社会

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」の概要と取り組みをわかりやすく解説

「SDGsについて興味があるけど具体的に何をすればいいの?」といった疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。

SDGsには17の目標があり、まずはそれぞれの目標について理解を深め、「自分にできることは何か?」「自社の事業と関連が深そうな目標は何か?」を見定めることが大切です。

全部で17あるSDGsの目標のうち3・すべての人に健康と福祉を」は、主に「子どもや妊産婦、疾病」へ目を向けた目標です。

 

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SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」とは

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」は、健康や福祉に関する項目の目標です。まずは、具体的にどのような目標内容であるのか、そして現状の課題・問題として挙げられるのはどのようなものなのかを詳しく解説します。

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する

SDGs目標3は、年齢を問わずすべての人々が健康的な生活を送れるようにするための目標です。母子の死亡を減らしたり、平均寿命を延ばしたりするなどが主な内容として挙げられます。

開発途上国では出産の環境が整っていないケースがあり、産婦や新生児の死亡率が高い傾向にあります。また、非伝染性疾病により早死も多いのが現状。健康のための衛生や誰もが医療サービスを受けられるようにするための保健制度の確立、健康リスクに関する教育を進めなければなりません。

数字で見る「健康と福祉」の現状

現在、子どもの死者は毎年500万人を超えるといわれています。この数字は、死亡時の年齢を5歳未満のみに絞ったものであり、とても深刻であることがわかります。

1990年以前の状況と比べると、世界の子どもの死亡は減少傾向にありますが、それでもまだまだ多くの子どもたちがさまざまな理由で命を落としている状況です。

とくに、サハラ以南のアフリカと南アジアの子どもの死者数は非常に多く、子どもの死者の8割がこれらの地域に存在します。

 

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SDGsの目標3における9つの達成目標

SDGsの目標3には、達成目標が9つ設定されています。具体的な達成目標についてご紹介します。

1.お産のときに死亡する女性、赤ちゃんを減らす

  • 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。”

前項でも触れた通り、妊産婦の死亡率が高い国・地域があります。こうした状況を改善すべく、分娩環境の改善や、分娩の知識の取得が必要です。生まれる赤ちゃん10万人あたり、分娩時に命を失うお母さんを70人未満にまで減らすことが目標です。

2.5歳までに命を失う子どもを減らす

  • “すべての国で28日以内に命を失う子ども、5歳までに命を失う子どもを減らす。”

開発途上国を中心に、5歳未満で命を失う子ども、出生後まもなく命を失う子どもは多いです。この問題を解決するため、予防接種などを普及させ、幼い子どもが命を落とすことがないようにします。

具体的には、出生後28日以内に死亡する赤ちゃんの数を1000人あたり12人以下、5歳までに死亡する子どもの数を1000人あたり25人以下にまで減らすことが目標です。

3.熱帯病などの伝染病をなくす

  • “エイズ、結核、マラリアなどの伝染病をなくす。”

エイズなどの感染症、熱帯病など、これまでに命を失う原因となっていた伝染病や、見放されてきた病気などをなくすことが目標です。また、開発途上国においては「汚れた水」を飲むことで発症してしまう病気などをなくすためにも対策を行わなければなりません。

開発途上国は、医療体制がまだまだ完全とは言い切れないだけではなく、人々の衛生観念や生活習慣など、改善できる点は多いです。

一人でも多くの命を救うためにも、病気の予防を徹底したり、病気で命を落としたりすることのないよう必要な医療サービスを受けられるようにする必要があります。

4.感染症以外の病気で命を失う人の割合を減らす

  • “予防や治療をすすめ、感染症から命を守り、心の健康への対策も進める”。

日本国内では当たり前となっている予防接種や、生活習慣の見直しなどでの「病気の予防」。しかし、世界ではまだまだ進んでいない国もあります。

感染症以外は予防できる病気も多いので、積極的に予防及び治療を行い、死亡者の割合を3分の1以上減らすことを目標としています。

5.薬物やアルコールの乱用防止、治療につとめる

  • “麻薬を含む薬物、アルコールの乱用防止につとめ、治療を行う。”

国内外を問わず、麻薬を含む薬物の使用者は存在します。また、アルコールの過剰摂取が日常化しているような人も珍しくありません。こうした状況は健康を害するだけではなく、命を失うリスクを高めるもの。

それぞれの乱用を防ぐよう行動を起こし、治療を進めることが重要です。

6.交通事故による死亡やけがを減らす

  • 2020年までに交通事故による死亡やけがを半分にまで減らす。”

突然訪れる交通事故。年齢を問わず多くの人々が被害者となっていて、私たち自身もいつ被害者・加害者になるかはわかりません。こうした悲しい事態を防ぎ、交通事故による死亡やけがを減らすことも、SDGs目標3が目指すことです。
国内でも交通事故防止の対策が行われています。多くの人々にとって関心が高い目標でもあり、すべての人の取り組みが必要なものと言えるでしょう。

7.性や出産について情報を得られるようにする

  • “すべての人が、性や子どもを産むことについてサービス・教育・情報を得られるようにする。”

国内外を問わず、性教育や出産に関する知識の提供が進んでいないケースはよく見られます。各国が性や出産に関する保健サービスや情報を得られるようにするための計画を立案し、実行することが目標です。

8.すべての人が基礎的な保健サービスを受けられるようにする

  • “お金の心配をすることなく、安価で質の高い薬や予防接種を受けられるようにする。”

日本では、保健サービスが充実しているので、収入に応じて薬が安価で入手できたり、無料の予防接種を受けられたりすることがあります。しかし、国によってはまだ保健サービスが確立されていない状況で、必要な医療にアクセスすることができない人が多いのです。こうした保健サービスの問題を解決することが目標です。

9.有害な化学物質や大気汚染などによる死亡・病気を減らす

  • 2030年までに有害な化学物質や汚染による死亡・病気を減らす。”

深刻な環境問題の一つである「有害な化学物質」及び「大気・水・土壌の汚染」。このまま進むことで、さまざまな病気を招いたり、死亡の原因になったりすると考えられています。

また、汚染においては大気のほかにも水や土壌なども挙げられるでしょう。これらを原因とする病気や死亡を2030年までに大きく減らすことが目標の一つです。

達成するための具体的な方法4

SDGs目標3を達成するにあたり、具体的な方法として考えられているのは、次の4つです。

1.すべての国でたばこの規制に関する取り組みを必要に応じて進める

SDGsの目標3を達成するための方法として、まず挙げられるのが「たばこの規制」に関する取り組みです。日本でも、202041日から公共の場所での喫煙が全面的に禁止されていますが、すべての国で必要に応じて取り組むことが重要です。

現在、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」では、職場など公共の場所において受動喫煙を防止する措置や、たばこの包装・ラベルの表示面のうち30%以上を健康警告表示に充てることなどが定められています。日本は20043月に署名し、20206月時点で、条例の締約国は182か国となっています。

2.開発途上国で大きな影響を及ぼす病気に対するワクチンや薬の開発を助ける

肺炎、マラリアといった病気は、先進国では治療も予防も可能ですが、サハラ以南のアフリカや南アジアなどの開発途上国では、多くの子どもたちがこれらの病気によって命を落としています。

このような病気による影響を回避したり、最小限に抑えたりするためのワクチンや薬の開発を助けることが必要です。加えて、すべての人が経済面に左右されることなく、それらのワクチンや薬を得られるようにする必要があります。 

3.開発途上国の保健に関わる予算や職員の数・能力を高める

誰もが保健を活用できるよう、最も開発が遅れている国及び島国などで、保健に関わる予算を向上することが大切です。

また、保健サービスに関わる職員においては、研修を増やして能力を高めたり、人材を確保したりして人数を増やす必要があります。 

4.すべての国において健康を脅かす危険な状態を早期発見し、対応するための力を強化する

SDGs目標3を達成するには、すべての国において、その国や世界で健康を脅かすような危険な状態に陥ったとき、すぐに気づいて知らせる必要があります。それによって危険な状態を減らしたり、万が一危険な状態に陥っても、適切に対応したりする力を強めることが重要です。

特に、戦争や災害などからのがれてきた人たちが集まるような場所では、病気などの影響が広がりやすいため、対応力を強める必要があります。 

日本における取り組み事例

SDGs目標3に取り組んでいる日本の企業の取り組み事例は以下の通りです。

【企業】1.アイ・ホーム

住宅の建築業務を幅広く展開しているアイ・ホームでは、事業の強みを生かし「室内の温湿度」をコントロールできる家づくりを目指しています。これにより、快適性と健康を維持することが狙いです。

また、ハウスダストなどの汚染物質を除去する取り組みも行っています。

出典:SDGsとは|アイ・ホーム株式会社

 【企業】2.マレリ

マレリでは、車のサイバーセキュリティ強化で交通事故防止を進めたり、化学物質や大気などの汚染を軽減したりするための取り組みを行っています。

さらに、独自にタバコの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施の強化を行うなど、あらゆる分野で活動しています。

出典:SDGsへの貢献| CSR | マレリ

 【企業】3.サラヤ

アフリカなどでの院内感染を防ぐためとして、サラヤでは、「病院で手の消毒100%プロジェクト」を推進するなど、衛生環境と健康を守るための取り組みを行っています。

感染症が多く、死亡率の高い国を守るための、効果的な取り組みと言えるでしょう。

出典:ソーシャルビジネス|サスティナビリティ|サラヤ株式会社

世界における取り組み事例

最後の項目では、世界におけるSDGs目標3の取り組み事例を紹介しています。世界ではどのような取り組みが進められているのかを確認し、自社の取り組み計画を立てる際のヒントにしてください。

出典:SDG INDUSTRY MATRIX—産業別SDG手引き—食品・飲料・消費財産業|UNGC

1.リーバイストラウス&Co.

アメリカを拠点に展開するアパレルメーカー「リーバイストラウス&Co.」。同社が行っている取り組みは、労働者福祉を向上させるために、主要取引先に「労働者福祉プログラム」の統合を促すことです。

これにより労働者の健康を守りつつ、取引先自身も労働者の業務態度(遅刻や欠勤)の改善をしやすくなり、あらゆる方向でメリットが生まれています。

2.カーギル

アメリカに本社を置く企業で、穀物メジャーとして活動している「カーギル」では、SDGs目標3の取り組みとして、同社で扱うパーム油農場の従業員に対し、ヘルスケアサービスを提供しています。具体的には「母親」を対象として、健康状態を改善するためのプログラムを取り入れています。

妊娠や出産、母乳育児など幅広い健康啓発活動としても、情報提供を積極的に行っているのです。

3.Arcorグループ

アルゼンチンで誕生した食料・製菓メーカーである「Arcorグループ」は、健康に着目した自社商品の開発のための目標や方針を策定しています。たとえば、グルテンフリー商品の認可や、トランス脂肪酸などの低減などを進めています。

また、従業員に向けて、運動機会を増やすことを奨励したり、病気を予防するための禁煙プログラムなどを策定したりしています。

4.アンハイザー・ブッシュ・インベブ

「アンハイザー・ブッシュ・インベブ」は、ベルギーに本拠を置く酒類メーカーです。世界50か国以上に製造拠点があります。

同社で行っているSDGs目標3の取り組みは、アルコールの過剰摂取など「アルコールの有害使用」を減らすための取り組みとして、「グローバル・スマート・ドリンキング目標」を立ち上げました。

専門家などの協力を仰ぎ、アンハイザー・ブッシュ・インベブ市場において、2025年までにアルコールの有害利用を10%以上低減させることが目標です。

 

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概要

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まとめ

世界中の救える命は推定で数百万人にも及ぶと考えられています。世界の健康に関する問題は大きく、命を失う子どもや、出産後の女性が多い状況です。

SDGs目標3は、国や収入、世代を問わずに平等に医療や福祉サービスを受けることができる環境づくりを目指しています。

SDGsの目標3は、健康に直結する目標であり、世界中で多くの取り組みが進んでいる状況です。2030年までにたくさんの命を救い、安心して暮らせる社会を作ることが、このSDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」が目指す場所です。

自社で実施できる取り組みをお探しの方は、まずは海を越えた遠くの人の支えになるよう、自社の持つ専門的知識を提供したり、物資の提供したりすることなどからスタートしてはいかがでしょうか

 

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