バリアフリーの身近な例24選!言葉の意味や4つのバリアについても解説
「バリアフリー」という言葉を聞いて、何を思い浮かべますか? 今回は、普段何気なく使っているバリアフリーの本来の意味とバリアの種類、最も重要とされる「心のバリアフリー」や、ユニバーサルデザインとの違いについて解説したうえで、私たちの身近にあるバリアフリーの例を、「街中」「駅や公共交通」「住宅」という3つのカテゴリー別にご紹介します。
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そもそも「バリアフリー」とは?
バリアフリーのバリア(barrier)とは、「障壁」を意味する英単語です。バリアフリーとは、社会の中にあるさまざまなバリアを取り除く(フリーにする)ことをいいます。
バリアフリーは、もともとは道路や建物の入口にある段差などを取り除くという意味で使われてきた建築用語です。現在は、すべての人が社会に参加できるよう、すべての分野のあらゆるバリアをなくすという意味で用いられています。
社会の中には、年齢や性別、国籍、価値観や能力もさまざまな人が暮らしています。多様な人がいるにもかかわらず、社会の仕組みは多数を占める人に合わせてつくられていることが多いです。たとえば、内閣府が公表している情報によると、日本で身体障がい、知的障がい、精神障がいのいずれかを有している人の割合は、総人口の7.6%です。多数を占める「障がいのない人」が気づかないところで、障がいのある人は多くの不便さや困難を感じながら暮らしています。
バリアフリーとは、多様な人がいることを考えて、誰もが参加しやすい社会に変えていくことなのです。
参考:参考資料 障害者の状況|令和3年版障害者白書(全体版) – 内閣府
4つのバリア
具体的に、「バリア」にはどういったものがあるのでしょうか。社会の中にあるさまざまなバリアは、大きく4種類に分けられます。
- 物理的なバリア
- 制度的なバリア
- 文化・情報面でのバリア
- 意識上のバリア
一つずつ、詳しく見てみましょう。
1.物理的なバリア
物理的なバリアとは、公共交通機関や道路、建物などを利用する人の移動を困難にするものです。たとえば、
- 駅のホームと電車の隙間・段差
- バス乗降口の段差
- 車いすの人に届かない位置にあるボタン
- 通りにくい通路(狭い、急こう配、床が滑りやすいなど)
などがあります。
2.制度的なバリア
制度的なバリアとは、社会の制度やルールにより、少数の人が、多数を占める人と同じ機会が得られないことです。たとえば、
- 盲導犬同伴の受け入れ拒否
- 就職や資格試験受験の際の、障がいを理由とする制限
などがあります。
3.文化・情報面でのバリア
文化・情報面でのバリアとは、少数の人が、多数を占める人と同じ情報や文化活動の機会が得られないことです。たとえば、
- 新聞、信号、タッチパネル式のみの操作版など、視覚に障がいのある人にとって利用が困難なもの
- 手話通訳のないイベント・講演会、駅や車内での音声アナウンスなど、聴覚に障がいのある人にとってわかりにくいもの
などがあります。
4.意識上のバリア
意識上のバリアとは、少数の人に対する偏見や差別、バリアフリーに対する関心の低さなどのことです。たとえば、
- 高齢者や障がいのある人に対して「かわいそう」「気の毒」などと思う気持ち
- 無意識に点状ブロックの上に立ったり物を置いたりする
- 障がいのない人が、車いすの人のための駐車枠を利用する
などがあります。
バリアフリーとユニバーサルデザインとの違い
バリアフリーと混同しがちな言葉として、「ユニバーサルデザイン」があります。英単語のユニバーサル(universal)には、「普遍的な」「万人の」などの意味があり、すべての人が利用できるようにデザインすることをユニバーサルデザインといいます。
政府は、「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進要綱」(平成20年3月28日)で、バリアフリーとユニバーサルデザインを以下のように定義しています。
【バリアフリー】
“物理的な障壁のみならず、社会的、制度的、心理的なすべての障壁に対処するという考え方”
引用元:バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進要綱 |バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進 – 内閣府
【ユニバーサルデザイン】
“施設や製品等については新しいバリアが生じないよう誰にとっても利用しやすくデザインするという考え方”
引用元:バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進要綱 |バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進 – 内閣府
つまり、すでに存在しているバリアを取り除くことがバリアフリー、はじめから多様な人が利用することを考えてデザインすることがユニバーサルデザインといえるでしょう。
ユニバーサルデザインの7原則
ユニバーサルデザインという考え方は、1980年代に、アメリカ・ノースカロライナ州大学のロナルド・メイス氏によって提唱されたもので、7つの原則があります。
- 誰でも同じように利用できる(公平性)
- いろいろな使い方ができる(自由度)
- 使い方が簡単ですぐに理解できる(単純性)
- 使う人が必要な情報が簡単に得られる(わかりやすさ)
- うっかりミスをしても危険につながらない(安全性)
- 少ない力でも楽に使える(省体力)
- 使うために十分な広さがある(スペースの確保)
身近な例としては、シャンプーボトルのギザギザ(リンスと区別するためのもの)や、缶ビールの点字表示などがあります。
日本は少子高齢化が進んでおり、今後は加齢によるバリアを感じる人が増えていくと予想されます。誰もがいきいきと暮らせる社会を実現するためには、バリアフリー、ユニバーサルデザインの両方に基づく取り組みが必要です。
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大切なのは「心のバリアフリー」
多様な人にとって暮らしやすい社会をつくるためには、意識上のバリアをなくすことが最も重要です。そのために、一人ひとりに「心のバリアフリー」が求められます。「心のバリアフリー」とは、多様な人の立場になって考え、バリアをなくすための行動を起こすことです。
まずは、自分の周りにどんなバリアがあるか目を向けてみましょう。たとえば、次のような場面に出くわしたことはありませんか?
- お店の前に段差があり、車いすの人が入りづらそうだった
- 電車で空席がなく、マタニティマークを付けた人が近くに立っていた
- エレベーターを待っていたら、大きな荷物を持った高齢者が後ろに並んでいた
バリアに気づいたら、「〇〇しましょうか?」「何かお困りですか?」など、勇気を出して声をかけてみましょう。もちろん、中には自分でできる人や助けがいらない人もいますので、声をかけても断られるケースもありますが、誰もが受け入れられる社会をつくっていくためには、一人ひとりが意識を変えてアクションを起こしていくことが大切です。
身近なバリアフリーの例24選
具体的に、バリアフリーにはどのようなものがあるのでしょうか。ここからは、「街中」「駅や公共交通」「住宅」の3つのカテゴリー別に、身近なバリアフリーの例を24個紹介します。
街中でのバリアフリー例
まずは、街中で見かけるバリアフリーの例を、9個紹介します。
1.スロープ
スロープ(傾斜路)は、階段や段差を上り下りするために設置される坂道のことです。車いすの人や、杖を利用している人なども、スロープがあれば上下の移動がしやすくなります。
特別特定建築物に該当する施設(学校や、患者の収容施設を有する病院、老人ホーム、その他大勢の人が集まる一定規模以上の施設)を新築する場合、または増築、改築、用途変更を行う場合は、スロープを設置しなければなりません。(バリアフリー法及び建築物バリアフリー条例による義務)
スロープは、幅140cm以上(階段併設なら90cm以上)、勾配は屋内なら1/12以下、屋外なら1/20以下、手すりを設置する、始点と終点部には平坦部分を設けるなど、すべての人にとって利用しやすいように基準が設けられています。
2.階段
階段も、特別特定建築物の新築、増築、改築、用途変更の際に、バリアフリー化が義務づけられている建築物特定施設の一つです。
階段をバリアフリー化する場合、けあげ(1段の高さ)を18cm以下、踏面(足を乗せる階段の上面)を26cm以上としなければなりません。角度で表すと約35度になります。ちなみに、建築基準法で定められている住宅の階段の基準は、けあげ23cm以下、踏面15cm以上、角度で表すと約57度です。バリアフリー化すると、かなり緩やかな階段になることがわかります。
ほかにも、幅を120cm以上にする、手すりを設置する、表面は滑りにくい仕上げとするなど、階段にもさまざまな基準が設けられています。
参考:建築基準法の 階段に 係る 基準に ついて – 国土交通省(PDF)
3.エレベーター
エレベーターも、特別特定建築物の新築、増築、改築、用途変更の際に、バリアフリー化が義務付けられている建築物特定施設の一つです。
かごの奥行を135cm以上とする、乗降ロビーの幅・奥行きを150cm以上とする、車いすの人や視覚に障がいがある人に配慮した仕様とするなど、エレベーターにもさまざまな基準が設けられています。車いすの人や視覚に障がいがある人に配慮した仕様とは、たとえば、ボタンを大きくして低い位置に設置する(視覚に障がいがある人にも見やすく、車いすの人も押しやすい)、二方向に出入り口を設ける(車いすの人が向きを変えずに乗り降りできる)などです。
4.エスカレーター
エスカレーターにも、さまざまなバリアフリーの工夫がされているものがあります。たとえば、運転方向を知らせるために、「このエスカレーターは上り(下り)です」のような音声を流しているものや、床用の案内標識を設置して視覚で示しているものもあります。
ほかにも、段鼻(ステップの端)に色がつけられているものや、いきなり上がる(下がる)のではなく、始点と終点部のステップ3枚分は平部分としているもの、動きが速いエスカレーターと遅いエスカレーターを2基設置している施設など、安全に利用できるようなさまざまな工夫がされています。
5.誘導用ブロック
誘導用ブロックとは、視覚に障がいのある人が安全に移動するために道路や通路に設置するもので、点字ブロックとも呼ばれています。誘導用ブロックには、線状ブロックと点状ブロックの2種類があります。
- 線状ブロック
道筋を示すためのもので、誘導する方向と平行に線状の突起を4列以上設置します。 - 点状ブロック
一時停止や注意を促すためのもので、点状の突起を5列以上設置します。
駅のホームでは、路線への転落を防止するために、ホーム側に内方線という線状の突起が設けられており、視覚に障がいがある人もホームの外側と内側が区別できるようになっています。
6.音響式信号機
音響式信号機とは、視覚に障がいがある人に、歩行者信号が青であることを知らせるためのもので、メロディ式と擬音式の2種類があります。
- メロディ式(とおりゃんせ、故郷の空)
- 擬音式(ピヨピヨ、カッコー)
2022年3月末時点で、全国に設置されている音響式信号機の数は20,838基で、約99%が擬音式です。警察庁は、横断の方向をより明確にし、安全に歩行者を誘導するために、異種鳴き交わし方式の整備を進めています。異種鳴き交わし方式とは、交差点の両端で違う種類の音(ピヨとピヨピヨ、カッコーとカカッコー)を、時間をずらして鳴らすというものです。
7.エスコートゾーン
エスコートゾーンとは、視覚に障がいがある人の横断方向の手がかりとして、横断歩道上に設置される突起体の列のことです。
出典:こころと社会のバリアフリーハンドブック 障害ってどこにあるの? – 国土交通省(PDF)
視覚に障がいがある人がよく利用する施設の周辺の横断歩道、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」で定められている重点整備地区内の主要な生活関連経路にかかる横断歩道に、優先的に設置されています。
8.駐車場
バリアフリー化が義務付けられている特別特定建築物に該当する施設は、駐車場を設ける場合、車いすの人のための駐車場を1枠以上設けなければなりません。1枠の幅は350cm以上とし、利用する施設の入り口にできるだけ近い場所に設置します。
参考:車いす使用者用駐車場施設の適切な利用の確保 – 総務省(PDF)
9.多目的トイレ
多目的トイレとは、車いすの人をはじめ、高齢者や障がいのある人、子ども連れの人など、多様な人が利用できるように設計されたトイレのことです。
トイレもバリアフリー化が義務づけられている建築物特定施設の一つで、車いすの人が利用しやすいように広いスペースを確保することや、手すりを設置する、オストメイト(人工肛門・人口膀胱をつけた人)対応の水洗器具を設置するなど、さまざまな基準が設けられています。
駅や公共交通のバリアフリー例
次に、駅や公共交通で見かけるバリアフリーの例を、10個紹介します。
10.ホームドア
ホームドアとは、線路への転落を防止するためにホームの端に設置するドアのことです。国土交通省の資料によると、2020年度末時点でホームドアが設置されている駅の数は943駅となっています。
車両扉の位置や、設置コストなどの課題に合わせてさまざまなタイプのホームドアが開発されています。以下は、その一例です。
- 昇降ロープ式ホーム柵(支柱伸縮型)
- 昇降ロープ式ホームドア
- 昇降バー式ホーム柵(視認性改良型)
- 戸袋移動型ホーム柵
- マルチ対応ホームドア
- スマートホームドア®
- 大開口ホーム柵
- 軽量型ホームドア
国土交通省のホームページでは、これらのホームドアが動画付きで紹介されています。
参考:鉄道:新たなタイプのホームドアの技術開発 – 国土交通省
11情報表示装置・案内表示
情報表示装置は、電車の発車時刻や行先、ホーム、遅延の状況などを表示する装置で、改札口付近に設置されています。案内表示は、電車やバスの中の乗客に見えやすい位置(ドアの上など)に設置されている、次の停車駅や行先、遅延の状況などを表示するものです。
これらの中には、色の区別がつきにくいという障がいがある人でも見分けやすいように、カラーユニバーサルデザインが用いられているものもあります。
参考:東京都カラーユニバーサルデザインガイドライン – 東京都(PDF)
12.案内サイン
案内サインとは、駅構内にあるエレベーターやトイレなど施設の場所を、利用者に案内するためのものです。視覚に障がいのある人や、日本語がわからない人にも伝わりやすいように、図記号(ピクトグラム)が多く用いられています。駅や公共交通だけでなく、商業施設の中や道路など、街中でもよく目にするものです。
東京都では、案内サインを大きく3種類に分けて定義しています。
- 指示サイン:施設などの方向を示すもの(例:トイレの図記号+矢印)
- 同定サイン:施設などの位置がここであると示すもの(例:〇〇改札口、△番出口など)
- 図解サイン:現在地や施設の位置関係などを図で示すもの(例:駅構内のマップ、周辺エリアマップなど)
また、設置形式も天井や梁などから吊り下げるタイプや、壁や柱に平付けるタイプ、自立させるタイプなどさまざまなものがあります。
参考:ターミナル駅における案内サインの共通化指針 – 東京都市整備局(PDF)
13.音声・音響案内
駅構内では、視覚に障がいがある人に改札口やトイレなど施設の位置を知らせるために、さまざまな音声・音響案内装置が設置されています。たとえば、
- 改札口を知らせる音:「ピン・ポーン」
- トイレがあることを知らせる音声:「こちらにトイレがあります。右(または左)が男性用、左(または右)が女性用です。」
- 車内でドアの開閉を知らせる音声:「ドアが閉まります」「こちら側のドアが開きます」
- 電車の到着・発車を知らせる音声:「〇番ホームに電車がまいります、ご注意ください。」「△番線、電車が発車します。駆け込み乗車はおやめください。」
などです。
14.自動券売機・精算機
自動券売機や精算機にも、車いすの人が利用しやすいようにさまざまな工夫がされています。たとえば、設置する高さを低くする、車いすの足置きの部分を入れられるようにカウンターの下の奥行きを広くするなどです。
また、最近はタッチパネル式の自動券売機や精算機も増えていますが、音声ガイドや数字ボタンを設置して、視覚に障がいがある人も利用しやすいように工夫されています。
15.優先席
優先席とは、高齢者や障がいのある人、妊娠中の人や、子ども連れの人などが優先的に利用できるように設置された座席のことです。電車やバスの入り口付近に設けられており、座りやすいように座席やつり革が低い位置に設置されていることもあります。
優先席と一般の座席を見分けるために、優先席は一般の座席とは異なる配色、柄が用いられます。中には、つり革や通路、壁面などの色を変えて、優先エリアをより明確に示している車両もあります。必要とする人が優先席を利用しやすいように、優先席の背後の窓などにステッカーを貼り、車外からも優先席がある車両が一目で区別できるようになっています。
参考:資料3-3 優先席等の適正な利用の推進について – 国土交通省(PDF)
16.車いすスペース
電車やバスの中には、車いすの人が車いすのまま電車やバスを利用できるように、広いスペース(幅75cm以上、長さ130cm以上)が確保されている場所があります。車いすの人だけでなく、ベビーカーで子どもを連れている人も安心して利用できるように、車いすマークと合わせてベビーカーマークも表示されています。
17.スロープ板
スロープ板とは、ホームと電車や、歩道とバスの乗降口の隙間や段差を解消し、車いすの人の乗り降りを支援するための板のことです。
現在は、車いすの人からの要望を受けて、駅員やバスの運転手が取り外し可能なスロープ板を設置しています。そのため、どうしても乗り降りに時間がかかってしまうという課題があります。この課題を解決するために、JR西日本は自動スロープの開発を進めています。安全性や利便性を検証したうえで、数年後の実用化を目指しているとのことです(2021年11月時点)。
参考:車椅子の列車乗降スムーズに JR西日本が自動スロープ: 日本経済新聞
18.ノンステップバス
ノンステップバスとは、乗降口のステップをなくし、車内のノンステップエリアを広く確保したバスのことです。
昭和の頃のバスは、エンジンが前方にあったため運転席や座席の位置が高く、階段が2段あるツーステップバスがほとんどでした。その後乗り降りしやすいバスが求められるようになり、エンジンを車両の後ろに移動させ、ノンステップエリアを広く確保したノンステップバスが誕生したのです。ノンステップバスでは、バスの左前方のタイヤハウスの上にあった座席も廃止し、代わりに燃料タンクと伝い歩き棒が設置されています。
日本で普及しているのは、後部座席がやや高くなっている「簡易ノンステップバス」ですが、海外では後部座席までフラットな「フルノンステップバス」が広く普及しています。
19.ニーリング
ニーリングとは、エアサスペンションの空気を調整して車体を上げたり下げたりする機能のことです。バスを傾けて歩道との段差をなくし、乗り降りをしやすくします。ニーリングは、ノンステップバスには標準装備されている機能です。
車体を下げたバスの姿が、人が片膝をついているように見えることから、英単語のニー(knee:膝)よりニーリングと名付けられたといわれています。
住宅のバリアフリー例
バリアフリー住宅とは、ライフステージや性別、障がいの有無にかかわらず、家族全員が快適に生活するための設備や機能、システムが備わった住宅のことです。どのような設備や機能を導入すれば「バリアフリー住宅」になるのかは、家族構成や将来の過ごし方によっても変わってきます。
最後に、住宅のバリアフリー化の一例を、5つ紹介します。
20.段差をなくす
高齢者や障がいのある人にとっては、少しの段差や急な階段が大きなバリアになりますので、これらをなくすことで、生活がしやすくなります。たとえば、
- 玄関の階段をスロープにする
- 敷居を撤去する
- お風呂をリフォームして脱衣所との段差をなくす
などが挙げられます。
21.手すりを設置する
段差を解消しても、足腰が弱くなると移動が負担になり、転倒のリスクも高くなります。手すりを設置することで、移動時の安全性を高めることができます。階段、廊下、トイレ、浴室など、よく利用する場所から優先的に設置します。
ただ、手すりを設置すると通路の幅が狭くなり、逆に車いすでの移動がしづらくなってしまうこともあります。廊下は78cm以上の幅(柱の部分は75cm以上)を確保したうえで、リフォームの設計をすることが大切です。
22.引き戸に変更する
引き戸は、開き戸に比べて出入り口の幅が広いものが多く、開け閉めの動作も楽なので、引き戸に変えることで移動がしやすくなります。しかし、引き戸は戸袋(引き戸の扉が収納される部分)スペースが必要になるので、どこにでも設置できるわけではありません。引き戸への変更が難しい場合は、レバーハンドルをつけるだけでも開閉がしやすくなります。
23.トイレをリフォームする
和式の便器は足腰への負担が大きいので、洋式の便器に変更するだけでも、利用がかなり楽になります。可能なら、家族の誰かが介護が必要になった時のことを考えて、車いすでも利用しやすい広いスペースを確保する、タンクレスのトイレにして手洗い場を設ける、寝室に近い場所にトイレを移動するなどができると、なお良いでしょう。
24.お風呂をリフォームする
在来工法の浴室は、浴槽が狭く、段差が大きいつくりになっており、タイルの床も滑りやすくて危険です。対して最新のユニットバスは、浴槽の段差も小さく、滑りにくいフロア材が使われているので、在来工法の浴室から最新のユニットバスに変更するだけでも、入浴の動作がかなり楽になります。
また、お風呂はヒートショックが起きやすい場所です。最新のユニットバスに変更することで、機能面だけでなく、断熱性や保温性を向上させることができるため、ヒートショックの防止にもつながります。
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まとめ
身近なバリアフリーの例を24個紹介しました。私たちが街中や駅、公共交通を利用する際などに見かけるバリアフリーは、物理的なバリアもしくは文化・情報面のバリアをなくすためのものがほとんどです。しかし、真のバリアフリーとは、この2つのバリアに加えて、制度的なバリアと意識上のバリアをなくすことをいいます。さまざまなバリアをなくし、誰もがいきいきと暮らせる社会を実現させるためには、一人ひとりの「心のバリアフリー」が大切です。
本記事で紹介した例以外にも、私たちの身近にはバリアフリーの工夫がされたものがたくさんあります。まずはこうしたものに目を向け、どんなことにバリアを感じる人がいるのかを考えてみるところからはじめてみましょう。
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この記事を書いた人
あらたこまち
雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。