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SDGs目標8「働きがいも 経済成長も」の概要と取り組みをわかりやすく解説

SDGsについて興味があるけど具体的に何をすればいいの?」といった疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。

SDGsには17の目標があり、まずはそれぞれの目標について理解を深め、「自分(自社)と関連が深そうな目標は何か?」を見定めることが大切です。

全部で17あるSDGsの目標のうち8・働きがいも 経済成長も」は、おもに「仕事・経済」へ目を向けた目標です。

 

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SDGs目標8「働きがいも 経済成長も」とは

SDGs目標8における「働きがいも 経済成長も」は、子どもや大人を問わず、あらゆる人々が対象となった目標です。

現在、世界の人々のおよそ50%は、1日あたりわずか2ドル程度での生活を余儀なくされています。日本円にするとわずか200円強という金額であり、多くの人が少ない資金のなかでやりくりしている状況です。

世界全体に目を向けてみると、日本語訳・国連広報センター(201812月)による公開情報によると、失業率は5.7%。貧困生活を脱出できないまま生活を送っている人がいます。

すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する

SDGs目標8は、人々の暮らしを豊かにするための経済成長や雇用を推進することが目標です。そして、働きがいのある人間らしい仕事を意味する「ディーセント・ワーク」も視野に入れています。

世界全体で見ると、GDPは上昇傾向にありますが、開発途上国・地域においては、成長が減速しているのが現状。国によっては、2030年までに7%上昇するという目標から大きな差が生じているケースも見られます。

数字で見る「仕事と経済」の現状

世界の失業率は、2000年から2017年の間でおよそ1%弱低下しています。しかし、男性の賃金は女性の賃金の12.5%を上回るなど、仕事に関する課題は大きなものです。また、家事や育児など、無賃金の仕事においては依然として女性が高い傾向にあり、男性の2.6倍にも及ぶと言われています。

アフリカなどでは、人口増加によって15歳~64歳の生産年齢の人口増加が想定されるので、2030年までに、若者など新しく労働市場に参入する人々の47,000万人に雇用を提供することが求められます。

 

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SDGsの目標8における10の達成目標

SDGsの目標8における達成目標は、10が設定されています。経済や仕事、働き方などに関する達成目標を解説します。

1.毎年GDPの成長を続けられるようにする

  • “各国の状況に応じて人々が「経済的」に豊かになれるようにする。”

開発途上国を中心に、まだまだ経済的貧困にあえぐ人々は少なくありません。実際、GDP(国の生産性や生産したモノ、サービスへの付加価値)の上昇が見られない国も多いです。毎年GDPの成長を継続できれば経済成長も期待でき、貧困を脱出できる人々も増加します。

とくに開発が遅れている国にといては、毎年7%以上のGDP成長を継続することが目標です。

2.経済の生産性をあげる

  • “商品やサービスの価値を高める産業、労働集約型の産業などを中心に、多様化や技術の向上を実現し、経済の生産性を上昇させる。”

システムや機械ではなく「人の働きによる業務」の大きい産業は、多様化を促進したり、労働者の技術を向上させたりするなどのイノベーションにより、経済活動の活性化や成長を促すことにつながります。

3.会社の設立や成長を応援する

  • “働きがいのある人間らしい仕事を増やしたり、新しいことを始めやすくする政策を進めたりする。”

働きがいのある人間らしい仕事を増やすことが重要です。そして、会社を新たに設立するなど、人々が新しいことを始められるようなサポートができる政策も必要でしょう。

国は、そうした「働きやすさ」「新たなチャレンジ」に目を向けて政策を考えていかなければなりません。

4.経済成長が環境を悪化させないようにする

  • “世界がより効率よく資源を使用できるようにし、経済成長に伴い環境悪化が進まないようにする。”

消費および生産の場面では「資源」が必要となるものです。しかし、過剰な資源の浪費にならないように、「効率の良い使い方」を模索していかなければなりません。

また、経済成長に伴い環境を悪化させることのないよう、先進国が主導して「持続可能な消費と生産に関する10カ年計画枠組み(10YFP)※」の計画に沿って情報共有や支援することが大切です。

  • ※持続可能な消費と生産に関する10カ年計画枠組み(10YFP)……持続可能な消費と生産の確立を目指すことを目的とするプログラム

5.男女ともに働きがいのある人間らしい仕事をできるようにする

  • “男性も女性も働きがいがあり、人間らしい仕事に従事できる世界を目指す。”

世界的に見ると、まだまだ女性の差別や区別は強く根付いている状況です。性別を問わずに働きがいがあり、人間らしい仕事ができるようになれば、雇用が増え、経済の成長も大きく期待できると言えます。

6.性別や障がいの有無に関わらず同じ仕事に同じ給料が支払われるようにする

  • “年齢、障がいの有無、性別などを問わず、同じ仕事については誰もが同じ給料を手にできるようにする。”

日本では「同一労働同一賃金」を掲げています。これは、正規雇用労働者と、非正規雇用労働者の間にある不合理な待遇の違いを解消することを目的としています。

もちろん、国だけではなく、組織や企業が主体的に「平等な労働環境・条件」を徹底しなければなりません。同じ仕事をしているのであれば、年齢や性別などはもちろんのこと、雇用形態の違いにも関わらず、同じだけの給料が支払われるようにすることが目標です。

7.仕事・通学・職業訓練を受けない若者を減らす

  • “仕事も通学もせず、職業訓練も受けていない若い人たちの数を大きく減らし、労働市場に参画できるようにする。”

開発途上国を中心に「通学をしていない」「職業訓練を受けていない」という若者は多いです。また、「仕事をしていない」という若者においては、国内外を問わず深刻な問題となっています。

いずれの問題も、解決しなければ経済成長が期待できないうえに、貧困を加速させる可能性があります。

8.あらゆる形の児童労働をなくす

  • “子どもを兵士にする児童労働を確実に禁止し、2025年までにあらゆる形の児童労をなくす。”

むりやり働かせたり、奴隷のように働かせたりすることはもちろんのこと、経済的な事情により働かざるを得ない子どもをなくすことが目標です。また、子どもを兵士にするなど、最悪の形の児童労働を一切なくしていくことを目指しています。

9.持続可能な観光業をつくる

  • 2030年までに地方の文化や産品を広め、働く場所をつくりだす観光業を実施する。”

観光業は経済成長の一端を担う産業です。地方の文化や産品について積極的な認知を促進し、働く場所を増やすことで雇用が増えたり、経済の活性化につながったりと、さまざまなメリットがあります。

「持続可能な形」での観光業を実現するためには、国の政策による後押しも必要になるでしょう。ちなみに、持続可能な形の観光業とは、自然遺産や生物の多様性を「見物」「触れ合い」などの場として活用することなどが挙げられます。

10.すべての人がお金に関するサービスを使えるようにする

  • “すべての人が銀行、保険などの「お金に関するサービス」にアクセスできるようにするために、金融機関の能力を強化する。”

日本では当たり前となっている銀行や保険。しかし、世界ではこうしたお金に関するサービスに触れることができない人が一定数存在します。結果的に「財産が持てない」「相続ができない」などさまざまな問題につながっていくため、誰もが銀行などを利用できるようにしなければなりません。

達成するための具体的な方法2

SDGs目標8を達成するにあたり、実施すべき具体的な方法は以下の2つです。

1.貿易のための援助を増やす

まずは、開発が遅れている国の発展や、持続可能な開発、貧困解消などのために、貿易を支援する必要があります。

貿易に関する施設などの改善をサポートするなど、先進国にできることはあります。多国間でパートナーシップを締結し、世界規模で貧国などを支援していくことが理想です。

2.仕事に関する世界的な戦略をつくり実行する

若い世代における仕事の課題は国内外を問わず非常に複雑です。「仕事に就かない」「働きたくても働き先が見つからない」「事情があり働けない」など、背景は人それぞれ異なるものの、若者の労働は経済に大きく影響します。

そのため、仕事に関する世界的な戦略をつくり、若者も積極的に労働市場へ参画できるようにする必要があります。

日本における取り組み事例

日本では、SDGsの目標8に取り組む企業が非常に多いです。具体的な取り組み事例を紹介していくので、自社で参考にできそうなものがないかチェックしてみてください。

1.【企業】IDEC

IDECの実施しているSDGs目標8の取り組みは、ステークホルダーとの関係に目を向けたものです。顧客や購入先、株主、従業員など、会社に関わるあらゆるステークホルダーの立場を尊重しています。

「働きがい」にも目を向け、従業員のワークライフバランスに沿った制度を独自に設けています。「子どもが小学6年になるまで」に育児短時間勤務制度の適用範囲を広げたり、介護のための「休暇の半日単位の取得」、柔軟な働き方を実現できる「裁量労働制の導入」などを取り入れたりしているのです。

出典:IDEC│SDGsへの取り組み

2.【企業】川栗鉄筋建設

川栗鉄筋建設は、「働きがい」着目した取り組みを実施しています。一人の人間としての行動や考え方を尊重・配慮した教育や、従業員自らのスキルアップの推進など、教育面を中心にSDGs目標8に取り組んでいます。

また、同社の心構えには、「元気と笑顔で働きかけよう」も設定されています。取引先や地域、従業員の家族などへの感謝や思いやりを持つことはもちろんのこと、相手を尊敬し、謙虚な気持ちを持つことなど、働きがいにつながる心構えが見られます。

出典:当社の特徴|鉄筋工事や加工、建築工事、シェルター工事は栃木県|川口鉄筋建設

3.【企業】ザ・コーポレートゲームズ 東京

ザ・コーポレートゲームズ 東京では、SDGsの目標8における取り組みとして、さまざまなアクションを起こしています。

たとえば、ゲームなどの大会へ向けた社外練習を行って、地域と企業の交流機会を促進したり、従業員のストレス状態や歩数測定を可視化できるツールの利用推奨を行ったりして、従業員の心身の健康にも目を向けています。

また、「歩く習慣」を促進することを目的として、通勤時にはウォーキングシューズを推奨するなどの取り組みを行っています。

出典:持続可能な開発目標(SDGs)への取り組み | コラム | ザ・コーポレートゲームズ東京 2018 アジアパシフィック

4.【企業】ダイオーズ ジャパン

ダイオーズ ジャパンが取り組むSDGs目標8は、おもに「多様な働き方の推進」が取り組み内容として挙げられます。

社会で活躍するにあたり、時間や場所が限定されるような働き方が、性別や年齢などに捉われることなく活躍するうえで大きな壁になると考えた同社。労働時間に拘束されることのない働き方を実現するために、自由な働き方を促す就業制度をつくりました。

労働時間はもちろんのこと、デジタル化を推進し「場所にも束縛されない働き方」を実現しています。タブレット精算システムや電子決済システムなど、オンラインで利用できるツールを導入。従業員は、時間や場所に拘束されず、高いパフォーマンスで働けているのです。

出典:SDGsへの取り組み|株式会社ダイオーズ

世界における取り組み事例

最後の項では、世界における取り組み事例を紹介します。

出典:SDG INDUSTRY MATRIX—産業別SDG手引き—製造業|UNGC

1.BMWグループ

ドイツを拠点に自動車や自動二輪車、エンジンを製造しているメーカーとして知られるBMWグループ。同社では、SDGsの目標8として、現地生産の台数を増大させる取り組みを行っています。

現地生産された自動車の台数を増やすことで、工場の一層の現地化を実現。インド市場における同社のコミットメントを強化することになりました。また、現地の製造工場においても収益が向上し、雇用の増加や経済成長などあらゆる面でメリットが生まれています。

2.フォード

自動車メーカーとして知られる「フォード」は、アメリカで誕生した企業の一つです。フォードが実施するSDGsの取り組みは、取引先となる複数の企業にトレーニングプログラムを実施。これにより、各企業が責任のある労働環境を実現することになりました。

トレーニングの効果は、2,900人超のサプライヤーの代表者のほか、25,000人のマネージャー、485,000人の従業員などに及んでいます。

3.ゲスタンプ

スペインのマドリードに本社を構える「ゲスタンプ」。おもに、自動車プレス部品を扱うメーカーです。同社が実施しているSDGsの取り組みは、策定した安全衛生方針の改革です。製造施設が抱える課題を洗い出し、その解決策を提供しています。

たとえば、重量物を積んで使用するクレーンにはさまざまなリスクがありますが、このリスクを解消するための解決策を提供するためにプロジェクトを発足しました。これにより、「積載物が適切に並んでいないときには停止する装置の開発・設置」を実現。業務中の事故を防ぐことにつながっています。 

4.ヒューレット・パッカード

コンピューターや電子計測機器の製造・販売を行うヒューレット。パッカード。アメリカで誕生した会社であり、「HP」という名称で、日本でも親しまれています。

そんな同社では、搾取的な労働や強制的な労働の防止を目指しています。まず、外国人等同社基準を見直して、「直接雇用」を義務付けました。

移民労働者の抱える労働の課題を監視し、積極的に防止に努めている同社は、外国人労働者の労働環境改善においては、IT企業としては世界的に初の試みとなりました。

SDGs研修・体験型SDGsイベント

SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)

 

概要

  • SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
  • 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
  • オプションとして「SDGsマッピング」を行うことで学びの定着・自分ごと化

特徴

  • 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
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概要

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特徴

  • あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
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  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

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【親子・子ども向け地域イベント】SDGsアドベンチャー(商業施設・自治体向け)

概要

  • 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
  • 子どもが本気で楽しめる複数の体験型アクティビティを実施
  • すべてクリアした方にSDGs缶バッチをプレゼント

特徴

  • ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
  • 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

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まとめ

今回ご紹介した通り、奴隷や人の売買、労働に関する問題は世界にまだまだ多いのが現状です。もちろん、日本の労働問題も、過労や長時間労働など、深刻な問題は多いのが現状。決して他人事の問題ではありません。

世界が、SDGsの目標8が掲げられることとなった背景に目を向け、関心を寄せることが、目標8を達成する大きな一歩になります。加えて、自社の雇用ルールにも目を向け、他社や社外の人々と相互に協力しながら、展開できるプロジェクトを計画してみるなど、働きがいを感じられる会社づくりを目指してみましょう。

 

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