です。そして、絶滅が心配されている生物においては、必要に応じて保護し、どうすれば絶滅しないかを考え、計画立案などで対策を検討していく必要があります。

6.遺伝資源を適切に使えるようにする

  • “国際的に決められたとおり、遺伝資源による利益が公正・公平に分けられるようにする。”

遺伝資源とは、植物や動物、微生物などのうち、産業などに利用できる(もしくは利用できる可能性がある)遺伝的な情報を持つものです。

これらの遺伝資源によって利益を得る場合、その利益は公正・公平に分けられるようにしなければなりません。遺伝資源に恵まれているところだけが利益を独占するような形から脱却する必要があります。

持続可能な社会を目指すためにも、公正かつ公平な利益の配布を義務付けることが重要でしょう。

7.動植物の密漁をなくす

  • “動植物の密猟、法律に違反した取引をなくす。”

世界には保護しなければならない動植物が数多く存在しているものの、一部では密猟という形で法律に違反した搾取が行われています。

密猟や違法な取引に対して緊急の対策を講じ、保護すべき動植物をきちんと守り、野生生物の製品が求められたり、売却されたりすることがないようにしなければなりません。

8.外来種の侵入を防ぐ

  • “外来種の侵入を防ぐとともに、外来種が陸や海の生態系に与える影響を減らす。”

日本でも大きな問題となっている外来種の侵入。SDGs目標15では、こうした外来種の影響を受け、既存の生態系に負担がないように取り組みを行うように目標を設定しています。

また、外来種の優先度によっては積極的に駆除を行うなど、徹底した対策が求められます。

9.生態系や生物の多様性を守ることの大切さを考えられるようにする

  • “生態系や生物の多様性を守ることの大切さを、国や地方の計画に盛り込み、貧困をなくすための経済活動もふまえて誰もが考えられるようにする。”

すべての人が陸の生態系に対して当事者として考えられるように工夫する必要があります。

生物の多様性が守られるということは、資源を守ることでもあり、食料の確保や産業分野の展開などに繋がります。そのため、貧困の解消を期待できることや、SDGs目標15を達成するうえでのお金の動きなどは明確にまとめておく必要があるでしょう。

達成するための具体的な方法3

SDGs目標15を達成するためにも、知っておきたい具体的な3つの方法について解説します。

1.生物の多様性と生態系を守るために資金を集めて有効活用する

日本と世界が達成するための具体的な方法として、まず挙げられるのが資金集めと、資金の有効活用です。

生物の多様性と生態系を守るための資金を適切に集めて、不正に使用されることなく有効活用されなければなりません。

2.途上国の森林の管理が進められるように資金を使えるようにする

開発途上国に目を向け、森林の保護や再植林などを含め、管理を進められるようにするための資金を集めなければなりません。

開発途上国自身が、主体的に森林管理を検討できるよう、十分な資金を使えるようにすることが必要です。

3.国際的な支援を強化して密猟などを防ぐ

生態系に深刻な影響を及ぼしている密猟に対して、国際的な支援を強化して防ぐ必要があります。

密猟で利益を得なくても収入を得られるように、現地のコミュニティを強化することから始めます。保護が必要な動植物の密猟などをやめさせるためには、国境を越えた支援が重要。積極的にあらゆる国が介入し、動植物の密猟、法律に反する野生生物の売買をストップさせます。

日本における取り組み事例

ここでは、日本企業の取り組み事例を紹介します。

1.【企業】アサクラ

不織布を取り扱うアサクラが実施しているSDGs目標15は、自社製品に「植物由来の生分解素材」を取り入れることです。

これは環境に配慮した植物由来の素材であり、焼却をしても二酸化炭素の排出量は少なくて済むのが特徴。植物が光合成で二酸化炭素を吸収する量とほぼ同等のレベルとなっているので、自然環境に負荷をかけません。

また、土に還る素材でもあり、植物を育てるための要素としても再利用できます。

参照:環境配慮型商品とSDGsへの取り組み 株式会社アサクラ

2.【企業】クリヤマホールディングス

クリヤマホールディングスが実施しているSDGs目標15の取り組みは、工場での製造工程で発生するスクラップの削減や、産業物廃棄物量の継続的な削減などです。短尺ホースを再販売するなどして、産業廃棄物の削減を実現しています。

また、森林環境に影響を与える「排水」にも配慮しています。特定の工場では、生産過程で使用された水を適切に処理したうえで、自治体の公共下水へ送っているのです。

工場で使用した水をそのまま排水していないため、森林に与える悪影響の削減につながっています。

参照:サスティナビリティ|クリヤマホールディングス株式会社

3.【企業】しのぶや

しのぶやが実施しているSDGsの目標15は、使用する塗料にあります。同社が使用している塗料は、二酸化炭素などの温室効果ガスなどの排出を削減できる特殊な水性塗料です。

一般的に使用されている溶剤系塗料は、揮発性有機化合物VOC(揮発しやすい化学物質であり地球温暖化の原因の一つ)を排出するに対し、水性塗料は上記よりもVOC排出を90%削減できます。

環境に優しく、森林に負担をかけない取り組みと言えます。

参照:「しのぶや」SDGsへの取組│有限会社しのぶや

4.【企業】東京ガス

日本のインフラを担う東京ガスでは、SDGs目標15への取り組みとして、自社が管理する森林「長野・東京ガスの森」にて、豊かな森づくりの推進を行っています。

長野・東京ガスの森は、長野県御代田町にある森林で、広さは東京ドーム約40個分です。これまでの10年間で約30万本の苗木を植樹し、400種類以上の動植物が生息しています。

こうした豊かな森づくりを通して、東京ガスは「森林保全」と「生物多様性保全」の両面からSDGs目標15に取り組んでいます。

参照:東京ガス : サステナビリティ

世界における取り組み事例

ここからは、世界における取り組み事例を紹介します。

出典:SDG INDUSTRY MATRIX—産業別SDG手引き—食品・飲料・消費財産業|UNGC

1.コンシューマー・グッズ・フォーラム

食品会社や小売り業者などが加盟しているコンシューマー・グッズ・フォーラム。同団体では、「ネットゼロ森林伐採」(温室効果ガスの排出をゼロにする取り組み)の達成を支援しました。森林伐採などの森林破壊が進むなか、地球温暖化を食い止めるための手段として実施しています。

加盟メンバーの事業内容を受け、現在は作業が調整中ですが、SDGs実現に向けて計画が進んでいます。

2.ユニリーバ

食品や日用消耗品、ヘアケア製品などを展開しているユニリーバは、イギリスに本拠がある企業です。

ユニリーバでは、森林伐採に対する問題を消費者へも理解してもらうため、国際的パートナーシップの設立を発表。世界自然保護基金と協働し、100万本にも及ぶ木々の保護を支援する予定です。消費者を巻き込む形での取り組み事例といえるでしょう。

3.キャンベルスープカンパニー

キャンベルスープカンパニーは、スープ缶などを展開する食品製造会社です。商品は、世界120か国で販売されていて、あらゆる国で親しまれています。

そんな同社は、温室効果ガスの排出量を削減するために、農作物における肥料の見直しや、土壌保全・水質改善などに積極的に取り組みました。

また、他の組織とも連携し、サプライヤーズと手を取り合って、対象とするエリアの支援を行っていく予定です。

4.ファッツェル・グループ

フィンランドを代表するファッツェル・グループ。食品を中心に展開するファッツェル・グループが実施している取り組みは、100%RSPO認証を受けた持続可能なパーム油生産の利用です。

RSPO
認証は、農園や搾油向上などで持続可能な生産がおこなわれていることを示す基準です。持続可能なパーム油を利用することで、環境に優しいだけではなく、限りある資源を有効活用することにもつながり、多角的に森林などの環境を守ることにつながっています。

 

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まとめ

今回は、SDGs目標15についてご紹介しました。本ページで触れたとおり、干ばつや密猟などにより生態系のバランスの崩れが問題となっています。途上国にも目を向け、公正な資源利用の推進も視野に入れたうえで、世界が一丸となって活動をしていかなければなりません。

今回、紹介したSDGsの目標15の事例を参考にしながら、自社で取り組めるアクションを探してみてください。まずは、世界の生物や生態系、陸上の問題に目を向け、デジタル化を推進して紙の使用を削減することや、再生紙を積極的に利用することなどから初めてみてはいかがでしょうか。

 

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