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サステナブル経営はなぜ必要?企業が取り組むメリットを解説

「社会の持続可能性に配慮した経営」を意味する「サステナブル経営」が注目を集めています。

本記事では、サステナブル経営が求められている背景や、企業がサステナブル経営を実践するメリット、取り組むステップについて解説します。また、サステナブル経営に取り組んでいる企業の事例を紹介します。 

 

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サステナブル経営とは

そもそも「サステナブル(Sustainable)」とは、1980年代後半に登場した概念で、「持続可能な」「維持できる」といった意味があります。その名詞形である「サステナビリティ」は「持続可能性」を意味します。

そして、本記事で解説する「サステナブル経営」とは、「社会の持続可能性に配慮した経営」を意味します

近代社会では、加速する地球温暖化や天然資源の枯渇、人口の爆発的増加、貧困格差など、さまざまな問題が世界各地で起こり、地球環境や社会の持続可能性が危ぶまれています。

そのような状況のなかで、持続可能な環境や社会、経済を考えるうえで「サステナブル」「サステナビリティ」といった言葉が使用されるようになりました。

企業が経営方針や事業活動において環境や社会、経済問題の解決に向けた活動を実践する「サステナブル経営」を取り入れ、持続可能な社会の実現に貢献することが求められています。

 

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なぜサステナブル経営が求められるのか

環境問題や企業活動を考えるうえで、サステナブルやサステナビリティといった言葉を頻繁に聞くようになっているなか、企業にサステナブル経営が求められている3つの理由を解説します。

1. SDGsの採択

サステナブル経営を考えるうえで重要な出来事として、SDGs(エス・ディー・ジーズ)」の採択が挙げられます。SDGsとは「2030年までに国連の全ての加盟国が達成すべき持続可能な開発目標」のことであり、2015年の国連サミットにて採択されました。

SDGsは、全部で17個の目標(ゴール)とそれを達成するための169のターゲットから構成されています。17の目標には、地球温暖化や気候変動、生物多様性、海洋汚染の対策などといった地球規模の環境問題や、途上国における貧困、飢餓の問題、差別や教育問題などの社会的問題まで、様々な問題の解決が求められています。

SDGsの目標達成には、国や政府はもちろんのこと、民間企業の協力が必要不可欠です。企業のサステナブル経営における環境、経済、社会課題の解決に向けた取り組みは、SDGsの目標達成にも直結するといえるでしょう。

また、企業規模を問わず、自社の事業や専門領域をSDGsのそれぞれの目標と紐づけることで、新規事業の創出や新たな取引先との契約など、様々なメリットが得られます

2. CSRへの取り組みの広がり

CSRCorporate Social Responsibility)」とは「企業の社会的責任」を意味する言葉であり、「企業は自社の利益を追求するだけではなく、ステークホルダー全体の利益を考えて社会貢献をするべきである」という考え方です。

1990年代以降、地球温暖化をはじめとした環境問題の解決へ向けた取り組みが企業に求められ、CSRが企業経営を考えるうえで欠かせない考え方となりました。

CSRは企業活動による社会貢献を主体とした考え方であるのに対し、サステナブル経営は社会全体で取り組むべき課題の解決であり、意味合いはやや異なります。しかし、どちらの考え方も「より良い社会の実現を目指す」ことは同じであり、企業がCSRを意識した経営活動をすることで、結果的に社会の持続可能性の向上にも繋がるといえるでしょう。

3. ESG投資の拡大

ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つに配慮した活動を行なっている企業を重視、選別して行う投資のことです。昨今では、「企業経営を3つの視点から考えることが企業の持続可能性に必要である」との認識が広がり、投資の意思決定においても3つの視点を重視するESG投資が拡がりつつあります。

2015年に「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が、資金運用においてESGの視点を反映させる「国連責任投資原則(PRI)」に署名したことで、国内でESG投資への関心が高まったことも、ESG投資の拡がりに拍車をかけました。

ESG投資では、上述したCSRの考え方を基本としたうえで、社会に対して企業がどのような価値を創造しているかを問う「CSV(共通価値の創造)」が重要な要素となります。さらに、SDGsの目標達成に向けた企業活動がESG投資の3つの視点と重なることで、持続可能な社会の実現に繋がると考えられています。

ESG投資の拡がりによって資金調達のチャンスが増えた一方で、企業は目先の利益だけではなく社会や環境に配慮した経営をしていなければ、「企業自体の持続可能性が低い」と見なされてしまいます

投資家などから投資先として選ばれるためには、企業活動においてESG投資の3つの視点を取り込み、企業の生存をかけたサステナブル経営に取り組むことが求められています。

サステナブル経営のメリット

SDGsCSRESG投資と、企業経営を取り巻く環境は時代と共に変化しています。そのようななかで、企業がサステナブル経営を行うことでどのようなメリットが得られるのでしょうか?

生存戦略

サステナブル経営を行ううえでの一番のメリットとして挙げられるのが、企業の存続をかけた生存戦略として活用できることでしょう。時代の変化に伴ってビジネスの取引先のニーズが変化したり、最新技術が開発されたり、新興国が台頭したりなどにより、企業の生存競争は今後も激化すると考えられます。

そのため、企業には常に時代に合わせた変化が求められます。企業がサステナブル経営を実践することは、SDGsへの取り組みに繋がったり、企業価値が向上したりと、持続可能な企業経営戦略として有効に活用できるでしょう。

企業イメージの向上

企業が、サステナブル経営としてSDGsの目標達成に向けて取り組んだり、CSR活動を実施したりすることは、企業イメージの向上に繋がります。特に、世界的な目標であるSDGsへの取り組みをアピールすることは、より多くの人から興味を持ってもらえたり、信頼を獲得したりといった効果が期待できます。

損害保険ジャパン株式会社が2021年に行った「SDGs・社会課題に関する意識調査」では、回答者1,204人のうち50%以上の人が、「SDGsの達成」や「社会課題の解決」に向けて取り組んでいる企業の製品・サービスを使用・購入したいと回答しました。また、SDGsの認知度も年々向上しています。

SDGsや社会課題への取り組みはブランディング効果を高めるだけでなく、人材獲得や新たな取引契約に繋がるなど、企業経営において様々なメリットを得られるでしょう。

社会課題の解決

SDGsの目標達成には、国や政府だけでなく、民間企業の協力が必要不可欠です。企業がサステナブル経営のなかでSDGsに取り組むことは、企業経営のリスクを回避するとともに、社会貢献や地域社会からの信頼獲得に繋がるといえます。

もちろん、SDGs17の目標は貧困問題から環境問題、食料問題などの多岐にわたるため、その全てを自社でカバーすることは難しいですが、自社の得意とする領域や既存の事業に関連する目標に取り組むことで、社会課題の解決と自社の成長を両立することができます。

新たな事業の創出

サステナブル経営を実践するなかで、SDGsの取り組みをきっかけに地域の企業や人々との連携、新しい取引先や事業パートナーの獲得、新たな事業の創出など、既存事業の枠組みを超えた波及効果が期待できます。

新しいパートナー企業とビジネスを作り上げていく過程では、今までなかったイノベーションやパートナーシップを生む可能性も大いに考えられます。新たな事業の創出は企業の生存戦略になるとともに、持続可能な社会の実現に貢献できるでしょう。

出典:すべての企業が持続的に発展するために -持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド- [第2版]│環境省

出典:SDGs経営ハンドブック│東京都中小企業振興公社PDF

サステナブル経営への5ステップ

実際に企業活動にサステナブル経営を取り入れる際には、どのように進めていけばいいのでしょうか? 企業がサステナブル経営を実践するために活用できるツールの一つが、「SDG Compass(エス・ディー・ジー コンパス)」です。これは、SDGsを経営戦略と統合するために役立つツールで、サステナブル経営に取り組む際にも役立てることができます。

ここではSDG Compassをもとに、取り組み方を5つのステップでお伝えします。

1. SDGsを理解する

SDGsの取り組みを実施してサステナブル経営を行うには、SDGsを理解することが最初のステップとなります。以下について理解しておくとよいでしょう。

  • SDGsとは何か(17の目標や169のターゲットはどのようなものか)
  • どのように策定されたのか
  • 企業はどのようにSDGs を活用できるか

これらについて理解しておくことで、自社の既存事業や専門領域との繋がりやSDGsへの取り組みの活かし方を理解でき、具体的な活動の考案に繋がります

2. 自社事業のなかでの優先課題をSDGsと紐付ける

SDGsについて理解したら、自社の既存事業での取り組みや専門領域がSDGsの目標達成に貢献できるかを探しましょう。自社製品やサービスなどが直接SDGsの貢献に繋がっている場合以外にも、事業を推進するために取り組んだ「経営改善」の取り組みなどもSDGsに紐付けられる場合があります。

例えば、「ゴミを減らすためにオフィス内でマイボトルの使用を推奨している」「女性管理職の割合を上げる」「均一な教育のためオンラインを活用した教育制度を導入している」などは、SDGsに関連する経営改善といえます。

自社事業がSDGsのどの目標・ターゲットに関連するかを整理し、そのなかから自社が重視し取り組む内容を検討します。

3. 具体的な目標を設定する

サステナブル経営に向けた具体的な行動へと移すには、行動に対する目標設定は欠かせません。自社が取り組む活動領域やSDGsと紐付けた優先課題に対し、具体的な成果の目標を設定しましょう。

目標は定量と定性の両方の視点から設定していくことで、目標に対する行動の評価がより明確になります。

4. 自社の経営に統合する

具体的な目標を設定した後は、実際の事業に当てはめて行動を開始しましょう。自社の経営に統合するには、企業幹部や各部署による積極的なリーダーシップが成功の鍵です。

「なぜSDGsへの取り組みを実践するのか?」「取り組んだことで、どのような未来があるのか?」など、従業員へ取り組む意義を周知することが大切といえます。その際、企業一丸となって取り組むためにも、一部の部門だけではなく、全ての部門にサステナブル経営やSDGsへの活動を組み込むことが望ましいでしょう。

5. 取り組み事例の報告とコミュニケーションを実施する

取り組みを開始した後は、その活動内容を定期的にまとめ、ステークホルダーとのコミュニケーションを行いましょう。

上場企業であれば、統合報告書やサステナブルレポートを作成して投資家、株主などのステークホルダーに情報公開を行い、活動の評価や新たな意見などを集めることで、より具体的な企業経営へと落とし込むことに繋げます。

中小企業であれば、様々なビジネスの機会獲得や企業PRの一環として、報告とコミュニケーションを有効に活用できるでしょう。また、「SDGsの取り組みについて新たに連携できる部分はないか」、「もっといいアイディアはないか」、という視点でコミュニケーションをとることで、新たな事業創出につながる可能性もあります。

出典:中小企業のための SDGs 活用ガイドブック│独立行政法人中小企業基盤整備機構(PDF)

出典:SDGs Compass|SDGsの企業行動指(PDF 

サステナブル経営を実践している企業の事例

ここからは、サステナブル経営を実践している企業の事例を紹介します。サステナブル経営には様々な方法があるため、自社で実践しようと考えている方は、ぜひこれらの事例を参考にしてみてください。

ユニクロ

大手アパレルメーカーのユニクロでは、「服のチカラを、社会のチカラに。」をスローガンとして掲げ、服のビジネスを通して、社会の持続的な発展に寄与することを目指しています。

ユニクロのサステナビリティ活動では、プラネット(Planet)、ピープル(People)、コミュニティ(Community)の3分野における持続的な発展を目指し、全商品をリサイクル、リユースする取り組み「RE.UNIQLO」を進めています。

また、衣類の回収、再利用のみならず、ペットボトルのゴミから新しい服をつくる取り組みや、障害者雇用の促進など、アパレル領域から経営改善まで、幅広い取り組みを実践しています。

出典:THE POWER OF CLOTHING | 服のチカラを、社会のチカラに。UNIQLO Sustainability│ユニクロ

ユニリーバ

食品や洗剤、ヘアケア製品などの販売を手がけるユニリーバでは、2010 年に自社の成長とサステナビリティを両立するビジネスプランとして「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン(USLP)」を導入しました。

これにより、「消費者の製品使用1回あたりの廃棄物量を32%削減」「自社工場からの温室効果ガスの排出量を50%削減」など、多くの成果が上げられました。

そして、プランの導入から10年が経った2020年からは、サステナビリティを「あると良いもの」ではなく「最低限必要なこと」と考え、新たに「ユニリーバ・コンパス」と呼ばれる戦略を導入しました。

ユニリーバ・コンパスでは、「健やかな暮らし」「環境問題の解決」「経済発展」3つを重要課題として掲げ、サステナブル経営に取り組んでいます。

出典:地球と社会 | Unilever

出典:ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン 10年の進捗 | Unilever

Apple

アメリカに本社を置く世界的なテクノロジー企業のAppleは、製品ライフサイクルのすべてを通じて、2030年までに気候への影響をネットゼロ(実質ゼロ)にすることを掲げています。

Appleでは既に「カーボンニュートラル(脱炭素)」を達成しており、今後はすべてのAppleデバイスの製品ライフサイクルにおいて、2030年までに気候への影響をネットゼロにすることを目指しています。

Appleでは他にも、自社製品のリサイクルや再生材料の使用など、製品ライフサイクルにおける様々な場面で環境に配慮し、持続可能な企業活動を行うための取り組みを実践しています。

出典:Apple、2030年までにサプライチェーンの 100%カーボンニュートラル達成を約束│Apple

 

SDGs研修・体験型SDGsイベント

SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)

 

概要

  • SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
  • 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
  • オプションとして「SDGsマッピング」を行うことで学びの定着・自分ごと化

特徴

  • 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
  • チームで戦略を練り様々な可能性を話し合う必要があるため、深いチームビルディングに繋がる
  • 様々な選択肢の中から取捨選択して最適解を導く考え方を身につけることができる

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【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)

概要

  • 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
  • 子どもが楽しみながらも本気で学べる、複数の職業体験を実施
  • 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能

特徴

  • あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
  • 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

【親子・子ども向け地域イベント】SDGsアドベンチャー(商業施設・自治体向け)

概要

  • 体験を通じてSDGsを学べる親子・子ども向けワークショップ
  • 子どもが本気で楽しめる複数の体験型アクティビティを実施
  • すべてクリアした方にSDGs缶バッチをプレゼント

特徴

  • ハッピーワールドの世界観を演出することで参加者が没入感をもって取り組める
  • 海の環境やゴミの分別・再利用など、参加者は身近なことからSDGsを学べる
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

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まとめ

今回は、企業にサステナブル経営が求められている背景やサステナブル経営を実践するメリット、取り組みのステップについて解説しました。

企業がサステナブル経営に取り組むことで、SDGsへの貢献やCSR活動との相乗効果が期待できるなど、様々なメリットが得られます。また、企業価値の向上や新規事業の創出、多様な人材の確保にも繋がるでしょう。

サステナブル経営を実践するには、SDGsへの理解を深めることが役立ちます。自社の既存事業や専門領域をSDGsの取り組みに紐づけ、経営戦略として実践するために、ぜひ今回お伝えした内容を参考にしてみてください。

 

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りょう

この記事を書いた人

りょう

都内在住。美容系メディアのコンテンツ制作をきっかけにライター活動をスタート。現在までにSDGs、HR領域、SNSマーケティング、外遊び、オンラインイベントなどの幅広いジャンルを執筆。読者の皆さまに寄り添えるような、わかりやすい文章を心がけています。

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