社会

SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」の概要と取り組みをわかりやすく解説

SDGsについて興味があるけど具体的に何をすればいいの?」といった疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。

SDGsには17の目標があり、まずはそれぞれの目標について理解を深め、「自分ができることは何か?」「自社の事業と関連が深そうな目標は何か?」を見定めることが大切です。

全部で17あるSDGsの目標のうち16・平和と公正をすべての人に」は、主に「暴力や不正」による問題へ目を向けた目標です。

今回はSDGsの目標16「平和と公正をすべての人に」についてわかりやすく説明するとともに、日本や世界における取り組み事例を紹介します。

 

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SDGsの目標16「平和と公正をすべての人に」とは

SDGs目標16の「平和と公正をすべての人に」とは、世界平和を実現するための目標です。

世界のどこかで子どもが5分に1人が亡くなっていることをご存知でしょうか。国内外を問わず、子どもに対する暴力は後を絶ちません。また、子どもだけでなく、すべての人に対する、あらゆる形の暴力による問題も解決していかなければなりません

SDGsの目標16では、こうした暴力や殺人といった深刻な事態を改善し、すべての人が認められて、法律や制度などで守られる社会づくりが求められているのです。

公正、平和かつ包摂的な社会を推進する

開発途上国における殺人や人身取引においては、過去10年間で見るとかつてよりも改善が見られています。被害件数も少なくなり、大きな進展があったといえるでしょう。

しかし、サハラ以南アフリカや、アジア、ラテンアメリカなどでは、子どもの権利の侵害が依然目立っている状況です。さらに、被害を申告する際に過少報告をしたり、そもそもデータが不足していたりするなど、暴力や子どもの搾取を招きやすくなっています。

平和で包摂的な社会を実現するためには、現実的な政府の予算導入や、人権機関の設置などが重要です。

数字で見る「暴力・不正」の現状

開発途上国などでは、警察や司法の不正が広がっている状況です。実際、贈収賄、横領、脱税などが蔓延しており、さらなる違法行為を助長しています。

また、5歳未満の子どもの73%は出生が届け出られていますが、これは逆にいえば、5歳未満の子どもの27%、およそ4人に1人は法的に存在していないことになるのです。とくに、サハラ以南アフリカを見てみると、出生届率はわずか46%と低い水準で止まっていることがわかります。

さらに、紛争被災地域に住む、小学校就学年齢の子ども、およそ2,850万人が小学校に通えていません。

 

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SDGsの目標16における10の達成目標

SDGs目標16における10の達成目標について解説します。

1.暴力と、暴力による死を大きく減らす

  • “あらゆる場所で、あらゆる形の暴力および暴力によって亡くなる人を大きく減らす。”

SDGsの目標16における達成目標として、まず挙げられるのが「暴力の減少」です。

世界には、いろいろな形の暴力が存在します。直接手を上げる「肉体的な暴力」のほか、社会のコミュニティから疎外する「社会的な暴力」、本人の同意や理解がなく性的行為に及ぶ「性的暴力」などさまざまな暴力があるのです。

SDGs目標16では、暴力の種類を問わずすべての暴力を減らすと同時に、暴力で亡くなる人達を減らすことを目標としています。

2.子どもに対する虐待、搾取、人身売買、あらゆる形の暴力や拷問をなくす

  • “子どもに対する搾取やあらゆる形の暴力を減らし、子どもの権利を認める。”

世界における子どもに対する虐待や搾取などは非常に深刻です。一方的な虐待や、性的な搾取、人身売買など、大人が子どもの幸せを奪っている状況があるなか、すべての子どもが守られるよう行動を起こさなければなりません。

3.すべての人が平等に裁判所など司法を利用できるようにする

  • “すべての人が平等に争いを解決できるようにする。”

人種や貧困、性別などを問わず、争いが起きたら平等に解決できるような司法を利用できる環境を整える必要があります。司法や警察の不正が横行している状況では、平等に争いを解決することは不可能です。

国の法律や、国際的な法律に基づいて、ものごとが扱われるようにし、すべての人が裁判所など司法を利用して争いを解決できるようにすることが重要です。

4.法律違反の資金や武器の取り引きを減らす

  • 2030年までに法律に違反する資金や武器の取り引きを大きく減らす。”

法律に違反する資金とは、他者から奪ったお金や不正行為で得た資金のことを指します。このような法律に違反する資金を大きく減らすことを目標にすると同時に、奪われた側の財産が返されるようにすることも大切です。

また、法律に違反する武器の取り引きを減らし、あらゆる組織的な犯罪をなくすことも達成目標の一つです。

5.汚職や贈賄を減らす

  • “あらゆる形の汚職・贈賄を大きく減らす。”

開発途上国を中心に警察や司法における不正は深刻な事態となっています。汚職や贈賄などが常態化してしまうと、公正・平等に争いを解決することが難しくなるだけではなく、犯罪を減らすことも難しくなります。また、犯罪が適切に裁かれないなどの事態に陥ってしまいます。

※贈賄……権利を持つ人間に対して、自分にとって有利な方向へとすすめてもらうために金品を渡すこと。

6.公的な機関を発展させる

  • “効果的にはたらきができ、誰もがそのはたらきの内容を理解できる公的機関を発展させる。”

公的な機関とは、日本では「独立行政法人」「政府関係機関」「地方公共団体」などが挙げられます。

特定の場所において客観的かつ中立に物事を判断するためには、公的な機関を設置することが大切です。開発途上国はもちろんのこと、先進国においても公的な機関が正常に機能するようにしなければなりません。

7.すべての人が参加する形でものごとを決められるようにする

  • “物事が決められる際には、すべての人が参加し、取り残される人がいないようにする。”

ルールを設けたり、新たな基準をつくったりするなど、何らかの物事を決める際には、必ずすべての人が参加できる形であることが重要です。

一部の人々にだけ有利な事態にならないよう、すべての人々が参加者となれる社会を実現し、それぞれの意見や立場から代表者を選出してすべての人が間接的にでも物事に関われるようにしなければなりません。

8.国際的な機関への、開発途上国の参加を広げる

  • “国境を超える問題を解決するための国際的な機関への、開発途上国の参加を広げて強化する。”

世界の問題を解決するためには、国際的な機関へ、開発途上国も積極的に参加することが求められます。

先進国が主導となるのではなく、開発途上国も参加することで、各国のニーズも把握しやすくなり、より一層の問題解決につながります。

9.すべての人が法的な身分証明を持てるようにする

  • 2030年までに、出生登録もふくめて、すべての人が法的な身分証を持てるようにする。”

日本ではほとんどの人が持っている身分証明。免許証やパスポート、マイナンバーカード、保険証などあらゆる形の身分証明があります。しかし、開発途上国ではまだまだ身分証明を持てていない人がいるのが現状です。

不便な生活を強いられていたり、身分証明ができないことで貧しい暮らしをせざるを得ないでいたり、など、あらゆる悪循環に陥ってしまいます。

また、世界中で、5歳未満の子どものうち、およそ4人に1人は出生登録がなされておらず法的に「存在していない」状態に置かれています。このような状況は、教育を受けることができなかったり、裁判を行えなかったり、あるいは人身売買など、犯罪の温床にもなっているため、早急な是正が望まれます。

SDGs目標16では、2030年までにあらゆる人が身分証明を持てるようにすることを目標としています。

10.基本的な自由がおかされず、守られるようにする

  • “国内の法律や国際的な取り決めにしたがって、誰でも情報収集ができるようにして、基本的な自由が守られるようにする。”

インターネットなどで情報を手に入れられるようにすることは、個人の自由を尊重することでもあります。基本的な自由がおかされることなく、守られるようにして、誰もが有益な情報を得られるようにすることが重要です。

達成するための具体的な方法2

SDGsの目標16を達成するためには、具体的に以下2つの方法があります。

1.各国で問題に取り組む機関の力を強める

まずは、各国で暴力やテロなどの犯罪をなくせるように、問題に取り組む機関の力を強化する必要があります。

とくに、開発途上国は暴力やテロ、子どもの搾取などあらゆる問題が深刻化しているのが現状です。国際的な協力が得られるように、各国が問題に取り組むための期間を設け、強化しなければなりません。

当然、日本も同様であり、開発途上国の問題を他人事と捉えず、先進国としてできることを考えていくことが重要です。

2.差別のない法律や政策をすすめる

SDGsの目標16を達成するためには、すべての国が差別のない法律や政策を推進することが重要です。

SDGsの根本である、持続可能な開発の実現のためにも、差別は根絶しなければならない問題です。しかし、まだまだ国によっては、人種や性別、貧困などを理由に不利な状況に陥っている人々が少なくありません

すべての人にとって、平和かつ公正な社会をつくるためにも、個人の状況や立場に左右されることのない法律・政策が必須です。

日本における取り組み事例

SDGsの目標16における、日本企業の取り組み事例を紹介します。

【企業】1.オカムラ

オカムラが実施しているSDGs目標16の取り組みは、コンプライアンスの推進や人権の尊重などが挙げられます。人権を尊重することを徹底し、個性や多様な文化を理解するよう努めています

社内外の差別を排除していきながら、高い倫理観に基づいて公正かつ透明、誠実な企業活動を実施しています。

出典:株式会社オカムラ|サステナビリティ情報

2.【社団法人】ガールズスカウト日本連盟

ガールズスカウト日本連盟では、ジェンダーによる差別や暴力について学ぶ機会を提供しています。

小学校1年生~25歳を対象に「 Stop the Violence(STV)キャンペーン」として活動。少女に対する暴力をなくすためのキャンペーンを展開し、「身体的暴力」「人身売買」「いじめ」「性的暴力」などさまざまな問題がある現状への理解を深め、少女たちがそのような問題から身を守ることができるようにするための取り組みに注力しています。

出典:持続可能な開発目標(SDGs)|公益社団法人ガールスカウト日本連盟 

3.【企業】スタイル・エッジ・グループ

スタイル・エッジ・グループが掲げるSDGsの取り組みは、公正なサービスの提供および、適切なコンサルティングが挙げられます。

トラブルを抱える人々と、専門家をつなぐ事業を展開し、誰もが平等に問題解決へと目指せるように取り組んでいます。また、誰もがアクセスしやすいよう、独自にシステムを開発し司法をすべての人々にとって身近なものになるよう活動しています。

出典:国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関する取り組み|株式会社スタイル・エッジ

4.【企業】フォーバルテクノロジー

フォーバルテクノロジーでは、徹底したリーガルチェックが行われています。まず、反社会的勢力との取引を排除し、管理者に対しても未然防止のための指導を継続的に実施しています。

組織的な監視を徹底し、すべての人への平和や公正をもたらすことを目標としています。

出典:SDGsへの取り組み | フォーバルテクノロジー

世界における取り組み事例

ここからは、世界における具体的な取り組み事例をご紹介します。

出典:SDG Industry Matrix日本語版 | グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

1.ネスレ

飲料品や食品などを世界中に販売しているネスレ。同社が実施しているSDGs目標16への取り組みとして、腐敗防止に関する国連グローバル・コンパクトの原則10をビジネス原則と業務行動規範に組み入れています。

そして、従業員に対してオンラインと対面授業でトレーニングを行っています。また汚職に反対する行動要請にも署名しており、9,000人を超える従業員が、贈賄や不正を防ぐためのトレーニングに参加しました。 

2. インテル

インテルは、アメリカに本社を持つ半導体素子メーカーです。同社では、インターネットなどでの個人の表現の自由や人権を守るため、テクノロジー製品における自由や人権への影響を調査しています。

また、プライバシーやセキュリティにも配慮し、ユーザーを保護するために世界基準としてセキュリティなどの基準を提唱しています。 

3.フローア

フローアは、国際的なエンジニアリングおよび建設を担う会社です。同社は、集団行動のなかで、社外における腐敗防止の取り組みについて支援。「事業を失っても腐敗を許さないこと」を目指し、透明性のある事業展開を実現しています。

また、フローアのCEOは、腐敗防止に関するB20タスクフォース(世界の国や地域に対してビジネスの観点でサポートする団体)の共同議長を務めています。

フローアは、同業界全体の倫理の改善を目的としたトレーニングやプロジェクトと協同しています。 

4.ゼネラルエレクトリック

アメリカを拠点に展開しているゼネラルエレクトリックは、電気事業を提供する会社です。多国籍の企業でもある点が特徴で、SDGsにも積極的に取り組んでいます。

同社が行っている取り組みは、上級国際弁護士プログラムによる司法サービスの提供や、法的環境の課題に取り組むための会議の実施などです。

会議の出席者は、NGOや政府関係者、ビジネスリーダーなどで、公平で開かれた調達やリーダーシップトレーニング、責任ある投資のための法的環境などさまざまな課題が話し合われましたSDGsに基づき、根本的な課題解決を目指しています。 

 

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概要

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  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

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まとめ

世界では、暴力や差別、不正など改善すべき課題が非常に多いのが現状です。また、開発途上国では、子どもからの搾取が深刻化していて、国際的に手を差し伸べていかなければなりません。

SDGsの目標16を達成するために企業ができることとしては、すべての従業員に平等な制度を設けたり、社内におけるコンプライアンス問題に目を向けたり、ハラスメント対策を行ったりすることなどが挙げられます。

 

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