SDGsアクションプラン2022の概要を解説!重要事項と取り組みを紹介
近年、多くの国や企業・団体がSDGsに対してさまざまな取り組みを実施しています。SDGsが掲げる持続可能な社会の実現に向けた取り組みとして、日本政府ではSDGsの17目標を達成するための具体的な施策を示した「アクションプラン」を、2017年から毎年発表しています。
現代社会は、経済・社会・環境問題など多くの社会的課題を抱えており、それらを解決するには、前例にとらわれない施策や戦略が必要です。SDGsアクションプランは、2017年に発表された「アクションプラン2018」から2021年の「アクションプラン2022」まで、時代の背景に合わせて、さまざまな社会的課題の解決へ向けた取り組みを試みています。
本記事では、SDGsアクションプランの概要や、2021年に発表された「アクションプラン2022」の重要事項と取り組み内容について解説します。
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SDGsアクションプランとは
SDGsアクションプランとは、SDGs達成に向けた具体的な施策を日本政府が取りまとめたものです。2016年に、SDGs推進本部(※)はSDGs達成への指針である「SDGs実施指針」を策定しており、SDGsアクションプランには、「SDGs実施指針」で定められた8つの優先課題に対して、取るべき施策や戦略が盛り込まれています。
2017年以降SDGs推進本部は、毎年12月に翌年のSDGsアクションプランを発表しており、その年の社会情勢や取り組むべき社会的課題を重要事項に設定しています。
SDGsアクションプランの特徴
SDGsアクションプランには、「5つのP」に基づく「8つの優先課題」それぞれに対し取り組むべき内容が設定されています。「5つのP」とは、国連がSDGsを採択した文書「2030アジェンダ」に掲げられている、持続可能な世界の実現を目指すためのキーワードで、それぞれが17目標と大きく関連しています。
「5つのP」とは
1. People 「人間」
地球で暮らすすべての人に、「人権の尊重」「尊厳」「平等」「能力の発揮」などの権利が与えられる社会を目指すための項目です。「貧困と飢餓の撲滅」「ジェンダーの平等」「教育環境の確保」「水と衛生」など、健全な生活を保障し「人間を守る」必要性を唱えています。
2. Prosperity「繁栄」
繁栄では、すべての人が豊かに暮らすことのできる社会を目指しています。環境に優しい新たな経済システムを積極的に取り入れることで、「持続可能な安心で安全な生活」や「格差なく平等で、働き甲斐のある社会」の実現を促し、自然と人が調和する経済・社会・技術を確立することが、この項目の目的です。
3. Planet「地球」
人類の経済活動によって、気候変動による異常気象や天然資源の枯渇、生物多様性の損失、廃棄物による環境汚染など、地球に大きな負荷がかかっています。「地球」の項目の目的は、「責任のある消費と生産」「天然資源の持続可能な管理」「気候変動への対応」などを通して、地球環境を保護していくことです。
4. Peace「平和」
安全な国で生活をしている人々にとっては身近なことではありませんが、世界では未だに人身売買や紛争などの問題が続いており、平和な社会は実現されていません。この項目では、すべての人が平和と公正を享受し、恐怖と暴力が排除された世界の実現を目指しています。
5. Partnership「パートナーシップ」
パートナーシップでは、国や企業、個人などすべての関係者が協力し、一丸となって持続可能な社会の実現に向けて、行動していくことを目標にしています。
出典:SDGsの考え方 – SDGs 持続可能な開発目標 | 日本ユニセフ協会 (unicef.or.jp)
「8つの優先課題」
日本では、上記の「5つのP」に基づいて、SDGsを達成するために以下の「8つの優先課題」を設定しています。
- あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
- 健康・長寿の達成
- 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
- 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
- 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
- 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
- 平和と安全・安心社会の実現
- SDGs 実施推進の体制と手段
SDGsについておさらい
SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略称であり、日本語での訳は「持続可能な開発目標」です。地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことをコンセプトに、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であり、2030年までに達成すべき17のゴールと169のターゲットから構成されています。
SDGsアクションプラン2020では、経済・社会・環境問題に対して取り組むSDGsを「我々が直面する未曾有の危機を乗り越え、世界をより良い未来に導くための重要な羅針盤」として捉えており、取り組みの加速を目標としています。
出典:SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省 (mofa.go.jp)
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アクションプラン2022の重要事項と取り組み
SDGsアクションプラン2022における取り組みに対して、約7.2兆円が予算化されており、政府はSDGs加速へ向けた施策の強化を図っています。
SDGsアクションプラン2022の冒頭には、「SDGs 採択から 6 年が経ち、日本国内で SDGs に関する認知度は大きく高まり、ESG 投資の拡大などを受けて、企業経営に SDGs が浸透した。」との文言があります。この文言から、2022年は認知を広める段階から、具体的な取り組み強化を始める段階へと進んでいる年であるとうかがえます。
取り組み強化を目的とした2022年のSDGsアクションプランは、新型コロナウイルス感染症拡大によるリスクを踏まえた内容が追加されていることに加え、今まで独立して記されていた「8つの優先課題」が「5つのP」と関連づけられている点が大きな特徴です。
ここでは、SDGsアクションプラン2022における、「5つのP」に基づいた「8つの優先課題」ごとに、新たに追加された点や重点的な取り組みを紹介します。
出典:SDGs_Action_Plan_2022 (PDF)
People 人間:感染症対策と未来の基盤づくり
1. あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
優先課題1つ目の項目では、特に重点的な取り組みとして、新型コロナウイルス感染症によって被害を受けた人々への支援が挙げられています。また、「第 5 次男女共同参画基本計画」や「女性の活躍・男女共同参画の重要方針2021」に基づく、女性デジタル人材の育成や「生理の貧困」への支援、女性の登用目標達成、女性に対する暴力の根絶について明記されており、女性活躍・男女共同参画の取り組みの推進を図っています。
その他にも、日本の未来を担う子どもや若者の教育についても触れており、「子どもの貧困対策」や「子ども中心の行政を確立するための新たな行政組織を 2023 年中に設置すること」などの取り組み実施が記されています。
2. 健康・長寿の達成
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、UHC(※) の重要性が再度認知されています。変化する社会の中で、「より強靭」「より公平」「より持続可能」なUHCの達成に向けた施策を進め、可能な限り早いタイミングで新たな「グローバルヘルス戦略」を策定し、取り組みを加速すると記載されています。
また、途上国を含めた感染症対策の支援や、世界の栄養改善に向けた取り組み強化・国内における栄養政策の推進についても触れられています。
出典:FORTH|最新ニュース|2017年|ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(ファクトシート)
Prosperity 繁栄:成長と分配の好循環
3. 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
この項目には、「SDGs 未来都市」(※)の選出や、新たに複数の地方公共団体が連帯して実施する、脱炭素社会化などのSDGs達成に向けた取り組みに対しての支援、地域が抱える課題をデジタル化によって解決するための施策が記載されています。
地域が抱える人口減少・高齢化・産業空洞化などの課題を解決するために、「自動配送」「ドローン宅配」「遠隔医療」「教育」「防災」「リモートワーク」「スマート農業」などのサービスを拡大し、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる体制を作るデジタルトランスフォーメーション(DX)や、グリーン分野の成長を含めた科学技術立国を推進するなどのイノベーション力強化が、この項目での重点的な取り組み内容です。
Planet 地球:地球の未来への貢献
4. 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
大規模自然災害による被害が世界中で多発しています。この項目では、日本において実施されている「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会の構築に向けた「国土強靱化」の強化や、国外に向けて日本の経験を共有していくことによる、国際社会への貢献について記されています。
あわせて、途上国の「質の高い成長」を実現するために、「質の高いインフラ投資に関する G20 原則(※)」に基づいた、インフラ投資による支援を引き続き行うことも記載されています。
出典:国土強靱化とは?~強くて、しなやかなニッポンへ~内閣官房国土強靱化推進室(PDF)
出典:質の高いインフラ投資に関するG20原則(概要)(PDF)
5. 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
2050 年までのカーボンニュートラル化及び、温室効果ガス削減率50%に向けて、再エネ最大限導入のための規制見直しや、クリーンエネルギー分野への投資を進めるとされています。また、アンモニアや水素への燃料転換を進めることで、火力発電ゼロを目指し脱炭素化に貢献することも記載。
その他に、食料の安定供給を図るための取り組みである「みどりの食料システム戦略」による農林水産業のグリーン化、アクションプランでは初の明確な数値目標となる「食品ロス量を 2030 年までに 2000 年度比で半減となる 489 万トンまで低減する」が掲げられており、持続可能な生産・消費を促進していくことが記されています。
出典:みどりの食料システム戦略トップページ:農林水産省 (maff.go.jp)
6. 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、マスクや使い捨てのビニール袋などのプラスチック廃棄物量が増加しています。プラスチックごみが海に流れ、海洋環境に悪影響を及ぼす「海洋プラスチックごみ問題」は、世界中で問題となっている深刻な社会的課題です。日本では、海洋プラスチックごみによる汚染をゼロにすることを目指した「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン(※)」を推進。この取り組みを踏まえ、国連環境総会で海洋プラスチックごみ対策について国際約束作りの開始を目指すことで、「海洋プラスチックごみ問題」解決に貢献していくことが、この項目に記されています。
出典:G20大阪ブルー・オーシャン・ビジョンと実施枠組(概要)(PDF)
Peace 平和:普遍的価値の遵守
7. 平和と安全・安心社会の実現
新型コロナウイルス感染症への対策により、生活様式が一変したことで、DV や性暴力、児童虐待の相談件数などが増加。これらの被害を防止するための取り組みを実施していくことが記されています。また、途上国に対しては、児童労働や強制労働など社会的立場の低い労働者の保護に向けて、民間企業や市民社会と連携した取り組みを推進。2022 年に開催予定の第 8 回アフリカ開発会議(TICAD)を通じて、国際間の連携を強化していくことを目標に定めています。
Partnership パートナーシップ:絆の力を呼び起こす
8. SDGs 実施推進の体制と手段
SDGs達成には、国内外のあらゆる分野の関係者との連携や、国民一人ひとりが SDGsを意識し、取り組みを進めることが重要です。この項目では、「2023 年に行われるSDGs実施指針改定を目指し、2022 年中に幅広いステークホルダーとの意見交換を実施することで、取り組みを加速させていく」との記載がされており、連携強化へ向けた取り組みの推進を図っています。
SDGs研修・体験型SDGsイベント
【SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)
概要
- SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
- 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
- オプションとして「SDGsマッピング」を行うことで学びの定着・自分ごと化
特徴
- 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
- チームで戦略を練り様々な可能性を話し合う必要があるため、深いチームビルディングに繋がる
- 様々な選択肢の中から取捨選択して最適解を導く考え方を身につけることができる
【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)
概要
- 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
- 子どもが楽しみながらも本気で学べる、複数の職業体験を実施
- 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能
特徴
- あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
- 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
- ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進
【親子・子ども向け地域イベント】SDGsアドベンチャー(商業施設・自治体向け)
概要
- 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
- 子どもが本気で楽しめる複数の体験型アクティビティを実施
- すべてクリアした方にSDGs缶バッチをプレゼント
特徴
- ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
- 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
- ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進
まとめ
SDGs達成に向けた日本政府の取り組みである「SDGsアクションプラン」は、持続可能な社会を実現するための具体的な行動方針で、毎年12月に発表されています。そして、その年の情勢や社会的課題などによって、重点的に取り組む内容が変化していきます。
2020 年には、新型コロナウイルス感染症拡大により、20年の前進が失われたと言われており、この月日を取り戻すための取り組みが必要です。そこで、2021年に発表された「SDGsアクションプラン2022」では、新型コロナウイルス感染症からの復興を目指しながら、「前例にとらわれない戦略を立て、団結して加速していくこと」が目的に掲げられています。
また、「感染症対策」以外にも、社会・環境に関する社会的課題は数多く存在しており、国や企業だけでなく個人に至るまで、さまざまな立場の人間が協力し、SDGs達成に取り組む必要があります。
SDGsのはじめの一歩を支援するSDGsイベント・研修とは?
SDGsのはじめの一歩を実現する「SDGsの社内浸透方法」とは?
進めるための具体的なステップを紹介!
自分ゴト化を促進!3分で分かるSDGs研修・イベントサービスの詳細動画
\SDGsイベント・研修向け体験型アクティビティの資料はこちら/
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SDGsとは
この記事を書いた人
SDGsコンパス編集部
SDGsコンパスは、SDGsに踏み出したい企業や自治体様の「はじめの一歩」を後押しするメディアです。SDGsの目標やSDGsの導入方法などのお役立ち情報を発信していきます。