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【2022年】SDGs達成度19位の日本の課題とは?特に深刻な6つの目標を解説 

 

日本でも広がりを見せているSDGs(Sustainable Development Goals)。2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能な世界の実現を目指す国際目標で、さまざまな社会課題に対する17の目標と169のターゲットで構成されています。

今回は、毎年6月に公表されている「持続可能な開発報告書(Sustainable Development Report)」から、達成度の国別ランキングと日本の評価を解説します。さらに、このレポートで特に厳しい評価を受けた6つの目標に関する日本の課題と、解決に向けた政府の取り組み、個人ができるアクションも紹介します。

 

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SDGs達成度2022 日本は19位にランクダウン

2022年6月に「持続可能な開発報告書2022」が公表されました。国連加盟国193ヵ国のSDGsの進捗状況を国別にまとめたもので、総合スコアでランク付けされています。2016年以来、SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)とドイツのベルテルスマン財団(Bertelsmann Stiftung)が毎年作成しているレポートです。

2022年版のレポートより、1~20位までの国名とスコアを見てみましょう。

順位

国名

スコア

1

フィンランド

86.51

2

デンマーク

85.63

3

スウェーデン

85.19

4

ノルウェー

82.35

5

オーストリア

82.32

6

ドイツ

82.18

7

フランス

81.24

8

スイス

80.79

9

アイルランド

80.66

10

エストニア

80.62

11

イギリス

80.55

12

ポーランド

80.54

13

チェコ共和国

80.47

14

ラトビア

80.28

15

スロベニア

79.95

16

スペイン

79.90

17

オランダ

79.85

18

ベルギー

79.69

19

日本

79.58

20

ポルトガル

79.23

2022年の日本の順位は19位と、昨年の18位から1つランクダウンとなりました。

参考:Sustainable Development Report 2022  – SDG Index

目標別の達成度

2022年版のレポートから、日本の評価を詳しく見てみましょう。17の目標別の評価は以下のとおりです。

出典:Japan – Sustainable Development Report 2022 – SDG Index

評価は5段階で、赤は「大きな課題が残る」、オレンジは「重要な課題が残る」、黄色は「課題が残る」、緑は「目標達成」です。アイコン横の矢印は、達成に向かって取り組みが進められているかどうかを表しています。

日本が「大きな課題が残る」と評価された目標は6つです。

  • 目標5:ジェンダー平等を実現しよう
  • 目標12:つくる責任 つかう責任
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を
  • 目標14:海の豊かさを守ろう
  • 目標15:陸の豊かさも守ろう
  • 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

これら6つの目標に関する現状の課題や、解決に向けた政府の取り組みについては、後ほど詳しく解説します。

日本のランキングの推移

持続可能な開発報告書が公表されるようになった2016年以降の日本の順位とスコアの推移を見てみましょう。

順位

スコア

2016年

18位

75.0

2017年

11位

80.2

2018年

15位

78.5

2019年

15位

78.9

2020年

17位

79.2

2021年

18位

79.8

2022年

19位

79.58

このように、日本は年々順位を落としており、スコアもほぼ横ばいとなっています。SDGs達成に向けて、取り組みを加速させていかなければなりません。

 

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「大きな課題が残る」目標の日本の課題とは?

2022年の持続可能な開発報告書で、日本は17の目標のうち6つに「大きな課題が残る」と評価を受けました。現在の日本には、実際にどのような課題があるのでしょうか。また、解決に向けて政府はどのような取り組みを進めているのでしょうか。1つずつ詳しく解説します。

目標5「ジェンダー平等を実現しよう」

この目標で「大きな課題が残る」と評価されたのは、「国会で女性が占める議席」と「男女賃金格差」です。

まずは、日本と海外の女性議員の割合を見てみましょう。

出典:1-3図 諸外国の国会議員に占める女性の割合の推移 | 内閣府男女共同参画局 

この30年で、海外では女性議員の人数が大幅に増えていることがわかります。それに対し、2022年の日本の国会議員(衆議院議員)に占める女性の割合は9.7%と、国際的に見ても非常に低い水準です。

また、OECD(経済協力開発機構)の統計によると、2021年の日本の男女間賃金格差は22.1%で、38ヵ国のOECD加盟国のなかでワースト3位となっています。

これらの課題がなかなか改善されない要因としては、日本ではまだまだ家事や育児の負担が女性に偏っている家庭が多いため、女性が議員活動や仕事と家庭生活を両立させるのが困難なことや、女性の採用から管理職・役員への仕組みが構築できていないこと、性別による固定観念や思い込みがいまだに根強く残っていることなどが挙げられます。

参考:男女間賃金格差 (Gender wage gap) – OECD

政府の取り組み

2022年6月、政府は「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2022(女性版骨太の方針 2022)」を策定しました。このなかで、政治分野における男女行動参画を推進するための取り組みとして、ハラスメント防止のための研修教材の積極的な活用と、その活用状況の「見える化」を図ることや、地方議会の関係者とも連携して女性の政治参画拡大に向けた取り組みを進めていくことなどが示されています。

また、男女間賃金格差の縮小を図るため、2022年7月に女性活躍推進法に関する法制度が改正され、「男女の賃金の差異」の情報公表が義務化されました。義務化の対象となるのは、常時雇用する労働者 が301 人以上の事業主です。

これらをはじめ、ジェンダー平等を実現するために政府はさまざまな取り組みを進めています。

参考:女性活躍・男女共同参画の重点方針 2022(女性版骨太の方針 2022)- 男女共同参画局(PDF) 

目標12「つくる責任 つかう責任」

この目標で「大きな課題が残る」と評価されたのは、「電子廃棄物」と「プラスチック廃棄物の輸出」です。

電子廃棄物とは、電化製品や電子機器が廃棄物となったもののことで、英語ではE-wasteと呼ばれています。2019年には、全世界で5,360万トンもの電子廃棄物が発生しています。国別に見ると、日本は年間257万トン(1人あたり20kg)もの電子廃棄物を排出しており、世界4位となっています。

また、プラスチック廃棄物については、これまでプラスチック廃棄物の受け皿となっていた中国が2017年に資源ごみの輸入禁止措置に踏み切ったこともあり、日本のプラスチック廃棄物輸出量も減少傾向にあります。しかし、2019年の輸出総量は89.8万トンと、まだまだ多くプラスチック廃棄物を輸出しているのが現状です。

参考:増え続ける電子ごみ - 国民生活センター(PDF)

政府の取り組み

目標12を達成するためには、国内で資源を循環させる仕組みが必要です。環境省は、3R(※)や限りある資源の大切さを呼びかけるために、Webサイト「Re-Style」を立ち上げ、循環型社会の実現に向けた取り組みや、さまざまなカルチャーと連携したコンテンツなどを発信しています。循環型社会とは、少ない資源を有効的に繰り返し活用していく環境にやさしい社会のことです。環境省は、この循環型社会のライフスタイルを「Re-Style」として提唱しています。

※13Rとは
廃棄物の発生を抑制する(Reduce:リデュース)、繰り返し使う(Reuse:リユース)、資源として再利用する(Recycle:リサイクル)という、環境負荷を軽減するための3つの行動のことです。

参考:Re-Styleとは – 環境省

目標13「気候変動に具体的な対策を」

この目標で「大きな課題が残る」と評価されたのは、「化石燃料の燃焼とセメント生産によるCO2(二酸化炭素)排出量」、「輸入に含まれるCO2排出量」、「EUR60/tCO2でのカーボンプライシングスコア」の3つです。わかりやすくいうと、とにかく「日本はCO2排出量が多い」ということを指摘されています。

2019年の日本のCO2排出量は10億6620万トンで、世界5位となっています。

政府の取り組み

日本は、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を目指すと宣言しました。カーボンニュートラルとは、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林等の温室効果ガス吸収量を差し引き、実質ゼロにするというものです。また、2030年度に温室効果ガスを2013年度比で46%削減するという中期目標も設定しており、さらに50%の高みに向けて挑戦し続けるとしています。

政府はこれらの目標を達成するために、脱炭素事業を支援する出資制度創設の検討、地球温暖化対策計画等の見直しなど、さまざまな取り組みを進めています。環境省の「脱炭素ポータル」というWebサイトでは、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた検討や、具体的な取り組みが詳しく紹介されています。

参考:国の取組 – 脱炭素ポータル|環境省

目標14「海の豊かさを守ろう」

この目標で「大きな課題が残る」と評価されたのは、「Ocean Health Index(海がごみによってどの程度汚染されているかを示す指標)」、「乱獲または崩壊した資源から捕獲された魚」、「輸入に具現化された海洋生物多様性の脅威」の3つです。

身近な問題としてメディアなどでも取り上げられることが多いのが、プラスチック廃棄物による海洋汚染です。日本の2019年のプラスチック廃棄物排出量は約850万トン(一人あたり年間32kg)で、アメリカに次いで世界2位となっています。また、排出されたプラスチック廃棄物の処分方法の内訳を見てみると、約60%をサーマルリサイクル(焼却して熱を回収する)が占めており、マテリアルリサイクル(原材料として再利用)は約20%にとどまっています。

政府の取り組み

プラスチックの資源循環を促進するために、2021年6月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が成立しました。この法律では、3RにRenewable(リニューアブル)をプラスした「3R+Renewable」の考え方を基本原則としています。Renewableとは、紙やバイオマスプラスチックなど、再生素材や再生可能資源に切り替えることを意味します。

また、この法律では、プラスチックの資源循環の取り組みを促進するための、事業者、消費者、国、地方公共団体等の役割が示されています。それぞれが努めるべき役割は、以下のとおりです。

事業者

  • プラスチック使用製品設計指針に即して製品を設計する
  • プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制する
  • 製造・販売したプラスチック使用製品の自主回収と再資源化
  • プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出抑制及び再資源化等の実施

消費者

  • プラスチック使用製品廃棄物の排出抑制
  • プラスチック使用製品を廃棄するときは事業者及び市町村双方のルールを守り分別する
  • 認定プラスチック使用製品を使用する

  • 国民の理解醸成と協力の要請等の措置(必要な資金確保や情報収集、広報活動など)

地方公共団体

  • (市町村)家庭から排出されるプラスチック使用製品廃棄物の分別収集と再製品化、その他国の施策に準じて必要な措置
  • (都道府県)市町村が役割を果たすために必要な技術の援助、その他国の施策に準じて必要な措置

参考:プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律 | プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)の普及啓発ページ – 環境省

目標15「陸の豊かさも守ろう」

この目標で「大きな課題が残る」と評価されたのは、「生物多様性にとって重要な淡水域で保護されている平均面積」、「レッドリスト(絶滅危惧種のリスト)」、「輸入に具現化された生物多様性の脅威」の3つです。

環境省が2019年度に公表した「環境省レッドリスト2020」には、3,716種の野生生物が絶滅危惧種として掲載されています。74種類のカテゴリーを見直した結果、レッドリスト2019から40種増加しました。また、「環境省版海洋生物レッドリスト」には、56種の海洋生物が絶滅危惧種として掲載されています。日本だけでも、3,772種もの生きものたちが絶滅の危機に瀕しているのです。

政府の取り組み

ライフスタイルの変化などにより、日本を含む世界の多くの地域で、人の管理が行き届かなくなった荒れた里地や里山が増えています。これにより、自然資源の持続可能な利用形態が失われているだけでなく、地域の生物多様性にも影響が出ているのです。

環境省自然環境局では、人と自然の共生社会の実現を目指す取り組みを「SATOYAMAイニシアティブ」として、日本や世界の自然資源の持続可能な利用・管理に関する手法とまとめた事例集を作成するなど、里地里山の保全・活用を推進しています。

そのほかにも、環境省自然環境局では、生物多様性の保全、野生生物の保護・管理など、さまざまな取り組みを実施しています。

目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

この目標で「大きな課題が残る」と評価されたのは、「国民総所得(GNI)に対する政府開発援助(ODA)の割合」と「金融機密スコア」です。

政府開発援助(ODA)とは、開発途上国または国際機関に対して経済・社会の発展のために資金や技術を提供することです。国際目標は対GNI比0.7%であるのに対し、日本は0.2%(2016年実績)と、OECD/DAC加盟国29ヵ国中20位と、非常に少なくなっています。

政府の取り組み

近年は日本国内の経済・財政も厳しい状況が続いています。このようななかで、国民からは「開発途上国への経済協力はなるべく少なくするべきだ」という意見が増えているのです。

政府は、ODAに対する国民の理解と共感を得るためにはODAのあり方を見直す必要があると考え、2015年にはODAの基本方針を示す「ODA大綱」を12年ぶりに改訂しました。これをさらに時代に即した形にアップデートするため、現在次の改定に向けて検討が進められています。

SDGsの達成に向けて個人ができること

SDGsは、政府や企業だけが取り組むものではありません。2030年までに持続可能な社会を実現するためには、私たち一人ひとりが行動を起こす必要があります。ここからは、日本が特に「大きな課題が残る」と評価を受けたジェンダー問題、環境問題、パートナーシップについて、個人でできるアクションをいくつか紹介します。

ジェンダー平等のためにできること

  • 家事・育児は家庭内で平等に分担する
  • 固定観念にとらわれずに自分のすきなこと/ものを選ぶ
  • 「男だから」「女だから」という言葉を使わない
  • 同一労働同一賃金を支持する

環境のためにできること

  • 節電・節水を心がける
  • 食品ロスをなくす
  • ごみの分別を徹底する
  • 再生可能エネルギーを導入する
  • マイバッグやマイボトルを持参する
  • アニマルフリーやアニマルウェルフェアの商品を選ぶ

パートナーシップ構築のためにできること

  • 世界の問題に目を向ける
  • SNSで社会課題に関する投稿を見つけたら積極的にシェアする
  • 募金や寄付をする
  • 地域活動やボランティアに参加する

 

SDGs研修・体験型SDGsイベント

SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)

 

概要

  • SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
  • 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
  • オプションとして「SDGsマッピング」を行うことで学びの定着・自分ごと化

特徴

  • 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
  • チームで戦略を練り様々な可能性を話し合う必要があるため、深いチームビルディングに繋がる
  • 様々な選択肢の中から取捨選択して最適解を導く考え方を身につけることができる

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【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)

概要

  • 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
  • 子どもが楽しみながらも本気で学べる、複数の職業体験を実施
  • 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能

特徴

  • あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
  • 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

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【親子・子ども向け地域イベント】SDGsアドベンチャー(商業施設・自治体向け)

概要

  • 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
  • 子どもが本気で楽しめる複数の体験型アクティビティを実施
  • すべてクリアした方にSDGs缶バッチをプレゼント

特徴

  • ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
  • 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

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まとめ

「持続可能な開発報告書2022」で「大きな課題が残る」と評価された6つの目標に関する日本の課題、解決に向けた政府の取り組み、個人ができるアクションを紹介しました。

同レポートの日本のスコアは2016年以降ほぼ横ばいで、順位も年々ランクダウンしています。そして、特に深刻な課題が残っているのが、ジェンダー問題、環境問題、パートナーシップです。これらを含むすべての目標を達成し、2030年に持続可能な世界を実現するためには、政府や企業だけでなく、一人ひとりが意識を変え、アクションを起こす必要があります

本記事で紹介したアクション以外にも、個人でできることはたくさんあります。身近な問題から目を向け、まずは自身の周りから持続可能な世界を実現させていきましょう。

 

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あらたこまち

この記事を書いた人

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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