社会

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の概要と取り組みをわかりやすく解説

SDGsについて興味があるけど具体的に何をすればいいの?」といった疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。

SDGsには17の目標があり、まずはそれぞれの目標について理解を深め、「自社の事業と関連が深そうな目標は何か?」を見定めることが大切です。

全部で17あるSDGsの目標のうち5・ジェンダー平等を実現しよう」は、主に「性別や立場の不平等」へ目を向けた目標です。今回はSDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」についてわかりやすく解説するとともに、日本や世界における取り組み事例を紹介します。

 

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SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは

SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは、性別による不平等をなくすための目標です。

各国で女性の基本的人権を守るための運動・取り組みが推進されていたり、職場の制度を改善したりするなど、さまざまな動きが見られるようになってきました。しかし、それはまだまだ一部の国・地域に限定されていて、世界規模で見てみると、差別や暴力などに苦しんでいる女性が多い状況です。

ジェンダー平等の実現は具体的にどのように進めていくのかという点と、ジェンダー平等の現状については以下の通りです。

ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る

ジェンダー平等を達成することは、同時に持続可能な世界の基盤をつくることにつながります

女性及び女児の差別は国・地域によってはまだまだ根強く、差別をはじめ身体的な暴力や性的暴力、児童婚など深刻な問題を抱えている状況です。

SDGs目標5が掲げる「ジェンダー平等を実現しよう」では、女性及び女児が必要な教育や医療へアクセスできるようにして、男性同様に働けるような環境を確立することを目指しています。また、女性が政治に参画できる環境を整えることで、さらに経済の活性化を期待できるようになり、国や社会全体が豊かになるのです。

数字で見る「ジェンダー平等」の現状

世界では、75,000万人にも及ぶ女性と女児が18歳未満で結婚しているのが現状。さらに、女性や女児のFGM(女性器を切除する慣習)は未だ行われていると言われています。FGMを受けた女性・女児の数は2億人と見られ、膨大な数の身体的暴力が許されている状況なのです。

また、性的関係において自分で決定できる女性は全体の52%程度しかいません。そして、15歳から49歳の女性(19%の女児も含む)5人に1人が1年以内に身体的暴力もしくは性的暴力を受けています。

女性・女児の人権を守り、社会に参画できるようにするために、SDGsの目標5として「ジェンダー平等を実現しよう」が策定されました。

 

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SDGsの目標5における6つの達成目標

SDGsの目標5における達成目標は、大きく6つ存在します。具体的にどのような目標が設定されているのか、以下から解説していきます。

1.すべての女性と女の子に対する差別をなくす

  • “あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。”

本記事でも触れた通り、世界では女性や女児の差別が根強く、暴力も常態化している状況です。例えば、6歳から11歳の子どものうち、学校に通えない子どもは女の子が男の子の2倍といった結果も出ています。

教育機会に触れられない女児は、大人になったときに仕事に就くことが難しくなり、より一層社会的に弱い立場になってしまうことが懸念されています。

2.女性や女の子の売買、暴力、一方的な利用をなくす

  • “女性・女の子の売り買いや、性的な搾取、あらゆる形の暴力をなくす。”

女性や女の子が一般的に売買される国があります。売買の目的は主に性的な利用や、強制労働、強制結婚などさまざまです。いずれの場合にせよ、人身売買は人権を無視した行為です。

とくに、アフリカにおける女性・女の子の人身売買は多く、そもそも男女間での人権格差も大きい状況です。こうした女性・女の子を減らすことが、SDGs 5の達成目標となっています。

3.早すぎる結婚や強制的な結婚をなくす

  • “児童の結婚やFGM、強制的な結婚など、女性・女児の人権を無視した結婚・慣習をなくす。”

開発途上国を中心に、児童の結婚や女性が望まない強制結婚などは後を絶ちません。また、女性器を刃物で切り取るような慣習(FGM)においては、かつてよりも減少傾向にあるものの、未だ行われている状況。全廃を達成できておらず、心身を傷つけられる女性・女児は多い状況です。

4.子育て、介護、家事などの仕事の大切さを認めるようにする

  • “対価が発生しない家庭内の仕事「子育て」「介護」「家事」が、対価の発生する仕事と同じくらい大切なものであるということを認められる社会をつくる。”

子育てや介護、家事などは対価が支払われない分、あまり重要視されない傾向にあります。とくに、主婦・主夫として家庭の仕事をしていると、パートナーとの立場・関係性に差を感じるという声は少なくありません。

しかし、子育てや介護、家事なども、お金を得られる仕事と同様に必要な仕事であり、欠かせないことです。それを理解し、認められるようにすることが目的なのです。

5.女性でも男性と同じように率先して行動できるようにする

  • “政治や経済、社会における取り決めを行う際には、性別を問わずに率先して参加したり、リーダーになったりできるようにする。”

国や地域によっては、女性は男性のように政治や経済、社会などへ意見することができないケースが見られます。

SDGsの目標5では、こうした現状に目を向け女性も男性も、あらゆる場面で率先して発言し、参加し、行動を起こせるようにすることを目指しています。

6.性や出産に関する健康と権利が守られるようにする

  • “国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画などに基づき、すべての人が性に関すること、子どもを産むことに関する健康と権利が守られるようにする。”

開発途上国などでは、性や出産に関する情報に触れる機会が少ないだけではなく、健康や権利について守られないケースもあります。性的暴力を防ぎ、避妊の決定を女性が行えるようにするためにも、この達成目標は重要な内容です。

【関連記事】

ジェンダー平等に関する問題|世界中から性別による格差をなくそう

達成するための具体的な方法3

SDGsの目標5を達成するための具体的な方法としては、女性におけるお金の問題の解決や、女性の能力の向上、国の政策づくりなどが挙げられます。

1.女性も金融サービスの利用・相続ができるように改革

SDGs目標5を達成するためにも、まず必要な方法として挙げられるのが女性における金融サービスの利用及び相続ができるように改革することです。

国や地域によっては、男性が金融サービスを利用できるのに対し、女性は許されていなかったり、そもそも利用するチャンスがなかったりすることがあります。また、土地などの財産を持てるのも男性が多い傾向にあり、女性としては立場が弱くなりがちです。

性別を問わずに、金融サービスにアクセスでき、財産・相続も性別に関係なく自らが判断できるようにしなければなりません。

2.インターネットの技術を高めて女性の能力を向上する

女性が自立することは、女性のエンパワーメントを図るうえで重要です。そのためにも、女性の能力を向上する必要があるでしょう。現時点で有効であると考えられるのはインターネットの技術を向上させることです。

インターネット環境が浸透することで、開発途上国にも大きな変化をもたらします。先進国同様に、女性もさまざまな情報に触れ、さまざまなチャンスを生み出せるようにすることが重要です。

3.適切な政策や効果のある法律をつくる

ジェンダー平等を推進するためには、まずは男女平等を徹底しなければなりません。男性や男の子だけではなく、女性も女の子も能力を高めて、性別を問わずに平等に生きられるようにすることが大切です。

そのためには、国や地域が一丸となって、女性・女の子の能力向上を促せるような法律をつくったり、強化したりする必要があります。

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ジェンダー平等に向けてできることを、個人・企業に分けて紹介

日本での取り組み事例

日本では、SDGs目標5に関する取り組みを行う組織・団体が数多く存在します。なかには、自社でも役立てられそうな取り組みを導入しているケースもあります。

具体的に、どのような取り組みが行われているのか、以下から参考にしてください。

1.【企業】アクセンチュア

アクセンチュアが実施しているSDGs目標5の取り組みとして挙げられるのは、「社内の働き方改革」です。誇りを持てる未来を目指し、アクセンチュアが独自に「Project PRIDE」として働き方改革を行っています。対象は全社員であり、リーダーのコミットメントや、効果測定、テクノロジーの活用及び仕組化などを導入しています。

そして、すべての社員にとって平等な職場環境とするために、ジェンダーや障がい者、LGBTQなどに目を向け、従業員の男女比を見直したり、自分らしさを尊重したりするなどの取り組みを行っています。

出典:SDGsへの取り組み|アクセンチュア

2.【企業】Kanatta

Kanattaでは、SDGs目標5の取り組みとして、女性や女児のエンパワーメントを図ることの実現に貢献しています。具体的には、女性が輝ける仕組みをつくったり、女性自身がやりたいことを自由に表現できるようにしたりするなど、「働く女性」を応援しているのです。

女性が中心に集まるコミュニティも運営しており、インターネットを中心に情報発信し、女性たちの活躍の場を広げることを目指しています。

出典:SDGsの取り組み | 株式会社 Kanatta

3.【企業】ザ・コーポレートゲームズ 東京

コーポレートゲームズとは、ワールドカップのようなトップアスリートが競う国際スポーツ大会ではなく、すべての人が参加できる国際マルチスポーツフェスティバルです。

ザ・コーポレートゲームズ 東京では、老若男女すべての人が平等に大会に参加できるようなしくみを取り入れています。

大会自体は、8歳~120歳が参加可能。国籍や宗教を問わずに参加できるため、誰もが平等に楽しめるのが特徴です。また、性別や障がいの有無などでハンデとなってしまうこともあるため、特別ルールを設けた大会実施を行っています。
大会づくりを通し、お互いの「相互理解」を深めることが同社の目指す方向です。

出典:持続可能な開発目標(SDGs)への取り組み | コラム | ザ・コーポレートゲームズ東京 2018 アジアパシフィック

4.【企業】デイライト法律事務所

デイライト法律事務所が実施しているSDGs目標5の取り組みは、LGBT問題の解消に向けた啓発活動」です。

もともと、同社はLGBT問題の解決に向けて情報発信をしていました。現在も、ホームページを活用して現状を発信したり、講演活動を行ったりして、啓発活動を広げています。

また、女性の活躍推進や女性差別の防止として「女性が社会の中で活き活きと活躍すること」を目指しセクシュアルハラスメントをテーマとしたセミナーを実施するなど、女性が安心して働ける環境の実現へとアクションを起こしています。

出典:当事務所の社会貢献への取り組み | 福岡の弁護士による法律相談|デイライト法律事務所

世界における取り組み事例

最後の項では、SDGs目標5の世界における取り組み事例について紹介します。

今回、紹介するのは、コカ・コーラカンパニーや、ケロッグカンパニーなどの有名企業4社。世界ではどのような取り組みが行われているのか、ぜひチェックしてください。

出典:SDG INDUSTRY MATRIX—産業別SDG手引き—食品・飲料・消費財産業|UNGC

1.コカ・コーラカンパニー

コカ・コーラカンパニーは、日本でもおなじみ「コカ・コーラ」などの清涼飲料水を製造・販売しているアメリカの会社です。

同社が行っている取り組みは、同社のバリューチェーン全体の女性起業家のエンパワーメントを図るというもの。およそ500万人の女性起業家に対して経済的にメリットが得られるような仕組みです。具体的には、ビジネススキルの向上や、パートナーとの協力体制の確立、資金調達手段の確保のサポートなどが挙げられます。また、女性がビジネス面で指導を受けるための機会を増やし、これまでに86万5,000人にも及ぶ女性を応援しfてきました。

コカ・コーラカンパニーという、組織の大きい会社だからこそ実施できる取り組みと言えるでしょう。

2.ケロッグカンパニー、カーギル、ASDA

ケロッグカンパニーは、アメリカに本社を置く食品・菓子などの製造を行う会社です。そして、カーギルはアメリカに本社を置く穀物メジャー、ASDAはイギリスの小売業者です。

上記の3社では、SDGs目標5における取り組み内容として、コートジボワールのカカオ農村の女性への支援を行っています。まず、現地の女性が抱えている問題について理解を深め、個人のスキルの向上や、情報発信、アドバイスなどを行っています。

最大1万人の女性を対象として、農業のノウハウと、ビジネススキルの改善を促すためのトレーニングを提供しています。女性にとって、ビジネスにおけるトレーニング環境は貴重なものであり、同社の取り組みは多くの女性を救うことにつながっています。 

3.ウォルマート

ウォルマートはアメリカに本部を持つ、世界最大のスーパーマーケットチェーン店です。売り上額は世界最大を誇り、規模の大きな会社でもあります。

そんな同社が行う取り組みは、世界中の女性に目を向けた支援です。小規模事業を営む女性に対し、ユニークな商品を購入できるオンラインショップを立ち上げたり、資金を女性が経営する企業から調達したりしています。

その額は2016年まででおよそ200億ドルにも及んでいて、今後はさらに倍増させることを目標としています。

4.ネスレ

スイスで誕生したネスレは、ミネラルウォーターやコーヒー、ベビーフードなど、さまざまな製品を取り扱う会社です。同社では、コートジボワールのカカオサプライチェーンの女性に向けた支援を行っています。

女性における平等な機会の創造や、女性の発言権の供与、女性の所得の向上などさまざまな点に目を向けています。具体的には、現地の女性と連携して、カカオの生産に関する技術や知識を提供。女性の生産性と所得の向上を図っています。

 

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まとめ

本ページで触れた通り、ジェンダー平等は国内外で課題が多い問題です。とくに、女性や女児における問題は根深く、国によっては女性の尊厳に著しく関わるケースもあります。

ジェンダー平等への取り組みとして、女性と男性の差や、世界におけるジェンダー問題について理解を深めることは、目標5の実施への第一歩です。

また、テレワークの導入や、子育て・介護中の従業員に配慮した制度に見直すことも、企業ができる取り組みの一つです。ぜひ、これを機に社内の制度や環境に目を向けてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

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