社会

SDGs人材とは?育成方法や企業のメリットをご紹介

今や企業にとってSDGsは無視できない重要なテーマとなっています。社内でSDGsを推進していくためには、その担い手である人材の育成が不可欠です。SDGsを「自分ごと」として考え行動し、社会的課題や環境問題の解決に寄与できる人物が求められます。しかし、SDGsを担う人材をどのように育成すべきかお悩みの経営者、担当者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、SDGs人材を育成するメリットを踏まえたうえで、SDGs人材を育成する方法をご紹介します。

 

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SDGs人材とは?

SDGs人材とは、企業としてSDGsに関する取り組みを推進していくために必要な人材を意味します。企業がSDGsに取り組むにあたり、その担い手となる人材の育成が欠かせません。

とりわけ重要なポジションを占めるのが、SDGsの推進を統括する担当者です。SDGs達成の担い手として、社会が抱えているさまざまな課題を自分の問題として主体的に捉え、その解決に向けたアクションを起こし、事業戦略に組み込める人材が求められます。

競合企業に遅れをとらないためにも、SDGs人材の育成は急務です。逆にいえば、優れた人材を育成してSDGs推進を成功させることが、持続的な企業価値を創出する大きなカギになるといえるでしょう。

参照SDGsとは?|JAPAN SDGs Action Platform|外務省

企業がSDGsに取り組むべき理由

SDGsとは、貧困、不平等・格差、気候変動による影響など、世界のさまざまな問題を根本的に解決し、持続可能でより良い世界を実現するために設定された国際目標です。「経済」「環境」「社会」の3面から目標が構成され17のゴールとそれを細かく具体化した169のターゲットが設定されています。

SDGsは、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」世界の実現に向けた壮大なチャレンジです。国や自治体の力だけでは到底成し遂げられるものではありません。特に環境や社会面では企業の役割が重視されており、主体的な目標達成が期待されています。

これまで企業は利益追求するあまり、環境汚染や人権侵害などの弊害を引き起こしてきました。持続可能な社会を実現するために、経済だけでなく、環境や社会にも配慮した取り組みが求められます。環境・社会の課題解決と自社の利益をいかに両立させるかが、今後企業が取り組むべき重要な課題といえるでしょう。

SDGsへの関心が高まるなか、環境問題や社会課題に無関心でいるのは高リスクですSDGsに取り組む企業が社会的に高く評価され、ビジネスチャンスが増えていく一方で、取り組まない企業は自然淘汰され、いずれ衰退の道を辿ることが予想されます。

 

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SDGs人材の育成はなぜ必要なのか

SDGsの取り組みは、一部の人だけで実現できるものではありません。トップから現場まで巻き込み、全員で協力体制を作ることが大切です。まず大前提として、すべての社員がSDGsに関する基礎知識を身につけておく必要があります

社員のSDGsへの理解が不足していると、会社としてSDGsの方針や目標が決まっていても、なかなか取り組みが進まない状況に陥り競合他社に遅れをとってしまいかねません。

スピード感をもってより効率的かつ効果的にSDGs取り組ために、推進役となる人材を育成することが重要なのです。

企業がSDGs人材を育成するメリット

人手不足の企業も多いなかSDGs人材を育成するメリットがあまりないと考えている方もいるかもしれませんが、SDGs人材の育成にはさまざまなメリットがあります。いくつか代表的なものをみていきましょう。

1SDGsに持続的に取り組むことができる

SDGsでは2030年までに持続可能でより良い社会を実現することを目標として掲げています。しかし、SDGsへの取り組みは、一朝一夕で効果が出るものではありません。社員一人ひとりがそのことを自覚し、それぞれの役割を果たすことが重要です。

しかし、SDGsへの理解が不足していると、取り組みが長続きせず、途中で挫折してしまう可能性があります。それでは、持続可能な社会の実現が遠のくばかりです。社会に対する責任を果たす企業としての評価にもつながりにくくなります。

SDGsは長期的な目標として定められているため、短期で結果出しづらい側面があります。組織としての目標を達成するためには、SDGsを本質的に理解し、持続的に取り組める人材の育成が不可欠です。

2社会問題に関心の高い社員を活躍させられる

SDGsには、貧困や飢餓から環境問題、経済成長やジェンダーに至るまで、現代社会が抱えているさまざまな課題が網羅されています。社員のなかには、こうした社会問題に強い興味関心を持つもいるでしょう

そのような社員にSDGs教育を進めることで、普段の業務では伸ばせない力を発揮できかもしれません課題の調査や分析、解決のための施策を実行できる社員が育てば会社の大きな資産るでしょう。

3社会的な取り組みを対外的にアピールできる

取引先のニーズの変化や成長著しい新興国の台頭など、企業の生存競争はますます激しくなっています。ライバルより頭ひとつ抜きん出るためには、なんらかのアピールポイントが必要です。社会的にSDGsに対する関心が高まっている今、SDGsに強い人材を育成すれば、それだけでも有利に働きます。

SDGsの達成に貢献する取り組みを対外的にアピールできれば「社会貢献に積極的な企業」「社会的な責任を果たしている企業」と高く評価され、企業のブランドイメージ向上につながります。企業イメージが向上すると「あの会社で働きたい」と考える人が増え、採用活動にも役立つでしょう。

参照:すべての企業が持続的に発展するために エスディージーズ – 持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド – [第2版](PDF)|環境省

SDGs人材を育成する際の注意点

SDGs人材を育成するうえで、注意したいポイントを解説します。

「やらされ感」をなくす工夫をする

研修などを実施しても効果が上がりにくい場合、もしかしたら「会社からやらされている」という感覚をもって受講していることが原因かもしれません。こうした受講者の「やらされ感」をいかに排除できるかが、SDGs人材育成を成功させるポイントになります。

SDGsを「自分ごと化」するために必要なことは、SDGsについて自ら知ること、理解すること、そして考えることです。ゲームを取り入れるなど、体感的に学びを深めてもらうのがおすすめです。

SDGs人材育成におすすめのゲーム>

  • ワールドリーダーズ

ワールドリーダーズは、企業経営の疑似体験を通じてリアルなSDGsを体験できるビジネスゲームです。各チームは企業として戦略立案や交渉を行い、労働力や資本を使って利益を競い合います。最終的に最も多くの資金を稼いだチームの勝利です。ただし、自社の利益を追求するだけでは、次第に企業価値を向上させることが難しくなってきます。環境や社会などさまざまな要素を考慮して、長期的な利益を生み出さなければなりません。ビジネス(利益)とSDGs(環境・社会)を両立することの重要性を体験的に学べるため、経営視点をもってSDGsに取り組める人材の育成によい効果が見込めます。

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  • IKUSAのSDGsマッピング


SDGs
マッピングは、自社事業とSDGs17目標を紐づけて整理するワークショップです。SDGsの目標を「経済」「社会」「生物圏」の3層構造で示した「ウェディングケーキモデル」に自社の取り組みを当てはめて、自社とSDGsのつながりを発見します。自社事業とSDGsのつながりに気づくことで、SDGsを身近なものとして捉え、自分ごと化できるようになるでしょう。SDGsマッピングは、先ほどご紹介したワールドリーダーズのオプションとして利用可能ですワールドリーダーズの実施後に、SDGsマッピングで振り返りを行うSDGsに対する理解を深め、学びを定着させられます。

SDGsマッピング|SDGsの社内浸透を推進するワークショップ | IKUSA.JP

SDGs専任で取り組めるようにする

SDGsへの取り組みは会社が生き残るうえで欠かせないものです。取り組みを効率よく推進していくために、リーダー役割を担うSDGs人材はできるだけ専念で取り組めるように調整するのが望ましいでしょう。

専任を立てるには、以下の工程を踏まえるのがおすすめです。

  1. 人材育成の目的を再確認し、実施に各部署の必要な人数を決定します。
  2. 人材選定、候補となる社員該当部門の上長育成計画や目標を共有しましょう。
  3. 人材が確定したら、育成を開始しましょう。
  4. 段階的・計画的に人材育成を進めましょう

とはいえ、専任者を立てるのが難しいケースも往々にしてあります。人数が限られた中小企業であればなおさらです。難しい場合も、SDGs活動を優先的に行えるように業務を調整していくようにしましょう。

SDGs人材を育成する方法〜5つのステップ

多くの企業が「SDGs人材の育成は難しい」と悩んでいるのではないでしょうか。適切な人材はすぐには育ちません。これからご紹介する5つのステップに沿って、少しずつ育成を進めることが大切です。

このステップは、社員全体のSDGs理解促進にも有効です。

ステップ1SDGsに興味・関心をもってもらう

SDGs人材を育成するためには、まずはSDGsへ興味や関心をもたせることが重要です。興味のないことには意欲的に取り組めず、知識が身につかないからです。SDGsに無関心な層に対しては、ゲームを取り入れることを検討してみてはいかがでしょうか。ゲーム感覚で楽しみながらSDGsを体験することで、それらを身近なものとして捉えられるようになります。

ステップ2SDGs人材育成の目的と必要性について理解してもらう

SDGsを学ぶための研修やセミナーは、ある程度まとまった時間を拘束して行うため、社員に負担をかけることになります。なかには不満を抱く社員もいるかもいるでしょう。それでは一人ひとりの意識・行動変容を促せません。

こうした事態を避けるために、なぜ人材育成に取り組まなければならないのか、なぜ会社としてSDGsに取り組むことが必要なのかを明確にすることが重要です。SDGsの必要性をしっかりと伝え、自社のビジネスとSDGsの関わりを理解してもらいましょう。

ステップ3SDGsの専門知識を学んでもらう

SDGsに対する興味や関心が芽生え、人材育成の目的を理解したあとに、その実現に向けた専門的な知識を習得してもらいます学習方法としては、集合研修やオンライン研修、eラーニングなどがあります。それらをうまく組み合わせて、社内全体のレベルを底上げしましょう。

ここでは、集合研修、オンライン研修、e-ラーニングを比較し、それぞれの特徴をみていきます。

・集合研修
集合研修とは、その名のとおり、参加者が同じ場所に集まる研修スタイルです。従来の研修といえば、この集合研修が一般的でした。集合研修では、講師と受講者が対面して講習を行います。講師に直接質問ができるので、その場で理解を深められることがメリットです。

また直接顔を合わせることで受講生同士の交流が生まれ、仲が深まりやすい点も魅力です。

学びの場を通して、普段一緒に働いている同僚の知らない一面をみられるかもしれません。普段は業務で関わることが少ない社員とも新たな接点が生まれる可能性があります。

集合研修のデメリットは、運営コストがかかる点です。大人数が集まる会場の使用料や人件費、会場までの交通費、宿泊費などが発生します。また、会場の設置、講師の調達といった準備にある程度の手間と時間を要します。

・オンライン研修
オンライン研修は、Web上で開催される研修です。リアルタイムのライブ形式で行われます。企業のテレワーク導入が進むなか、新たな人材育成の手法として少しずつ浸透してきました。

オンライン研修の場合、決められた会場に集合する必要がなく、スマホやパソコンさえあれば、どこからでも参加が可能です。離れた拠点に勤務する社員も参加できるため、教育格差を解消するメリットがあります。

また、講師や育成担当者、受講者が研修場所に赴くためにかかっていた交通費や宿泊費、会場使用料がかからないためコスト削減につながり、参加者の負担も軽減します。

スクリーン越しに受講するオンライン研修は、集合研修と比べると身振りや手振り、ちょっとした表情の変化といったノンバーバルコミュニケーションが伝わりづらいのが欠点です。途中で聞き疲れや集中力の低下を招くことがあります。

eラーニング
オンライン研修と似ている研修スタイルにeラーニングがあります。どちらもインターネットを使った研修ですが、オンライン研修はリアルタイムに集まって行うのに対し、eラーニングはあらかじめ録画された動画コンテンツで学習します。

集合研修のように場所と日時が決められていないので、インターネット環境さえあればいつでもどこでも学習できます。受講者の習熟度に合わせて自分のペースで学習できるのは大きなメリットです。同じ内容の授業を繰り返し受講できるため、苦手分野の克服にも適しています。

企業担当者側のメリットとしては、eラーニングでは受講者の進捗状況、学習成果などを一元管理できる点が挙げられます。学習内容の質を一定に保てるので、教育の質・社員のスキルの統一化が可能です。

eラーニングは好きなタイミングで受講できる一方で、モチベーションの維持が難しいというデメリットがあります。そのため、受講者のモチベーションを保つ工夫が必要です。

ステップ4.具体的にSDGsの取り組みを進めてもらう

社員がその重要性や変化の本質を理解したら、実際にSDGsの取り組みを進めてもらいます。通常業務と並行して意欲的に取り組んでもらえるように働きかけましょう。

具体的な取り組みが始まったら、Webページなどを通じて、社内外のステークホルダーにSDGsに関する活動を積極的に発信・報告し、コミュニケーションをとります。周りからの評価や信頼度が高まり、社員のモチベーションの向上にもつながります。

 

まとめ

企業におけるSDGsへの取り組みと、その取り組みを担う人材の育成は、これからいよいよ本格化していきます。2030年まであと8年となった今、SDGsを「知らない」「できない」「関係ない」では通用しません。このような考え方を続けていると、投資家や消費者の信頼を得られず、企業の存続自体が危ぶまれるでしょう。

とはいえ、多くの企業がどのようにアプローチしていけばいいか模索しているのも事実です。企業がSDGsに取り組むにあたり、まずは人材を育てる必要があります。今回の記事を参考にして、SDGs人材の育成を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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こちらの記事では世界のSDGsの達成度について解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

SDGsとは

正木友実子

この記事を書いた人

正木友実子

福岡在住。大学を卒業後、大手食品メーカー勤務を経て、異業種のライターへ転身。求められている情報をわかりやすく伝えることがモットー

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