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企業にとってのレジリエンスとは?高める方法、SDGsとの関係も解説

テクノロジーの進展やグローバル化など、変化の激しい時代の中で企業が成長を続けていくためには「レジリエンス」が欠かせません

本記事では、レジリエンスの意味や、注目されている背景、SDGsとの関係、企業がレジリエンスを高めることで得られるメリットや、高める方法について、わかりやすく解説します

 

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レジリエンスとは?

レジリエンス(resilience)は、回復力、復元力、弾力性などの意味を持つ英単語です。もともとは、科学分野で「物体の弾性」を表す言葉として使われてきましたが、近年は、「逆境や困難を跳ね返す力」として、あらゆる場面で用いられるようになってきています。

このレジリエンスが形容詞になったものが、レジリエント(resilient)です。「レジリエントな〇〇(まち、企業など)」というように、日本でもさまざまな名詞と組み合わせて用いられることが増えています。

レジリエンスの対義語は、脆さ、傷つきやすさなどの意味を持つバルネラビリティ(vulnerability)です。日本語では、「脆弱性」ともいいます。

各分野におけるレジリエンスの意味

レジリエンスという言葉は、用いられる場面によって少々意味が異なります。ここからは、工学、自然科学、ビジネスの3つの分野別のレジリエンスについて、詳しく解説します。

工学の分野におけるレジリエンス

工学の分野では、災害による被害を予防する力と、被害からしなやかに回復する力を「災害レジリエンス」と呼んでいます。

大きな災害が発生すると、水や電気が止まってしまったり、家が倒壊してしまったりなど、生活機能の一部または全部が失われる可能性があります。災害時を想定して、システムの多重化などにより予防力を高め、さらに復旧に必要な資源を多く集めて回復力を高めることで、機能中断による影響を最小限に抑えようというのが、災害レジリエンスの考え方です。

自然科学の分野におけるレジリエンス

自然科学の分野には、「気候レジリエンス」と「生態学的レジリエンス」という2種類のレジリエンスがあります。

まず、気候レジリエンスとは、地球温暖化によるものと思われる異常気象への対応力や受容力を指します。気候レジリエンスを高めるためには、台風や洪水といった自然災害における災害レジリエンスの向上に努めるだけでなく、地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するなどの緩和策を実施することが重要です。

そしてもう一つ、生態学的レジリエンスとは、生態系の回復力や弾力性のことを指します。かつては、「生態系は変化しても、ゆるやかに元の状態に戻っていく」と考えられていました。しかし、近年の研究では、生態系にはレジリエンスを保てる限界値があることがわかってきています。生態系を守るためには、まずは私たち人間が生態系システムの限界値を知ることが大切なのです。

ビジネス分野におけるレジリエンス

ビジネスの分野では、「個人のレジリエンス」と「組織のレジリエンス」の2種類が求められるようになってきています。

まず、個人のレジリエンスとは、社員個人の「精神回復力」を指します。強いストレス要素に直面した時に、うまく適応する力ともいえるでしょう。もちろん個人差はありますが、レジリエンスの高い人・低い人には、次のような特徴が見られます。

【レジリエンスが高い人の特徴】

  • 多角的な視点で物事を捉えられる
  • 周囲の人と良好な関係を築ける
  • 積極的にチャレンジする
  • 自身の感情をコントロールできる

【レジリエンスが低い人の特徴】

  • 思考に柔軟性がない
  • 人付き合いが苦手
  • チャレンジすることを恐れている・チャレンジしようとしない
  • 自身のネガティブな感情に振り回されがち

そしてもう一つ、組織のレジリエンスとは、「事業を継続していく力」のことです。企業の災害レジリエンスや、環境変化に対応する力などを指します。

 

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レジリエンスが注目されている背景

近年、なぜレジリエンスが求められるようになったのでしょうか。ここでは、その理由を解説します。

VUCA時代の到来

VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったもので、将来の予測が困難な状態を表す言葉です。グローバル化やテクノロジーの進展、地球温暖化によるものと思われる異常気象、新型コロナウイルス感染症の拡大など、予測困難な事象が次々と起こっている現代は、「VUCA時代」と呼ばれています。

このような状況の中で、次々と起こる変化に柔軟に対応しながら企業を存続させ、成長させ続けていくために、レジリエンスが求められるようになってきています

少子高齢化・仕事人生の長期化

少子化の影響で、若い世代(25~44歳)の労働力人口は減少傾向にあり、人材の採用が難しい時代となっています。その一方で、65歳以上の労働力人口は、ここ数年増加し続けています。医療技術の発達などにより健康寿命が延びたことと、時代とともにライフスタイルや価値観が変わってきたことで、仕事人生が長期化しているのです。

政府は、シニア雇用政策や人生100年時代を見据えた経済社会システムづくりに力を入れています。最近であれば、高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの就業機会確保が事業主の努力義務となったのも記憶に新しいところでしょう(202141日施行)。

このように、時代に合わせて法律や制度、社会の仕組みは変わってきています。これらに速やかに対応できる力が、企業にも求められているのです。

深刻化するメンタルヘルス問題

厚生労働省の調査によると、202011月1日から20211031日までの期間に、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者、または退職した労働者がいたと回答した事業所の割合は10.1%でした。前年の調査(9.2%)よりも、増加しています

また、下図のとおり精神障害の労災の請求件数も年々増え続けており、働く人のメンタルヘルス問題が深刻化していることがわかります。

出典:表2-1 精神障害の労災補償状況 – 厚生労働省(PDF)

このような状況の中で、社員のこころの健康を保つために、個人のレジリエンス向上に取り組む企業が増えています

レジリエンスはSDGs達成のためにも欠かせない

SDGsの存在も、レジリエンスという言葉がよく聞かれるようになった理由の一つではないでしょうか。SDGsSustainable Development Goals)は、20159月の国連サミットで採択された文書、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている国際目標のことです。SDGsは、2030年までに、誰一人取り残さない持続可能な世界の実現を目指しています。

SDGsは、17の目標と169のターゲットで構成されており、このうち8つのターゲットに、レジリエンスまたはレジリエントという言葉が使われています。世界が直面している経済、社会、環境のさまざまな問題を解決するためには、レジリエンス/レジリエントが欠かせないキーワードなのです。

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レジリエンス/レジリエントが登場するターゲット

レジリエンス、またはレジリエントという言葉が登場するターゲットは、次の8つです。

  • 目標1「貧困をなくそう」のターゲット5
  • 目標2「飢餓をゼロに」のターゲット4
  • 目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」のターゲット19.a
  • 目標11「住み続けられるまちづくりを」のターゲットb11.c
  • 目標13「気候変動に具体的な対策を」のターゲット1
  • 目標14「海の豊かさを守ろう」のターゲット2

いくつかピックアップして詳しく内容を見てみましょう。

たとえば、目標1「貧困をなくそう」のターゲット1.5では、貧しい人や弱い立場にある人たちが、自然災害や経済ショックなどのさらなる困難に直面したときに、被害を最小限に抑えて自分たちで立ち直れる力(レジリエンス)を、2030年までに身につけるということが掲げられています。

また、目標11「住み続けられるまちづくりを」のターゲット11.cでは、資金や技術の支援などを通して、後発開発途上国(開発が特に遅れている国々)が、現地の資材を使い、持続可能かつ災害に強いレジリエントな建物を整備できるよう支援していくことが掲げられています。

持続可能な世界を実現するためには、今ある問題を解決するだけでなく、その状態を持続させていかなければなりません。そのためには、レジリエンスが欠かせないのです。

参考:仮訳「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」 – 外務省(PDF)

企業のレジリエンスを高めるメリット

ここからは、企業がレジリエンスを高めることで、どのようなメリットが得られるのかを解説します。

環境の変化や予期せぬ事態に柔軟に対応できる

社員のレジリエンスを高めることで、トラブルや問題が発生したときも、社員は目の前の状態を冷静に把握して、落ち着いて適切な判断が下せるようになります。社員一人ひとりのレジリエンスを高めることは、企業全体の対応力を高めることにつながるのです。

また、VUCA時代と呼ばれるほど変化の激しい時代の中を生き残っていくためには、顧客のニーズや価値観の変化に合わせて、柔軟にビジネスモデルを変化させていく必要があります。レジリエンスを高めることで、変化に強い組織をつくることができるでしょう。

社員の心身の健康を維持できる

社員のレジリエンスを高めるためには、働きやすい仕組みや環境をつくることが大切です。こうすることで、社員はこころと身体の健康を維持しやすくなり、業績の向上や、離職率の低下といった効果も期待できるでしょう。

また、社員が意見を発言しやすい環境をつくることで、職場の人間関係も良好になり、これまでにないアイデアからイノベーションが生まれる可能性も広がります。

企業のレジリエンスを高める方法

最後に、企業のレジリエンスを高める方法について解説します。先ほど説明したように、ビジネス分野には「個人のレジリエンス」と「組織のレジリエンス」の2種類があり、企業はこの両方を向上させていく必要があります。それぞれを高めるための、具体的な方法を見てみましょう。

個人のレジリエンスを高める方法

社員の個人のレジリエンスを高める方法には、以下のようなものがあります。

  • 社員のレジリエンスを把握する
  • フィードバックとマネジメントで自己効力感を高める
  • 「つながり」を感じられる職場環境を整備する

ここでは、3つの方法を紹介します。

社員のレジリエンスを把握する

社員の個人のレジリエンスを高めるためには、まずは一人ひとりのレジリエンスの高さを知る必要があります。そのために、ストレス耐性をチェックしましょう。

ストレス耐性とは、ストレスに耐える力のことです。レジリエンスと似ていますが、レジリエンスは、ストレスから回復する力、または跳ね返す力を指します。ストレス耐性は、レジリエンスの構成要素の一つといえるでしょう。

社員のストレス耐性をチェックする方法の一つに、ストレスチェックがあります。ストレスチェックとは、その名のとおり、社員のストレスの状態を調べるための簡単な検査です。労働安全衛生法の改正により、労働者が 50 人以上いる事業所には、毎年1回のストレスチェックの実施が義務付けられています(2015年12月より)

ストレスチェックの結果を集計・分析し、得られた結果をもとに、職場環境の改善などの対策をとることで、社員の個人のレジリエンス向上につなげることができます。義務化の対象外の企業も、まずは社員のレジリエンスを把握するために、ストレスチェックの実施を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:ストレスチェック制度 導入マニュアル – 厚生労働省(PDF)

フィードバックとマネジメントで自己効力感を高める

レジリエンスが高い人は、自己効力感が高くチャレンジ精神があるという特徴があります。自己効力感とは、与えられた仕事やミッションに対して、「自分ならうまく実行できる」「自分なら乗り越えられる」という感情を持つことです。これが低い人は、チャレンジすることなくあきらめてしまったり、不安や緊張に負けてしまい能力を十分に発揮できなかったりする傾向があります。

自己効力感を高めるためには、達成・成功体験を積み重ねていくことが大切です。日々のフィードバックやマネジメントの中で、社員の「できたこと」を直接伝えるように意識することで、レジリエンスの向上が期待できるでしょう。

「つながり」を感じられる職場環境を整備する

レジリエンスを高めるためには、他者との「つながり」が欠かせません。トラブルや問題が発生したときでも、「自分一人ではない」と思えると、不安な気持ちが軽くなり、困難にも立ち向かっていけるものです。

上司から部下に対するサポートだけでなく、社内制度の整備や、社内イベント・交流会を開催するなどして、職場全体のコミュニケーションを活発にし、社員が他者との「つながり」を感じられる職場環境をつくっていきましょう。

組織のレジリエンスを高める方法

組織のレジリエンスを高める方法として、以下のようなものがあります。

  • BCP(事業継続計画)を作成する
  • ダイバーシティ経営を推進する

ここでは、この2つについて紹介します。

BCP(事業継続計画)を作成する

BCPとは、Business Continuity Planの略称で、「事業継続計画」と呼ばれています。自然災害やテロ攻撃などの緊急事態が発生した場合に、企業が受ける被害や損害を最小限にとどめ、事業を継続できるようにするための計画です。

BCPを作成することで、企業の災害レジリエンスが高まるだけでなく、「緊急時の事業継続の対策ができている企業である」として、企業価値も向上します。また、BCPを作成するためには、優先すべき中核事業の特定や、業務・プロセス・資材などの優先順位の整理が必要になるため、企業の中長期の経営戦略を検討する機会にもなるでしょう。

ダイバーシティ経営を推進する

環境の変化に強い組織をつくるには、「ダイバーシティ経営」が有効です。ダイバーシティ(diversity)とは、多様性の意味を持つ英単語で、多様な人材を活かして新たな価値を生み出そうとする経営は「ダイバーシティ経営」と呼ばれています。

多様な人材とは、性別や年齢、人種、国籍、障がいの有無といった、外から見えやすい部分の多様性だけでなく、性的思考や宗教、価値観、経験、働き方といった、外からは見えにくい部分の多様性も含まれます。

グローバル化やテクノロジーの進展などにより、今後は、過去の成功体験やこれまでのビジネスモデルが通用しない時代となっていくことが予想されます。多様な人材を活かすことで、新たなイノベーションが生まれやすくなり、企業の競争力が強化されるとして、経済産業省もダイバーシティ経営を推進しています。

 

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まとめ

VUCA時代の到来、少子高齢化、メンタルヘルス問題の深刻化などにより、さまざまな分野でレジリエンスが求められるようになってきています。

企業は、自社のレジリエンスを強化することで、社員が心身の健康を維持しやすくなり、業績の向上や離職率の低下などのメリットも期待できるでしょう。また、レジリエンスは、SDGsとも深くかかわっています。SDGsへの取り組みの一つとして、企業のレジリエンスを高めるための施策を考えてみてはいかがでしょうか

 

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あらたこまち

この記事を書いた人

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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