社会

サプライチェーンとは?基本についてわかりやすく解説

企業の事業活動に関わる用語である「サプライチェーン」。耳にしたことはあるけれど、具体的な意味はわからないという人もいるでしょう。SDGsへの取り組みが普及しつつある現代において、企業が消費者や取引先企業から信頼され高評価を得るには、持続的に成長していくには、サプライチェーンにおけるで環境・労働・人権などを意識する必要があります。

この記事では、サプライチェーンの意味やサプライチェーンマネジメントを導入する管理するメリット、SDGsとの関係などについて解説します。サプライチェーンの基礎を学びたい人は、ぜひ参考にしてください。

 

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サプライチェーンとは 

「サプライチェーン」とは、原材料の調達・設計・製造・物流・販売といった、製品がつくられて消費者の手に届くまでの一連の流れを指します。サプライチェーンはさまざまな企業で構成されていますが、その関係性は「垂直的な関係」と「水平的な関係」の2種類に分類されます。

  • 垂直的な関係……とは原材料の調達・設計・製造・物流・販売の流れに沿った企業の関係で、
  • 水平的な関係……とは同じ工程を担当する企業の関係です。(水平的な関係にあたる企業の例:としては、企画を複数の企業で行うなったり、物流を複数の業者で連携する、など)したりといったことが挙げられます。

企業の垂直的および水平的な関係をすべて含んだうえで、製品の製造から消費に至るまでのプロセスすべてがサプライチェーンなのです。

参考:サプライチェーンとは?意味・定義 | ITトレンド用語 | NTTコミュニケーションズ

 

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サプライチェーンマネジメントとは 

サプライチェーン全体を管理することを「サプライチェーンマネジメント(SCM)」といいます。これまでは、製品の供給を効率化・最適化して企業の利益を上げるために行われてきました。しかし、SDGs(持続可能な開発目標)が普及している近年では、自社の利益を追求するだけでなく、環境や人権といった分野に自社が与える影響を意識して、責任を持つことも求められるようになっています。そして、その責任の範囲は、企業が関わるサプライチェーン全体に及ぶという考え方が強まっているのです。

サプライチェーンマネジメントの重要性

企業がサプライチェーンマネジメントに取り組むことは、主に以下のポイントにおいて重要です。

  • 社会・環境リスクの回避
  • 被害の最小限化
  • 消費者や投資家などからの好評価につながる

企業のサプライチェーンにおける「強制労働」「長時間労働」「賃金未払い」「環境破壊」などの社会・環境問題が発覚した場合、企業のブランドイメージは傷つき、顧客や取引先、求職者など、あらゆるステークホルダーからの信用を失うことになります。業務が停滞したり、不買運動が起こったりするリスクもあります。

環境・労働環境・人権などに配慮したサプライチェーンマネジメントに取り組むことで、企業は社会・環境リスクによる社会的・経済的打撃を回避できるのです。

また、サプライチェーンマネジメントを行うなかで手続きやルールを整備しておけば、万が一トラブルが起こっても被害を最小限に抑えられます。例えば、製造過程での確認事項を明確にしておくことで、事故や製品の不備が発生する可能性を下げることができ、リカバリーにかかるコストの削減にもつながります。

参考:CSR調達入門書―サプライチェーンへのCSR浸透―|グローバルコンパクト

サプライチェーンマネジメントの課題

前項で述べた通り、サプライチェーンマネジメントを行うことで、企業は社会・環境リスクを回避できたり、トラブルが起こっても被害を最小限に抑えられたりできます。ただし、企業がサプライチェーンマネジメントを行うには、おもに以下のような課題もみられます。

  • 関係者全体での情報共有や意思統一に時間がかかる
  • インフラ整備や人材育成などにコストがかかる

サプライチェーンは原材料の調達・設計・製造・物流・販売といったさまざまな工程を含むため、関係する企業・人員は膨大な数になるでしょう。その全員に、サプライチェーンマネジメントに関する知識を身につけさせ、意思統一を図るにはかなりの時間がかかります。

また、情報共有や意思統一に必要なシステムの構築や、サプライチェーンマネジメントの中枢を担う人材の育成などに必要なコストも考慮しなければなりません。こうした課題を考えると、特に規模の小さな中小企業には、本格的なサプライチェーンマネジメントの導入は難しいといえるでしょう。

サプライチェーンマネジメントの事例

サプライチェーンマネジメントの事例として特に知られているのは、トヨタ自動車の「ジャスト・イン・タイム」です。大量生産・大量消費という生産スタイルからのあり方を脱却し、必要なときに必要な量だけ生産する方式を導入することで、資源も時間も労力もムダにすることなく、効率的な生産ができるようになりました。

トヨタ自動車の事例は、サプライチェーンマネジメントで工程のムダを徹底して省くと、コスト削減だけでなく、長時間労働や過剰な残業といった労働環境の改善にもつながることを示しています。 

参考:トヨタ生産方式 | 経営理念 | 企業情報 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

SDGs時代のサプライチェーンマネジメントとは

従来のサプライチェーンマネジメントは、製品の品質やコスト、納期といった企業の利益に関わる部分を効率化するために行われていました。しかし、近年はそこに新たな目的が加わるようになったのです。

グローバル化が進む現代では製品が国外で販売されることも当たり前になり、世界レベルのネームバリューを持つ企業が増えていきました。そうして企業活動が世界をマーケットとして行われるようになり、企業が社会・消費者に対する影響力を持つようになるなか企業の影響力が高まるなかで求められるようになったのが、「CSR(企業の社会的責任)」という概念です。

CSRとは、「企業は自社の利益を追求するだけでなく、環境や社会全体に与える影響に配慮しながら事業を行うべき」という考え方です。例えば、製品の原材料の調達が環境破壊につながっていたり、違法な労働環境のなかで製品が製造されていたりした場合、CSRが果たされているとは言えません。

こうした環境や人権といった問題については、2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の目標としても取り上げられており、いまや世界中がSDGsに対する取り組みを行なっています。そのなかでCSRも強く求められるようになったため、環境・労働環境・人権などに配慮したサプライチェーンマネジメントを指す「CSR調達」や「サステナブル調達」という言葉に注目が集まるようになりました。

現在、SDGsに対する取り組みを行う企業は増えており、消費者や投資家などが企業を選ぶ指標の1つになっているほどです。そのため、SDGsの達成につながるサプライチェーンマネジメントを行なって実施していないことは、もはや企業にとってリスクともいえるのです。

サプライチェーンに潜むリスク

サプライチェーンを適切に管理をするためには、サプライチェーンにどのようなリスクがあるのかも把握しておく必要があります。ここでは、サプライチェーンに潜むリスクの種類とのほか、企業にできる対処法についてもみていきましょう。

参考:サプライチェーンリスクと危機からの復旧|経済産業省

自然災害やパンデミックに代表される「環境的リスク」

地震や洪水などの自然災害によって生産拠点の被災や物流ルートの断絶などが起き、サプライチェーンが危機に陥る場合があります。そのほか、新型コロナウイルスの感染拡大のようなパンデミックも、サプライチェーンリスクとして注目を集めています。

事実、新型コロナウイルス感染拡大後の2020年に経済産業省が行なった調査(下図参照)によると、感染症によるサプライチェーンへの影響が「重大なリスク」として認識されていたことが読み取れます。

(出典: サプライチェーンリスクと危機からの復旧|経済産業省

パンデミックへの対策は難しいものがありますが、自然災害によるサプライチェーンリスクに対しては対処法があります。例えば、生産拠点の位置や物流ルートを把握し、その場所で起こりうるリスクを調査することです。ハザードマップ(災害マップ)などと照らし合わせれば、どんな環境リスクが起こりうるかがわかります。調査で災害リスクの高い場所に生産拠点や物流ルートが集中していた場合は、移転や別ルートの開拓を検討したり、万が一の事態が起こったときのガイドラインを作成したりするとよ良いでしょう。

テロや政治的な不安などの「地政学的リスク」

テロや権力闘争などによって国内が不安定になることで、貿易が制限されたり、インフレ(物価情報)やデフォルト(債務不履行)などで経済情勢が悪化したりすることも、サプライチェーンリスクと言えます。もし、原材料や部品を輸入していた国の貿易が制限されたら、日本国内で製造工程を行うことができません。テロが発生した国に関連企業があった場合は、従業員の安全のために営業を停止する可能性が高いでしょう。

テロや政変などは急に起こるものではなく、ある程度は前兆となる動きが見られます。そのため、世界情勢に関する情報収集を常に行い、前兆が見えた段階で従業員への指示や別ルートの利用などの対処を取るようにしましょう。

経済危機や原料の価格変動といった「経済的リスク」

企業が製品を生産する際、原料費や人件費、製造経費に企業の利益分をプラスして価格を決めるのが一般的です。そのため、原料の価格変動は企業の利益に大きな影響を及ぼします。特に、原料が農産物の場合は気候の影響を大きく受けるため、冷害や干ばつなどで不作となって生産量が減少すれば、原料の価格はほぼ確実に高騰するでしょう。

とはいえ、気候が原因の原料費高騰はある程度予測が可能であるため、別の国からも輸入したり、生産量を調整したりといった対応は可能です。

サイバー攻撃やシステム障害などの「技術的リスク」

サプライチェーンを管理する際に利用するIT機器やソフトウェアに、ウイルスを浸入させるサイバー攻撃もリスクの1つとして考えられます。自社のIT機器でなくとも、関連企業や子会社などセキュリティ対策が万全でないところがウイルスに感染し、情報流出につながるパターンもあります。サイバー攻撃が要因となってシステム障害が起こると、業務ができなくなる場合もあるでしょう。

そういった技術的リスクに対しては、ウイルスソフトの導入と定期的な更新、取引先企業のセキュリティポリシーやセキュリティ対策の確認といった対処が有効です。それでも完全に被害を防げるとは限らないため、万が一の事態が起こった際の責任の所在を、あらかじめはっきりさせておくようにしましょう。

参考:サプライチェーン攻撃 | セキュリティ用語集 | サイバーセキュリティ | NECソリューションイノベータ

 

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SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)

 

概要

  • SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
  • 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
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特徴

  • 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
  • チームで戦略を練り様々な可能性を話し合う必要があるため、深いチームビルディングに繋がる
  • 様々な選択肢の中から取捨選択して最適解を導く考え方を身につけることができる

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【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)

概要

  • 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
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特徴

  • あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
  • 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

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【親子・子ども向け地域イベント】SDGsアドベンチャー(商業施設・自治体向け)

概要

  • 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
  • 子どもが本気で楽しめる複数の体験型アクティビティを実施
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特徴

  • ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
  • 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

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まとめ

 

サプライチェーンやサプライチェーンマネジメントについて学ぶことは、企業活動において重要です。むしろ、SDGsが普及してきている現代においては、サプライチェーンマネジメントに取り組んでいないことが、企業にとってのリスクにもなりかねません。

サプライチェーンやサプライチェーンマネジメントの基礎を学び、メリットや課題、リスクも含めて把握することで、企業のSDGsに関する取り組みに役立てていきましょう。

 

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サプライチェーンとバリューチェーンの違いとは?分析してSDGsに役立てよう 

CSRについて、以下の記事でより詳しく解説しています。参考にぜひご覧ください。

CSRとは?取り組むメリット・企業事例をわかりやすく解説

マッスー

この記事を書いた人

マッスー

Webライター兼Web編集者。出版社に約10年勤務した後にフリーランスに。おもに、金融系・社会科系・ライフスタイル系のジャンルで執筆・編集に携わっています。基本的には引きこもりの超夜型で、お気に入りの音楽とスイーツに囲まれながら仕事をしています。

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