サステナビリティとSDGsの違いとは?意味や関連用語をわかりやすく解説
ここ数年、「サステナビリティ」「サステナブル」といった言葉をよく耳にするようになってきました。
サステナビリティは直訳すると「持続可能性」を意味し、地球環境や人間社会の持続可能性を示す概念として用いられています。しかし、「SDGs」や「ESG」など似たようなワードも存在し、それぞれの違いがよくわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、今さら聞けないサステナビリティの意味や、SDGs やESG、CSR、エシカルとの違いについて解説します。
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目次
サステナビリティとは?
サステナビリティ(Sustainability)とは、「sustain(持続する、保つ)」と「-able(~できる)」を組み合わせた造語で、日本語では「持続可能性」と訳されています。
サステナビリティとよく似た言葉に「サステナブル(sustainable)」がありますが、これは「持続可能な」という意味を持つ形容詞です。「サステナブルな社会」とは、地球環境や資源が適切に保全され、将来に渡って平和で豊かな生活が持続できる社会を指します。
とはいえ、その実現は容易ではありません。たとえば地球温暖化による世界的な気候変動は、大きな課題の一つです。この現象は集中豪雨や高温熱波といったさまざまな自然災害を引き起こし、私たちの生活を脅かしています。
サステナブルな社会を実現するためには、CO2削減など気温変動を緩和するための具体的な対策が欠かせません。世界共通の目標として、一人ひとりができることから実践することが重要です。
参照:持続可能な開発(Sustainable Development)|外務省
参照:SDGsとは|JAPAN SDGs Action Platform|外務省
サステナビリティが注目されるようになった背景は?
サステナビリティの概念は、1987年の「環境と開発に関する世界委員会」(WCED)で「サステナブル・ディベロップメント(持続可能な開発)」のための課題として取り上げられたのが始まりとされています。
その後、1992年にリオデジャネイロで開催された「国連環境開発会議」、いわゆる「地球サミット」において、サステナビリティという言葉が広く認知されるようになりました。
さらに2015年9月の国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されたことにより、サステナビリティの重要性が広まりました。
日本でも2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしようとする目標を掲げ、社会全体でサステナビリティを重視する方向に大きく転換しようとしています。
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サステナビリティとSDGsとの違い
サステナビリティと区別がつきにくい用語の一つが「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」です。どちらもよく耳にする言葉ですが、両者の違いがよくわからないという声も聞かれます。
ここでは、サステナビリティとSDGsの違いと関係性をわかりやすく解説します。
参照:SDGsとは|JAPAN SDGs Action Platform|外務省
1.SDGsとは?
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、国連に加盟している193か国が2030年までに達成すべき目標です。サステナブルな社会を実現するために、17のゴ―ルが設定されています。さらには、その目標を達成するために169のターゲットが設定されており、ターゲットの下には現時点で247の指標(重複を除くと231指標)が定められています。
その内容は多岐に渡り、貧困や平等といった倫理に関わるもの、水やエネルギー、気候変動のように環境に関わるもの、教育や経済成長といったこれからの発展に関わるものなど、さまざまな方面の目標が設定されています。これらはSDGsのスローガンである、世界中の「誰一人取り残さない−No one will be left behind」世界を実現するために、発展途上国や先進国、人種、性別など関係なく取り組んでいくべき目標です。
近年の日本でも、SDGsの推進に取り組む企業や個人が年々増加してきました。SDGsに取り組む企業は、社会貢献に意欲的な企業として高く評価されるため、消費者や株主、地域などから信頼を得ることができます。また、従業員の社会に貢献しているという意識も高まり、モチベーションアップにも繋がるでしょう。
2.サステナビリティとSDGsの違い
SDGsは、サステナビリティ(持続可能性)を実現するための手立てです。サステナブルは「世界全体で、美しい地球や私たちの生活を保ち続けるための設計や仕組みを考えること」を意味するのに対し、SDGsは「サステナブル社会を実現するために掲げられた目標」という違いがあります。
わかりやすくいうと、サステナビリティとSDGsの違いは「具体的な目標設定」の有無です。
サステナビリティは、持続可能な社会の重要性と実現に向けた取り組み全般を指す抽象的な概念です。SDGsも同じく持続可能な社会をめざすものですが、実現に向けて必要な項目を17の具体的な目標として提言している点が異なります。さらに、ESGやCSRなど、サステナビリティを具体化する考えが存在します。
参照:持続可能な開発(Sustainable Development)|外務省
参照:SDGsとは|JAPAN SDGs Action Platform|外務省
サステナビリティとCSR、ESG、エシカルとの違い
サステナビリティに関連する用語としてSDGsのほかに「ESG」や「CSR」があります。サステナビリティとそれらの関係性を一言で表すと、サステナビリティ(持続可能性)を実現するための具体的な取り組みがSDGs・ESG・CSRです。また、もう一つサステナビリティと混合されやすい言葉として「エシカル」が存在します。
それぞれの違いについて詳しくみていきましょう。要点を下記の表にまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。
サステナビリティ | 持続可能な社会を実現するための広範で抽象的な概念 |
SDGs | サステナビリティを可視化するための具体的な指標 |
ESG | 財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンス要素も考慮した投資のこと |
CSR | 企業の社会的責任を重視 |
エシカル | 倫理的・道徳的であることを重視 |
参照:「SDGs経営/ESG投資研究会報告書」を取りまとめました(METI /経済産業省)
CSRとは
CSRは「Corporate(組織)」「Social(社会的な)」「Responsibility(責任)」の頭文字をとったもので、日本語に直訳すると「企業が担う社会的責任」という意味を持つ言葉です。
ここでいう社会的責任とは、投資者や従業員、消費者、環境課題などへの配慮から社会貢献まで、幅広い事柄に対して適切な意思決定を行う責任を指します。
SDGsが「国や企業が協力して解決すべき目標」であるのに対し、CSRは「国際社会をより良いものにするための活動」である点が異なります。企業がCSRに取り組むことは、結果的にSDGsの目標達成に繋がると考えられています。
ESGとは
ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の略語です。
2006年に発足したPRI(責任投資原則)を機に、企業が成長をし続けるためにはE・S・Gの三つの観点が重要だという考えが世界的に注目されるようになりました。従来の財務情報だけでなく、ESGの観点から投資先を決めることをESG投資といい、ESG投資をする人をESG投資家と呼びます。
SDGsが「国や企業が推し進める目標」であることに対し、ESGには「企業が経営をする際に重視すること」という意味があります。
CRSとの根本的な違い
CSRは企業経営において環境や社会問題の解決を促すものではありません。一方、ESGでは環境・社会課題の解決が経営課題の中心として据えられています。この点において両者は根本的に異なります。
CRSとの共通点
両者とも環境・社会改題の解決に向けた企業活動により、直接的または間接的に影響を与える消費者や取引先、地域社会などの利益に配慮して経営判断を行っています。その点に関しては共通点があるといえるでしょう。
エシカルとは
エシカル(ethical)とは、直訳すると「道徳上の」「論理的な」といった意味です。多くの人々が正しいと感じる社会的な規範を指します。「エシカルファッション」や「エシカル消費」など、地球環境や地域社会に配慮する行動や思考などを表現する際に使われている言葉です。
サステナブルとエシカルでは「重視している事柄」が異なります。サステナブルが「持続可能性」を重んじているのに対し、エシカルは「良識的」「論理的」であることを最重要視しています。
サステナビリティに関連するワードの認知度はどれくらい?
楽天インサイト株式会社が、2020年12月22〜23日の2日間に「SDGsに関する調査」をインターネットで実施し、次のような結果が得られました。
サステナビリティに関連するキーワードの認知を聞いたところ、「SDGs」の認知計(「よく知っている」と「聞いたことがある」の合計数)は50.7%となりました。
提示したキーワードのなかで最も認知度が高かったキーワードは「ふるさと納税」(96.7%)です。以下「気候変動」(86.0%)、「フードロス(食品ロス)」(85.0%)、「クリーンエネルギー」(83.0%)、「ジェンダー平等」(70.0%)、「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」(68.8%)の順で続き、いずれも「SDGs」よりも認知度が高い結果となっています。
ちなみに「サステナブル」の認知度は「SDGs」に次ぐ50.3%でした。このことから、SDGsおよびサステナブルの認知は、まだ十分には浸透していないことが明らかになりました。
「SDGs」17目標のなかで興味・関心があるもの・実際に取り組もうと思うもの
(n=1,000:全員回答)複数回答 単位:%
出典:持続可能な開発目標『SDGs』の認知度は約50%|リサーチ・行動ログデータなら楽天インサイト
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- ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進
まとめ
サステナビリティを取り巻く状況は日々変化し、「SDGs」「ESG」「CSR」などの関連するワードも増えてきました。
SDGsは世界共通の目標、ESGは投資家からの視点、CSRは企業からの視点であり、いずれも突き詰めればサステナビリティ(持続可能性)に配慮した社会の実現をめざすという点では同じです。
まだ日本での認知度は高いとはいえないものの、今後の活動の広がりが期待されます。
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この記事を書いた人
正木友実子
福岡在住。大学を卒業後、大手食品メーカー勤務を経て、異業種のライターへ転身。求められている情報をわかりやすく伝えることがモットー