社会

マイクロツーリズムとは?おすすめの楽しみ方や事例を紹介

近年、観光業界では「マイクロツーリズム」がトレンドとなっています。マイクロツーリズムとは、その名のとおり「小さな旅をすること」をいいます。

本記事では、マイクロツーリズムとはどういった旅行なのか、なぜ注目されているのか、マイクロツーリズムのメリットと、おすすめの楽しみ方、SDGsとの関係を解説します。また、マイクロツーリズムの事例や、マイクロツーリズムで地域活性化を図る自治体の取り組みも紹介します。

 

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マイクロツーリズムとは

マイクロツーリズムとは、自宅から12時間圏内のエリアで、小さな旅を楽しむことをいいます

新型コロナウイルスが世界的に流行したことで、観光業界は大きなダメージを受けました。マイクロツーリズムは、新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、Withコロナ期の新しい旅のスタイルとして、国内外に多くの宿泊施設を運営する株式会社星野リゾートが提唱したものです。

自宅近くに新幹線の駅や空港があり、短時間でも長距離の移動が可能な人もいらっしゃるでしょう。ですが、移動時間が短くても、遠方への旅行はマイクロツーリズムには含まれません。決まった定義があるわけではありませんが、地元や近隣地域で旅を楽しむのが、マイクロツーリズムといわれています。

自宅近くの、これまで行ったことがなかったところをあえて旅することで、その地域の新たな魅力に気づくことができるかもしれません。また、地域経済の活性化にも貢献できます。ゆっくり温泉に浸かったり、贅沢な料理を味わったり、自然やその地域の伝統に触れたりなど、「遊び」よりも「癒し」を目的としているのも、マイクロツーリズムの特徴です。

 

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なぜマイクロツーリズムが注目されているのか

新型コロナウイルスにより、観光業界は大きなダメージを受けましたが、現在(20233月)は、各国の入国制限もかなり緩和されてきました。日本も、海外からの観光客の受け入れを再開しており、観光業界も以前の活気を取り戻しつつあります。このような中でもマイクロツーリズムが注目され続けているのは、新型コロナウイルスの影響で、旅行のニーズが変化したからではないでしょうか。

観光庁の資料では、新型コロナウイルスの感染拡大以降、有名な観光地よりも、キャンプや農場、貸別荘など、自然に触れられる旅行へのニーズが世界的に高まっているというデータが紹介されています。以下の図表からも、新型コロナウイルスの感染拡大以降は、短距離旅行をする人が多くなっていることがわかります。

出典:令和4年版観光白書について(概要版) – 観光庁(PDF)

また、公共交通機関や自転車を利用する、ごみの量を減らす、現地の文化を体験するなど、旅行先でもサステナブルな行動を取りたいと考える人が増えているようです。これまでは感染拡大を防ぐために長距離の移動を控える傾向にありましたが、今後は海外や遠方への旅行が増えていくことが予想されます。ただ楽しいだけではなく、経済、社会、環境の三側面を考慮した「持続可能な観光」が求められるようになってくるのではないでしょうか。

コロナ終息後も、マイクロツーリズムが一つの旅の形として定着するのか、市場動向が注目されます

マイクロツーリズムのメリット

ここからは、一般的な旅行とは一味違う、マイクロツーリズムならではの魅力を紹介します。

知らなかった地域の魅力を再発見できる

地元や近隣地域は、「いつでも行ける」距離にあるからこそ、いつまでも行かなかったりするものです。しかし、それぞれの地域には、お祭り、伝統文化、郷土料理、美しい自然など、その地域にしかないものがたくさんあります。

旅行会社や宿泊施設が提供しているマイクロツーリズム向けのプランには、地元の食材を使った料理や、その地域の文化に触れられる体験が盛り込まれているものが多く見られます。マイクロツーリズムで、今まで知らなかった地域の魅力に気づくことができるかもしれません。

気軽に再訪問できる

旅する中で、素敵なお店や旅館、体験など、「お気に入り」が見つかることもあるでしょう。遠方だと、再訪問するためには、また数か月前から予定を立て、旅行資金も貯めて、荷造りして……など時間と手間がかかりますが、マイクロツーリズムなら、近距離のため、一般的な旅行に比べて移動にお金も時間もかかりません。また、大きな荷物を準備する必要もなく、身軽に旅行を楽しめます。

このように、気軽に何度も足を運ぶことができという点も、マイクロツーリズムの魅力の一つです。

地域経済の活性化に貢献できる

マイクロツーリズムにより、地域経済の活性化にも貢献できます。地方(東京圏以外)では、人口減少や高齢化などにより、経済が衰退しつつある地域も少なくありません。マイクロツーリズムは、旅行を楽しみながら、こうした社会課題の解決に貢献できるという点も、魅力の一つです。

そして、自身で小さな旅を楽しむだけでなく、ぜひご家族や友人へのお土産に、その地域の特産品や伝統工芸品を買ってみてください。そして、「こんな体験をした」「こんな素敵な宿だった」など、話をしてみましょう。ほかの人にもその地域の魅力を伝えることが、地域経済のさらなる活性化につながります

マイクロツーリズムのおすすめの楽しみ方

マイクロツーリズムを素敵な旅にするには、どのような点にこだわれば良いのでしょうか。マイクロツーリズムを存分に楽しむためのポイントは、以下の2つです。

  • 宿にこだわる
  • 「その地域ならでは」の体験や買い物をする

それぞれ見ていきましょう。

宿にこだわる

マイクロツーリズムは移動が少ないため、一般的な旅行に比べて交通費がかかりません。その分を宿泊代にまわして、いつもより贅沢なホテルや旅館を選んでみてはいかがでしょうか。

高度経済成長期は、温泉旅館やリゾートホテルは、地元の人が普段の疲れを癒すために宿泊することが多かったそうです。現代は「ストレス社会」といわれるほど、多くの人が不安や疲労を抱えながら生活しています。ちょっと贅沢なホテルや旅館で、非日常を味わうことで、明日への活力が生まれるかもしれません。

最近では、「ホカンス」という言葉も出てきています。「ホテル」と「バカンス」を組み合わせた造語で、観光のついでではなく、「豪華なホテルに泊まって非日常を味わうこと」を目的に、宿泊することをいいます。

こうしたニーズに合わせて、マイクロツーリズムやホカンス向けのプランを提供する宿泊施設も見られるようになってきています。

「その地域ならでは」の体験や買い物をする

「近場といっても久しぶりの旅行だし、普段はなかなか行かない高級フレンチで贅沢しよう!」もちろん、そういった楽しみ方もいいですが、せっかくなので、地元の食材を味わえるお店で食事をしてみませんか? 新鮮野菜や特産品、郷土料理など、その地域ならではの味に出会えるはずです。

そして、ぜひ伝統文化にも触れてみてください。歴史遺産をめぐるだけでなく、伝統芸能を見たり、伝統工芸品をお土産として購入したり、体験してみてはいかがでしょうか。旅行会社や宿泊施設が提供しているマイクロツーリズム向けのプランの中には、そのような体験機会が盛り込まれているものが見られます。

また、地域の商店街を散策してみるのもおすすめです。地元の人との交流が生まれ、インターネットや観光パンフレットなどには記載されていない情報が得られるかもしれません。

マイクロツーリズムでSDGsに貢献しよう!

マイクロツーリズムは、旅することでSDGsに貢献できるというのも魅力の一つです

先ほどご説明したように、マイクロツーリズムは、地域経済の活性化につながります。よって、目標11「住み続けられるまちづくりを」へ貢献できます。そして、地域経済が活性化すれば、新たな仕事や雇用が生まれ、目標8「働きがいも経済成長も」にも、間接的に貢献できると考えられます。

さらに、マイクロツーリズムは、一般的な旅行に比べて移動が少ないので、旅行に伴う二酸化炭素(CO2)排出量を抑えられます。自動車ではなく公共交通機関を利用したり、旅先ではレンタルサイクルを利用したりすることで、さらに環境負荷を減らせるでしょう。よって、目標13「気候変動に具体的な対策を」に貢献できます

また、環境負荷を減らすために地産地消を推進する自治体が増えています。地産地消とは、地元で採れた農水産物を、その地域の中で消費することです。地産地消により、以下のような効果が得られます。

  • 輸送に伴うCO2排出量を削減できる
  • 食品ロスを減らせる
  • 陸や海の資源の保護につながる

旅先で、地元の食材が使われた料理を楽しむことは、その地域の地産地消の取り組みの支援につながります。目標12「つくる責任 つかう責任」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」などにも貢献できるのではないでしょうか。

※SDGsとは……2030年までにより良い世界の実現を目指す、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のこと。2015年の国連サミットで採択された世界共通の目標で、貧困や飢餓、ジェンダー問題、気候変動問題など、さまざまな地球規模の社会課題に対する17のゴールと169のターゲットで構成されている。

マイクロツーリズムの事例

ここからは、マイクロツーリズムの具体的な事例を紹介します。

株式会社星野リゾート

株式会社星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」には、その地域の伝統工芸品や文化に触れられる「ご当地部屋」と「ご当地楽」があります。その中から、石川県の「界 加賀」と、山口県の「界 長門」を紹介します。

界 加賀(石川県)

  • ご当地部屋
    石川県金沢市の伝統工芸である加賀水引や加賀友禅が彩る、「加賀伝統工芸の間」があります。室内には、360年以上の歴史を持つ九谷焼の食器も用意されており、優雅な滞在を楽しめます。
  • ご当地楽
    金沢の郷土芸能である「加賀獅子舞」を、旅館内で楽しむことができます。加賀獅子舞は、「殺し獅子」と呼ばれるほどの鋭い目つきをした獅子頭と、武術の技を取り入れた華麗な舞が特徴です。

ほかにも、九谷焼タイルや金沢箔があしらわれた大浴場、北陸の新鮮な魚介を使った会席料理など、加賀を堪能できる施設となっています。

参考:界 加賀【公式】 | KAI Kaga

界 長門(山口県)

  • ご当地部屋
    山口県の伝統工芸品である徳地和紙や、萩焼、萩ガラス、大内塗を使用した「長門五彩の間」があります。窓の外に広がる長門湯本の美しい風景も魅力です。
  • ご当地楽
    山口県の宇部市や下関市周辺で作られている伝統工芸品「赤間硯」。この硯で墨汁をすって、扇子型の和紙に文字を書く「大人の墨あそび」を体験できます。

このほかにも、源泉かけ流しのある温泉、三方を海に面した山口県だからこそ味わえる新鮮な魚介、周辺の温泉街めぐりも楽しめます。

参考:界 長門【公式】 | KAI Nagato

月岡温泉

「もっと美人になれる温泉」として知られている新潟県の月岡温泉。硫黄を多く含んだ温泉で、美しいエメラルドグリーンの色をしています。

月岡温泉環境協会が運営するサイト「月岡温泉◎ちかたび」では、月岡温泉周辺にある飲食店や体験スポット、レジャー施設、お寺や神社など、近くて小さな旅を楽しめる場所をまとめて紹介しています。エリアは、月岡温泉がある新発田市を含む新潟県北部の阿賀北地域(新発田市、胎内市、村上市、阿賀野市、聖篭町、粟島浦村)です。

参考:月岡温泉◎ちかたび

また、新発田市では、ふるさと納税のお礼の品として、月岡温泉旅館感謝券も発行しています。月岡温泉の旅館・ホテルの宿泊代としての利用はもちろん、近隣のゴルフ場でも使える金券です。美肌効果のある温泉と、温泉街散策、新潟の美味しい料理を、お得に堪能してみてはいかがでしょうか。

参考:月岡温泉旅館組合 新潟県新発田

マイクロツーリズムを支援する自治体の取り組み

前項で紹介した新潟県新発田市のふるさと納税のように、地域経済を活性化させるために、マイクロツーリズムを支援する自治体もあります。最後に、東京都・多摩地域と、大阪府大阪市の、マイクロツーリズム推進の取り組みを紹介します。

東京都・多摩地域

東京都の多摩地域で実施されている「多摩地域マイクロツーリズムプロジェクト」は、多摩市、稲城市、八王子市、日野市、多摩大学総合研究所、京王観光株式会社が連携して、2021年度に開始したものです。

このプロジェクトでは、「多摩地域マイクロツーリズムコンテスト」(通称:タマリズム)を開催しています。まず、大学生や高等専門学校などの在学生で構成されるチームから、多摩地域の活性化につながるようなマイクロツーリズムのアイディアを公募します。そして、チームと行政や企業などとのマッチング会や、実証実験、プレゼン講習会などを行ったのち、次年度以降の実用化を目指すという、1年がかりの大規模なコンテストです。

参考:多摩地域マイクロツーリズムプロジェクト | 公式ページ

大阪府大阪市

202211月、大阪市は、Osaka Metro(大阪市高速電気軌道株式会社)と連携して、マイクロツーリズムの普及促進事業をスタートさせました。その第一弾として、サブスクリプションチケットサービス「Sonoligo(ソノリゴ)」の対象施設拡大に取り組んでいます。

ソノリゴとは、株式会社Sonoligoが運営する月額制のチケットサービスで、月額料金を支払えば、サービスに登録されているさまざまなイベントに好きなだけ参加できるというものです。20232月現在で、全国300以上のイベント主催者・施設が登録されています。

参考:イベントのサブスク Sonoligo(ソノリゴ) | コンサート・スポーツ観戦・美術館へ出かけよう。

大阪市は、堺市とともに、このサービスの対象施設の充実を図り、Osaka Metroがプロモーション活動を行うことで、関西在住の人に、大阪を中心とするさまざまな文化施設やイベントの魅力を知ってもらい、文化の存続・発展につなげていこうという取り組みです。

参考:大阪市:Osaka Metroと連携したマイクロツーリズム普及促進事業を実施します ~月額制チケットサービスを活用したプロモーション活動~ (…>歴史・文化に関する取り組み>その他文化に関するご案内)

 

SDGs研修・体験型SDGsイベント

SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)

 

概要

  • SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
  • 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
  • オプションとして「SDGsマッピング」を行うことで学びの定着・自分ごと化

特徴

  • 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
  • チームで戦略を練り様々な可能性を話し合う必要があるため、深いチームビルディングに繋がる
  • 様々な選択肢の中から取捨選択して最適解を導く考え方を身につけることができる

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【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)

概要

  • 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
  • 子どもが楽しみながらも本気で学べる、複数の職業体験を実施
  • 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能

特徴

  • あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
  • 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

【親子・子ども向け地域イベント】SDGsアドベンチャー(商業施設・自治体向け)

概要

  • 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
  • 子どもが本気で楽しめる複数の体験型アクティビティを実施
  • すべてクリアした方にSDGs缶バッチをプレゼント

特徴

  • ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
  • 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

まとめ

各国の入国制限が緩和されてきたこともあり、久しぶりに海外や遠方への旅行を計画している人もいらっしゃることでしょう。観光業界が活気を取り戻しつつある中でも、マイクロツーリズムが注目され続けているのは、新型コロナウイルスの影響で、持続可能な観光や、自然に触れられる旅行へのニーズが高まっているためだと考えられます。

マイクロツーリズムには、これまで気づかなかった地域の魅力に気づけたり、旅先で「お気に入り」が見つかれば気軽に再訪問できたり、地域経済の活性化に貢献できたりなど、マイクロツーリズムならではの魅力があります。

地元や近隣地域のこれまで行ったことがなかったところで、小さな旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

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あらたこまち

この記事を書いた人

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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