社会

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の概要と取り組みをわかりやすく解説

SDGsについて興味があるけど具体的に何をすればいいの?」といった疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。

SDGsには17の目標があり、まずはそれぞれの目標について理解を深め、「自社の事業と関連が深そうな目標は何か?」を見定めることが大切です。

全部で17あるSDGsの目標のうち11・住み続けられるまちづくりを」は、主に「人々の暮らしや生活」へ目を向けた目標です。

 

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SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」とは

SDGsの目標11が掲げる「住み続けられるまちづくりを」は、文化や生産性、社会開発などあらゆる活動の拠点となる都市に着目した目標です。

人々の社会的及び経済的な成長を促すものでもあり、人々が協力しながら豊かなまちづくりを推進していかなければなりません。

 都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする

2030年までに都市住民の人口はおよそ50億人に達すると考えられています。都市化が進むこと自体は決して悪いことではなく、社会や経済の成長を引っ張る力にもなることから、前向きに考えられるポイントです。

しかし、都市化が進んでいくと、雇用の不足や、人口が増えることによる安全な住宅の不足などの課題が発生すると考えられます。

また、廃棄物が増えたり、インフラが不足したりするなど、環境問題や市民の生活に影響を与えることにもなりかねません。こうした課題・問題に着目したのが、SDGsの目標11なのです。

  • ※「レジリエント」とは……「災害への対応力」を意味する言葉

 数字で見る「居住」の現状

都市化が進み、都市膨張が起きると予測されるのは95%以上が開発途上の地域と見られています。都市化に伴い、開発途上の地域は、基本的なサービスの提供や、公共交通機関の整備などを実現させなければなりません。

また、急速に都市化が進むと、真水の供給や、下水の処理、生活環境、公衆衛生などで問題が発生するケースが考えられます。都市化に伴い大気汚染が増える傾向にあるのも現実的な話です。大気汚染によって安全ではない空気を吸う人が増えると、健康被害も増加することが懸念されます。

都市化に伴うさまざまなリスクをしっかりと理解し、すべての人々が安全に暮らせるようなまちづくりの推進が重要です。

 

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SDGsの目標11における7つの達成目標

SDGsの目標11では、以下7つの達成目標が設定されています。

1.安全な家に安い値段で住めるようにする

  • 2030年までにすべての人が安全な家に安い値段で住めるようにして、貧しい人々が住む地域の状況を改善する。”

都市化が進み、人口が増えてもすべての人が「住むにあたって十分に安全な家」に住めるようにすることが大きな目標です。また、単純に家を確保できるようにするだけではなく、安く利用できるようにすることもポイントです。

また、貧しい人々が住む地域の状況を改善するためにも、福祉などの基本的なサービスをだれもが使えるようにすることも必要といえます。

2.安く安全に持続可能な交通手段を使えるようにする

  • “性別や年齢、障がい、社会的に弱い立場にある人などの需要に応えられる公共交通手段の展開を実現する。”

2030年までに、女性や子ども、障がいがある人、お年寄りなどが求めていること・必要としていることに目を向けたうえで、公共交通手段を展開する必要があります。社会的に弱い立場にある人にとって、安心して利用できる公共交通手段は重要です。

また、安全であることに加え、安価に利用できることも目標の1つです。

3.だれもが参加できる形の持続可能なまちづくりを実行する

  • 2030年までにだれも取り残さない持続可能なまちづくりと、だれもが参加できる形のまちづくりを計画・実行する。”

まちづくりは一部の人々や行政だけで実施するものではありません。だれもが主体的になって、持続可能なまちづくりを進めていく必要があります。

このとき、だれ一人として取り残すこともなく、すべての人にとってよりよい形のまちづくりであることが重要です。

4.文化遺産や自然遺産を保護する

  • “世界にある文化遺産や自然遺産を保護し、保っていくための対応を強化する。”

世界にはさまざまな文化遺産や自然遺産があります。しかし、自然災害や環境破壊、人的なものなどが理由で、崩壊するケースが少なくありません。文化遺産や自然遺産は、人類にとって大きな価値のあるものであり、長く守っていくことが大切です。

5.災害による被害者の数を大きく減らす

  • 2030年までに貧しい人々や、弱い立場にある人々を守り、災害によって命を落とす人・被害を受ける人の数を大きく減らす。”

世界中で発生している自然災害。日本も災害大国と呼ばれるほど自然災害が多い国ですが、世界でも同じように水害や地震、火山の噴火などで多くの被災者が出ています。

こうした自然災害で命を失う人を大きく減らし、なおかつ災害による経済的な損害を減らすことも重要です。

6.大気の質やごみの処理などに注意をはらう

  • “都市部に住む人が環境に与える影響を減らすため、大気の質やごみの処理の問題に目を向ける。”

都市化が進むにあたり切り離せない問題となるのが、大気汚染とごみの問題です。開発が進むと同時に二酸化炭素が大量に排出されたり、人口が増えたことでごみが増えたりする傾向にあります。

そのため、一人ひとりが積極的に環境やごみの問題を自分のこととして認識し、注意をはらう必要があるのです。

7.安全で使いやすい緑地や公共の場所をだれもが使えるようにする

  • “女性や子ども、お年寄り、障がいのある人も含め、だれもが安全かつ使いやすい公共の場所を使えるようにする。”

開発途上国の緑地や公共の場所は、社会的に弱者の立場にある人にとっては使いにくいことがあります。たとえば、治安の悪い地域であれば、女性や子どもが公共の場所を利用することは、犯罪などの思わぬ危険に遭遇する可能性が高いケースがあります

また、障がいのある人にとっては、バリアフリー設備が完備されていないと、安全な利用が難しくなってしまいます

一部の人々しか積極的に使えないのであれば、住みやすいまちづくりを実現しているとは言い切れません。すべての人々が、緑地及び公共の場所を使えるように、あらゆる需要に目を向けて提供することが目標です。

 達成するための具体的な方法3

SDGs目標11における「まちづくり」という大きな目標を達成するための、具体的な方法について触れていきます。

1.経済的、社会的などでつながりあうための支援をする

達成するための具体的な目標として、まず挙げられるのが政治的にも社会的にも広くつながりあえるような支援を行うことです。

都市部と農村部などのように、地域によってはつながりあうことが簡単ではありません。こうした状況を回避するために、国及び地域の開発計画を強化し、「経済」「社会」「環境」などの面でつながりあえるようにすることが大切です。

2.災害リスクの管理について定める

まちづくりで欠かせないのが「災害リスクの管理」です。気候変動への対策や、防災の取り組みなどを進めるための政策・計画をつくることで都市の災害リスク管理につながります。その際には、資源を効率的に使い、あらゆるレベルの災害にも耐えられるようにすることが目標です。

国内においては、「仙台防災枠組2015-2030」に基づいた災害リスクの管理の制定・実施が重要となります。仙台防災枠組2015-2030とは、2015年から2030年の15年間、災害に対する優先行動(災害対策のための投資など)や、目標(災害死者数を減らすなど)を策定したものです。災害から身を守り、被害を最小限に抑えるために設けられています。

3.災害にも強い建物をつくれるよう支援する

とくに開発途上国では、建物の耐久性が低いなど安全面に問題が見られることもあり、災害の場面では建物が倒壊するなど、さまざまなリスクが考えられます。

災害から命を守るための方法の1つとして、持続可能で災害にも強い建物をつくれるように支援していくことが求められます。

「地震で倒壊しにくい建物」「火災が発生しても延焼しにくい建物」「水害に強い建物」など、各国が持つ技術を提供することも支援に該当します。

日本における取り組み事例

ここからは、SDGsの目標11を達成するための、日本における取り組み事例を紹介します。

1.【企業】相羽建設

建設会社として知られている相羽建設では、安心して暮らせる災害に強い建物づくりを推進しており、耐震性能の高い建物を提供しています。一定の品質以上の構造材を使用し、自然災害に備えた住宅づくりを進めています。

また、内部の状況を一般の人々が見られる「構造見楽会」も開催。安心して住める住宅づくりの啓発にも寄与しているのが特徴です。

使用する素材にもこだわる同社は、住む人が安心かつ快適に暮らせるよう、体にやさしい住宅づくりを実現しています。調湿・消臭機能に優れた自然素材を使用するなど、安全性に配慮している点が特徴です。

出典:【SDGs】相羽建設の取り組み | ニュース&リリース | 相羽建設

2.【企業】かんぽ生命保険

かんぽ生命保険が実施しているSDGs目標11の取り組みは、カーボンニュートラルに向けた取り組みや、TSFD提言に沿った取り組み、ESG投資への推進などです。

もともと、地域社会との関わりが深い企業でもあり、「地域社会」「地球環境」「人とのつながり」などに着目した活動を推進しています。

出典:SDGs達成に向けた取り組み|かんぽ生命

3.【企業】シーアールグループ

シーアールグループでは、まちづくりの一環として「少子高齢化社会」に目を向けた取り組みを実施しています。
同社の「介護タクシー」は、車いすに乗ったまま乗車できることから、高齢者や障がい者などから重宝されています。

併せて、買物代行といった支援事業、及びドライバーの派遣事業なども実施しています。少子高齢化が進む日本の需要にマッチする形で、地域の人々の暮らしを支えているのです。

出典:SDGsへの取り組み | シーアールグループ

4.【企業】第一測工

第一測工では、まちづくり支援事業として、安心安全で活力あるまちづくりを実施しています。市街地のまちづくりとして、郊外の農村環境を中心に整備。「とちぎのふるさと田園風景百選マップ」の構築・運営を行い、地域の情報発信を行っています。

また、現在増加傾向にある「空き家」の対策として、空き家の情報を管理する「宇都宮市中心市街地空き店舗情報システム」を構築しました。

自然との共生にも目を向け、環境設計やため池・農業用道路の整備などを実現しています。人々の暮らしだけではなく、自然環境にも目を向けているのが第一測工の取り組みです。

出典:SDGsの取り組み|第一測工株式会社

世界における取り組み事例

ここからは、世界の企業におけるSDGsの目標11の取り組み事例を紹介します。

出典:SDG Industry Matrix日本語版 | グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

1.ABB

ABBは、エンジニアリング企業として活動しているスイス発の企業です。130年以上の歴史を持つ同社では、電気バスの普及のため、自動急速充電システムを開発しました。わずか46分程度で充電が完了するという仕組みであり、既存のバス路線に組み込みやすくなったのです。

また、スマートフォンと連動させて、冷暖房やブラインド、インターフォンなどを音声で操作できる仕組みを構築。これにより、家庭のエネルギー効率を改善できる可能性があるとして期待されています。

2.ブロードグループ

ブロードグループは、「電気を使わないエアコンの製造・設置」をメインに展開する中国企業です。同社は、高層ビルなどの建物を短期間で建築できる鉄骨構造を開発しました。

この鉄骨構造は安価であるうえに、室内の空気の質を改善するのが特徴です。人口の増加に伴う住宅不足を防ぐだけではなく、より安価かつ快適に利用できるといった魅力があります。 

3.セメックス

メキシコに本社がある、セメントの製造・販売会社です。世界にセメントを輸出する企業であり、数多くの国々で同社のセメントが使用されています。

セメックスの取り組むSDGs目標11は、低所得家庭に目を向けた内容です。低所得家庭が、迅速かつ効率よく家を建てたり、増築したりできるよう、安価な住宅の提供を実現しています。これは、資金の援助や専門的なアドバイスなどの支援によって達成されている取り組みです。

ちなみに、住宅を建てる速さは通常要する期間のわずか3分の1の期間で完成。住宅を建てる際の費用についても同様に、通常価格の3分の1程度で建てられるようにしています。 

4.シーメンスAG

家電製品の製造や防衛、システムソリューション事業など、幅広い事業を展開しているシーメンスAG。ドイツで誕生した企業であり、SDGsに積極的に取り組んでいるのが特徴です。

シーメンスAGは、台湾の高層ビル「台北101」を世界最高層のグリーンビルにするためにさまざまな支援を行いました。

たとえば、総合的なビル自動化・エネルギー管理システムの導入をサポートしたり、エネルギー効率の高い空調設備を整備したりするなど、住む人の快適性を追求するとともに、自然環境にも配慮した取り組みを行っています。 

 

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SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)

 

概要

  • SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
  • 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
  • オプションとして「SDGsマッピング」を行うことで学びの定着・自分ごと化

特徴

  • 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
  • チームで戦略を練り様々な可能性を話し合う必要があるため、深いチームビルディングに繋がる
  • 様々な選択肢の中から取捨選択して最適解を導く考え方を身につけることができる

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【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)

概要

  • 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
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  • 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能

特徴

  • あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
  • 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

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【親子・子ども向け地域イベント】SDGsアドベンチャー(商業施設・自治体向け)

概要

  • 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
  • 子どもが本気で楽しめる複数の体験型アクティビティを実施
  • すべてクリアした方にSDGs缶バッチをプレゼント

特徴

  • ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
  • 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

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まとめ

今回は、SDGs目標11について紹介しました。過去40年を見ると避難や移住を余儀なくされる自然災害が増えている状況です。そして、世代、性別を問わずに安全に利用できる住宅や公共施設が求められています。

SDGsの目標11に取り組みたいと考えている方は、まずは災害時の事業継続(BCP)計画の策定などから始めてみてはいかがでしょうか。 

 

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