社会

国際連合とは?役割や活動内容、SDGs誕生の背景を解説

 

「国際連合」という機関の名前は、ニュースや学校の授業などで一度は耳にしたことがあると思います。しかし、役割や活動内容まで理解しているという人は、意外と少ないのではないでしょうか。

今回は、国際連合とはどんな機関なのか、設立されるまでの歴史や、6つの主要機関の役割、活動内容、そして現在国連が掲げている国際目標SDGsについて、わかりやすく解説します。

 

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国際連合とは

19451024日、51ヵ国の独立国家が集まり国際連合(United Nations)が設立されました。略して「国連」とも呼ばれています。

国際連合は、世界の平和の維持と社会の発展のためにつくられた国際機関であり、世界政府ではありません。各加盟国とその国民を代表するのは、加盟国が有する政府(日本であれば日本政府)であり、国際連合は全加盟国を代表して、加盟国が決めたことのみを実行できます。

本部はアメリカ・ニューヨークに置かれていますが、その土地はホスト国であるアメリカだけのものではなく、全加盟国のものとなっています。

国際連合憲章とは

国際連合には「国際連合憲章」という基本文書があります。国際連合憲章は国際連合の活動の指針であり、加盟国の権利や義務、国連の主要機関、手続きなどが定められています。

国際連合憲章は、前文と全19章、111条で構成されています。第1章は国際連合の目的と原則、第2章は国際連合の加盟国となるための基準、第3章は国際連合の6つの主要機関の名前を定め、第4章から第15章でこれらの機関の機能や権限について定義されています。そして、第16章と第17章では国際連合と国際法との関係が述べられており、第18章と第19章では国際連合憲章の改正と批准について定められています。

参考:国際連合憲章 | 国連広報センター

国際連合の目的は?

国際連合憲章の第1条には、国際連合の4つの目的が示されています。

  1. 世界の平和と安全を維持すること
  2. 諸国間の友好関係を発展させ、世界平和を強化するための措置をとること
  3. 貧困や飢餓、病気、非識字などの国際問題の解決と、すべての人の人権と基本的自由の尊重を促進するために協力すること
  4. 各国がこれらの目標を達成できるよう、国際連合が中心的な役割を果たすこと

国際連合に加盟するには?

202211月現在、国際連合の加盟国数は193ヵ国です。日本は19561218日に、80番目の加盟国として加盟しています。

国際連合に加盟するための条件は、「国連憲章に掲げる義務を受託すること」「義務を履行する能力があると国際連合によって認められること」2点です。

国際連合への加盟を希望する国や政府は、まず事務総長に申請書を提出し、あわせて国連憲章の義務を受け入れることを表明する書簡を送ります。そして、安全保障理事会の審査をクリアした後、総会で承認されれば、正式に加盟国となります。安全保障理事会や総会の役割・仕組みについては、後ほど詳しく解説します。

先ほども述べたとおり、国際連合は世界政府ではありません。新しい国や政府を承認するかどうかは、加盟国が決定します。国際連合は、全加盟国を代表して新しい国や政府の加盟を認めたり、信任状を受理したりといったことを行います。

国際連合の活動資金はどこから?

国際連合の収入源は、193ヵ国の加盟国による分担金のみです。加盟国は、各国の支払能力、国民所得と人口などに基づいて決められた分担率に従って資金の拠出を行っています。

分担率は、3年に1回見直されます。日本の分担率は、2019年~2020年の3年間は8.564%でしたが、2022年~2024年の3年間は8.033%と、やや減少しました。アメリカ、中国に次いで3位となっています。2022年の分担金額は、アメリカが約6.9億ドル、中国が約4.4億ドル、日本が約2.3億ドルという状況です

参考:2020~2022年国連通常予算分担率・分担金|外務省

 

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国際連合が設立されるまでの歴史  

国際連合が設立される前から、世界は平和の実現を目指してきました。第一次世界大戦後の1919年には、各国が協力して世界の平和を守ることを目的に、国際連盟が設立されています。しかし、国際連盟にはすべての国が加盟していたわけではありません。アメリカも、加盟していなかった国の一つです。また、加盟国の中には途中で脱退する国もありました。そのため国際連盟は行動を起こせないことも多く、第二次世界大戦を防ぐことができなかったのです。

しかし、第二次世界大戦中、世界の指導者たちは、将来の戦争を防ぐための仕組みをつくる必要性を強く感じていました。そして、第二次世界大戦が終了した1945年に、国際連合が誕生したのです。

国際連合(United Nations)という名前は、アメリカのフランクリン・D・ルーズベルト大統領が、第二次世界大戦中に考え出したものです。

国際連合の6つの主要機関

国際連合には、6つの主要機関があります。

  1. 総会
  2. 安全保障理事会
  3. 経済社会理事会
  4. 信託統治理事会
  5. 国際司法裁判所
  6. 事務局

これらに加えて、世界保健機関(WHO)や国連教育科学文化機関(UNESCO)をはじめとした15の専門機関や、国連開発計画(UNDP)や国連児童基金(UNICEF)などの計画と基金、その他各種機関で国連システムは構成されています

6つの主要機関がそれぞれどんな役割を担っているのか、一つずつ見ていきましょう。

参考:国際連合システム – 国連広報センター(PDF)

1.総会

総会は、政策を決定する国連の主たる審議機関です。すべての加盟国の代表で構成されています。世界に存在するあらゆる問題について討議することが、総会の任務です。

すべての国がそれぞれ1票の投票権を持っており、平和と安全保障、新加盟国の承認、予算などの重要な問題は3分の2の多数で決定され、その他の問題は単純多数で決定します。近年は、コンセンサス(話し合いによって合意を得る)によって決定を行えるような努力もされています。

通常会期は毎年9月から年内いっぱいまでです。通常会期の冒頭では、国際社会のさまざまな問題について自国の見解を述べる一般討論が行われます。

2.安全保障理事会

安全保障理事会は、世界の平和と安全の問題に対して主要な責任を持つ機関です。略して「安保理」とも呼ばれています。紛争当事者に対して解決条件を勧告することや、事態の悪化を防ぐための暫定措置に従うように要請すること、平和に対する脅威や侵略行為があればこれに対処する行動を勧告することなどが、安全保障理事会の任務です。

安全保障理事会は、15の理事国で構成されています。このうち、中国、フランス、ロシア、イギリス、アメリカの5ヵ国は、「拒否権」を持つ常任理事国です。その他の10ヵ国は非常任理事国で、全加盟国による秘密投票により、アフリカ3カ国、アジア・太平洋2ヵ国、東欧1ヵ国、ラテンアメリカ・カリブ2ヵ国、西ヨーロッパとその他2ヵ国から選出されます。任期は2年です。日本は2023年~2024年の2年間、12回目となる非常任理事国を務めることが決まっています。

安全保障理事会の決定には、常任理事国を含む9ヵ国の理事国の賛成が必要です。常任理事国が1ヵ国でも反対票を投じれば成立しません。ただし、手続き事項は除きます。

安全保障理事会には定期的な会合はありません。必要に応じて随時開催されます。

3.経済社会理事会

経済社会理事会は、経済問題と社会問題について討議する機関です。経済、社会環境の三側面のバランスがとれた持続可能な開発を達成するために話し合うこと、指導的な役割を果たすことが、経済社会理事会の任務です。

経済社会理事会は、地理的配分に基づいて選出された54ヵ国で構成されています。内訳は、アフリカ14ヵ国、アジア11ヵ国、東欧6ヵ国、ラテンアメリカ・カリブ海域10ヵ国、西ヨーロッパとその他13ヵ国で、任期は3年です。すべての理事国は1票の投票権を持っており、単純多数で決定します。

作業の進め方に関する会期を数回開催しているほか、7月には4週間の実質会期をジュネーブとニューヨークで交互に開催しています。

4.信託統治理事会

国際連合創設当時、11の地域が国際的な監督のもとに置かれました。信託統治理事会は、これらの地域に住む人々の生活を向上させることと、自治または独立に向けた発展を促進することを目的に設置された機関です。

信託統治理事会は、中国、フランス、ロシア、イギリス、アメリカの常任理事国5ヵ国で構成されており、それぞれの国が1票の投票権を持ち、単純多数で決定します。

1994年に最後の信託統治地域であったパラオが独立したため、信託統治理事会の活動は終了しました。現在は、必要が生じた場合にのみ会合が開かれることになっています。

5.国際司法裁判所

国際司法裁判所は、国際連合の司法判断を下す機関です。オランダのハークにある平和館に置かれています。国際司法裁判所に提訴できるのは、国家だけです。

国際司法裁判所は、裁判官は総会と安全保障理事会によって選ばれた15人の裁判官で構成されています。判決を下すためには、このうち9人の賛成が必要です。15人の裁判官は、全員異なる国から選ばれています。

6.事務局

事務局は、国際連合の日常的な活動を行う機関です。世界のさまざまな問題の調査や参考資料の収集、国際会議の開催、演説や文書の通訳や翻訳など、職務は多岐に渡ります。ニューヨークにある本部をはじめ、世界各地で活動する国際職員で構成されています。最高責任者は事務総長です。

事務総長は、安全保障理事会の勧告に基づき総会が任命します。任期は5年で、地域別に順番に任命されることになっています。国際連合憲章には、事務総長は国連の「行政職員の長」であるとされており、各種機関から委託される任務を遂行することに加え、世界の平和と安全を脅かす問題が生じた場合には、安全保障理事会に注意を喚起する権限も有しています。

国際連合の活動内容

国際連合は、戦争を防ぐこと、人権を守ること、社会を発展させて生活水準を向上させることを目的に設立された機関ですが、1945年に設立されてから現在までの間に、新たな課題も生じてきています。例えば、気候変動や国際テロ、感染症の蔓延などです。

国際連合は、このようなさまざまなグローバルな課題を解決するために、幅広く活動しています。国連広報センターのホームページでは、「国連が世界を変える60の方法」として、「平和と安全」「経済開発」「社会開発」「人権」「環境」「国際法」「人道問題」「保健」の8つのカテゴリー別に、これまでに国際連合と構成機関が達成してきた60の成果をわかりやすくまとめています。そのなかから、活動の一部を紹介します。

活動の例1:気候変動に対する解決策の模索

各国政府の気候変動対策に科学的な基礎を与えるために、1988年に世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が設立されました。195の国と地域から約2,000人もの優秀な気候変動科学者が参加しています。

「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、5~6年に1回のペースで包括的な評価報告書を作成しています。2007年の報告書では、気候変動の主因が人間の活動にあることは明らかであるとの結論を出しています。

参考:環境 | 国連広報センター

活動の例2:困窮者への食糧援助

世界には、81,100万人もの人々が十分な食料を持つことができずにいます。また、5,000万人もの人々が深刻な飢餓に直面しています。世界最大の人道援助機関である世界食糧計画(WFP)は、飢餓ゼロ達成を目指して食料支援を行っています

その活動の一つが、学校給食支援です。完全な食事として給食を提供する場合もあれば、栄養価の高い軽食やビスケットなどを提供する場合もあります。また、畑仕事や家事を手伝うために学校へ通うことができない子どもたちの親に対して、登校を促すために現金を配布することもあります。このような支援により、過去60年間で44の国が独自で学校給食を実施できるようになりました。

参考:飢餓の撲滅 | World Food Programme

国連サミットで採択されたSDGsとは?

SDGsは、「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。20159月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書に記載されている国際目標です。2030年までに持続可能でより良い世界を実現するための、17の目標と169のターゲットで構成されています。現在国際連合は、SDGsを達成するための活動に力を入れています。

SDGsの前にも、MDGs(ミレニアム開発目標)という、より良い世界の実現を目指した目標がありました。SDGsは、このMDGsの後継として掲げられたものです。MDGsとは何か、どのような成果をあげ、どのような課題が残ったのか、詳しく見てみましょう。

参考:SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

MDGs(ミレニアム開発目標)とは

MDGsは、「Millennium Development Goals」の略称で、日本語では「ミレニアム開発目標」と訳されます。

2000年9月に開催された「国連ミレニアム・サミット」で、ミレニアム宣言が採択されました。ミレニアム宣言には、21世紀に国際連合が果たすべき役割の方向性が示されています。MDGsは、このミレニアム宣言と、1990年代に開催された主な国際会議やサミットで採択された国際目標からまとめられたものです。

達成期限を2015年とし、8つの目標と21のターゲットが掲げられました。8つの目標は、以下のとおりです。

  1. 極度の貧困と飢餓の撲滅
  2. 初等教育の完全普及の達成
  3. ジェンダー平等推進と女性の地位向上
  4. 乳幼児死亡率の削減
  5. 妊産婦の健康の改善
  6. HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
  7. 環境の持続可能性確保
  8. 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

MDGsの成果と課題

MDGsは、多くの成果をあげました。例えば、極度の貧困に苦しむ人の数は1990年には約19億人でしたが、2015年には8.4億人と3分の1まで減少しました。開発途上国地域における栄養不足の人口の割合については、1990年~1992年期は23.3%でしたが、2014年~2016年期には12.9%(推定値)と、大きく改善されました。

しかし、地域によって進捗に差があることや、乳児死亡率の削減など達成できなかった目標もあることなど、課題が残ったのも事実です。また、都市部の貧困や格差、気候変動など、21世紀以降に生じた新たな課題もあります。

SDGsは、MDGsで残された課題と新たな課題を解決するために誕生しました。開発途上国だけでなく、先進国も含むすべての国の国際目標であり、達成に向けて一人ひとりに行動が求められています。

参考:MDGsの成果と課題|外務省(PDF)

 

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まとめ

国際連合は、世界の平和の維持と社会の発展のために設立された国際機関です。世界のさまざまな課題を解決するために、幅広く活動しています。

「世界平和」と聞くと、どうしてもスケールが大きく感じてしまいますが、個人にもできることはたくさんあります。むしろ、国際連合が掲げているSDGsは、一人ひとりが行動しなければ達成することは困難です。この機会に、身近にある課題から目を向けてみてはいかがでしょうか。

 

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あらたこまち

この記事を書いた人

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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