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リサイクル(3R)とSDGsの関係とは?日本の現状、企業の事例などを紹介

2030年までにより良い世界の実現を目指す、SDGs(持続可能な開発目標)。地球規模のあらゆる課題を解決するために、私たち一人ひとりにもできることがあります。その1つが、リサイクル(3R)です。

具体的にどんなことができるのか、SDGsの17ある目標のうち何番に貢献できるのか、日本の消費と廃棄の現状や、リサイクル(3R)に取り組む企業の事例を解説します。

 

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リサイクル・3Rとは

「リサイクル」と聞いて、どんなアクションが思い浮かびますか?

資源ごみをしっかり分別する、いらなくなった本を古本屋に持っていく、お菓子の空き箱をペン立てとして使う……など、“リサイクル=ものや資源を繰り返し使うこと”と認識している人も多いのではないでしょうか。

正確には、いらなくなったものを原材料やエネルギー源に生まれ変わらせて“再生利用”することを「リサイクル(Recycle)」、製品や部品をそのままの形で“再使用”することを「リユース(Reuse)」といいます。ここに、ごみの“発生を抑制”する「リデュース(Reduce)」を加え、まとめて「3R(スリーアール)」と呼ばれています。

ここからは、それぞれの違いを具体的な取り組み例を交えて解説します。

①リデュース(Reduce)

リデュースとは、ごみの“発生を抑制”することです。具体的に、私たちができることとしては、

  • マイバッグを持参し、レジ袋を断る
  • 必要以上に買わない
  • 簡易包装の商品を選ぶ
  • 耐久性があるものを買う・直せるものは修理して長く使う
  • レンタルやシェアサービスという選択をする

などが挙げられます。

このなかの、ごみとなるものを受け取らない行動「リフューズ(Refuse)」や、修理・修繕「リペア(Repair)」を分けて考え、「4R」や「5R」が重要であるという意見もあります。

②リユース(Reuse)

リユースとは、いらなくなった製品や部品をそのままの形で“再使用”することです。具体的に、私たちができることとしては、

  • 次の所有者に譲る(リサイクルショップに売る、フリーマーケットに出すなど)
  • リターナブル容器に入った製品を選ぶ

などが挙げられます。

リターナブル容器とは、返却・回収後、洗浄して繰り返し使われる容器のことです。身近なものとしては、一升びんやビールびん、牛乳びんなどがあります。

③リサイクル(Recycle)

リサイクルとは、原材料やエネルギー源に生まれ変わらせて“再生利用”することです。

現状、どれくらいのごみがリサイクルされているのかを見てみましょう。

出典:一般廃棄物処理事業実態調査の結果(令和元年度)について―環境省(p.5)

環境省の資料によると、令和元年度の総資源化量は840万t、リサイクル率は19.6%で、前年度の数値を下回ってしまいました(平成30年度 総資源化量:854万t、リサイクル率:19.9t)。平成22年度以降、総資源化量、リサイクル率ともに減少傾向にあります

具体的に、私たちができることとしては、

  • ごみを分別する
  • 生ごみを堆肥にする
  • リサイクル製品を選ぶ 

などが挙げられます。

ごみは自治体による回収だけでなく、スーパーに設置されている資源回収BOXなどを活用し、より徹底した分別を意識しましょう。

3Rで心がけること

リサイクルやリユースも、その過程でエネルギー(資源)を必要とする点に注意が必要です。「分別するから」「リサイクル製品だから」といって、使いすぎてはいけません。

リデュース・リユース・リサイクルの3Rすべてに取り組むことが大切ですが、このなかでも、ごみの発生を抑える「リデュース」が、環境への負荷を減らすために最も重要であるといえます。

出典:平成17年版循環白書-環境省

出典:一般廃棄物処理事業実態調査の結果(令和元年度)について―環境省(PDF)

出展:3R~いま、地球のためにできること~|経済産業省(リーフレット)

 

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SDGsとは

SDGsとは、2030年までにより良い世界を目指す、世界共通の目標のことです。「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。

2015年9月に開催された国連サミットで、加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書があります。世界が抱えているさまざまな課題、2030年にあるべき未来の姿、それを実現するための手段などが記載されたものです。SDGsは、この「2030アジェンダ」に記載されている、具体的な17の目標と169のターゲットのことを指します。

出典:SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

3RとSDGsの関係 

SDGsのなかにも、ごみ問題や地球の資源に関するものがあります。17の目標は互いに関連しているので、リサイクルを含む3Rの取り組みも、間接的にはすべての目標に関連しているといえますが、特にかかわりが深い目標が以下の2つです。

  • 目標12「つくる責任つかう責任」
  • 目標14「海の豊かさを守ろう」

それぞれの概要と、3Rの関係性を解説します。

目標12「つくる責任つかう責任」

開発途上国では、基本的な生活のために必要な資源の量すら消費できていない人々が大勢います。しかし一方で、日本を含む先進国により大量の資源が消費されており、地球の生産力が追いつかなくなってきています。目標12は、持続可能な新しい消費と生産のパターンを確保することを目指すものです。

11あるターゲットのなかから、3Rに特に深くかかわるものを紹介します。

  • 12‐2:天然資源を持続的に管理し、効率的に利用する
  • 12‐3:食品ロスを半減させ、生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる
  • 12‐5:廃棄物の発生防止、削減、再生利用・再利用により、廃棄物を大幅に削減する
  • 12‐8:あらゆる場所で、持続可能な開発と自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つ

「12‐5」は、まさしく3Rのことです。一人ひとりがごみや資源の問題に意識を持ち、消費者・事業者それぞれの立場で取り組むことが求められています。

出典:目標12: つくる責任つかう責任 | 国連開発計画(UNDP)

目標14「海の豊かさを守ろう」

海洋汚染、海面上昇や海洋酸性化など、海は今、深刻な状況となっています。目標14は、海洋汚染の防止と、海の生態系を守り、持続可能な形で利用していこうとするものです。

11あるターゲットのなかで、3Rに特に深くかかわるものを紹介します。

  • 14‐1:あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する

日本でもニュースなどで取り上げられることが多いのが、海のプラスチックごみ問題です。UNEPが2018年6月に発表した報告書「シングルユースプラスチック」によると、人口一人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量が、日本は世界で2番目に多いということがわかっています。海洋汚染はプラスチックごみによるものだけではありませんが、「プラスチックごみ削減」が、最も身近で取り組むべき課題の1つであるといえるでしょう。

出典:SDGsの目標とターゲット:農林水産省

出典:プラスチックを取り巻く国内外の状況環境省(PDF)

大量生産・大量消費という日本の現状

私たちは普段の生活のなかで、どのくらいの資源を消費し、環境に負荷をかけているのでしょうか。いくつかのデータを紹介します。

エコロジカル・フットプリントは地球2.8個分

人間の消費によりどれくらいの資源が消費されているのかを計る指標の1つに、「エコロジカル・フットプリント(エコフットとも呼ばれる)」があります。エコロジカル(ecological)=「生態学、環境」、フットプリント(footprint)=「足跡」という2つの英単語を組み合わせた言葉で、「生態系を踏みつけている足跡」を意味しています。

持続可能な社会を実現するためには、

バイオ・キャパシティ(地球が本来持っている生産性)>エコロジカル・フットプリント

とし、その状態を維持していかなくてはなりません。

しかし、2014年のエコロジカル・フットプリントは、バイオ・キャパシティを約70%上回り、世界の人々が今の暮らしを保つためには、地球が1.7個分必要になるということがわかりました。国別に見ると、日本は地球2.8個分のペースで資源を消費しており、世界の国々よりも使いすぎであることも明らかとなりました。それに加えて、土地が少ないためバイオ・キャパシティが低く、海外の自然環境に依存しているという現状もあります。

このエコロジカル・フットプリントを一人単位で見たとき、全体の約7割を占めているのが「家庭の消費」です。一人ひとりが暮らしのなかで意識し、3Rに取り組むことで、この現状はまだまだ改善していけるでしょう

出典:「環境と向き合うまちづくり」日本のエコロジカル・フットプリント2019|WWFジャパン(PDF)

年間570万tもの食品ロス

「食品ロス」とは、食べられるのに捨てられてしまっている食べ物のことです。食べ残し、賞味期限切れ、商品としての基準を満たしていない(色や形が悪い)などのさまざまな理由で、多くの食べ物が廃棄されています

日本では、年間570万tもの食品ロスが発生しています(令和元年度推計値)。このうち、事業活動を伴って発生する「事業系食品ロス」が309万t(54%)、各家庭から発生する「家庭系食品ロス」が261万t(46%)です。

日本から発生している食品ロスの量は、世界中の飢餓に苦しむ人々に対する食糧援助量(2020年・年間約420万t)を上回っています。また、廃棄された食べ物を焼却処分する際にはCO2も発生します。3Rを意識し、食品ロス削減に取り組むことは、広い目で見れば、目標2「飢餓をゼロに」や、目標13「気候変動に具体的な対策を」に貢献することでもあるのです。

出典:食品ロスについて知る・学ぶ | 消費者庁

出典:食品ロスとは:農林水産省

過剰な包装により増えるごみ

家庭から排出されるごみの大部分を占めているのが、さまざまな商品の「容器」や「包装」です。

環境省は、「容器包装廃棄物の使用・排出実態調査」を、平成18年度から毎年実施しています。令和2年度のデータを見ると、容積比で63.2%、湿重量比で23.3%もの割合を、容器包装廃棄物が占めています。そのなかでも多いのが、プラスチック製の容器包装廃棄物です。レジ袋ばかりが注目されがちですが、食品のパックやトレイ、弁当容器、緩衝材など、さまざまなものがあります。

プラスチックごみへ関心を持っている消費者は多く、消費者庁の調査では、約半数が、使い捨て容器や飾りなどを「過剰包装だ」と感じていることがわかりました。こうしたニーズに応え、包装を簡素化する企業も増えています。一人ひとりが「リデュース」を意識した消費行動を取ることが、好循環を生み出すきっかけになるといえるでしょう。

出典:環境省_容器包装廃棄物の使用・排出実態調査の概要(令和2年度)

出典:第1部 第2章 第3節 (3)プラスチックごみに対する消費者の意識 | 消費者庁 

ライフサイクルの短いファッション産業

さまざまな産業のなかで、特に環境負荷が大きいと指摘されているのが、ファッション産業です。

その理由の1つが、「ライフサイクルの短さ」です。トレンドや多様な趣味に合わせて、大量の服が生み出され、捨てられています。特に日本においては、供給数は増加する一方、衣服一枚あたりの価格が低下しており、大量生産・大量消費の傾向が拡大しています

また、手放される服の多くが「可燃ごみ・不燃ごみ」として廃棄されているということも大きな問題です。その理由のほとんどは、「手間や労力がかからないから」というもの。一人ひとりのファッションに対する意識や価値観、消費行動を変えることで、まだまだ改善の余地がある課題です。

出典:環境省_サステナブルファッション

企業の取り組み事例3選

近年大きな注目を集めているSDGs。これから取り組みをはじめる、または検討している企業も多いのではないでしょうか。

3Rと特にかかわりの深い、目標12「つくる責任 つかう責任」、目標14「海の豊かさを守ろう」に取り組む企業の事例を紹介します

サントリーホールディングス株式会社

飲料メーカーのサントリーホールディングス株式会社は、SDGsの目標12、13、14への取り組みの一環として、容器包装の3Rを推進しています。

  • リデュース

資源を使いすぎないために、ペットボトル・缶・びんなどの軽量化を進めています。ペットボトル容器については、ペットボトル本体だけでなく、薄肉化したロールラベル、植物由来原料100%のペットボトルキャップを導入し、CO2排出量削減にも貢献しています。

  • リユース

飲食店向けの商品には、リターナブル容器が多く使われています。これらは自社ルートで回収・洗浄を行い、再利用しています。

  • リサイクル

サントリーは他社とも協働し、早くから「ボトルtoボトル」のリサイクル技術開発に取り組んできました。ボトルtoボトルとは、使用済みのペットボトルを再資源化し、新たなペットボトルに再生することです。2012年には国内清涼飲料業界初となる、100%リサイクル素材のペットボトルを導入しています。国内で使用するペットボトルを、2030年までにすべてサステナブルボトルに切り替えることを目指しています

出典:容器包装の3R サントリーグループのサステナビリティ サントリー 

出典:サステナビリティビジョン サントリーグループのサステナビリティ サントリー

生活協同組合コープこうべ

生活協同組合コープこうべでは、環境に対するさまざまな取り組みを実施しています。そのなかから、食品ロス削減・食品リサイクルに関する取り組みと、プラスチック削減に関する取り組みを紹介します

  • 食品ロス削減・食品リサイクル

食品ロスを削減するため、「フードドライブ」を実施しています。家庭で余ってしまった食品を持ち寄り、コミュニティ食堂や福祉施設などの食料支援につなげるという取り組みです。食品リサイクルに関しては、店舗で発生した加工くずや廃棄食品を堆肥として使用する「エコファーム」を、20年以上前から展開しています。

  • プラスチック削減

2030年までに、事業活動におけるプラスチック使用量を25%削減するという目標を設定し、食品工場のパン包材の薄肉化、精肉のノントレイ包装など、取り組みを進めています。

出典:環境 生活協同組合コープこうべ(PDF)

たねやグループ

滋賀県で和菓子・洋菓子の製造販売事業などを展開する たねやグループ。女性活躍と働き方、地域のつながり、次世代へ“農”の学びの提供など、さまざまなSGDsに取り組んでいます。そのなかから、目標12、14に関連する取り組みの一部を紹介します

  • 食品ロスと資源の消費量削減

食品ロスを削減するために、看板商品であるバームクーヘンの“みみ”の部分を商品化。容器包装についても、環境に配慮した素材に変更し、これまで無料で配布していた手提袋を有料化するなど、資源の消費量削減に取り組んでいます。

  • 美しい琵琶湖を守る活動

滋賀県には、日本最大の湖「琵琶湖」があります。海ではありませんが、美しい琵琶湖を守るための活動を目標14に関連付け、琵琶湖水草を堆肥化し循環利用するなどの活動に取り組んでいます

出典:環境への取り組み – たねや×SDGs|たねやグループ

出典:自然と楽しく – たねや×SDGs|たねやグループ 

 

SDGs研修・体験型SDGsイベント

SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)

 

概要

  • SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
  • 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
  • オプションとして「SDGsマッピング」を行うことで学びの定着・自分ごと化

特徴

  • 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
  • チームで戦略を練り様々な可能性を話し合う必要があるため、深いチームビルディングに繋がる
  • 様々な選択肢の中から取捨選択して最適解を導く考え方を身につけることができる

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【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)

概要

  • 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
  • 子どもが楽しみながらも本気で学べる、複数の職業体験を実施
  • 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能

特徴

  • あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
  • 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

【親子・子ども向け地域イベント】SDGsアドベンチャー(商業施設・自治体向け)

概要

  • 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
  • 子どもが本気で楽しめる複数の体験型アクティビティを実施
  • すべてクリアした方にSDGs缶バッチをプレゼント

特徴

  • ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
  • 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

まとめ

3R(リデュース・リユース・リサイクル)と、SDGsについて解説しました。

私たちは、地球の資源を消費することで、豊かで便利な暮らしを送ることができています。しかし、地球が生み出す資源は無限ではありません。私たちがこのままのペースで消費を続ければ、今、当たり前にあるものが、未来にはなくなってしまう可能性があるのです

一人ひとりが意識を変え、消費者・事業者それぞれが、できることからはじめていかなければなりません

 

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あらたこまち

この記事を書いた人

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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