社会

SDGs達成のカギはZ世代にあり?その価値観や消費行動を解説

気候変動や経済格差による貧困など、さまざまな社会問題が深刻化するなか、その解決をめざす取り組みとして、SDGsが注目を集めています。特に、SDGsへの関心が高いとされるのが「Z世代」と呼ばれる若い世代です。これからの経済を回していく中心的存在ですが、それより上の世代とは違った価値観を持ち、消費行動も異なります。次世代を担う彼らこそが、SDGs達成のカギを握っているといっても過言ではありません。この記事では、Z世代の特徴やSDGsに対する価値観を解説します。

 

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Z世代とは?

比較的若い世代を表す言葉として、ここ数年、メディアやマーケティングの場面によく登場する「Z世代」。もともとアメリカで誕生した特定の世代を表す言葉で、英語では「Generation Z(ジェネレーションZ)」、省略して「Gen Z」もしくは「Gen Zers」とも呼ばれています。

Z世代の年齢に明確な定義はありませんが、一般的には1990年代中盤から2000年代に生まれた人たちを指し、2023年時点では10歳前半から20代前半の年齢の人が該当します。

こうしたアルファベットによる世代の分類は、1960年代中盤から1970年代終盤までに生まれた人々を指す「X世代」が始まりです。続く1980年代序盤から1990年代中盤までに生まれた人たちは「Y世代」といい、Y世代のなかでも2000年代に成人・社会人となる世代は「ミレニアル世代」とも呼ばれています。

Z世代はXの系譜を踏む形でその名称が付けられましたが、ミレニアル世代に続く世代であることから「ポストミレニアル世代」と表現されることもあります。今後の経済を回す中心となっていくため、多くの企業がマーケティングの対象としてZ世代に注目しています。

参照:Z世代とは何歳から?意味や特徴・由来を簡単に・わかりやすく解説!|クリエイト転職

Z世代が育った背景

Z世代は生まれたときからインターネットが普及していたため、デジタルネイティブ世代と位置付けられています1世代前のミレニアル世代もデジタル分野に強いものの、Z世代のほうがその特性がより顕著です。また、物心ついた頃からSNSやスマホに触れてきた、SNSネイティブ、スマホネイティブでもあります。

Z世代は情報過多の社会で育ち、世界中の誰とでも交流ができる環境にあった一方、世界的な不況やテロ、地震や大雨、洪水などの大規模な自然災害を次々と目の当たりにしてきました。

こうした背景から、従来の世代とは大きく異なる価値観や消費志向を持つのがZ世代の特徴です。自他の感性や意見を大切にしながら、経済的に現実主義で安定志向が強い傾向がみられます。

 

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SDGsに関心の高いZ世代

日本経済新聞社が日本在住者向けに「Z世代サステナブル意識調査」を実施し、関心がある社会的課題の上位10項目を聞いたところ、図表1の結果になりました。

Z世代では、4位から7位までに「人種差別」「飢餓・栄養不足」「ジェンダー不平等」「LGBTQ性的マイノリティー)差別」が入っています。こうした回答は、X世代やY世代など、上の世代にはみられない傾向です。

Z世代が挙げた人種差別や飢餓・栄養不足などの問題は、人々の生存や尊厳をおびやかします。また、日常生活やビジネスシーンにおけるジェンダー不平等やLGBTQ差別は、私たちにとって身近なテーマの1つです。

 

出典:2021122日 日本経済新聞

図表2は「SDGsや社会的課題への取り組みを行う企業に対する印象」について、Z世代とY世代以上の回答を比較したものです。回答を「好感が持てる」「製品・サービスを利用したいと思う」「働いてみたいと思う」の3つに分けたところ、Z世代はY世代以上よりもすべての項目で「とても当てはまる」の割合高い結果となりました。このことからもSDGsへの関心の強さとともに、社会問題を「自分ごと」として捉えている意識が伺えます。

出典:2021122日 日本経済新聞

参照:Z世代の意識調査 SDGsに取り組む企業を高評価|NIKKEI STYLE

なぜZ世代はSDGsに対して関心が高いのか?

なぜZ世代はSDGsに対する関心が高いのでしょうか。その理由として、次のようなZ世代ならではの特徴が挙げられます。

多様性を受け入れる

Z世代は、幼い頃からインターネット環境に親しみ、スマホやSNSを使いこなしてきました。世界中の膨大な情報があふれる環境に置かれ、さまざまな年代や国籍、価値観を持った人の意見に触れて育っています。

そのため、多様な考え方や価値観を大切にし、自分と異なる人種やジェンダー、人生観を持った人を受け入れようとする姿勢があります。上の世代のように「男性はこうあるべき、女性はこうあるべき」といった性別による決めつけや偏見にも囚われていません。

環境問題・社会問題に関心がある

Z世代は、東日本大地震や熊本地震といった未曽有の自然災害を子どものとき経験した世代です。このような背景から、環境問題への関心が高く、自然との共存や社会の持続可能性を重視する価値観が根付いています。また、貧困や環境問題といった社会問題を他人ごとと考えず、自分の問題として捉え、行動に移せるのも特徴です。

Z世代にとって、商品やサービスを購入する際、環境問題・社会問題に配慮しているかどうかが、選択基準の1つになっています。SNSやインターネットを介して、環境問題・社会問題に対する自分の価値観や考え方を世界に発信する人も多いようです。

Z世代の消費に対する価値観

Z世代のニーズをマーケティングに取り入れるには、彼らの消費行動の特徴や他世代との違いを把握しておくことが大切です。Z世代の消費に対する価値観をみていきましょう。

「モノ消費」「コト消費」から「イミ消費」へ

2000年初頭から、モノやサービスを購入する「モノ消費」より、購入したモノやサービスを使ってどのような経験・体験をするかという「コト消費」に、消費者の関心が移り変わってきました。さらにZ世代では「イミ消費」にシフトしています。

イミ消費とは、ホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリストの竹田クニ氏が提唱した概念です。商品・サービスそのものの機能だけではなく、それらに付帯する社会的・文化的な価値に共感して選択する消費行動のことです。イミ消費では、商品・サービスの購入を通じて、自分の消費が世のなかの役に立ったという実感を持ち、満足感を得るのが特徴です。

Z世代の場合、たとえば「環境保全」「持続可能な社会の実現」などの付加価値がある商品・サービスを選ぶことで、間接的に社会問題の解決に貢献できた喜び、誰かの役に立てた充足感を得ようとする傾向があります。こうした消費のイミ(意味)に価値を見いだす消費行動は、若い世代を中心に今後ますます広がっていくと予想されます。

参照竹田クニ氏が読み解く2019年の外食トレンド。飲食業界の潮流からグルメキーワードまでを解説|Foodist Media by 飲食店ドットコム

「コスパ」よりも「タムパ」を重視

Z世代より前の世代である「ゆとり世代(2002年から2011年の間に義務教育を受けた世代)」はお金を使う際に、費用対効果、いわゆるコストパフォーマンス(コスパ)を重視する傾向にありました。Z世代もその傾向をある程度引き継いでいます。

その一方で、Z世代はコスパよりも時間対効果を意味する「タムパ」を重視する傾向が強いとされています。タムパとは、トレンド評論家の牛窪恵氏が提唱した言葉です。タイムパフォーマンスの略語で、あるものに費やした時間に対して、どれほどの満足感が得られるかを指します。

「タイム・イズ・マネー(時は金なり)」という有名なことわざがあるように、現代人にとって時間はお金と同じく貴重なものです。とりわけZ世代は、時間効率を重視します。自分が費やした時間をお金に換算するとどれくらいになるのかをシビアに計算し、短期間で満足感を得られる「タイパが高い」モノやコトに対してお金を使います。

参照Z世代を読み解く日本経済をけん引する新たな価値観|広報誌Planet VAN VAN|株式会社プラネット 

ブランドよりも本質的な価値を重視

高度成長期に消費の中心だった、いわゆるバブル世代(X世代の一部)は、高級品やブランド品を好む傾向があります。しかし、社会が不安定な状態にあり、経済不況のなかで生きてきたZ世代は、それより上の世代と比較して金銭感覚が堅実です。商品やサービスを選ぶ際に、ハイブランド品や有名な会社の商品であるかどうかよりも「自分の価値観に合うかどうか」という視点を重視する傾向にあります。

財布のひもが固い一方で、自分にとって価値があるものにはお金を惜しまない側面があるのもZ世代の特徴です。前世代では他人と違うことを「恥ずかしい」「変わっている」と捉えがちでしたが、Z世代は自分が気に入ったもの、オリジナリティのあるものに価値を見いだします。

Z世代向けSDGs関連サービス5

持続可能でより良い社会を実現するために、SDGs達成の担い手を育成することが急務です。そのキーパーソンともいえるのがZ世代です。ここでは、Z世代向けのSDGs関連サービスを紹介します。

1SDGsアドベンチャー

SDGsアドベンチャーは、遊び感覚でSDGsを学べる体験型ワークショップです。分別したゴミが何に生まれ変わるのかを知る「ポイポイ島」や、ペットボトルを再利用してロゼットブローチを作る「ロゼット島」など、いくつかの島に見立てたワークショップを通して、SDGsを身近に感じることができます。

すべての島を体験しても所要時間は60分程度。オールクリア後はSDGs缶バッジをもらえます。誰もが楽しめる仕掛けがあるので、SDGsに関心がない人やSDGsを知らない人が興味を持つきっかけになります。年齢を問わず、みんなで楽しめるSDGsイベントを企画したい方におすすめです。

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2iina(いいな)

iinaは、中学・高等学校向けのSDGs教育プログラムです。学校でSDGs教育の需要が高まりつつありますが、指導者側に知識がないために、何を教えたらいいのかわからないという問題も出てきています。

iinaでは、先生向けの「指導案」、授業で使える「スライド教材」、生徒の学びを深める「ワークシート」の3点セットを提供。SDGsに詳しくない学校の先生でも、1時間程度の準備でSDGsの授業を行えます。中高生は、iinaを通してSDGsを学ぶことで、将来の進路を選択するきっかけにもなります。無料版と有料版があるので、まずは無料版から試してみてはいかがでしょうか。

参照:SDGs学校用教材 iina|中学/高校でSDGsの授業ができる

3.ゴー・ゴールズ

ゴー・ゴールズはSDGsを学べるすごろくです。ブリュッセルの国連地域広報サービスがパリのアーティスト、ヤシン・アイトゥ・カシ氏の協力を得て作成したもので、世界20カ国で提供されています。遊び方は日本のすごろくと基本的に同じです。盤上には63個のマス目があり、サイコロを振って出た数だけコマを前に進めていきます。SDGs17目標のいずれかのマス目で止まったら、クイズのカードを引き、正解するともう1回サイコロ振れます。最初にゴールにたどり着いたプレイヤーの勝利です。子どもから大人まで楽しめ、家族全員で盛り上がれます。

参照:すごろくでSDGsを学ぼう|国際連合広報センター

4SDGs School

SDGs Schoolは、デジタルハリウッドアカデミー、JTBJTB総合研究所が共同開発した、中学校・高等学校向けのSDGsを学べる教材です50分×14回の動画で構成されており、教員向けのマニュアル、生徒用のワークシートが含まれています。ワークシートなどを使ったグループワークや、動画教材に登場するキャラクターの軽快なトークなど、盛り上がる仕掛けが満載です。魅力的な授業を通じて、楽しみながらSDGsへの理解を深め、世界のさまざまな問題を「自分ごと化」するきっかけを作ることができます。

参照:動画教材 SDGs School|JTB法人サービス

5SDGs連合ゲーム

SDGs連合ゲームは、オンライン型の謎解きゲームです。「国際技学連合」という架空の機関を舞台に、41組でチームを組み、SDGsに関する謎を解いていきます。オンラインなので、インターネット環境があれば、場所や時間を問わず気軽に参加することが可能です。SDGsの知識を深められるだけでなく、遊びながらコミュニケーション能力を身につけられます。

参照:親子で遊べるSDGsゲーム 国内最大級の科学イベントで受賞|新潟日報デジタルプラス

 

SDGs研修・体験型SDGsイベント

SDGs研修】ワールドリーダーズ(企業・労働組合向け)

 

概要

  • SDGs社会に合わせた企業経営の疑似体験ができるSDGsビジネスゲーム
  • 各チームが1つの企業として戦略を立てて交渉し、労働力や資金を使って利益最大化を目指す
  • オプションとして「SDGsマッピング」を行うことで学びの定着・自分ごと化

特徴

  • 自分達の利益を追求しつつも、世界の環境・社会・経済も気にしなければならず、ビジネス視点からSDGsを感じ、考えることができる
  • チームで戦略を練り様々な可能性を話し合う必要があるため、深いチームビルディングに繋がる
  • 様々な選択肢の中から取捨選択して最適解を導く考え方を身につけることができる

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

【親子参加型職業体験イベント】キッズタウンビルダーズ(商業施設・企業・労働組合向け)

概要

  • 体験を通じてSDGs目標の「質の高い教育」を学べる親子参加型ワークショップ
  • 子どもが楽しみながらも本気で学べる、複数の職業体験を実施
  • 会議室やホールなど企業様のイベントとしても開催可能

特徴

  • あえて「映える」職業ではなくありふれた職業を選定している
  • 合計で就業人口の7割を占める上位5つの職業をピックアップし、本質的な学びが得られる職業体験
  • ファミリーが高い関心を持つテーマ性のあるイベントで集客・施設周遊を促進

サービスの詳細をまとめた資料はこちらから

 

まとめ

1990年代中盤から2000年代に生まれたZ世代は、社会問題や環境問題に高い関心と意識を持つ世代です。持続可能でより良い世界を実現するためには、Z世代をSDGs活動に巻き込んでいく必要があります。今回紹介したZ世代向けSDGs関連サービスをうまく活用し、彼らの意識を高めながらSDGsを広めていきましょう。

 

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正木友実子

この記事を書いた人

正木友実子

福岡在住。大学を卒業後、大手食品メーカー勤務を経て、異業種のライターへ転身。求められている情報をわかりやすく伝えることがモットー

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