企業がSDGs経営に取り組まないとどうなる?実施すべき理由・メリット、2030年に生じるリスクを解説
世界中の企業や投資家などから注目を集めているSDGs。国際社会が協力して2030年までに達成すべき目標です。
しかし、まだSDGsを念頭に置いた経営に手をつけられていない企業も多いかもしれません。このままSDGs対策を「やらない」選択をした場合、将来どうなるのでしょうか。
この記事では、SDGsに関する取り組みを何もしないと、2030年頃に企業はどうなってしまうのか、予測されるリスクを解説します。併せてSDGs活動への第一歩を支援するサービスも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
SDGsのはじめの一歩を実現する「SDGsの社内浸透方法」とは?
\SDGsイベント・研修向け体験型アクティビティの資料はこちら/
目次
SDGsとは?
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2001年に策定された「ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継となる世界共通の目標です。持続可能でより良い社会を築くための17のゴール・169のターゲットから構成されています。
SDGsは、2015年9月の国連サミットにおいて加盟国のすべてが合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)」のなかで掲げられました。 2030アジェンダの前文に、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことの誓いが述べられています。
参照:SDGsとは?|JAPAN SDGs Action Platform|外務省
SDGsはすべての人に関わる目標
SDGsとその前身であるMDGsはどのような違いがあるのでしょうか。MDGsとは、開発分野における国際社会共通の目標です。MDGsは開発途上国の貧困削減、人間開発に焦点が当てられており、先進国はそれを援助する側という位置付けでした。
MDGsは極度の貧困と飢餓の撲滅など、2015年までに達成すべき8つの目標を掲げ、国際社会の協力により一定の成果をあげました。しかしその一方で、地域や年齢、性別、所得格差などを理由に、取り残された人々の存在が明らかになったのです。SDGsは、MDGsが残した課題を引き継ぎ、次々と出現する新たな課題も包括したものになっています。
SDGsの達成は、政府や国際機関の力だけではなしえません。地方自治体や企業などのあらゆる団体から、個々人にいたるまで、全人類あげての行動が求められます。
SDGsの社内浸透にお困りですか? SDGsコンパスなら体験を通してSDGsを楽しく学べます!
企業がSDGsに取り組むべき理由とは?
MDGsでは途上国の開発問題に焦点が当てられていましたが、SDGsでは「経済」「社会」「環境」の3つのバランスを重視し、先進国も含めた世界共通の目標となっています。とりわけ経済に関係する目標は、企業の協力なしには達成することが難しいものです。
また、企業それぞれの新しい発想やアイデアが、さまざまな環境問題や社会問題の解決につながるのではないかと期待されています。
持続可能な社会の実現に向けて、企業の協力は不可欠です。事業規模の大小に関わらず、すべての企業がSDGs達成に向けて積極的に取り組むことが求められています。
SDGs経営を「やらない」企業は2030年頃にどうなる?
SDGsは国際社会共通の目標とされていますが、法的な拘束力はないので、たとえ達成できなかったとしてもペナルティが課せられることはありません。しかし、今から何かしらのアクションを起こしておかないと、SDGsの達成期限である2030年頃には、ビジネスの世界で生き残れなくなる可能性があります。
経済産業省の「SDGs経営ガイド」では、企業がSDGs取り組まなかった場合のリスクを以下のように示しています。
“SDGsに取り組まなかった場合の「リスク」として、企業の評判が下がる、規制が強化された際に規制に抵触する、消費者が商品を購入してくれなくなる、といったものがある。”
“以前はESG(※1)やサステナビリティ(※2)に関する取組を先んじて行うことにより、中期的な企業価値が上がり競争力向上につながると考えていたが、最近はどの企業も取り組んでいるため、取り組まないこと自体がリスクであると、見方を変えている。”
※1:EGS
環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字を合わせた言葉。近年、投資家が企業を評価する新たな指標として注目されている。
※2:サステナビリティ
日本語では「持続可能性」を意味する言葉。「環境・社会・経済」に配慮し、持続可能な社会の発展をめざす考え方や取り組みを指す。
今やSDGsを経営に取り入れないことはリスクとなる時代です。移り変わる社会のなかで企業が長く存続するためには、SDGsへ積極的に取り組む必要があります。
企業がSDGsに取り組む4つのメリット
SDGsに取り組むことで、企業に大きなメリットがもたらされます。具体的な例として、以下のようなものがあります。
1.企業イメージの向上
SDGsで掲げられている目標は、全世界が取り組むべき課題です。こうした課題に積極的に取り組むことで、社会的責任を果たす行動として高く評価され、企業イメージの向上に寄与します。
2.新たな事業機会の創出
SDGsへの取り組みは、社会貢献はもちろん、企業価値の向上や新たな事業機会の創出につながります。SDGsが掲げる課題を解決するべく、製品やサービスの開発に取り組むことで、革新的な技術や新たなビジネスモデルが生まれやすくなるからです。同じくSDGsに取り組む企業や団体と協働することで、ビジネスチャンスの拡大も期待できます。
また、SDGsは、企業が将来のマーケットを探すツールとしても活用可能です。SDGsの目標達成に向けて、世界の大きな方向性は一致しています。世界の動向を確認するうえで、SDGsは大いに参考になるでしょう。
3.優秀人材の獲得・定着率向上
企業にとって、優秀な人材の確保や定着は大きな課題です。SDGsが掲げる「ジェンダー平等」や「働きがいの向上」といった課題に積極的に取り組み、社内環境や社員の教育が整備されていけば、社員の離職を防ぎ、定着率を向上することができます。さらに、社員にとって魅力的な会社という評判が広がることで、優秀な人材の獲得競走で有利になるでしょう。
4.コストの削減
環境負荷を減らすために、省資源・省エネを徹底して行うことにより、コスト削減が実現しやすくなります。また、人材の定着率が高まることで、採用コストを抑えられる効果も期待できるでしょう。
SDGs活動への第一歩を支援するサービス
SDGsに取り組む必要性を理解しながらも、なかなか新たなアクションを起こせない企業も多いのではないでしょうか。ここからは「最初の一歩」を踏み出すためのサービスを紹介します。
1.ワールドリーダーズ
ワールドリーダーズは、企業経営を疑似体験しながら、SDGsを学べるビジネスゲームです。各チームは企業として事業戦略を立て、労働力や資本を使って利益を競い合います。しかし、利益を追求するだけでは企業価値を高めることができません。ゲームに勝利するためには、環境や社会などさまざまな要素を考慮しながら、より多くの利益を生み出す必要があります。ゲームを通じて、SDGsにおける企業の役割を学ぶ以外にも、戦略思考や情報共有、駆け引きを体験でき、チームビルディングにも効果的です。
- 実施時間:5〜3時間
- 参加人数:10〜100名
- プレイ人数:1チーム3~6名(4チーム以上必要)
2.ある惑星からのSOS
オンラインで楽しめる、SDGsと謎解きを掛け合わせたビジネスゲームです。参加者は「ある惑星」を救うために、さまざまな環境問題や社会問題を解決しなければなりません。ストーリーに沿って謎解きに挑戦しながら、星の現状を知り、課題の解決に取り組むことで、SDGsをより身近なものとして捉えられるようになります。このゲームでは、チームでの情報共有や役割分担が重視されるため、お互いのSDGsに関する意見共有の場としても活用が可能です。
- 実施時間:2〜5時間
- 参加人数:10〜500名
- プレイ人数:1チーム4~6名
3.IKUSAのSDGsマッピング
IKUSAのSDGsマッピングは、SDGsの知識があまりない方でも気軽に取り組める、入門編のワークショップです。自社の事業とSDGsの17目標を紐づけることで、SDGsへの取り組みを「自分ごと化」できるようになります。ワークに入る前に、SDGsの基礎知識をしっかり解説するので初心者でも安心です。「ワールドリーダーズ」や「ある惑星からのSOS」のオプションとして体験利用可能です。
- 実施時間:5〜2時間
- 参加人数:30~100名
- プレイ人数:1チーム5~8名
参照:SDGsマッピング|SDGsの社内浸透を推進するワークショップ | IKUSA.JP
4.SDGsアドベンチャー
SDGsを楽しみながら学べる体験型ワークショップです。ゴミの分別をテーマにした「ポイポイ島」やみんなで協力することの大切さを知る「つみつみ島」など、いくつかの島に見立てたワークショップを周遊し、そこでの体験を通してSDGsへの学びを深めていきます。すべての島をクリアできたらゴール! 遊びの要素が強いので、子どもから高齢者まで幅広く楽しめます。SDGsに関連する企業イベントを企画したい方にもおすすめです。
- 実施時間:60分程度
- 参加人数:30〜100名
SDGs研修・体験型SDGsイベント
【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)
概要
- 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
- 子どもが楽しみながらも本気で学べる、複数の職業体験を実施
- 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能
特徴
- あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
- 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
- ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進
まとめ
SDGsは2015年に国連で採択された、持続可能でより良い社会の実現をめざす世界共通の目標です。SDGsの達成期限とされる2030年まで、あと10年もありません。ゴールに向けて、企業が果たす役割はますます高まるばかりです。
企業にとって、SDGsに取り組むことは大きなビジネスチャンスとなり、取り組まないことはリスクとなる時代です。今すぐにでも何らかのアクションを起こさなければ、世界に取り残される可能性があります。
2030年に勝ち残る企業になるためには、SDGs目標達成に向けて身近にできることから始めることが重要です。今回紹介したサービスを参考に、その第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
SDGsのはじめの一歩を支援するSDGsイベント・研修とは?
SDGsのはじめの一歩を実現する「SDGsの社内浸透方法」とは?
進めるための具体的なステップを紹介!
自分ゴト化を促進!3分で分かるSDGs研修・イベントサービスの詳細動画
\SDGsイベント・研修向け体験型アクティビティの資料はこちら/
【関連記事】
こちらの記事ではMDGsの成果や課題について解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。
MDGs(ミレニアム開発目標)とは?成果や課題、SDGsとの違いを解説
こちらの記事では、SDGsそのものやSDGsの達成度について解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。
SDGsとは
サステナビリティとSDGsの違いが知りたい方はこちら。
サステナビリティとSDGsの違いとは?意味や関連用語をわかりやすく解説
EGC投資とSDGsの違いが知りたい方はこちら。
ESG投資とは?SDGsとの違いやメリットをわかりやすく解説
この記事を書いた人
正木友実子
福岡在住。大学を卒業後、大手食品メーカー勤務を経て、異業種のライターへ転身。求められている情報をわかりやすく伝えることがモットー