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世界のゴミ問題とは?現状・原因と今からできる対策を解説


私たちが日常生活を営むうえで、どうしても発生してしまうゴミ。世界のゴミ問題は深刻な状況にあります。このまま放っておくと、地球環境や生態系にさまざまな影響を及ぼし、私たちの生活や地球の未来を脅かしかねません。持続可能な社会を実現するためには、ゴミ問題の解決が不可欠です。しかしながら、それについて正しく理解し、当事者意識を持って行動している人は意外と少ないのではないでしょうか。この記事では、世界のゴミ問題の現状や原因、対策を解説します。

 

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ゴミ問題とは?

ゴミ問題とは、わかりやすくいうと、ゴミが増えすぎたことによる社会問題です。経済成長と技術の発展によって、世の中には手軽で便利なものがあふれ、私たちの生活は物質的に豊かで快適になりました。その一方で、「大量生産・大量消費・大量廃棄」という使い捨て型の社会は、毎日大量のゴミを排出しています。
捨てられた大量のゴミは、燃えるゴミの焼却灰も含めて土の中に埋められますが、埋立地となる土地は尽きようとしています。海や山へのポイ捨てや不法投棄も後を絶ちません。その結果、環境破壊や環境汚染など、さまざまな問題を引き起こしています。とりわけ開発途上国や新興国では、ゴミ処理の概念が乏しく、ずさんな管理により、環境破壊や環境汚染が深刻化している状況です。
このままでは、地球上がゴミであふれかえり、私たちが安心して暮らし続けるのが難しくなるかもしれません。待ったなしのゴミ問題を解決するために、今すぐアクションを起こすことが必要です。

参照:令和4年版 環境・循環型社会・生物多様性白書(PDF版)|環境省

ゴミの問題点

・公衆衛生への影響

し尿を含むゴミが適切に収集・処理されないと、悪臭の原因になります。ハエや蚊などの害虫が大量に発生し、感染症の発生源になります。開発途上国にはゴミの山から有価物を拾い集める生活をしている人々も多く、病気になったり、ケガをしたりする例も少なくありません。

・不法投棄による環境汚染

不法投棄された廃棄物に重金属や有機塩素系化合物などの有害物質が含まれている場合、雨が降ると地下水や河川などへ有害物質が染み出して、水質汚染や土壌汚染を引き起こします。汚染された土地からの影響で、人体に健康被害が生じる可能性もあります。

・海洋ゴミによる海中の生態系への深刻な影響

海に流れ込んだプラスチックゴミは、簡単には自然分解されません。何百年、あるいは何千年もゴミとして海に漂い、海洋生物に悪影響を及ぼします。

・最終処分場の不足

ゴミが最終的に処分される場所である「最終処分場」の容量は限界に近づいています。新たに増やせばいいと考える人もいるかもしれませんが、ゴミ埋立地を新設するためには、山を切り開かなければならないため、自然環境を破壊することになります。

・ゴミ処分場の新増設に伴う近隣住民の反対

適切な土地が見つかっても、近隣住民の理解を得るのは容易なことではありません。強い反対運動により、建設が中止になることもあります。

 

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世界のゴミ問題の現状

ゴミ問題を解決するには、まず現状を知ることが大切です。世界・日本の現状をみていきましょう。

世界の現状

イギリスの国際的なリスク分析会社Verisk Maplecroftは、2019年に世界194カ国における廃棄物とリサイクルの状況について調査した結果を公開しています。このレポートによると、世界で毎年約21億トンもの都市廃棄物(MSW:家庭ゴミ)が排出されていますが、このうちリサイクルされているのはわずか16%(3 億 2,300 万トン)でした。46% (9 億 5,000 万トン) は持続不可能な方法で廃棄されています

ゴミ排出量の多い国は、1位が中国、2位はインド、3位はアメリカ、日本は8位という結果でした。しかし、人口に対するゴミの排出量をみてみると、アメリカが突出してワースト1位です。アメリカの人口はインドの4分の1程度ですが、ゴミの排出量はほとんど変わりません。1人あたり年間773 kgの家庭ゴミを排出しており、これは世界平均の約 3 倍に相当します。

出典:Waste Generation and Recycling Indices 2019|Circular Online

日本の現状

環境省の発表によると、2020年度における一般廃棄物(いわゆる家庭ゴミ)の総排出量は、4,167万トンでした。これは東京ドーム約112杯分に相当し、1人が1日あたり1kg近いゴミを出しています。産業廃棄物も加えれば、さらにゴミを排出していることになります。

2020年現在、最終処分場の残余年数はあと22.4年といわれています。つまり、このままのペースでゴミの廃棄を続けていると、2042年にはゴミを埋める場所がなくなってしまうのです。私たちの生活を脅かす、憂慮すべき事態となっています。

参照:一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度)について|報道発表一覧|環境省

ゴミ問題の原因

さまざまな技術が発展したことで、いろいろな商品を安価で入手できるようになり、私たちの生活はより便利で豊かになりました。しかしその一方で、過剰に包装された商品や使い捨て商品が増加し、ものを大切にしなくなったり、たくさんのものを購入したり、すぐにものを買い替えたりするようになりました。ものがあふれる生活を送っていると、必然的にゴミも大量に発生します。

食品ロスの問題

まだ食べられる食品を廃棄する「食品ロス(フードロス)」も世界的に問題になっています。スーパーやコンビニでは、さまざまな種類の食品が棚にたくさん陳列されている状態を保つため、過剰在庫になりがちです。そして、販売期限内に売り切れなかった商品は廃棄されてしまいます。また、見栄えを優先するあまり、規格外品の商品のほとんどが店頭に並ぶ前に廃棄処分されているのが現状です。

先進国では食品ロスが大量に発生する一方で、世界には満足に食事をとれない子どもたちがいます。日本では毎年約522万トンの食品がまだ食べられるにもかかわらず廃棄されていると推計されています。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量(2020年で年間約420万トン)の1.2倍に相当する量です。

参照:食品ロスについて知る・学ぶ|消費者庁

SDGsとゴミ問題の関係は?

SDGsとは、持続可能でより良い社会の実現を目指す世界共通の目標です。ゴミ問題は、SDGsにも大きく関わっています。SDGsが掲げる17目標のうち、ゴミ問題と関係が深いものは次の4つです。

参照:SDGsってなんだろう?|SDGsクラブ|日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)

1.目標12「つくる責任 つかう責任」

この目標が制定された背景には、これまでの大量に製品を生産し、大量に消費する暮らしが、地球の限りある資源の枯渇や環境汚染を招き、人類や地球の存続が危ぶまれていることにありました。

現在の大量生産・大量消費・大量廃棄社会は「エコロジカル・フットプリント」増加にも繋がっています。エコロジカル・フットプリントとは、私たちの生活がどれだけ地球に負荷をかけているのかを測る指標です。世界のエコロジカル・フットプリントは、バイオキャパシティ(生態系による地球資源の再生力や廃棄物の収容力)をすでに超え、赤字の状態です。
持続可能な社会を実現するには、生産者側と消費者側の双方が「つくる責任」「つかう責任」を果たしていかなければなりません。

参照:地域循環共生圏を支えるライフスタイルへの転換(PDF)|環境省

2.目標13「気候変動に具体的な対策を」

地球温暖化は、大規模な気候変動を引き起こす大きな要因です。気温の上昇は、自然災害の増大や生態系の破壊、植物や水の不足、感染症の増加などを招き、地球環境にさまざまな悪影響を及ぼしています。

2015年にフランス・パリで採択された「パリ協定」では、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃以下に、可能であれば1.5℃に抑えるという目標が示されています。気温上昇を1.5℃に抑えるためには、2030年までにCO2排出量を約45%(2010年比)削減しなければなりません

このCO2排出量に深く関係するのが「ゴミ問題」です。ゴミを燃やすときにはCO2が発生します。つまり、燃やすゴミを減らせば、地球温暖化対策になるわけです。

参照:1.5℃|eco scope|ecojin(エコジン)|環境省

3.目標14「海の豊かさを守ろう」

現在、世界的な問題になっているのが、海洋プラスチックと呼ばれる海に漂うプラスチックゴミです。海洋プラスチックはすでに 1億5000万トン存在し、さらに毎年約800万トンが新たに流入していると推定されています。

ウミガメやアザラシなど、絶滅危惧種を含む約700種類もの海洋生物が、海洋プラスチックを食べ物と間違えて誤飲したり、海洋プラスチックが体に絡まったりして、傷つけられたり死んだりしています。
豊かな海を守るために、普段からプラスチックゴミをなるべく出さないようにする取り組みが必要です。

参照:プラスチックごみのなにが問題なの?(PDF)|国民生活センター

4.目標15「陸の豊かさも守ろう」

私たちの生活が豊かになる一方で、ゴミの量はどんどん増え、地球環境を悪化させています。野山でのポイ捨て、粗大ゴミなどの不法投棄は、環境を壊すだけでなく、生態系にも影響を与え、ときには火災などの原因になることもあります。

山や森、草原はみんなのもの。外からゴミを持ち込まず、また発生したゴミは持ち帰ることが大原則です。一人ひとりの取り組みが、緑の豊かさを守ることに繋がります。

ゴミを減らすためのキーワード「3R」「4R」

ゴミを減らすための3つの取り組みを「3R(スリーアール)」といいます。3Rとは「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」の頭文字を集めたものです。最近では、さらに「Refuse(リフューズ)」を加えた4Rを推進しています。

1.Reduce(リデュース)

リデュースとは、できるだけゴミを減らすこと、出さないように工夫することです。買い物をする際は丈夫で長く使えるものを選んだり、詰め替え用を利用したりしましょう。

2.Reuse(リユース)

リユースは、一度使ったものも繰り返し使用することを指します。限りある資源を大切にすることで、ゴミを減らす取り組みです。ゴミにしてしまう前に、別の使い道はないか考えてみましょう。

3.Recycle(リサイクル)

リサイクルとは、使い終わったものをもう一度資源に生まれ変わらせることをいいます。不要なものをゴミとして捨てるときは、大切な資源として生かせるように正しく分別して廃棄しましょう。

参照:いま地球のためにできること(PDF)|経済産業庁

4.Refuse(リフューズ)

リフューズとは、ゴミの原因になるものを家庭に持ち込まないという考え方です。はじめからゴミになるような無駄なものを買ったり、もらったりしなければ、廃棄に無駄なエネルギーを使わずに済みます。

3Rの考え方では、リデュース、リユース、リサイクルの順に優先順位が高くなります。資源を繰り返し利用(リユース)すれば、リサイクルをする必要はなく、ゴミを出させなければ(リデュース)、リユースする必要がありません。4Rでは、そもそもゴミになるものを断るリフューズが最も大切です。

参照:第1章 ごみ問題について(PDF)|彦根市

ゴミ問題解決のために私たちができる対策は?

ゴミ問題を解決するために、私たちに何ができるのでしょうか。ここでは、個人でできる取り組みをご紹介します。

参照:私たちに出来ること(ごみ問題)|佐世保市役所

1.リデュースの取り組み

3Rの中で最も重要なのがリデュースです。使い捨て生活に終止符を打ちましょう。長く使い続けることで、そのものへの愛着がわき、より大切に使おうという気持ちが生まれます。

<取り組み例>

  • 使い捨て商品は、なるべく購入しないようにする
  • 洋服を購入する際は、着回しのきく、丈夫で長く着られるものにする
  • シャンプーや洗剤は詰め替えできるタイプを選び、同じボトルを使い回す

2.リユースの取り組み

自分にとっては不要なものでも、ほかの誰かにとっては必要なものかもしれません。いらないと思ったものでも、意外な使い道で活躍することがあります。

<取り組み例>

  • 食品の空き瓶を洗浄・殺菌してもう一度使う
  • いらなくなったものは、人に譲るか、リサイクルショップに持っていく
  • 壊れたものをすぐにゴミに出さず、修理して使う

3.リサイクルの取り組み

正しく分別したものは、再生製品へと生まれ変わります。日本のリサイクル率はまだまだ低い水準です。リサイクルゴミの分別回収に協力しましょう。最初は面倒に思えても、習慣化すれば苦にならなくなります。

<取り組み例>

  • 古新聞や古紙は、地域の資源回収に出す
  • 市町村が定めるルールに従って、ゴミを正しく分別する
  • 買い物をするときは、リサイクル製品を選ぶ
  • 再生紙を利用したノートやトイレットペーパーを買う

4.リフューズの取り組み

無料だからといって、不要なものをもらっていませんか。結局は使わずに捨ててしまうことになります。ゴミとなるものは断固として断りましょう

<取り組み例>

  • 安いからといって、必要以上に買わない
  • 無料のものでも必要なければ断る
  • 不要なパンフレットや広告物は受け取らない
  • 買い物はマイバッグを持参し、レジ袋は断る

 

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まとめ

ゴミに関する問題は、国や地域に関係なく、世界中で取り組むべき問題です。日本のゴミの量は2020年度の時点で4,167万トンに及び、約22年後にはゴミを埋め立てる場所がなくなるといわれています。このままでは、いたるところがゴミの山になってしまうかもしれません。

ゴミ問題の中でも特に深刻とされているのが、プラスチックゴミによる海洋汚染です。海洋プラスチックの量は年々増え続けており、このままのペースだと2050年までに、海洋プラスチックの量が魚の重量を超えるという予測が発表されています。

持続可能なより良い社会を実現するためには、世界が協力し合ってゴミ問題の解決を図ることが重要です。ゴミの削減に向けて、一人ひとりが意識を変え、4Rに取り組む必要があります。今回ご紹介した例を参考に、自分たちができることから実践してみましょう。

 

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正木友実子

この記事を書いた人

正木友実子

福岡在住。大学を卒業後、大手食品メーカー勤務を経て、異業種のライターへ転身。求められている情報をわかりやすく伝えることがモットー

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