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2030アジェンダを読めばSDGsがもっと分かる!中身を詳しく解説

2030年までに持続可能な世界の実現を目指すSDGsが、日本でもかなり浸透してきました。しかし、「持続可能な世界」とは一体どんな世界なのか、いまだにピンとこないという人も多いのではないでしょうか。ぜひ一度、SDGsが明文化された文書、「2030アジェンダ」を読んでみてください。これを読めば、SDGsが目指す世界像についてより理解できるはずです

本記事では、2030アジェンダとは何か、採択された経緯や、文書の内容をわかりやすく解説します。

 

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SDGsが明文化された「2030アジェンダ」とは?

20159月に開催された国連サミット(※)で、2030アジェンダ(正式名称:「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」)という文書が、150を超える加盟国の全会一致で採択されました2030アジェンダには、国連が2030年までに目指す世界の姿や、それを実現するためにクリアするべき課題などが示されています

この文書の中で、持続可能な世界を実現するために達成するべき目標として、17のゴールと169のターゲットが掲げられました。それが、現在世界中で取り組みが広がっているSDGs(Sustainable Development Goals)です。日本語では、「持続可能な開発目標」と訳されます。

2030アジェンダは、日本語版(外務省仮訳)が全37ページで、以下のような構成となっています。

  • 前文
  • 宣言
  • 持続可能な開発目標(SDGs)とターゲット
  • 実施手段とグローバル・パートナーシップ
  • フォローアップとレビュー

2030アジェンダの中身については、項目ごとに後ほど詳しく解説します。

※国連サミットとは……正式名称は「国連持続可能な開発サミット」。2030アジェンダを採択するために、2015年9月25日から27日までの間、アメリカ・ニューヨークにある国連本部で開催された国際会議。

参考:持続可能な開発サミット: 人々と地球のために、私たちの世界を転換させよう (2015年9月25-27日)概要 | 国連広報センター

2030アジェンダが採択された経緯

2030アジェンダが誕生する前に、MDGsという開発途上国の課題解決を目指す目標がありました。MDGsとは、Millennium Development Goalsの略称で、日本語では「ミレニアム開発目標」と訳されます。MDGsは、2015年を達成期限として、以下の8つの目標が掲げられました。

MDGsにおける8目標】

  1. 極度の貧困と飢餓の撲滅
  2. 初等教育の完全普及の達成
  3. ジェンダー平等推進と女性の地位向上
  4. 乳幼児死亡率の削減
  5. 妊産婦の健康の改善
  6. HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
  7. 環境の持続可能性確保
  8. 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

さらにこの目標の下に、合わせて21のターゲットがありました。MDGsは、多の目標・ターゲットで大きな前進が見られましたが、達成できなかったものや、残された課題もありました。さらに、グローバル化による都市部の貧困や格差など、21世紀以降に入って新たに明らかになった課題もあり、持続可能な開発は開発途上国だけの課題ではなく、先進国を含むすべての国の課題であるという認識が広まっていったのです。

そして、3年の期間を費やして「ポスト2015開発アジェンダ」が策定され、20159月に採択された2030アジェンダの中で、MDGsの後継としてSDGsが掲げられました

 

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2030アジェンダの中身を詳しく解説!

ここからは、2030アジェンダに記載されている内容を詳しく見ていきます。

  • 前文
  • 宣言
  • 持続可能な開発目標(SDGs)とターゲット
  • 実施手段とグローバル・パートナーシップ
  • フォローアップとレビュー

項目ごとに、一つずつ解説します。

前文

この項目では、まず冒頭で「このアジェンダとは何か」ということが示されています。

続けて、世界の最大の課題は「貧困」であり、これを撲滅することが持続可能な世界の実現のためには不可欠であるとしています。そして、すべての国が協力してこの計画を実施すること、誰一人取り残さないで持続可能な世界を実現すること、SDGsは経済・社会・環境の持続可能な開発の三側面を調和させるものであることも記載されています。

さらに、「5つのP」と呼ばれる5つの決意が示されています。

  • People(人間)
    貧困や飢餓を終わらせ、すべての人が尊厳、平等、健康な環境のもとで、能力を十分に発揮できるようにする。
  • Prosperity(豊かさ)
    すべての人の豊かな暮らしを実現し、経済、社会、技術を自然と調和する形で進歩させていく。
  • Planet(地球)
    現在、そして将来の世代も地球の恩恵を受けられるように、持続可能な消費と生産、天然資源の管理、気候変動に関して緊急の行動をとり、地球を破壊から守る。
  • Peace(平和)
    恐怖や暴力のない、平和的で公正な、すべての人が受け入れられ認め合える社会を育んでいく。
  • Partnership(パートナーシップ)
    最も貧しく、弱い立場にある人々が必要とするものに焦点をあて、すべての国と人の参加を得て、グローバル・パートナーシップ(※)を通じてアジェンダの実現に必要な手段を実施する。

SDGs17目標を、この「5つのP」に分けて考えると、全体像をイメージしやすくなります。「5つのP」については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:「5つのP」とは?SDGsを理解するために役立つ考え方を知っておこう

※グローバル・パートナーシップとは……目標を達成するために、政府や市民社会、国連機関など、利用可能な資源をすべて動員するために、世界で協力し合うこと。

宣言

この項目では、2030アジェンダの採択に至った経緯や、2030年までに目指すべき世界像、現在世界が直面している課題、持続可能な世界を実現するために実施することなどが記載されています。宣言部分の構成は、以下のとおりです。

  • 導入部
    2030
    アジェンダ採択に至った経緯や、2030年までに取り組むべき課題、アジェンダの特徴などが説明されています。また、地球上の「誰一人取り残さない」で持続可能な世界を実現することを改めて誓っています。
  • 我々のビジョン
    2030
    年までにどういった世界を実現するのか、具体的なビジョンが提示されています。
  • 我々の共有する原則と約束
    2030
    アジェンダは、国連の基本文書である「国連憲章」の目的と原則によって導かれることや、2030アジェンダに関連する宣言や条約、文書、国連会議などが記載されています。
  • 今日の世界
    現在世界が危機的な状況にあることと、これをチャンスと捉え、MDGsを超えていくという決意が示されています。
  • 新アジェンダ
    2030
    アジェンダをもとに、具体的にどのようなことを実施していくのかが記載されています。
  • 実施手段
    グローバル・パートナーシップの枠組みのもとで2030アジェンダを実施していくことや、国家や国際金融機関、政府などの役割が記載されています。
  • フォローアップとレビュー
    2030
    アジェンダの進捗に関するフォローアップとレビューために、ハイレベル政治フォーラム(※)を開催することなどが記載されています。
  • 我々の世界を変える行動の呼びかけ
    すべての人々にアクションを求めるメッセージが記載されています。
※ハイレベル政治フォーラム……正式名称は「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム」。英語表記の「High‒level political forum on sustainable development」を略して、HLPFとも呼ばれる。2030アジェンダとSDGsのフォローアップとレビューを行うために、2013年に国連総会によって設置された。

参考:ハイレベル政治フォーラム | 国連広報センター

持続可能な開発目標(SDGs)とターゲット

この項目では、SDGs17のゴールと169のターゲットが記載されています。17のゴールは、以下のとおりです。


ターゲットには、数字で記載されているものと、アルファベットで記載されているものがあります。たとえば、ゴール1「貧困をなくそう」には、以下のターゲットが掲げられています。

1.1 2030 年までに、現在 1 1.25 ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。”

1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。”
引用元:仮訳「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」 – 外務省(PDF)

数字のターゲットは、そのゴールを達成するための具体的な目標を、アルファベットのターゲットは、ゴールを達成するための手段を表しています

実施手段とグローバル・パートナーシップ

この項目では、2030アジェンダを完全に実施するためにはグローバル・パートナーシップが不可欠であるとしつつも、まずは重要なのは自国の経済・社会開発であり、国際的なルールおよびコミットメントと合致する場合のみ持続可能な開発のための政策を実施するべきという考え方が示されています。そして、各国の開発には国際的な支援が必要であり、その環境を整備するためにもグローバル・パートナーシップを活性化させるとしています。

このほか、これまでに国連で採択した各種行動計画やアフリカ関連イニシアティブの重要性、国や政府だけでなく民間企業にも課題解決の活動を求めることなどが示されています。

フォローアップとレビュー

この項目では、ハイレベル政治フォーラムのほかにも、国内レベル、地域レベル、全世界レベルでのレビューが必要であることや、フォローアップとレビューの原則、フォローアップのためのグローバルな指標を整備することなどが記載されています。

指標枠組みについては、2030アジェンダ採択後の2017年7月に開催された国連総会で承認され、2020年3月には見直しが行われました現在は全247(重複を除き231)のグローバル指標が整備されています。

そして、2030アジェンダの最後は以下のように締めくくられています

2030 年までに、より良い世界へと変えるため、本アジェンダを十分活用し、達成するための揺るぎないコミットメントを、我々は改めて確認する。”
引用元:仮訳「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」 – 外務省(PDF)

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まとめ

2030アジェンダとは、2030年までに持続可能でより良い世界を実現するための、すべての国の行動計画です。採択された経緯や、現在世界が直面するさまざまな課題、2030年までに目指すべき世界像、それを実施するための手段などがまとめられています。

2030アジェンダを読むと、SDGsへの理解がより深まります。日本語版で全37ページありますが、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。

 

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あらたこまち

この記事を書いた人

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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