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エシカルとは?サステナブル・CSRとの違いとSDGsとの関係性、エシカル消費について解説

「エシカル」や「エシカル消費」という言葉をよく耳にするようになりました。「なんとなく地球にやさしいイメージがあるけれど、サステナブルやCSRとどう違うの?」と、疑問に感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、エシカルとはどのような考え方なのか、エシカルが求められる理由と、SDGsとの関係、エシカル消費をはじめとする「エシカル〇〇」について、わかりやすく紹介します

 

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エシカルとは?

エシカル(ethical)は、倫理的な、道徳的なという意味の英単語です。倫理や道徳と聞くと、少々難しいイメージを持つ人もいるかもしれませんが、「法的な縛りはないが、人として守るべきもの」「多くの人が持っている善悪・正邪の判断基準」のことをいいます。

近年では、人や社会、地域、環境に配慮した行動やライフスタイルを指す言葉として、エシカルが広く用いられるようになりました。記事の後半では、「エシカル〇〇」というように、さまざまな名詞と組み合わせて使われる例を紹介します。

エシカルとサステナブルの違い

サステナブル(Sustainable)は、「持続可能な」の意味を持つ英単語です。これが名詞になったものがサステナビリティ(Sustainability)で、「持続可能性」と訳されます。これらも、近年耳にすることが増えている言葉です。

サステナブルの概念が世界に広まるきっかけとなったのが、1987年に発表された報告書「ブルントラント・レポート:我ら共有の未来」です。この報告書の中で、初めて「Sustainable Development(持続可能な開発)」という言葉が使われました。

「持続可能な開発」とは、「将来世代のニーズを損なうことなく、現在の世代のニーズを満たすこと」と定義されています。わかりやすく言うと、「現代から未来の世代まで、すべての人が満たされた生活を送れるようにすること」を意味します。

エシカルもサステナブルも、人や社会、地域、環境がより良い状態になることを目指すという点では共通していますが、サステナブルはより良い状態そのものを、エシカルは一人ひとりの内にある倫理観や道徳心を指します

一人ひとりがエシカルな行動をとることが、サステナブルな社会の実現につながるのです。

エシカルとCSRの違い

CSRとは、Corporate Social Responsibilityの略称で、日本語では「企業の社会的責任」と訳されます企業は自社の利益ばかりを追求するのではなく、社会を構成する一員としての役割や責任も果たすべきであるという考え方です。

CSRと聞くと、社会貢献活動をイメージされる人もいるかもしれませんが、それだけでなく、法律や社会のルールを守るという基本的なことや、ステークホルダーに透明性のある情報を開示するといったことも、CSRに含まれます

また、さまざまな国際標準の策定を行っている国際標準化機構(ISO)では、CSRの国際標準規格であるISO26000(社会的責任に関する企画)を作成しています。組織が社会的責任を果たすための7つの原則が示されており、この中に「倫理的な行動」も含まれています。つまりエシカルは、CRSの一つといえるのです。

ISO26000(社会的責任に関する企画) 7つの原則】

  1. 説明責任
  2. 透明性
  3. 倫理的な行動
  4. ステークホルダーの利害の尊重
  5. 法の支配の尊重
  6. 国際行動規範の尊重
  7. 人権の尊重

また、CSRは企業に求められるものですが、エシカルはサステナブルな社会を実現するために、すべての人に求められる考え方という違いもあります

参考:CSRで会社が変わる、社会が変わる|財団法人人権教育啓発推進センター(PDF) 

 

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なぜ、エシカルが必要なのか?

なぜ、サステナブルな社会を実現するためにエシカルが必要なのでしょうか。現在世界が直面している課題を、「経済」「社会」「環境」3つのカテゴリー別に見てみましょう。

経済

経済に関する課題にはさまざまなものがありますが、ここでは日本の地方(東京圏以外)の課題にフォーカスしてみます。

東京への一極集中と少子化の影響で、地方では人口減少と高齢化が深刻な状況になっています。これにより、労働力不足、経営者の後継者不足、働く場所や教育機会の減少などさまざまな課題が発生しており、地域経済が衰退しつつあるのです。地域経済がさらに縮小すれば、生活利便性の低下、治安や居住環境の悪化、災害への備え不足など、社会課題がさらに深刻化する恐れがあります。

近年はインターネットが普及したことで、いつでも簡単にオンラインで買い物ができるようになりました。地元のお店で購入できるものも、「配達してくれて便利だから」「インターネットショップのほうが安いから」とオンラインで購入すれば、その分地元のお店は衰退していきます。

手軽さや価格だけでなく、社会課題を意識した購買行動をとることが、地域経済の活性化につながりますエシカルは、地方創生に欠かせない考え方なのです。

参考:地域・地方の現状と課題-総務省(PDF)

社会

世の中には、さまざまな商品やサービスがありますが、それらがどのように作られ、私たちの手元まで届いているのか、裏側を想像したことはありますか? 中には、手に取りやすい価格を実現するために、労働者に正当な賃金が払われていないケースや、生産性向上のために、環境や労働者の健康に害を及ぼすほどの多量な農薬が使われているケースが存在しているのです。

また、障がい者が働く施設でも、多くの日用品などが作られています。しかし、障がい者に支払われる工賃は安く、商品を作っていること自体あまり広く知られていないのが現状です。

世界のすべての人の健康で豊かな暮らしを実現するために、私たち一人ひとりに「商品やサービスの裏側」を意識したエシカルな行動が求められています

環境

私たちの暮らしには、エネルギーが欠かせません。商品やサービスを生み出すとき、それらを利用するとき、そして処分するときにも、エネルギーを必要とします。しかし、エネルギーを消費すればするほど、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)が発生します。地球温暖化をくい止めるには、大量生産・大量消費・大量廃棄の暮らしから脱却し、CO2排出量を削減していかなければなりません。しかし、エネルギー関連のCO2排出量は2021年に過去最高水準に到達し、地球の気温が上昇し続けているのが現状です。

また、プラスチックごみによる海洋汚染、魚の乱獲による海洋資源の減少、海水の酸性化や温度上昇など、海もこれまでにないほど危機的な状況にあります。

さらに、人間はこれまで、農地開拓などのために多くの森林を破壊し、動物たちの住処を奪ってきました。生物多様性が早いスピードで失われており、今後数十年で約4万種が絶滅の危機に瀕するといわれています。

これらは、環境問題のほんの一部です。美しい地球を守るために、私たち一人ひとりに意識とライフスタイルの変革が求められています

エシカルとSDGsの関係

エシカルという言葉がよく聞かれるようになった背景には、SDGsの存在があります。

2015年の9月に開催された国連サミットで、150を超える国連加盟国の全会一致で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書が採択されました。2030年までに持続可能でより良い世界を実現するための、世界共通の行動計画です。SDGsSustainable Development Goals)とは、この文書の中に記載されている、具体的に達成するべき17の目標と169のターゲットのことで、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます

前項で、現在の世界の課題を「経済」「社会」「環境」に分けて紹介しましたが、SDGsが目指す持続可能な世界とは、この3つの側面のバランスが取れた世界を意味します。

エシカルは、SDGs全体にかかわる概念ですが、中でも特に関連が深いのが目標12「つくる責任 つかう責任」です。この目標では、持続可能な消費と生産のパターンをつくるために、さまざまなターゲットが掲げられています。

  • 天然資源を持続的に管理する。
  • 限られた資源を効率的に利用できるようにする。
  • 食品ロスを減らす。
  • 人の健康や環境への影響を小さくするために廃棄物を減らす。

消費者が人や社会、地域、環境に配慮した商品・サービスを選ぶようになれば、そういった商品やサービスを提供する企業が増えます。この好循環を生み出すことが、持続可能な社会の実現につながるのです。

また、適切に管理された森林の木材を使って作られた商品を選べば、目標13「気候変動に具体的な対策を」や目標15「陸の豊かさも守ろう」に、マイバッグを持参してレジ袋を断れば、目標14「海の豊かさを守ろう」に貢献できます。このように、エシカルはSDGsを達成するために欠かせない考え方なのです。

エシカル消費とは?

人や社会、地域、環境に配慮した消費行動は、「エシカル消費」と呼ばれています。いくつか具体的なエシカル消費の例を見てみましょう。

  • 売上の一部が社会貢献活動などに寄付される商品・サービスを選ぶ
  • 障がい者施設で作られている商品を購入する
  • 地元のお店で買い物をする
  • マイバッグ・マイボトルを持参して包装を断る
  • ごみの分別を徹底する
  • 必要以上に買わない

人や社会、地域、環境に配慮された商品・サービスを選ぶことだけでなく、包装を断る、ごみの分別、必要以上に買わないといった「消費しない」行動もエシカル消費に含まれます。

エシカル消費については、以下の記事でも詳しく解説しています。

エシカル消費とはなにか?認定マークや事例を紹介

エシカル消費の問題点とは?日本における認知度や実践状況について解説

私たちにできるのは、エシカルなもの・サービスを選ぶこと

近年、人や社会、地域、環境に配慮した商品やサービス、「エシカル〇〇」が多数登場しています。これらを選ぶことも、私たちができるエシカル消費の一つです。さまざまな「エシカル〇〇」の中から、ここでは、次の5つを見ていきましょう。

  • エシカルフード
  • エシカルファッション
  • エシカルコスメ
  • エシカルウェディング
  • エシカル金融

前項でエシカル消費の具体例をいくつか紹介しましたが、次の記事でも個人ができるアクションを紹介しています。

エシカル消費へ向けてできること20選

エシカルフード

エシカルフード、またはエシカル食品とは、たとえば次のような食品を指します。

  • オーガニック食品
  • 規格外の農産物
  • 地元産の食品
  • CO2排出量が抑えられた食品
  • アニマルウェルフェアに配慮した食品
  • フェアトレードな食品

アニマルウェルフェア(動物福祉)とは、政府間機関の国際獣疫事務局(OIE)により「動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態」と定義されています家畜のストレスをできるだけ少なくし、幸せで健康的な一生を送れるようにすることを目的とした畜産のあり方です。アニマルウェルフェアに配慮した食品とは、たとえば、ケージフリーで育てられた鶏の卵や、ストールフリーの養豚場で育てられた豚肉、大豆ミートなどの代替肉などが挙げられます。

フェアトレードとは、開発途上国と公平・公正な貿易(正当な対価を支払う)を継続的に行っていくことで、生産者や労働者の生活を支えていく貿易の仕組みのことです。フェアトレードな食品かどうかは、「国際フェアトレード認証ラベル」の有無で見分けることができます。

参考:アニマルウェルフェアについて:農林水産省

エシカルファッション

エシカルファッションとは、たとえば次のようなファッションを指します

  • フェアトレードな衣服
  • 原材料の調達から生産、輸送などにおける環境負荷をできるだけ抑えるよう工夫されている衣服
  • 動物を犠牲にしていない衣服
  • 環境にやさしい素材(オーガニックコットンや麻、靭皮繊維など)を使用している衣服
  • 有害な農薬や化学薬品が使われていない衣服

これらを見分けるときに参考になるのが、認証ラベルです。たとえば、ライフサイクル全体の環境負荷が少ない製品に付けられる「エコマーク」や、前項でも紹介した「国際フェアトレード認証ラベル」、環境や社会に配慮したオーガニック繊維が加工された製品であることを示す「GOTS認証」などがあります。

エシカルコスメ

エシカルコスメとは、たとえば次のような化粧品を指します

  • フェアトレードなコスメ
  • 人の健康に配慮している(化学成分の軽減など)コスメ
  • 原材料の調達から生産、輸送などにおける環境負荷をできるだけ抑えるよう工夫されているコスメ
  • 動物実験を行わずに作られたコスメ
  • 地域の資源を活用したコスメ

エシカルコスメと近い意味を持つ言葉に、オーガニックコスメやナチュラルコスメ(自然派コスメ)があります。オーガニックコスメは「オーガニックな原材料を使用しているコスメ」を、ナチュラルコスメは「自然由来の成分を原材料としたコスメ」を意味します。「人にも、環境にも、社会にも配慮したコスメ」を指すエシカルコスメとは少し意味が異なるので、これらの違いを理解しておきましょう。

エシカルウェディング

エシカルウェディングとは、次のような工夫がなされた結婚式のことです

  • 新郎新婦はリメイクしたドレスやスーツを着用する
  • 食品ロスを出さないためにウェディングケーキは用意しない
  • エシカルフードを使った料理でおもてなしする
  • 牛肉を鶏肉に置き換える(牛のげっぷが環境負荷が大きいとされるため)
  • 装飾や使用するアイテムも環境にやさしい素材が使われているものを選ぶ

通常の結婚式に比べるとまだまだ実例は少ないものの、このような社会課題を意識したエシカルウェディングを望む人が増えているそうです。

エシカル金融

金融機関は、私たちが預けているお金を、さまざまな事業に投融資しています。もしかしたら自分の預金が、人や社会、環境に配慮しない事業を行う企業に投融資されているかもしれません。預けたお金の投融資先のことまで考え、エシカルな事業に取り組む企業にお金が流れるようにすることを、エシカル金融といいます

エシカル金融の中で、近年「ダイベストメント」という運動が世界中で広がっています。人や社会、環境のことを考えて、化石燃料や原子力にかかわる事業に投融資している金融機関からお金を引き揚げ、預け先を乗り換えるというアクションです。このような動きは、日本でも見られるようになっています。

 

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  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

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概要

  • 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
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  • ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
  • 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

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まとめ

エシカルは、サステナブルな社会を実現するために欠かせない考え方です。2030年までにSDGsを達成するために、すべての人にエシカルな行動が求められています

私たちにまずできるのは、エシカル消費です。本記事で紹介したような「エシカル〇〇」を選ぶということだけでなく、ほかの国や地域、未来の世代のことを考えて「消費しない」という選択をすることも、エシカル消費に含まれます。まずは、商品やサービスの裏側、自分が暮らす地域が抱える問題、世界が直面している環境問題などに目を向け、自身の消費行動を見直すところからはじめてみませんか?

 

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あらたこまち

この記事を書いた人

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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