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SDGsアクションプラン2021とは?ポイントや重点事項、取り組みを紹介

SDGsとは、2015年の国連サミットにて採択された「2030年までに国連の全ての加盟国が達成すべき持続可能な開発目標」です。17の目標とそれを達成するための169のターゲットから構成されています。

17の目標は、地球温暖化、気候変動、生物多様性、海洋汚染への対応などの地球規模での環境問題や、貧困、食糧問題などに関するもので、これらの問題への対応が各国に求められています。

日本政府は、17の目標のなかでも特に優先して取り組むべき課題をあげ、解決するための具体的な施策として「SDGsアクションプラン」を策定しました。

本記事では、SDGsアクションプランが誕生した経緯や概要、SDGsアクションプラン2021で追加されたポイントや4つの重点事項、具体的な取り組みをそれぞれ解説します。

 

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SDGsアクションプランとは

SDGsアクションプランとは、SDGs実施指針(※1)における「8つの優先課題」を解決するための具体的な施策をまとめたものです。内閣総理大臣や官房長官、外務大臣ら政府関係者で構成された「SDGs推進本部」で策定されました。

(※1)SDGs実施方針……SDGs達成に向けて行動するための中長期的な国家戦略。2016年12月に策定され、3年後の2019年には「SDGs 実施指針改定版」が公表された。

2017年12月に開催されたSDGs推進本部会合で初めて「SDGsアクションプラン2018」が策定され、以降は毎年12月に翌年分が公表されています。毎年6月に、同年に掲げたプランの内容が見直された「拡大版」が公表されています。

なお、2020年は新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響などもあり、「SDGsアクションプラン2020」の拡大版が公表されることはありませんでした。

SDGsアクションプランには「日本が抱えるSDGsの課題」が全体的に網羅されており、日本政府におけるSDGsへの取り組みの方向性や、活動内容を把握するために欠かせない内容となっています。

SDGs実施指針における「8つの優先課題」とは

SDGsには17の目標が掲げられていますが、日本を含め、国連加盟国それぞれの環境や情勢によって17の目標における達成度合いは異なります。

そのため、日本では、SDGsの目標達成のために特に注力すべき行動を示すための「SDGs実施指針」が公表され、SDGsの達成に向けた以下の「8つの優先課題」が掲げられました。

People 人間

  • 1 あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
  • 2 健康・長寿の達成

Prosperity 繁栄

  • 3 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
  • 4 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備

Planet 地球

  • 5 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
  • 6 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全

Peace 平和

  • 7 平和と安全・安心社会の実現

Partnership パートナーシップ

  • 8 SDGs実施推進の体制と手段

これら8つの優先課題は、国連によってSDGsが採択された文書「2030アジェンダ」に掲げられている「5つのP(People :人間、Planet:地球、Prosperity:繁栄、Peace:平和、Partnership:パートナーシップ)」に対応する分類となっています。

そして、8つの優先課題の解決に向けた具体的な行動を策定したものが、今回紹介する「SDGsアクションプラン」です。

 

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SDGsアクションプラン2021のポイントと4つの重要事項

2020年12月に策定された「SDGsアクションプラン2021」では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が「人間の安全保障に対する脅威」と表されました。

新型コロナウイルス感染症の影響による、SDGs達成に向けた日本の取り組みの遅れを懸念し、感染症対策に関する内容が盛り込まれたことが「SDGsアクションプラン2021」の大きな特徴です。

他にも、昨今の世界情勢の変化に伴い、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」人々の生活にIT技術を浸透させる「デジタルトランスフォーメーション」などに関する記載が追加されました。

そして新たに、それらの内容が組み込まれた下記の「4つの重点事項」が示されたことが、前年の「SDGsアクションプラン2020」からの大きな変更点となっています。

1. 感染症対策と次なる危機への備え

2020年初頭頃から世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症への対策が、SDGsアクションプランの優先事項として掲げられました。具体的な取り組みは以下の3項目です。

  • 感染症対応能力を強化するため、治療・ワクチン・診断の開発・製造・普及を包括的に支援し、これらへの公平なアクセスを確保する。
  • 次なる危機に備え、強靱かつ包摂的な保健システムを構築し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(※2)の達成に向けた取組を推進する。国内では、PCR 検査・抗原検査等の戦略的・計画的な体制構築や保健所の機能強化など、国民の命を守るための体制確保を進める。
  • 栄養、水、衛生等、分野横断的取組を通じて感染症に強い環境整備を進める。東京栄養サミット(※3)の開催を通じて世界的な栄養改善に向けた取組を推進し、国内では食育や栄養政策を推進する。
(※2)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)……全ての人が適切な保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態のこと
(※3)東京栄養サミット……世界の栄養不良の改善に向けた国際的な取り組みを促進する国際会合。ロンドン(2013年)、リオ(2016年)に続き東京にて3度目の開催となった

2. よりよい復興に向けたビジネスとイノベーションを通じた成長戦略

最新の科学技術を用いて社会や経済の発展を目指す取り組みは、SDGsアクションプランのなかでも重要項目となっています。具体的な取り組みは以下の3項目です。

  • Society5.0(※4)の実現を目指してきた従来の取組を更に進めるとともに、デジタルトランスフォーメーションを推進し、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる体制を整備し、「新たな日常」の定着・加速に取り組む。
  • ESG投資(※5)の推進も通じ、企業経営へのSDGs取り込みを促進するとともに、テレワークなどの働き方改革を通じてディーセントワーク(※6)の実現を促進し、ワーク・ライフ・バランスの実現等を通じ、個人が輝き、誰もがどこでも豊かさを実感できる社会を目指す。
  • バイオ戦略(※7)やスマート農林水産業(※8)の推進など、科学技術イノベーション(STI)を加速化し、社会課題の解決を通じてSDGsの達成を促進するとともに、生産性向上を通じた経済成長を実現し、持続可能な循環型社会を推進する。
(※4) Society5.0……「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と内閣府が定義した社会のこと
(※5) ESG投資……財務情報以外に、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の3つの要素を考慮した投資活動
(※6) ディーセントワーク……国際労働機関(ILO)の主目標として位置づけられた「働きがいのある人間らしい仕事」のこと
(※7) バイオ戦略……「2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現すること」を目標として、民官学が一体となって推進するイノベーション戦略
(※8) スマート農林水産業……ロボットやAI、IoTなどの先端技術を活用した農業技術の開発や、社会実装に向けた取り組み

3. SDGsを原動力とした地方創生、経済と環境の好循環の創出

大気汚染や海洋ごみなどの環境問題の解決や、地方におけるSDGsの目標達成へ向けた取り組みへの支援が掲げられています。具体的な取り組みは以下の3項目です。

  • 2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」への挑戦も通じ、世界のグリーン産業を牽引し、経済と環境の好循環を作り出していくとともに、防災・減災、国土強靱化、質の高いインフラの推進を継続する。
  • 「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン(※9)」実現に向けた海洋プラスチックごみ対策などを通じ、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する。
  • SDGs未来都市(※10)、地方創生SDGs官民連携プラットフォーム(※11)、地方創生SDGs金融(※12)等を通じ、SDGsを原動力とした地方創生を推進する。
(※9)大阪ブルー・オーシャン・ビジョン……2019年6月のG20大阪サミットにて首脳間で共有された、「2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す」目標
(※10) SDGs未来都市……SDGs達成に向けた優れた取り組みを提案しているとして認定された地方自治体のこと
(※11) 地方創生SDGs官民連携プラットフォーム……国内のSDGs事業の促進とそれらを地方創生に繋げることを目的に内閣府が設立した、ステークホルダーとのパートナーシップを深める官民連携の場のこと
(※12) 地方創生SDGs金融……地域におけるSDGsの達成や課題解決に取り組む地域事業者を地域金融機関などが金融面から支援し、地域での資金の環流と再投資を促進する施策

4. 一人ひとりの可能性の発揮と絆の強化を通じた行動の加速

国や地方自治体、企業のみならず、国民一人ひとりに向けた施策が重点項目として掲げられました。具体的な取り組みは以下の3項目です。

  • あらゆる分野における女性の参画、ダイバーシティ(※13)、バリアフリーを推進するとともに、人への投資を行い、十分なセーフティネットが提供されるなかで、全ての人が能力を伸ばし発揮でき、誰ひとり取り残されることなく生きがいを感じることのできる包摂的な社会を目指す。
  • 子どもの貧困対策や教育のデジタル・リモート化を進めるとともに、持続可能な開発のための教育(ESD)(※14)を推進し、次世代へのSDGs浸透を図る。
  • 京都コングレス(※15)や東京オリンピック・パラリンピック等の機会を活用して法の支配やスポーツSDGsを推進するとともに、地球規模の課題に関して、国際協調・連帯の構築・強化を主導し、国際社会から信用と尊敬を集め、不可欠とされる国を目指す。
(※13) ダイバーシティ……「多様性」を意味する言葉。ビジネスシーンでは「多様な人材」という意味で使われることもある
(※14) 持続可能な開発のための教育(ESD)……環境汚染や貧困などの現代社会の問題を主体的に捉え、人々が今後も持続可能で豊かな生活を送れるように、身近な問題から取り組むことで「持続可能な社会」を目指すための学習・教育活動
(※15) 京都コングレス……5年に一度開催される、犯罪防止・刑事司法分野における国連最大の国際会議。2021年3月に第14回コングレスが京都にて開催された

SDGsアクションプラン2021で示された具体的な取り組み

「SDGsアクションプラン2021」で掲げられた8つの優先課題に関する具体的な取り組みを、いくつかピックアップして紹介します。

あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現

ジェンダーの主流化や女性の活躍推進、ダイバーシティ・バリアフリーの推進、働き方改革、貧困・格差解消などが取り組み課題としてあげられています。

実際に政府は、2020年7月に「女性活躍加速のための重点方針2020」を取りまとめて女性の社会進出の促進、働き方改革の一環としてテレワークの推進、子どもの貧困対策として「子供の未来応援国民運動」などに取り組んでいます。

健康・長寿の達成

新型コロナウイルス感染症危機に対する取り組みや、データヘルス改革の推進、国内の健康経営の推進、感染症対策等医療の研究開発、医療産業における新興国への貢献などが具体的な取り組み課題としてあげられています。

特に2020年は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により社会経済が多大な影響を受けたことで、感染症から国民を守るために、感染防止に配慮した医療・福祉サービス提供体制の確保、医療機関等に係る情報の効率的な取得、医療用物資の確保などが取り組まれました。

成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション

未来志向の社会づくりを目指し、その基盤となる技術やデータの収集、SDGs達成のための科学技術イノベーション(STI for SDGs)の推進、地方創生SDGsの推進、スマート農林水産業の推進などが課題としてあげられています。

持続可能な社会を実現するためには、各地方自治体におけるSDGs達成に向けた取り組みが必要不可欠であり、地方創生SDGsの推進をはじめ、自治体や中小企業への支援を行っています。

持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備

持続可能で強靱なまちづくり、文化資源の保護・活用、世界の強靭化に向けた国際貢献、質の高いインフラの海外展開などが課題としてあげられています。

持続可能で強靱なまちづくりとは、予期せぬ気候変動や自然災害など起こった際でも、持続可能に安心・安全な食料や生活環境の提供ができる状態を指します。持続可能な生活を実現するために、質の高いインフラの整備や研究開発の促進に力を入れています。

省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会

限りある貴重な天然資源を有効活用するために、再エネ・新エネ等の導入促進や省エネの推進、気候変動対策、持続可能な生産・消費の促進、食品廃棄物・食品ロスの削減や活用を目指しています。

例えば環境省では、地域における再エネの最大限の導入を促進するために、「再エネの最大限の導入の計画づくり及び地域人材の育成を通じた持続可能でレジリエントな地域社会実現支援事業」を導入し、官民連携の支援を行っています。

また消費者庁では、事業者、消費者それぞれに向けて「食品ロス削減の取り組みの普及啓発」に取り組んでいます。

生物多様性、森林、海洋等の環境の保全

海洋保全・海洋プラスチックごみ対策、生物多様性や森林の保全、化学物質の規制や対策などが課題としてあげられています。

プラスチックごみの回収や再利用による削減、環境保全や天然資源活用のための研究開発、途上国へのインフラ整備や廃棄物管理における支援などに取り組んでいます。

平和と安全・安心社会の実現

子どもの安全や女性に対するあらゆる暴力の根絶、再犯防止対策・法務の充実などが課題となっています。また、法の支配の促進に関する国際協力や中東地域・アフリカ地域の平和と安全などが優先課題としてあげられています。

国内では、政府の取り組みや法整備を中心とした子どものいじめ対策の推進や女性への暴力の抑止活動を行っています。

国外へは、ユニセフなどを中心に設立された「子どもに対する暴力撲滅グローバル・パートナーシップ」へ積極的に関与するなどの取り組みがあります。

SDGs実施推進の体制と手段

国内でSDGs達成へ向けた取り組みを推進するためには、地方自治体や国内企業、そして国民一人ひとりへSDGsへの理解を深めてもらう必要があります。

広報や啓発、市民社会などとの連携、環境・社会・ガバナンス(ESG)投資の推進、SDGs達成のための革新的資金調達、途上国のSDGs達成に貢献する企業の支援などに取り組み、国内で一丸となってSDGs達成を目指しています。

 

SDGs研修・体験型SDGsイベント

SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)

 

概要

  • SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
  • 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
  • オプションとして「SDGsマッピング」を行うことで学びの定着・自分ごと化

特徴

  • 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
  • チームで戦略を練り様々な可能性を話し合う必要があるため、深いチームビルディングに繋がる
  • 様々な選択肢の中から取捨選択して最適解を導く考え方を身につけることができる

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【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)

概要

  • 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
  • 子どもが楽しみながらも本気で学べる、複数の職業体験を実施
  • 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能

特徴

  • あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
  • 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

【親子・子ども向け地域イベント】SDGsアドベンチャー(商業施設・自治体向け)

概要

  • 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
  • 子どもが本気で楽しめる複数の体験型アクティビティを実施
  • すべてクリアした方にSDGs缶バッチをプレゼント

特徴

  • ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
  • 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

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まとめ

SDGsアクションプランは、2016年に策定された「SDGs実施指針」における8つの優先課題の解決に向けた具体的な施策であり、日本が今後SDGs達成に向けて取り組む内容が広く網羅されています。

「SDGsアクションプラン2021」では、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて感染症対策の内容が記載され、コロナ禍後の「よりよい復興」を目指すとともに、SDGsの「誰ひとり取り残さない」世界の実現に向けた内容が追加されたことが特徴的です。

SDGsアクションプランを読み解くことで、SDGs達成に向けた日本の動きや、目標達成に必要な具体的な行動内容などの理解が深められます。企業や個人がSDGs達成に向けて行動する際には、まずはSDGsアクションプランの内容をしっかりと把握することで、より具体的な行動目標を考えることに繋がるでしょう。

 

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りょう

この記事を書いた人

りょう

都内在住。美容系メディアのコンテンツ制作をきっかけにライター活動をスタート。現在までにSDGs、HR領域、SNSマーケティング、外遊び、オンラインイベントなどの幅広いジャンルを執筆。読者の皆さまに寄り添えるような、わかりやすい文章を心がけています。

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