SDGsの子ども向けの取り組みはどんなもの?コンテンツや事例も紹介
2020年度から小学校の「新学習指導要領」にSDGsに関する内容が追加され、注目を集めています。SDGsは大人だけではなく、子どもも理解することが求められているのです。
今回は、SDGsの基本情報や子どもの理解が必要な理由、子どもができる取り組み事例、子ども向けのSDGs学習コンテンツについて紹介します。子どもにSDGsを学んでもらいたい方や、SDGsがどのようなものなのか知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
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そもそもSDGsとは?
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語だと「持続可能な開発目標」となります。貧困やジェンダー、環境などさまざまな問題の解決を目指した目標を掲げており、2030年を達成期限として世界各国で取り組まれています。
SDGsの背景
SDGsは、2015年を達成期限とした「MDGs:ミレニアム開発目標」を引き継ぐ形で採択されたものです。
SDGsはミレニアム開発目標よりも目標数が増えています。そのうえ、ミレニアム開発目標が発展途上国を対象としていたのに対し、SDGsはすべての国を対象としています。これによりミレニアム開発目標ではカバーしきれていなかった問題をSDGsでカバーできるようになりました。
SDGsにおける目標とターゲット
SDGsには、以下のアイコンで示される17つの目標があります。
17の各目標にはターゲットというものが存在します。ターゲットは合計169個あり、それぞれ各目標の具体的な方針や達成となる基準などが把握できます。
子どもへのSDGs教育が必要な理由
子どもへのSDGs教育が必要な理由、それは未来に関わることであるためです。SDGsは未来の環境や生活を守るためのものであり、そのことから未来を背負っていく子どもたちに対しての教育が必要となります。
日本では2020年度から小学校の「新学習指導要領」にSDGsに関する内容が追加されました。持続可能な開発の支えるリーダーとして必要な能力や知識を向上させるための教育の機会を設けることが推奨されています。
子どもができるSDGsの取り組みとは?
SDGsへの取り組みは大人だけではなく、子どもでも取り組むことができます。一体どのような取り組みができるのか、それぞれ各項目を見ていきましょう。
1.SDGsについて知る(関連する目標:全目標)
まずはSDGsがどのようなものなのかを知ることから始めてみましょう。SDGsに関する本を読んだり、イベントに参加したりしてSDGsに関する理解を深めることにより、どのような取り組みがSDGsにつながるのか把握できます。
SDGsに関する本はさまざまあり、小学校低学年向けの絵本も存在します。学校の図書室や市の図書館などに置かれていることもあるため、気になるSDGsの本を読んでみるとよいでしょう。
2.子ども食堂へ行ってみる(関連する目標:目標1)
子ども食堂は、子どもやその保護者が無料もしくは低額で利用できる食堂です。子ども1人でも足を運ぶことができ、他の利用者と一緒に食事したり交流したりすることができます。子ども食堂は日本各地に存在しており、一人ぼっちで食事する子どもを減らすことや食育などの役目を果たしています。
3.食べ残しをしない(関連する目標:目標2)
食べ残しをなくすことは目標2「飢餓をゼロに」に関係することであるため、自分が食べられる分量だけをとり、食べきるよう心がけましょう。
食べ残しおよび食品ロスに関する問題は食べる側の問題だけではなく、作る側の問題でもあります。本来使えるところを使わなかったり、まだ食べられるものを捨ててしまったりするのは非常にもったいないことです。できる限り無駄な食品ロスを減らすための調理を心がけましょう。
4.節水する(関連する目標:目標6)
節水は目標6「安全な水とトイレを世界中に」につながります。水道の蛇口をこまめに止めたりトイレにおける大小のレバーを使い分けたりといった節水を心がけることで、水を無駄にすることを防げます。
そもそも水というのは、どの国でも当たり前にあるものでありません。発展途上国の場合は、不衛生な水を飲水としている場合もあるのです。そのうえ、今後は世界各国で水不足になる恐れがあると言われており、日本においても当たり前に手に入るものではないことを意識し、水を大切に使っていく必要があります。
5.節電する(関連する目標:目標7)
節電は目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」につながる取り組みです。エネルギーは石炭や石油などの天然ガスによって生み出されることが多いですが、その方法だと二酸化炭素が発生して地球温暖化につながってしまうのです。
そこで世界各国では、再生可能エネルギーを取り入れ始めています。日本でも取り組まれていますが、まだメインのエネルギーではありません。そのような状況だからこそ、日頃から節電を心がけてエネルギーの無駄遣いを減らしましょう。
6.住んでいる地域や世界のインフラについて学ぶ(関連する目標:目標11)
インフラとは「インフラストラクチャー」の略称であり、公共施設やガス、水といった人々の生活を支える基盤のことを指します。本や動画などで住んでいる地域や世界のインフラについて学ぶことにより、日本のインフラ技術や世界のインフラ問題などについて学べます。
7.使い捨てをやめる(関連する目標:目標12)
使い捨てをやめることもSDGsにつながる取り組みです。マイバッグやマイボトルなどを利用することで使い捨てを減らせるようになるだけではなく、プラスチックのゴミを減らすことにもつながります。近年ではさまざまなデザインのマイバッグやマイボトルが登場しているため、ずっと使いたくなるようなもの、使いやすいものを探してみるとよいでしょう。
8.エコクッキングをしてみる(関連する目標:目標13)
エコクッキングとは、買い物・調理・食事・片付けにおいて環境に配慮して行動することを指します。身近な食生活から始められるエコ活動であり、親子で協力してエコクッキングにチャレンジしてみるとよいでしょう。エコクッキングの主な内容は以下の通りです。
- 栽培時に必要なエネルギーが少ない旬の食材を使う
- 食品ロスを減らすために必要な分だけ購入する
- 食材を無駄にしない料理を心がける
- 1つの鍋を使い回すといった省エネな方法で調理する
- 食べ残しをしない
- 節水して排水を汚さない
9.自由研究に取り入れてみる(関連する目標:全目標)
子どもが自由研究をするときに、SDGsに関するテーマに取り組んでみるのもおすすめです。SDGsに関する自由研究はさまざまあるため、子どもが気になるものにチャレンジしてみましょう。
例として太陽光を使ったお湯作りが挙げられます。自然エネルギーに関する自由研究で目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」につながります。白い画用紙で包んだペットボトルと黒い画用紙で包んだペットボトル。そして何もしていないペットボトルに水を入れてそれぞれ太陽光を当てて定期的に温度を測るという自由研究であり、折れ線グラフで温度をまとめることで結果が見やすくなります。
子ども向けに実施されたSDGsの取り組み事例7選
子ども向けに実施されたSDGsの取り組みはさまざまあります。今回は7つの取り組みをピックアップして紹介します。子ども向けのSDGsに関する取り組みをしてみたい方は参考にしてみましょう。
1.公益財団法人 日本ユニセフ協会
公益財団法人の日本ユニセフ協会は、「SDGs CLUB」という子ども向けの特設サイトを開設。子ども向けにわかりやすくした各目標のターゲット紹介やビジュアル資料などを掲載しています。そのため、このサイトで子どもたちにSDGsが何なのか教えるのもよいかもしれません。
2.キッズウィークエンド株式会社
キッズウィークエンド株式会社は、2021年に未就学児から小学生の子どもたちを対象としたオンラインイベント「SDGsをもっと知ろう!オンラインこどもフェス2021」を開催。サントリーホールディングス株式会社やトヨタ自動車九州株式会社なども協力したイベントとなっており、LEXUSの工場見学といったオンライン授業を行いました。
3.岡山ビューホテル
岡山ビューホテルでは、積極的にSDGsへの取り組みをしています。その1つが子ども食堂であり、YMCAという非営利団体と協力しながら地域の孤食を防ぐための取り組みをしています。ホテルのシェフが料理を作っていることもあり、子どもたちからも好評です。
その他、フードロスの削減やエコ清掃なども実施。具体的には、フードロスを防ぐためにメインだけ注文があった際に調理する「ハーフビュッフェスタイル」を採用したり連泊する方向けにシーツやリネン関係の交換を省略してもらうよう呼びかけたりなどです。
4.NPO法人 チルドリン
NPO法人のチルドリンは一般社団法人の日本橋室町エリアマネジメントと協力して、「~暮らしのSDGs~学びの森のママまつり」というイベントを開催しました。「暮らしのSDGs」をテーマにリアルとオンラインで開催したイベントとなっており、子どもだけではなく親も学べる内容としています。
参照:家族のお出かけは日本橋室町へ!子どもも親も学び・体験できるファミリーイベント「~暮らしのSDGs~学びの森のママまつり」|PR TIMES
5.江東区立第六砂町小学校
江東区立第六砂町小学校では、「Special Lessons in ACNH」という特別授業が開催されました。この特別授業の特徴は、なんといってもNintendo Switchのゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」を使うことで、子どもたちが楽しみながらSDGsに関する理解を深められることです。
参照:任天堂の『あつ森』がSDGsの教材に!? – 江東区の小学校でユニークな特別授業|マイナビニュース
6.気仙沼市立大谷小学校・気仙沼市立大谷中学校
気仙沼市立大谷小学校と気仙沼市立大谷中学校は、地域の自然を守るために「大谷ハチドリ計画」を実施しました。10年前から問題となっていた松枯れの問題を知って解決策を探ったり東北大の先生による出前授業をしてもらったりなどを行い、次第に地域ぐるみで学校を支援するようになりました。
結果として気仙沼市立大谷小学校と気仙沼市立大谷中学校の取り組みは、日本水大賞における文部科学大臣賞を受賞するまでに至りました。
参照:大谷ハチドリ計画 ~津波からよみがえった「ふゆみずたんぼ」と豊作になった米づくり~|第14回 日本水大賞 文部科学大臣賞
7.南砺市
富山県南砺市では、富山県立大学で活動する学生団体やなんと未来支援センターなどと協力してオリジナルのボードゲーム「なんとSDGsボードゲーム」を作成しました。楽しみながらSDGsについて学ぶことができ、南砺市の企業や各種団体などに無料で貸し出しています。
また、「なんとSDGsボードゲーム」を用いた出前講座も実施しています。市内の企業や各種団体へゲームキットを持った市職員が出向いて教えてくれるというものであり、実際に市内の小学校にて「なんとSDGsボードゲーム」を用いた体験授業が開催されました。
参照:お知らせ – なんとSDGsボードゲームで楽しく学ぼう|南砺市
SDGsが学べる子ども向けコンテンツ
子どもへSDGsを教えたい場合には、ゲームや動画などを活用してみるのもおすすめです。以下のようなSDGsに関するコンテンツがあるため、ぜひ利用してみましょう。
1.SDGsババ抜き
「SDGsババ抜き」は、芸人のたかまつななさんが考案したゲームです。ババ抜きがベースだから楽しみやすく、子どもでも遊ぶことができます。指示カードという独自のカードが用意されており、その指示に従いながらプレイしていくことで、目標ごとの課題を把握できるようになります。
「SDGsババ抜き」は、オンラインショップで購入できるゲームです。もし自宅で子どもと一緒に遊んでみたいのであれば、実際に購入してみてはいかがでしょうか。大人でも楽しめるゲームでもあるため、SDGsのワークショップとして取り入れてみるのもおすすめです。事実、株式会社東芝やカンロ株式会社などでは「SDGsババ抜き」を取り入れたワークショップが開催されました。
2.Get The Point
「Get The Point」は、小学生から遊べるゲームです。資源カードを使ってアイテムも作成し、そのアイテムごとに指定されているポイント数で争います。
このゲームは1周するたびに資源回復ルールというものが発動し、最初のゲームとは異なるプレイでポイントを争っていくこととなります。資源を奪い合う世界と資源を持続していく世界の双方が楽しめることもあり、プレイしながら持続可能な社会がどのようなものなのか考えられます。
3.気候変動から世界を守れ!
「気候変動から世界を守れ!」は日本科学未来館によるSDGsワークショップで、小学5年生から大人までを対象としています。ボードゲーム形式のワークショップということもあり、楽しみながら気候変動について学べます。
「気候変動から世界を守れ!」を利用してみたいのであれば、日本科学未来館の申し込みフォームから問い合わせてみましょう。
4.SDGs動画シリーズ
「SDGs動画シリーズ」はJICAによる動画コンテンツで、SDGsについてアニメーション、現地写真を用いて紹介しています。クイズがあったり、アニメーションで詳細な解説があったり、ということもあってSDGsについて理解しやすくなっています。子どもがSDGsを学ぶ際にも活用できます。
5.SDGs 17目標のおぼえうた
「SDGs 17目標のおぼえうた」は、NHKによる動画コンテンツです。歌なのでSDGsのことを覚えやすく、子どもによってはついつい歌いたくなるかもしれません。そうなれば、SDGsに対してさらに興味を持つでしょう。
6.子どもSDGs
「子どもSDGs」も、アニメーションでSDGsに関する目標を紹介している動画コンテンツです。漢字をほとんど使っていないため、低学年でも把握しやすくなっています。そのため、子どもでも最後まで見られます。
7.学研 小学生向けSDGs
「学研 小学生向けSDGs」は株式会社学研ホールディングスによる小学生向けの動画コンテンツであり、仕事をメインにした動画となっています。そのため、SDGsのなかでも仕事に関して興味を持っている小学生におすすめです。
8.地球防衛隊SDGs
「地球防衛隊SDGs」も株式会社学研ホールディングスによるコンテンツですが、こちらは漫画で楽しく学べるようになっています。魅力的なキャラクターがSDGsを紹介する流れとなっており、複数のエピソードが用意されています。
9.SDGsアドベンチャー
「SDGsアドベンチャー」は、体験を通して楽しくSDGsを学べるワークショップです。
ごみの分別をする「ポイポイ島」、海の環境を知る「フィッシング島」、仲間と協力する大切さがわかる「つみつみ島」など、いくつかの島に見立てたワークショップをすることで、SDGsの身近な例を学ぶことができます。
子どもからお年寄りの方まで幅広く楽しめるため、親子で一緒に参加することも可能です。
興味をお持ちの方はぜひ資料をご覧ください。
SDGsアドベンチャーの資料をダウンロードする
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概要
- 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
- 子どもが楽しみながらも本気で学べる、複数の職業体験を実施
- 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能
特徴
- あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
- 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
- ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進
まとめ
SDGsというのは、大人だけではなく未来を担う子どもにも教えるべき存在です。そのことから子ども向けのSDGsに関するコンテンツも多数存在します。子どもでもできるSDGsへの取り組みもあるため、この機会に子どもへのSDGs教育をしてみてはいかがでしょうか。
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